JIS C 5600:2006 電子技術基本用語 | ページ 12

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C 5600 : 2006
参考
番号 用語 定義 関連IEC 60050
対応英語
番号及び用語
数,T: 絶対温度)の程度離れたエネルギー
ギャップ中の浅いところに位置し,室温でほ
ぼ100 %イオン化してドナー又はアクセプ
タとして働くもの。
4-2-28 深い準位 deep level
不純物準位のうち,伝導帯,価電子帯のバン
ド端から室温の kBT(kB : ボルツマン定数,
T : 絶対温度)から十分離れたエネルギーギ
ャップ中の深いところに位置し,主にキャリ
ヤの捕獲又は再結合中心として働くもの。
4-2-29 (不純物)補償 (impurity)
ドナーとアクセプタとが共存するときに,ド 521-03-06
ナーが電子を供与する働きとアクセプタが compensation
正孔を供与する働きとが,部分的又は完全に
互いに相殺すること。
4-2-30 質量作用の法則 熱平衡状態で電子密度と正孔密度との積がlaw of mass
(半導体におけ 一定(n0p0=ni2,n0: 熱平衡状態の電子密度,
action (in a
る) semiconductor)
p0:熱平衡状態の正孔密度,ni : 真性密度)と
なる法則。
参考 質量作用の法則と電荷の中性条件
によって,熱平衡状態にある不純
物半導体では, n0 ni p0
(N 形半導体),又は
p0 ni n0 (P形半導体)と
なる。
4-2-31 ドーピング 半導体結晶内部にドナー又はアクセプタ不doping 521-03-05
純物を導入すること。半導体では,P形,N doping (of a
形の制御並びにそのキャリヤ密度の制御に semiconductor)
用いる。
4-2-32 真性伝導 intrinsic
半導体において,不純物,欠陥に基づくキャ 521-02-20
conduction
リヤによる伝導が無視でき,バンド間の熱励
起によって生じた真性キャリヤによる伝導
が主体の伝導。
4-2-33 不純物領域 impurity region
不純物半導体において,ドナー又はアクセプ
タが完全にイオン化していず,温度の増加と
ともにイオン化が進みキャリヤ密度が増加
する比較的低温の温度領域。
4-2-34 飽和領域 ドナー又はアクセプタがすべてイオン化しsaturation region
てキャリヤ密度の温度依存のない温度領域。
4-2-35 真性(温度)領域 intrinsic
高温において,価電子帯から伝導帯への熱励
(temperature)
起によって生成されるキャリヤ密度が,飽和
region
領域の不純物,欠陥によるキャリヤ密度を越
え,真性伝導が主体となる高温温度領域。
参考 不純物半導体においても高温では
真性伝導が主体となり,P形及び
N形の特性が失われる。
4-2-36 キャリヤの発生 generation of
熱励起,光などの外部エネルギーによる励起

――――― [JIS C 5600 pdf 56] ―――――

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でキャリヤが発生すること。 carriers
4-2-37 再結合 (電子・正 伝導帯中の1個の電子と価電子帯中の1個のrecombination 111-14-60,
孔対の) 正孔とが結合し消滅すること。 (of an 393-03-04,
備考 一般には,通常安定な粒子の分解electron-hole 881-02-76
により生じた高エネルギー状態にpair)
ある正負の粒子対が,再び結合し
て(必ずしも元の相手の必要はな
い。)安定状態に戻ることをいう。
電子と正孔とが他の不純物又は欠
陥準位を介さずに再結合すること
を直接再結合といい,他の不純物
又は欠陥準位を介して再結合する
ことを間接再結合という。
参考 再結合するときに放出されるエネ
ルギーは,光子,フォノンの発生
に使われたり,又は他のキャリヤ
の励起に使われる。
4-2-38 発生中心 generation
半導体の不純物又は欠陥中心で,バンドギャ
center
ップ中にそのエネルギー準位を作り,この準
位を介して電子及び正孔との発生を促進す
るもの。
参考 エネルギー準位がバンドギャップ
の中央付近にあるときに,キャリ
ヤ発生が最も促進される。
4-2-39 再結合中心 recombination
半導体中の不純物又は欠陥中心で,バンドギ
center
ャップ中にそのエネルギー準位を作り,この
準位を介して電子と正孔との再結合を促進
するもの。
参考 エネルギー準位がバンドギャップ
の中央付近にあるときに,再結合
が最も促進される。
4-2-40 トラップ, trap,
伝導帯の電子,又は価電子帯の正孔を捕獲す 521-02-63
捕獲中心 る不純物又は欠陥中心。 capture center
4-2-41 表面再結合 半導体の表面又は他の物質との界面に生じsurface
recombination
た表面(界面)準位を介して行う,電子と正
孔との再結合。
4-2-42 表面再結合速度 表面再結合の速さを表す物理量で,単位面surface 521-02-56
recombination
積,単位時間当たりに表面再結合で消滅する
過剰キャリヤ数をU 個/(s・m2),表面の過剰
velocity
キャリヤ密度を c(1/m3) とするとき,表面再
結合速度 s (m/s) は,s = U/c で 与えられる。
4-2-43 キャリヤの消滅 extinction of
電子と正孔との再結合,トラップへの捕獲な
どによってキャリヤが消滅すること。 carriers
4-2-44 過剰少数キャリヤ 熱平衡の少数キャリヤ密度を越える少数キexcess minority(521-02-54
密度 ャリヤ密度。 excess carrier)
carrier density

――――― [JIS C 5600 pdf 57] ―――――

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番号 用語 定義 関連IEC 60050
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4-2-45 少数キャリヤの注 minority carrier
PN 接合又は金属/半導体接合への電圧印加
入 によって,N形又は P形半導体にそれぞれ少injection
数キャリヤである正孔,又は電子が拡散注入
されること。
4-2-46 少数キャリヤの寿 半導体中に生成又は注入された過剰少数キ 521-02-57
minority carrier
命 ャリヤが多数キャリヤと再結合し消滅する lifetime bulk lifetime (of
までの平均時間。多数キャリヤ密度が一定と minority
みなせるときには,少数キャリヤの寿命は一 carriers)
定で,過剰少数キャリヤ密度が 1/e になる時
間に対応し,過剰少数キャリヤ密度の減少速
度は,過剰少数キャリヤ密度と少数キャリヤ
の寿命の逆数との積で表される。
4-2-47 捕獲断面積 電子又は正孔の捕獲確率の大きさを表す断capture
面積。 cross-section
4-2-48 フォノン散乱 フォノンとの相互作用によって生じるキャphonon
リヤの散乱。 scattering
4-2-49 不純物散乱 中性不純物又はイオン化不純物との相互作impurity
用によって生じるキャリヤの散乱。 scattering
4-2-50 合金散乱 alloy scattering
混晶半導体(合金半導体)において原子組成
比が場所によって一様でなく,クラスターな
ど局所的空間不均一分布が存在することに
よって生じる散乱。
4-2-51 キャリヤ・キャリ キャリヤ同志の相互作用によって生じる散carrier-carrier
ヤ散乱 scattering
乱。 同種キャリヤ間(電子-電子,正孔-正孔)
の散乱と 異種キャリヤ間(電子-正孔)の散
乱との両者がある。
4-2-52 発光再結合 発光を伴って行う再結合。 radiative
recombination
4-2-53 非発光再結合 発光を伴わずに行う再結合。 nonradiative
recombination

――――― [JIS C 5600 pdf 58] ―――――

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3) 誘電体(ガラスを含む)
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番号 用語 定義 関連IEC 60050
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4-3-1 誘電体 静電界を加えるとき誘電分極を生じる dielectric 121-12-10
が,直流電流を生じない物質。交流電界 (705-03-07
を加えるときは,ある特定周波数領域で, MOD)
変位電流より小さな交流電流を誘起す dielectric
る。 medium;
備考1. 正弦波の下では,等方性媒 dielectric
質では次の関係を満たすと (noun),
き誘電体である。 誘電体,
212-01-04,
r
0 705-03-07
ここに,γ : 導電率 dielectric
ε0 : 電気定数 (medium)
ω : 角周波数
εr : 比誘電率の実数部分
2. 異方性媒質では,ある特定
の方向にだけ誘電体である
場合がある。
4-3-2 強誘電体 ferroelectric
電界を加えない状態で自発的な誘電分極 121-12-23,
をもつ誘電体。誘電分極の方向はある領 [121-12-24
域の範囲内でほぼ同方向を向いており, 強誘電体の
誘電分極と電界との間にはヒステリシス ferroelectric
特性が観測される。 (adj) ]
4-3-3 反強誘電体 antiferroelectric,
結晶の中の二つの部分格子が反対方向に
antiferroelectric
自発分極を起こし,それが打ち消し合っ
て結晶全体としての自発分極がゼロになsubstance
る物質。
4-3-4 絶縁体 insulator
電気又は熱を伝えない物質。実際上は, 121-12-05
電気伝導率及び/又は熱伝導率が十分小 insulating
さい物質をいう。 medium;
insulant,
212-01-01
insulating
material
4-3-5 絶縁破壊 dielectric
絶縁体に作用する電界がある限度以上に 212-01-29
なると,ほとんど不連続的に絶縁性を失breakdown (electric)
って大電流を通すようになる現象。 breakdown,
604-03-37
breakdown
4-3-6 セラミックス ceramic
成形,焼成などの工程を経て得られる非 212-05-24
金属無機材料をいう。
4-3-7 ガラス状態 vitreous state
液体を結晶化させることなく冷却して,
その粘度が固体と同じ程度の大きさに達

――――― [JIS C 5600 pdf 59] ―――――

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番号 用語 定義 関連IEC 60050
対応英語
番号及び用語
した非晶質(無定形)状態をいう。
4-3-8 ガラス 一般にはガラス状態にある物質をいう glass 212-05-25
が,通常はけい酸塩ガラス,ほうけい酸
ガラスなどを指す。
4-3-9 結晶性ガラス crystallized glass
ガラスの粉末とアルミナ,コーデュライ
トなどの粉末とを混合した特殊な組成の
ガラスを溶融・成形した後で,よく制御
された条件の元で再加熱して元の形を変
えることなく規則正しい構造をもつ微結
晶体に作ったもの。
4-3-10 非晶質ガラス amorphous glass
ガラスのうち,結晶化ガラス以外のもの
を特に指す。
4-3-11 ガラス転移 glass transition
通常のガラスは高温では液体であるが,
温度の降下によってある温度範囲で急激
にその粘度を増し,ほとんど流動性を失
って非晶質固体となる。このような変化
をガラス転移といい,このときの温度を
ガラス転移温度という。
4-3-12 熱刺激電流 thermally activated
光又は電界によって励起又は分極された
荷電粒子が低温で凍結され,次いで,励current
起を除いた状態にして温度上昇させる過
程で熱的に凍結が解放されて生じる変位
電流。
4-3-13 熱刺激発光 845-04-30
thermally activated
光又は電界によって,励起又は分極され
た荷電粒子が低温で凍結され,次いで,luminescence,
thermolumine-scence
励起を除いた状態にして温度上昇させる
過程で,熱的に凍結が解放されて生じる
発光。
4) 磁性体
参考
番号 用語 定義 関連IEC 60050
対応英語
番号及び用語
4-4-1 磁性体 magnetic
磁界の作用で磁気モーメントを生じる,又は変 121-12-27
化する物質。 substance
4-4-2 永久磁石 permanent
残留磁化及び保磁力が大で,外部からの磁気的 151-01-38
magnet
かく乱によっても残留磁化の強さが容易に変わ
らない強磁性体。
4-4-3 磁石合金 magnetic alloy
永久磁石に使用される合金で,鋼を主体として
開発され,磁石鋼とも呼ばれる。 磁石合金の中
には,Fe,Co,W,Cr,Cを主成分としたKS
鋼,Fe,Al,C を主成分としたMT鋼,Fe,Ni,
Alを主成分としたMK鋼,Fe,Al,Ni ,Coを

――――― [JIS C 5600 pdf 60] ―――――

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