この規格ページの目次
3
C 5381-11 : 2014 (IEC 61643-11 : 2011)
複合形SPD(combination type SPD)
電圧スイッチング形の素子及び電圧制限形の素子の両方を併せもつSPD。印加電圧の特性に応じて,電
圧スイッチング若しくは電圧制限,又はその両方の特性のいずれかを示すことがある。
3.1.7
短絡形SPD(short-circuiting type SPD)
公称放電電流Inを超えるサージ電流によって,その特性が故意に内部短絡に至るようなクラスII試験を
適用する試験をしたSPD。
3.1.8
SPDの防護モード(mode of protection of an SPD)
防護素子を含む規定の電流経路。例えば,ライン−ライン,ライン−接地,ライン−中性線及び中性線
−接地間。
3.1.9
クラスII試験での公称放電電流,In(nominal discharge current)
SPDを流れる8/20電流波形の電流波高値。
3.1.10
クラスI試験でのインパルス放電電流,Iimp(impulse discharge current for class I test)
規定する時間に規定する電荷量Q及び規定する比エネルギーW/Rで,SPDに流れる放電電流の波高値。
3.1.11
最大連続使用電圧,UC(maximum continuous operating voltage)
SPDの防護モードに連続的に加えることができる最大交流実効電圧。
注記 この規格内では,UCは1 000 Vを超えることがある。
3.1.12
続流,If(follow current)
インパルス電流放電後に,電源系統からSPDに流れる最大電流。
3.1.13
定格負荷電流,IL(rated load current)
SPDが防護する出力側に接続した抵抗負荷へ供給できる最大連続定格電流(実効値)。
3.1.14
電圧防護レベル,Up(voltage protection level)
規定の電圧上昇率,規定の波高値及び波形のインパルスストレスによって,SPD端子間に想定すること
ができる最大電圧。
注記 Upは,製造業者が指定し,次の値より大きい。
− 波頭部の放電で決定する測定制限電圧(適用する場合),並びにクラスI及びII試験のIn
及び/又はIimpによる波高値での残留電圧測定から決定する測定制限電圧
− クラスIII試験のコンビネーション波形から決定するUOCでの測定制限電圧
3.1.15
測定制限電圧(measured limiting voltage)
規定する波形及び波高値のインパルスを印加したとき,SPDの端子間で測定した最大電圧値。
3.1.16
残留電圧,Ures(residual voltage)
――――― [JIS C 5381-11 pdf 6] ―――――
4
C 5381-11 : 2014 (IEC 61643-11 : 2011)
放電電流の通過によってSPDの端子間に発生する電圧の波高値。
3.1.17
一時的過電圧試験電圧値,UT(temporary overvoltage test value)
一時的過電圧(TOV)条件下でのストレスを模擬するために,規定の印加時間tTの間,SPDに加える試
験電圧。
3.1.18
2ポートSPDに対する負荷側のサージ電流耐量(load-side surge withstand capability for a two-port SPD)
負荷側回路に生じるサージに対する2ポートSPD出力側のサージ電流耐量。
3.1.19
2ポートSPDの電圧上昇率(voltage rate-of-rise of a two-port SPD)
規定の試験条件下における2ポートSPDの出力端子部での電圧の時間変化率。
3.1.20
1.2/50電圧インパルス(1.2/50 voltage impulse)
規約波頭長が1.2 sで,規約波尾長が50 sの電圧インパルス。
注記 電圧インパルスの波頭長,波尾長及び波形の許容差は,IEC 60060-1:1989の箇条6に規定して
いる。
3.1.21
8/20電流インパルス(8/20 current impulse)
規約波頭長が8 sで,規約波尾長が20 sのインパルス電流。
注記 インパルス電流の波頭長,波尾長及び波形の許容差は,IEC 60060-1:1989の箇条8に規定して
いる。
3.1.22
コンビネーション波形(combination wave)
開回路の条件で規定する電圧の波高値(UOC)及び波形,並びに短絡回路の条件で規定する電流の波高
値(ICW)及び波形によって形成する波形。
注記 SPDに印加する電圧,電流の振幅及び波形は,コンビネーション波形発生器(CWG)のインピ
ーダンスZf及びDUT(供試品)のインピーダンスによって決まる。
3.1.23
開回路電圧,UOC(open circuit voltage)
コンビネーション波形発生器の供試品の接続点での開回路インパルス電圧。
3.1.24
コンビネーション波形発生器の短絡回路電流,ICW(combination wave generator short-circuit current)
コンビネーション波形発生器の供試品の接続点で想定する短絡回路電流。
注記 SPDをコンビネーション波形発生器に接続した場合,供試品に流れる電流は,一般にICWより
も小さい。
3.1.25
熱的安定性(thermal stability)
動作責務試験中に発熱したSPDに,その後,規定する周囲温度で規定する最大連続使用電圧を印加した
とき,時間の経過とともに温度が下がる状態。
3.1.26
――――― [JIS C 5381-11 pdf 7] ―――――
5
C 5381-11 : 2014 (IEC 61643-11 : 2011)
劣化(性能の)[degradation (of performance)]
機器又はシステムの規定動作特性からの望ましくない永久的な品質低下。
3.1.27
定格短絡電流,ISCCR(short-circuit current rating)
規定する分離器を連結したSPDに規定する電源系統の最大推定短絡電流。
3.1.28
SPD分離器(SPD disconnector)
SPD又はSPDの一部を,電源系統から切り離すためのデバイス。
注記 この分離器は安全上で絶縁性能をもつ必要はない。系統の継続的な故障を防ぎ,SPDの故障を
表示するものである。分離器は,内部的(組込み)又は外部的(製造業者による要求)でもよ
い。例えば,過電流保護機能及び熱保護機能のように,複数の分離器機能があってもよい。ま
た,これらの機能は分離したユニットでもよい。
3.1.29
外郭の保護等級,IP(degree of protection of enclosure)
危険な部品への接近,固形異物の侵入及び水の浸入の可能性に対し,外郭による保護の評価を示すため
に,記号IPによって表示する保護等級の分類。
3.1.30
形式試験(type test)
SPDを代表する一つ以上の試験項目に対して実施する適合性試験(IEC 60050-151:2001の151-16-16参
照)。
3.1.31
ルーチン試験(routine test)
SPDが設計仕様に適合していることを保証するのに必要な各SPD,部品又は材料に対して実施する試験
(IEC 60050-151:2001の151-16-17参照)。
3.1.32
受入試験(acceptance tests)
供試品の仕様に規定する条件に適合することを顧客に証明するための契約上の試験(IEC
60050-151:2001の151-16-23参照)。
3.1.33
減結合回路(decoupling network)
SPDに交流電圧を印加する試験中,電源回路側へ伝ぱ(播)するサージエネルギーを阻止する目的の電
気回路。
注記 この電気回路は,“バックフィルタ”ということがある。
3.1.34
インパルス試験の分類
3.1.34.1
クラスI試験(class I tests)
インパルス放電電流Iimp,Iimpの波高値と等しい波高値の8/20電流インパルス及び1.2/50電圧インパルス
によって実施する試験。
3.1.34.2
――――― [JIS C 5381-11 pdf 8] ―――――
6
C 5381-11 : 2014 (IEC 61643-11 : 2011)
クラスII試験(class II tests)
公称放電電流In及び1.2/50電圧インパルスによって実施する試験。
3.1.34.3
クラスIII試験(class III tests)
1.2/50電圧インパルスで8/20電流インパルスのコンビネーション波形発生器によって実施する試験。
3.1.35
漏電遮断器,RCD(residual current device)
規定の条件下で,漏電電流又は不平衡電流が規定する値に達したときに,電源回路を遮断する目的の開
閉装置又は関連装置。
3.1.36
電圧スイッチング形SPDの放電開始電圧,電圧スイッチング形SPDのトリガ電圧(sparkover voltage of a
voltage switching SPD, trigger voltage of a voltage switching SPD)
電圧スイッチング形SPDが高インピーダンスから低インピーダンスへ急変化する直前の最大電圧値。
3.1.37
クラスI試験における比エネルギー,W/R(specific energy for class I test)
インパルス放電電流Iimpによって1 Ωの単位抵抗で放散するエネルギー。
注記 これは電流の二乗の時間積に等しい(W/R=∫ i2dt)。
3.1.38
電源の推定短絡電流,IP(prospective short-circuit current of a power supply)
電源の特定場所を極めて低いインピーダンスで短絡したときに電源回路に流れる電流。
注記 この推定短絡電流は実効値で表す。
3.1.39
続流遮断定格,Ifi(follow current interrupt rating)
分離器が動作しないでSPDが遮断できる推定短絡電流。
3.1.40
漏電電流,IPE(residual current)
製造業者が指定した方法で,SPDに基準試験電圧(UREF)を印加したときに,PE端子に流れる電流。
3.1.41
動作表示器(status indicator)
SPD又はSPDの一部の動作状態を表示する装置。
注記 動作表示器の例を,次に示す。
− 局部的な視覚及び/又は音響アラームによるもの。
− 遠隔地に送信及び/又は電気的な出力ができるもの。
− 上記の二つを組み合わせたもの。
3.1.42
出力用接点(output contact)
SPDの主回路から独立した回路中の分離器又は動作表示器と連動した接点。
3.1.43
多極SPD(multipole SPD)
二つ以上の防護モードをもつSPD,又は電気的に組み合わせたSPD。
――――― [JIS C 5381-11 pdf 9] ―――――
7
C 5381-11 : 2014 (IEC 61643-11 : 2011)
3.1.44
全放電電流,ITotal(total discharge current)
多極SPDの全放電電流試験において,PE又はPEN導体を通過する電流。
注記1 この目的は,多極SPDの多防護モードに同時に通電するときの累積的な影響を確認するため
である。
注記2 ITotal は,クラスI試験を適用するSPDに関連する特殊なものであって,IEC 62305規格群に
よる雷保護等電位ボンディングのために用いる。
3.1.45
基準試験電圧,UREF(reference test voltage)
SPDの防護モード,公称システム電圧,システム構成及びシステム内の電圧変動に従った試験で用いる
実効値電圧。
注記 この基準試験電圧は,7.1.1 b) 8)に従って製造業者が指定する情報を元に,表A.1から選定する。
3.1.46
短絡形SPDに対する過渡サージ電流定格,Itrans(transition surge current rating for short-circuiting type SPD)
短絡形SPDが短絡する原因となる公称放電電流Inを超えた8/20 サージ電流値。
3.1.47
空間距離決定のための電圧,Umax(voltage for clearance determination)
空間距離決定に対して,8.3.3によるサージ印加中の最大測定電圧。
3.1.48
最大放電電流,Imax(maximum discharge current)
製造業者の仕様によるSPDを通過する波形8/20のサージ電流波高値。Imaxは,In以上である。
3.2 記号又は略号
この規格で用いる記号又は略号の一覧を,表1に示す。
――――― [JIS C 5381-11 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS C 5381-11:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-11:2011(IDT)
JIS C 5381-11:2014の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-11:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)