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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
2 kV
U1
電圧
U2
0
60 μs
時間
記号説明
U1 : SPD1の残留電圧
U2 : SPD2の残留電圧
a) MOVで構成する2個のSPDの残留電圧
10 kA
IT
I1
電圧
I2
0
時間 60 μs
記号説明
IT : 全体の電流
I1 : SPD1に流れる電流
I2 : SPD2に流れる電流
b) MOVで構成する2個のSPDに分流する電流
図J.12−MOVで構成する2個のSPDの協調
インピーダンスZに相当する2個のSPD間の配線長dは,減結合インピーダンスとして用いてもよい
が,次による。
· 2個のSPDが共に電圧制限SPDの場合,配線長による減結合インピーダンスは,一般に,短い波形
(例えば,8/20)だけに効果的である。長い波形(例えば,10/350)では,配線長による減結合インピ
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
ーダンスでは不十分である。適切な協調のため,追加の減結合部品を必要としてもよい。
· 上位(電源側)のSPD(SPD1)が電圧スイッチングSPDの場合,次の二つの特性を考慮する。
− Iimpよりも低い電流では,ギャップの端子間の電圧がかなり低くなる場合があり,ギャップが放電し
ないため,負荷側のSPD(SPD2)の防護が可能ではないというブラインドスポットをもつ可能性が
ある。ギャップは,サージの立ち上がり部で放電することが重要である。
− サージの立ち上がり時間が長い場合,減結合インピーダンスは,8/20又は10/350の波形のときほど
効果的ではない。このような立ち上がり時間が長いサージは,IEC TC81(雷保護)で検討中である。
一般に,次の2種類のサージに対する協調を考慮する。
· 長いサージ波形(クラスI試験で用いる波形)での協調
· 短いサージ波形(クラスII試験で用いる波形)での協調
注記 2個の協調したSPDの最大エネルギー耐量は,エネルギー耐量の低いSPDのエネルギー耐量以上
となる。既にSPD1を接続した電源システムに,新しいSPD2を接続する場合,適切な協調を考
慮することになる。
J.2.3 実施例(7.5.7.2参照)
実際に設置するに当たり,協調の検討は,上記(J.2.2)に示す単純な例よりも,次のようにかなり複雑
になる。
· 接続リード線の長さ又は分離器のような追加の機器によって,回路内にインダクタンスが加わる場合
がある。多くのSPD間の分流を更に検討する必要がある場合は,実際の設置回路が必要となる。
· SPDに用いる部品の特性の許容差は,特定の電流における残留電圧の実際の値を,不確実にする場合
がある。さらに,製造業者から通常入手する電圧防護レベルの値は,実際の値が,表示値よりも25 %
以下となるようなマージンを考慮した値である。
· SPDの最大エネルギー耐量Emaxは,長い波形及び短い波形で異なる場合がある。一般に,この値は,
一つの試験クラスだけに対して規定する(クラスI試験は長い波形,及びクラスII試験は短い波形)。
まれに,この最大エネルギー耐量が入手不可能な場合があり,この場合,計算する必要がある。
J.3 LPSがある建築物等に設置するクラスI試験に適合したSPDのIimpの簡易計算
電気設備を収容した,LPSがある建築物等では,JIS Z 9290規格群が規定する方法で,直撃雷電流の分
流を計算し,引込口に設置するSPDのIimpを決定する必要がある。
JIS Z 9290規格群は,LPSがある建築物等の設備の引込口では,等電位ボンディング用のSPDを用いる
必要があると規定する。このSPDは,クラスI試験に適合するSPDで,主に10/350の波形でIimpを規定
する。
電源引込線が1系統で,その他全ての引込線及び水道管などがない,又は無視する(最も厳しい場合)
簡単な例の場合,Iimpは,LPSの雷保護レベルLPL(IIV),及び次の式を用いて計算することが可能であ
る。
上記の方法では,建築物等への引込線は,電源1系統だけとする。一般に,建築物等には雷電流の一部
を流す引込線及び水道管(金属管)などがあり,これらによって,設備の引込口で用いるクラスIに適合
するSPDのIimpは,低くなる。表J.1及び表J.2に示すIimpの値は,最大値である。雷電流の分流について
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
の更なる情報は,JIS Z 9290-1を参照。
この場合,LPSの雷保護レベルLPLに関連する最大電流は,電流の50 %が接地システムに流れると想
定して二分し,さらに電源引込線の導体数nに応じて均等に分流する。
こうして,SPDの各防護モードが耐えるインパルス電流Iimpは,次の式で簡単に計算することが可能で
ある。
Iimp=雷保護レベルLPLに関連する最大電流/2n
この式によって,用いることが可能な2種類の接続タイプ,CT1及びCT2の両方のIimpを計算した結果
を表J.1及び表J.2に示す。古い設備の場合,又は電気管理者が設備の詳細を知らない場合,最大値(雷保
護レベルLPL I)を想定する。
表J.1は,最も一般的な低圧電源システムの場合を示す。ただし,これらの値は,一部の国の低圧電源
システムでは,非常に特殊な場合がある。表J.2は,我が国の一般的な低圧電源システムの場合の例を示
し,表J.4は,我が国の低圧電源システムの一般的な配電方式を示す。
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
表J.1−Iimpの簡易計算値
LPL LPLの 導体数 低圧電源システム(単相及び三相)
レベルに n TT系統 TN−C TN−S系統 IT系統 IT系統
関連する (本) 系統 中性線 中性線あり
最大電流 なし
(kA) 接続タイプ − 接続タイプ 接続タイプ
CT1 CT2 CT1 CT2 CT1 CT2
L-PE L-N N-PE L-PEN L-PE L-N N-PE L-PE L-N N-PE
N-PE N-PE
Iimp(kA)
I 200 5 − − − − 20 20 80 − − −
又は 4 25 25 100 25 − − − − 25 100
不明 3 − − − − 33.3 33.3 66.7 33.3 − −
a)
2 50 50 100 50 − − − − 50 100
II 150 5 − − − − 20 20 80 − − −
4 18.8 18.8 75 18.8 − − − − 18.8 75
3 − − − − 25 25 50 25 − −
2 37.5 37.5 75 37.5 − − − − 37.5 75
III 100 5 − − − − 10 10 40 − − −
又は 4 12.5 12.5 50 12.5 − − − − 12.5 50
IV 3 − − − − 16.7 16.7 33.3 16.7 − −
2 25 25 50 25 − − − − 25 50
記号説明
LPL : 雷保護レベル
n : 電源引込線の導体数。TN系統(TN−C及びTN−S)の場合,nはPE(PEN)導体を含む。
このPE(PEN)導体には,充電相と同じ雷サージ電流が流れる。
n=5 : TN−S系統で,三相,中性線及びPE導体の電源システムを示す。
n=4 : TT系統,TN−C系統及びIT系統で,三相及び中性線(TN−C系統の場合はPEN導体)の電源システム
を示す。
n=3 : TN−S系統の単相で,充電相,中性線及びPE導体の電源システム,並びに接地相のないIT系統で,三
相の電源システムを示す。
n=2 : TT系統,TN−C系統及びIT系統の単相で,充電相及び中性線の電源システムを示す。
CT1,CT2 : この規格で規定するSPDの接続タイプ(IEC 60364-5-534の規定によると,CT1は,タイプA及びタ
イプBに対応し,CT2は,タイプCに対応している。)
L-PE : 充電相と接地(PE)との間
N-PE : 中性線と接地(PE)との間
L-N : 充電相と中性線との間
L-PEN : 充電相とPEN導体との間
接続タイプCT2のSPDで防護するITシステムの場合,中性線と接地(PE)との間に接続するSPDの続流遮断
定格Ifiは,充電相と中性線との間に接続するSPDのIfiと等しくする。この場合,Ifiは,SPDを設置する場所の,
充電相と中性線との間の推定短絡電流以上とする。
注a) LPLのレベルが不明の場合,最大値(雷保護レベルI)を想定する。
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
表J.2−我が国の電源システムにおけるIimpの簡易計算値
LPL LPLのレベル 導体数n 低圧電源システム TT系統
に関連する (本) CT1 CT2
最大電流 L−PE L−N N−PE
(kA) N−PE(中性線
がある場合)
Iimp(kA)
I又は 200 3(三相スター結線,中性線なし) 33.3 − −
不明a) 3(単相及び三相デルタ結線) 33.3 33.3 100
2(単相,中性線なし) 50 − −
II 150 3(三相スター結線,中性線なし) 25 − −
3(単相及び三相デルタ結線) 25 25 75
2(単相,中性線なし) 37.5 − −
III又は 100 3(三相スター結線,中性線なし) 16.7 − −
IV 3(単相及び三相デルタ結線) 16.7 16.7 50
2(単相,中性線なし) 25 − −
記号説明
LPL : 雷保護レベル
n : 電源引込線の導体数
n=3(三相スター結線,中性線なし) : 充電相(3線)で,三相3線400 Vを示す。
n=3(単相及び三相デルタ結線) : 充電相(2線)及び中性線で,三相3線100/200 V及び三相3線200 V
を示す。
n=2(単相,中性線なし) : 充電相(2線)で,単相2線200 V及び単相2線100 V(中性線なし又
は不明)を示す。
CT1,CT2 : この規格で規定する接続タイプ(IEC 60364-5-534の規定によると,CT1は,タイプA及びタイプB
に対応し,CT2は,タイプCに対応している。)
L−PE : 充電相と接地(PE)との間
N−PE : 中性線と接地(PE)との間
L−N : 充電相と中性線との間
注a) LPLのレベルが不明の場合,最大値(雷保護レベルI)を想定する。
低圧電源システムのTT系統,TN系統及びIT系統の最も一般的な配電方式を,表J.3に示す。
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- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
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