JIS C 5381-12:2021 低圧サージ防護デバイス―第12部:低圧電源システムに接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準 | ページ 10

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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)

7.5 SPDの特性の選定

7.5.1 一般
SPDは,図13に示すフローチャートに従い,7.5.27.5.7に規定する六つのステップによって選定する。
SPDのUc,UT,In,Iimp,Imax,ISCCR,
SPDの一時的過電圧試験電圧値UTは,低圧電源システムでの
Ifi及びUocの選定(7.5.2参照)
故障によって発生する一時的過電圧値[UTOV (LV)]以上である。
SPDのISCCR及びIfiは,製造業者の明示及びSPD設置場所の
推定短絡電流に応じて選定する。
防護距離(7.5.3参照) SPDの設置場所
期待寿命(7.5.4参照) 使用者及び設計者にとって,これは許容可能か?
SPDとその他の機器との相互関係(7.5.5 参照)
SPDと外部分離器(過電流保護器)との雷サージ協調
正常状態 SPDの過電流保護器(外部分離器)は,SPDのサージ耐量で動作し
ないこと確認するために試験する。SPDの上位(電源側)のその他の
SPDは,いかなる人体への安
過電流保護器は,SPDのサージ耐量と協調がとれなくてもよい。
全上の脅威又はその他の機
SPDは,製造業者が指定する外部分離器(ある場合)を除き,漏電
器への妨害を引き起こして
遮断器RCD又は遮断器のようなその他の機器に干渉してはならない
はならない。
(7.5.2.4も参照)。
電圧防護レベルUpの選定(7.5.6参照) 次を考慮する。
− 被保護機器の定格インパルス電圧,又はサージイミュニティ
試験レベル
− 電源システムの公称電圧
選定したSPDとその他のSPDとの
同一導体上で二つのSPDを用いる場合
協調(7.5.7参照)
図13−SPD選定のためのフローチャート

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7.5.2 SPDのUc,UT,In,Iimp,Imax,ISCCR,Ifi及びUocの選定
7.5.2.1 SPDの最大連続使用電圧Uc
SPDのUc値は,次の基準を満足しなければならない。
Ucは,電源システムの最大連続使用電圧Ucs(=k×U0)以上とする(附属書J及び附属書Bの推奨値を
参照)。
Uc≧Ucs
注記 IT系統では,Ucは,電源システムの最初の地絡故障を考慮して十分に高く(1.1 U0×√3)してい
る。表4に示す値は,これを満たしている。
実際,これは,表4に示す要求事項に等しい(IEC 60364-5-53を参照)。
表4−各種電源システムに対して推奨するSPDの最小Uc
SPDの接続箇所 低圧電源システムの接地系統の種類
(適用可能な場合) TN系統 TT系統 IT系統
充電相と中性線との間 1.1 U/√3 1.1 U/√3 1.1 U/√3
又は(0.64×U) 又は(0.64×U) 又は(0.64×U)
充電相と接地(PE)との間 1.1 U/√3 1.1 U/√3 1.1 U
又は(0.64×U) 又は(0.64×U)
充電相とPENとの間 1.1 U/√3 適用しない 適用しない
又は(0.64×U)
中性線と接地(PE)との間 1.1 U/√3 1.1 U/√3 1.1 U/√3
又は(0.64×U)a) 又は(0.64×U)a) 又は(0.64×U)
充電相間 1.1 U 1.1 U 1.1 U
注記1 対応国際規格の“注記1 適用しない”は,表中のTT系統及びIT系統の充電相とPENとの間に接続す
るSPDの最小Ucを示している。ここでは表中に“適用しない”と記載した。
注記2 Uは,低圧電源システムの充電相間の電圧を示している。
注a) これらの値は,最悪の場合の故障状態に関連するため,10 %の許容値を考慮していない。
7.5.2.2 一時的過電圧試験電圧値UT
UT値は,図14に図解するように,低圧電源システムでの故障によって設備に発生する一時的過電圧値
[UTOV (LV)]以上とする。
UT≧UTOV (LV)
注記 5秒間以上継続するUTOV (LV)は,最大連続使用電圧Ucとみなしている。例えば,IT系統では,充
電相と接地との間に接続するSPDのUc値は,地絡故障によって非常に長い間(数時間)発生す
る可能性がある充電相間の電圧(1.1 U0×√3)以上である。
代表的な一時的過電圧試験電圧値UTを,附属書Eに示す。
TOVが非常に高い電圧の場合,SPDがTOVに耐え,サージ電圧を機器が許容する電圧まで低減するSPD
を見つけることが困難な場合がある。TOVの発生確率が十分に低い場合,TOVのストレスに耐えられな
いSPDを用いることが可能である。この場合,適切な分離器を用いる。

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記号説明
a : TT系統,TN系統及びIT系統における低圧電源システムでの故障(短絡)で,充電相
と中性線との間に発生するUTOV (LV)の領域
b : IT系統における低圧電源システムでの故障(地絡故障)で,充電相と接地との間に発生
するUTOV (LV)の領域,並びにTT系統及びTN系統における低圧電源システムでの故障
(中性線の欠相)で,充電相と中性線との間に発生するUTOV (LV)の領域
c : TT系統及びIT系統における,高圧電源システムでの故障で,充電相と接地との間に発
生するUTOV (HV)の最大値
d : 規定しない領域
注記1 3W+G(3線+接地)及び単相120/240 Vシステムで用いるSPDに必要なUTOV
(LV),並びに北米の4W+G(4線+接地)及び三相120/240 V,277/480 V,347/600
Vシステムで用いるSPDに必要なUTOV (LV)は,その他の値を用いている。
注記2 次の特性をもつSPDも選定可能である。
UT=Uc≧UTOV (LV) max
これは特にIT系統の場合である。
注記3 我が国の電源システム及びTOV試験パラメータはE.8.3を参照。
図14−UT及びUTOV
要求する電圧防護レベルのSPDを選定する場合,想定するTOVに対するSPDの必要な挙動(TOVに
耐える又は寿命となるときの特性)を考慮する。
TOV発生の可能性が十分に低い場合,TOVのストレスには耐えられないが,JIS C 5381-11に規定する
許容可能な方法で故障するSPDを用いることで,要求する電圧防護レベルを満たすことが可能である。
寿命となるときの挙動を許容することが不可能な場合,要求する電圧防護レベルのSPDを適用する前
に,TOVを制限する追加の対策を講じなければならない。
7.5.2.3 In,Iimp,UOC及びImax
In,Iimp,UOC及びImax(製造業者が明示する場合)は,適切なサージ耐量を選定するために必要である。

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SPDのサージ耐量(クラス試験に応じて,Iimp,In,又はUOCのいずれか)の選定は,同一導体上に複数
のSPDを用いる場合,協調を完全にして,サージの発生確率及び許容故障率を比較するリスク評価(箇条
4参照)に基づかなければならない。
注記1 Iimpは,クラスI試験に,Inは,クラスII試験に,また,UOCは,クラスIII試験にそれぞれ関連
し,かつ,Imax(任意)は,8/20電流インパルスを用いている。
注記2 必要な場合,6.5.2.2及び6.5.2.3に規定する推奨値よりも高い値を用いることが可能である。
落雷によって誘導する雷サージに対する防護でSPDを必要とする場合,設備の引込口に設置するSPD
の公称放電電流Inは,要求する各防護モードに対して,8/20で5 kA以上とする。
接続タイプ2(CT2,図9参照)のSPDを設置する場合,設備の引込口において,中性線と接地(PE)
との間に接続するSPDの公称放電電流Inは,三相の場合では,8/20で,20 kA以上,単相の場合では,8/20
で,10 kA以上とする。
注記3 短絡SPDの場合,同じ防護モード(例えば,充電相と接地との間又は中性線と接地との間)で,
製造業者が明示するItransがInよりも大きい場合,Inは,上記の(7.5.2.3に示す)値よりも低く
することが可能である(A.2.2.9を参照)。
LPSがある建築物等で,直撃雷の可能性がある場合,要求するSPDは,インパルス放電電流Iimpを,評
価する(附属書I参照)。この評価は,SPDの上位(電源側)に設置した部品(ヒューズ,ケーブルの断面
積など)が,システム全体の最大サージ耐量を制限する場合があり,また,SPDに加わる雷サージストレ
スの最大値も制限する場合があるため,考慮することが望ましい。このような評価が不可能な場合,Iimpは,
要求する各防護モードに対して,12.5 kA以上とする。
接続タイプ2(CT2)のSPDを設置する場合,中性線と接地(PE)との間に接続するSPDのインパルス
放電電流Iimpは,JIS Z 9290-4と同様に計算する。電流値の計算が不可能な場合,中性線と接地(PE)との
間に接続するSPDのインパルス放電電流Iimpは,三相の場合では,50 kA以上,単相の場合では,25 kA以
上とする。
注記4 追加の情報は,JIS Z 9290-1:2014の附属書Eを参照。
単一のSPDを部分雷電流(直撃雷の分流)及び落雷によって誘導する雷サージの両方に対する防護で用
いる場合,In及びIimpは,上記の(7.5.2.3に示す)値と一致しなければならない。
追加するSPDのIn及びImax(製造業者が明示する場合)の選定は,7.5.7に規定する協調の規則に基づい
て実施する。
注記5 一般に,InはクラスII試験に適合したSPDの特性を示すのに十分であり,Imaxは,特別な場合
だけに用いている。Imaxは,サージ耐量を示し,結果的に,特定の場所における寿命予測を示し
ている。
7.5.2.4 SPDの設置場所における電源システムの推定短絡電流とSPDとの協調
SPDは,漏電遮断器,ヒューズ又は配線用遮断器などのその他の過電流保護器の動作を妨げないように,
必要な分離器を接続してもよい。
SPD製造業者が指定するSPD分離器(SPDの外部又は内部に設置)又は過電流保護器を接続したSPD
の定格短絡電流ISCCR(寿命となるとき)は,設置場所における最大推定短絡電流以上とする。IEC 60364
による場合,SPDを保護するために用いる外部SPD分離器又は過電流保護器は,関連するJIS,例えば,
JIS C 8211,JIS C 8201-2-1,JIS C 8201-2-2,JIS C 8269規格群,又は適用可能なJISに適合しなければな

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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
らない。
a) 定格短絡電流 : ISCCR SPDは,ISCCRに従って選定及び設置する。ISCCRは,製品で試験し,製品に添付
する製造業者の書類に明示する定格値である。
製造業者が明示するSPD分離器及び/又は過電流保護器を接続したSPDの定格短絡電流ISCCRは,
設置場所における最大推定短絡電流以上とする。SPDは,SPDに添付する製造業者の書類に明示する
SPD分離器を接続する。SPD製造業者が決定するSPD分離器は,SPD内部に組み込んでもよいし,
別個の機器(例えば,配線用遮断器又はヒューズ)でもよい。
IT系統の場合,中性線と接地(PE)との間に接続するSPDの定格短絡電流ISCCRは,充電相と中性
線との間に接続するSPDと同じとする(JIS C 60364-4-43の431.2.2に従う。)。
b) 続流遮断定格 : Ifi 製造業者がIfiを明示する場合,Ifiは,設置場所における最大推定短絡電流以上と
する。TT系統又はTN系統で,中性線と接地(PE)との間に接続するSPDの続流遮断定格Ifiは,100
A以上とする。IT系統で,中性線と接地(PE)との間に接続するSPDの続流遮断定格Ifiは,充電相
と中性線との間に接続するSPDと同じにする。
注記1 続流(JIS C 5381-11:2014の3.1.12参照)は,電流インパルスの放電後に,電源システムか
らSPDに供給する電流のピーク値である。電圧スイッチングSPD(例えば,スパークギャ
ップ)では,続流が発生する可能性がある。
注記2 100 Aは,TT系統又はTN系統での故障状態において,中性線Nと接地PEとの間に流れ
ると推定する最大電流である。これは,JIS C 5381-11の試験に用いる電流値である。
c) 外部SPD分離器(D)を接続したSPDと電源システムとの協調 SPDを保護するために用いる外部
SPD分離器及び/又は過電流保護器の設置場所は,設備への電源の継続性及び設備内の実効上の電圧
防護レベルUp/fに影響を及ぼす。SPD並びに外部SPD分離器及び/又は過電流保護器の配置は,次の
二つを用いてもよい。
配置1
図15に示すように,外部SPD分離器D(又は過電流保護器OCPD)を,SPDの回路内に設置して
もよい。この配置では,SPDが寿命となった場合,外部SPD分離器が動作し,SPDを保護する。この
場合,電源の継続性は維持するが(注記3参照),さらなるサージから設備を防護していない。この配
置では,設備内の実効上の電圧防護レベルUp/fは,SPDと直列に接続する外部SPD分離器の電圧降下
によって増加する(Up及びUp/fの詳細は7.5.6を参照)。SPD分離器をSPDの内部に実装する場合,実
効上の電圧防護レベルUp/fに変化はない。
注記3 SPDを漏電遮断器の二次側に接続した場合も電源の継続性に影響を及ぼす可能性がある。

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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61643-12:2020(IDT)

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