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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
記号説明
D : SPD製造業者が明示する,SPDと協調が取れた外部SPD分離器(又は過電流保護器OCPD)
: SPDと外部SPD分離器との組合せ
図15−電源の継続性を維持するためのSPD及び外部SPD分離器の配置
配置2
図16に示すように,外部SPD分離器D(又は過電流保護器OCPD)は,主回路と直列に設置して
もよい。この配置では,SPDが寿命となった場合,外部SPD分離器が動作し,SPDを保護するが,電
源の継続性は維持しない。この配置では,設備内の実効上の電圧防護レベルUp/fは,増加しない。
注記4 SPDの上位(電源側)にある,SPD分離器ではない過電流保護器が動作する場合,動作の
原因を正確に判断し,SPDが寿命となった場合,過電流保護器を再投入する前に,電源シ
ステムからSPDを取り外して交換することになる。寿命となったSPDを接続した状態で,
過電流保護器を再投入することは,危険な状態を引き起こす可能性がある。
記号説明
D : SPD製造業者が明示する,SPDと協調がとれた外部SPD分離器(又は過電流保護器OCPD)
図16−防護の継続性を維持するためのSPD及び外部SPD分離器の配置
SPDが寿命となった場合,SPDを交換する場合だけ電源が復旧するため,電源の継続性が必要な場
合,この配置は用いない。
SPD分離器が電源線の過電流保護も兼ねる場合,SPD分離器は,JIS C 60364-4-43の過電流保護に
関する要求事項及びJIS C 8201-2-1,JIS C 8201-2-2,JIS C 8211又はJIS C 8269規格群に適合しなけ
ればならない。
d) 電気設備の過電流保護器OCPDと外部SPD分離器との短絡を考慮した選定 電気設備の過電流保護
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
器OCPD及び外部SPD分離器Dの選定は,必要に応じて,短絡時の動作を注意深く検討する。
図17に示す回路で,SPDが寿命となって短絡した場合,電源の継続性を維持するためには,SPDの
設置場所の短絡電流に応じてOCPD及び外部SPD分離器Dの選定を確実に実施する必要がある。こ
の場合,電源の継続のためには,外部SPD分離器Dが寿命となったSPDを分離するまで動作しない
OCPDを選定することが望ましい。電源の継続性が必要な場合,OCPD及び外部SPD分離器Dは,
OCPD製造業者が提供する選定表に従って選定することが望ましい。
記号説明
D : SPD製造業者が明示する,SPDと協調が取れた外部SPD分離器(又は過電流保護器OCPD)
OCPD : 電気設備の過電流保護器
図17−短絡時の過電流保護器OCPD及び外部SPD分離器の選定
e) 設備の過電流保護器と外部SPD分離器とのサージ協調 必要に応じて,設備の過電流保護器OCPD
と外部SPD分離器とのサージ協調を考慮することが望ましい。SPDの製品規格(JIS C 5381-11)は,
SPDのクラスII試験に適合したSPDの外部分離器は,SPDのInまで耐え,SPDのクラスI試験に適
合したSPDの外部分離器はSPDのIimpまで耐えることを規定している。そのため,これらのサージに
耐えるOCPDを選定することが望ましい。附属書Nは,サージで動作しないOCPDを選定するため
の,OCPDのサージ耐量に関する情報を提供する。
注記5 幾つかの国では,クラスI試験に適合したSPDをタイプ1,クラスII試験に適合したSPD
をタイプ2,クラスIII試験に適合したSPDをタイプ3という。
使用者は,サージが発生したときに,制御不可能な状況を避けるため,次の事項に注意してOCPD
を上記[7.5.2.4のa) e)]に従って正しく選定する必要がある。適切な追加の対策は,設備の主OCPD
の上位(電源側)にSPDを設置することである(JIS,国内の法令·基準又は地方の規制が許容する
場合)。この場合,SPDを保護するために分離器が必要である。SPDの設置場所よりも上位(電源側)
に遮断能力をもつ断路器がない場合,分離器は遮断能力をもつ(IEC 60364-5-53参照)か又はSPDの
設置場所よりも上位(電源側)に追加の遮断能力をもつ断路器若しくは開閉器を設置する。
7.5.3 防護距離
SPDの設置場所,すなわち,SPDが十分な防護を提供する場所(引込口,機器の近傍など)を決定する
ために,防護距離(SPDと被保護機器との間の距離)が,許容範囲内であるかを知らなければならない。
この防護距離は,SPDの特性(Upなど),建築物等内の設置場所(接続リード線長など),電源システム
の特性(種類,ケーブル長など)及び機器の特性(定格インパルス電圧UW,サージイミュニティなど)に
依存する。追加の情報は,関連する現象を説明する(7.3及び7.4を参照)。
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
注記 雷保護ゾーンLPZの設計者は,SPDと被保護機器との間の防護距離に注意する必要がある。
7.5.4 期待寿命
SPDの期待寿命は,主にSPDの最大サージ耐量を超えるサージの発生確率に依存する。実際には,SPD
の寿命は,実際のサージ発生頻度によって,長くなったり,又は短くもなったりする可能性がある。
例えば,適切なリスク評価によって決定したIimpをもつSPDに,このIimpを超える異常なサージ電流が
流れた場合,SPDは寿命となることがある。期待寿命は,実際の寿命を保証するものではなく,単なる統
計値であることを,この極端な例は示している。
なお,期待(推定)寿命を考慮することは可能である。例外的なサージ電流が発生した場合,SPDを設
置して数秒後のときであっても,このサージ電流よりも低いIimpのSPDは寿命となる。一方,SPDのIimp
が,このサージ電流よりも10倍又は単に2倍でも大きい場合,SPDは寿命とはならない。すなわち,SPD
の適用において,SPDのサージ耐量を超えない限り,大きなIimpをもつSPDの期待寿命は,小さなIimpを
もつSPDの期待寿命よりも常に長くなる。
予想するサージ及びその他のSPDとの必要な協調を考慮し,寿命となるときに火災又は感電などの危険
を引き起こさないSPDを選定する。
電源の障害又は中断を回避したい場合,SPDと上位(電源側)の過電流保護器との間の協調も考慮する。
7.5.5 SPDとその他の機器との相互作用
7.5.5.1 一般
7.5.5.27.5.5.3の情報は,IEC 60364規格群を参照。
7.5.5.2 正常状態
漏電電流IPEは,人体への危険(間接接触など)又はその他の機器(例えば,漏電遮断器)への妨害を引
き起こしてはならない。
注記1 漏電遮断器の場合,漏電電流IPEは,定格感度電流の3分の1未満とするのがよい。複数のSPD
及びその他の機器からの漏電電流の累積も考慮するのがよい。
注記2 SPDを漏電遮断器,ヒューズ又は配線用遮断器の負荷側に設置する場合,これらの機器をサー
ジによる有害な動作,不要動作,又は損傷から防護することは不可能である。
7.5.5.3 SPDと過電流保護器(ヒューズ又は配線用遮断器など)又は漏電遮断器とのサージ協調
電源システム内で用いる過電流保護器及び漏電遮断器のサージ耐量は,反限時時延形(S形)漏電遮断
器を除き,規定していない。ただし,反限時時延形(S形)漏電遮断器の規格(JIS C 8221及びJIS C 8222
参照)では,動作せずに8/20で3 kAに耐えなければならないと規定している。
過電流保護器又は漏電遮断器とSPDとのサージ協調をとる場合,公称放電電流In及び/又はインパル
ス放電電流Iimpで,この過電流保護器又は漏電遮断器が動作してはならない。
なお,過電流保護器は通常,In及び/又はIimpよりも大きい電流での動作は許容する。配線用遮断器のよ
うに再投入可能な過電流保護器の場合,サージによって破損しないことが望ましい。
この場合,過電流保護器が動作した場合でも,過電流保護器の動作時間によって,全てのサージがSPD
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
に流れる。そのため,SPDは十分なサージ耐量をもっていなければならない。この現象による過電流保護
器又は漏電遮断器の動作は,設備の防護が継続するため,SPDの寿命とは考えない方がよい。使用者が電
源の中断を許容しない場合,特別な構成又は特別な過電流保護器を用いることが望ましい。
注記1 SPDは,JIS C 5381-11に従って,分離器を接続した状態で試験することがある。ただし,SPD
の上流(電源側)には,その他の過電流保護器がしばしば存在し,SPD及びSPD分離器のサー
ジ耐量との動作協調をより複雑にしていることに注意する必要がある(附属書N参照)。
注記2 LPSがある建築物等又は架空線で引き込む設備のように大きなサージ電流が流れる状況では,
SPDのIn及び/又はIimpが,設備で用いる過電流保護器の実際のサージ耐量よりも大きい場合
がある。この場合,過電流保護器が,In及び/又はIimp未満のサージ電流で動作することを許容
している。この場合,SPDの公称放電電流の選定は,サージ耐量だけに基づいている。
注記3 電圧スイッチングSPDが放電を開始した場合,電源供給の品質が低下することがある。一般に,
電圧スイッチングSPDが自己消弧しない場合,電源の続流によって,過電流保護器が動作する
ことになる。この場合,電圧スイッチングSPDの続流とSPDの上位(電源側)の過電流保護
器との協調が必要になる。
注記4 間接接触に対する保護は,IEC 60364-5-53を適用している。
7.5.6 電圧防護レベルUpの選定
SPDの電圧防護レベルUpを推奨値から選定する場合,被保護機器の定格インパルス電圧UW(又は,重
要な機器のサージイミュニティ)及び電源システムの公称電圧を考慮する。Upの値が低いほど,よりよい
防護となる。Upの値は,Uc及びUTを考慮し,更にSPDの劣化及びその他のSPDとの協調を考慮して選
定する(7.5.2及び7.5.3も参照)。
電圧制限SPDの電圧防護レベルUpは,クラスI試験に適合したSPDの場合Iimpに,クラスII試験に適
合したSPDの場合Inに,関連する。クラスIII試験に適合したSPDの電圧防護レベルUpは,コンビネー
ション波形発生器による試験(Uoc)で決定する。
電圧スイッチングSPD又は複合SPDの電圧防護レベルUpは,1.2/50電圧インパルスを用いた立ち上が
り波形での放電開始電圧にも関係する。
7.5.7 選定したSPDとその他のSPDとの協調
7.5.7.1 一般
既に7.5.17.5.6に記載したように,被保護機器が受けるサージのストレスを許容値(より低い電圧防護
レベル)まで低減し,建築物等内に侵入するサージ電流を低減するため,同一導体上に2個(又はそれ以
上)のSPDを用いてもよい。
複数のSPDの協調は,次に示す二つの協調に対応する必要がある(附属書F参照)。
− エネルギー協調 2個のSPDが過度なエネルギーによって破壊しないように,2個のSPDのサージ耐
量に従って,サージのストレスを2個のSPDで許容可能になるように分担をする。
− 電圧防護レベルの協調 負荷側の電圧制限SPDの残留電圧を,電圧防護レベル以下とするには,負荷
側のSPDに流れるサージ電流を少なくすることによって,負荷側のSPDの残留電圧を,Upよりも低
くすることが可能である。
これらの例を,図18に示す。
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
i
d O/c
1 2
Eq
SPD1 SPD2
a) 2個のSPD間にインピーダンスとして配線を用いた場合
i Z
1 O/c
2
Eq
U1 U2
SPD1 SPD2
i1 i2
b) 2個のSPD間にインピーダンスとして減結合部品を用いた場合
記号説明
Eq : 正常状態の被保護機器
O/c : 開回路(機器を電源に接続しない)
i : 侵入するサージ電流
i1及びi2 : SPD1及びSPD2に流れるサージ電流
d : SPDとSPD2との間の配線長
U1及びU2 : SPD1及びSPD2の残留電圧Ures
Z : 減結合部品及び/又は配線長のインピーダンス
図18−2個のSPDの代表的な設置及びその等価回路
2個のSPD間のインピーダンスZ(一般にはインダクタンス)は,減結合部品(2個のSPD間のエネル
ギーの分担を容易にするために電源線に挿入した特定の部品),及び/又は2個のSPD間の配線長による
インダクタンス(一般的には1 μH/m)としてもよい。Zが減結合部品の場合,配線長のインピーダンスは,
Zに比較してその値が小さいとき無視してもよい。図18に示すZは,減結合部品及び配線長のインピーダ
ンスを表す。
注記1 被保護機器を接続しない,最も厳しい場合を,図18に示す。電流の一部がこの機器に流れない
ため,全てのストレスが2個のSPDに加わっている。サージがSPDの端子と負荷との間に発
生する場合,追加の検討を実施することがある。
注記2 この例では,接続リード線を無視している。実際には,接続リード線が2個のSPD間のストレ
スの分担に影響を及ぼすことがある。
注記3 往復する導体(2個のSPD間の充電相,中性線及び接地線)が近接し,対になっている場合,
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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム