JIS C 5600:2006 電子技術基本用語 | ページ 2

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C 5600 : 2006
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番号 用語 定義 関連IEC 60050
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2-1-2 原子核 111-14-10,
[atomic] nucleus
原子の中心部であって,陽子と中性子との結合し
たものから構成され,正電荷を帯び,原子の大部 393-01-20,
分の質量を占める。ただし,水素原子核では単に 881-02-42
1個の陽子だけで構成される。
2-1-3 核種 質量数と原子番号とによって特徴付けられる原nuclide 111-14-19,
子の種類。 393-01-19,
881-02-35
2-1-4 素粒子 elementary
これ以上分割できないと考えられる究極の粒子。 111-14-02,
particle
強い相互作用をするハドロン(陽子,中性子,中 393-01-01,
間子 など),強い相互作用をしないレプトン(電 881-02-45
子,ニュートリノなど)及び相互作用を媒介する
ゲージ粒子(光子など)の 3種類に大きく分けら
れる。
2-1-5 電気素量 elementary
電子,プロトン及びポジトロンがもつ電荷の大き 111-14-08
(electric)
さで,荷電粒子のもつ電気量の最小単位。すべて elementary
charge
の電気量はこの整数倍で表せる。その大きさは, (electric)
(C)。
e = 1.602 177 3 × 10 19 charge,
393-04-06
elementary
(electric)
charge,
881-04-11
elementary
charge
2-1-6 電子 素粒子の一つで,負の電気素量-e =-1.602 177electron 111-14-11,
(C),静止質量m 0 = 9.109 389 7×
3× 10 19 10 31 (kg) 393-01-07,
(陽子の約1/1 840)をもつ。 881-02-57
2-1-7 スピン 素粒子又は素粒子で構成される量子力学系のもspin 111-14-05
つ基本的な量で,粒子の自転に基づく角運動量。
その固有値 (1/2) 解される。 た
だし, h/2π ,h :プランク定数である。
2-1-8 電子対 二つの原子に共有されたスピンの向きが互いにelectron pair
逆方向である2個の電子の対。
2-1-9 不対電子 電子対を作っていない電子。奇電子ともいう。unpaired
electron
2-1-10 電子の静止質量 rest mass of
慣性系: 静止している電子の質量で,その値は, 111-13-17
m0 =9.109 389 7×10-31 (kg)。 electron rest mass,
相対論: 一般に速さvで運動している粒子の質量 静止質量,
は, m m0 / 1 (v/c)2 で表される(m0 : 静 393-04-08
止質量, c : 光速)。
素粒子系: 静止エネルギーEをc2(c : 光速)で
除した値。
2-1-11 比電荷 specific charge
荷電粒子の電荷の大きさと質量との比。電子の比
電荷は,1.758 819×10-11 (C/kg)。

――――― [JIS C 5600 pdf 6] ―――――

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2-1-12 電子ボルト electronvolt
真空中で 1 (V) の 電位差を通過するときに電子 393-04-21,
が得る運動エネルギーに等しいエネルギーの単 881-04-12
位。
2-1-13 質量数 原子の原子核を構成する核子の数。 mass number 111-14-17,
393-04-01,
881-02-49
2-1-14 陽子 正電荷1.602 177 3×10-19(C)と静止質量 1.672 623
proton 111-14-13,
1× 10-27 (kg) をもつ安定な素粒子をいい,水素原 393-01-10,
子の原子核を構成する。 881-02-51
2-1-15 トリトン 三重水素の原子核3H 。 三重陽子ともいい,1個
triton 393-01-30,
の陽子と 2個の中性子とが結合したもの。 881-02-64
2-1-16 中性子 電荷はもたず,静止質量 1.674 928 6×10-27 (kg) を
neutron 111-14-15,
もつ素粒子。 ベータ崩壊の平均寿命は,約 1 000 393-01-11,
(s)。 881-02-52
2-1-17 陽電子 正の素電荷,電子と同一の静止質量をもつ素粒positron 111-14-12,
子。 393-01-08,
881-02-58
2-1-18 重陽子 重水素の原子核で,質量数2 の水素の同位体。deuteron 393-01-29,
881-02-63
2-1-19 核子 原子核を構成する陽子又は中性子の総称。 nucleon 111-14-16,
備考 陽子と中性子とは,ともにスピン1/2 393-01-12,
でほぼ等しい静止質量をもち,弱い相 881-02-48
互作用によって相互に変態する。
2-1-20 中間子 寿命の短い強い相互作用をする種々のボーズ粒meson 393-01-14
子の総称をいい,高エネルギー核反応で生成され meson,
る。 荷電しているものとしていないものとがあ 393-01-15
り,静止質量は,電子と陽子との間にあり,高エ P meson;
ネルギー核反応で生成される。 pion,
備考 一般には,スピン0 の粒子に限定され 393-01-16
る。 π−,K−,η−,ρ−,ω−,φ− K meson; kaon,
中間子などがある。 881-02-68
π(p) eson;
pion
2-1-21 μ粒子 e の電荷,電子の質量の約207 倍の質量,1/2 muon 393-01-13,
のスピン,2.2 μsの平均寿命をもつ素粒子。 881-02-67
2-1-22 ニュートリノ neutrino
電荷をもたず,1/2 のスピン,静止質量がゼロ又 393-01-09,
は電子の静止質量の1/1 000 以下の弱い相互作用 881-02-69
しかしない安定な素粒子。
12Cの12(g) 中に含まれる原子の数と同数のその
2-1-23 原子量 atomic mass 881-04-06
unit,
原子の集団の質量を,グラム単位で示した数値。
atomic weight
2-1-24 分子量 質量数12 の炭素の同位体12Cの12(g) 中に含まmolecular
れる原子の数と同数の分子の集団の質量とをグ weight
ラム単位で示した数値。

――――― [JIS C 5600 pdf 7] ―――――

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2-1-25 グラム原子 gram atom
元素の量を表す単位。質量をグラム単位で表した
数値が,その元素の原子量に等しくなる量。1グ
ラム原子は,原子の1モルに相当する。
2-1-26 グラム分子 gram molecule
化学物質の量を表す単位。質量をグラム単位で表
した数値が,その化学物質の分子量に等しくなる
量。1グラム分子は,分子の 1モルに相当する。
2-1-27 原子番号 原子核のもつ陽子の個数。 atomic number 111-14-18,
393-04-02,
881-02-50
2-1-28 同位体 isotope
原子番号は同じであるが,異なる質量数をもつ核 111-14-20,
種。 393-01-21,
881-02-37
2-1-29 同重体 質量数が等しく,原子番号の異なる核種。 isobar 393-01-22,
881-02-41
2-1-30 電子殻 electron shell
原子を一体近似で扱う場合,主量子数n,副量子
数lがともに等しい軌道関数をもつ電子の集ま
り。nが同じでlの異なる準位が接近している場
合には,それらをひとまとめにして電子殻という
こともある。
2-1-31 外殻電子 outer-shell
エネルギー準位の高い,原子の外側の電子殻にあ
る電子。 electron
2-1-32 内殻電子 外殻電子以外の電子殻にある電子。 inner-shell
electron
2-1-33 価電子 原子構造の電子配置において外部の電子殻を占 111-14-24
valence electron
める電子をいい,通常,最外殻のs電子とp電子
とを指す。
2-1-34 束縛電子 bound electron
原子,分子などに束縛されて,電界の下で自由に 111-14-23
移動できない電子。
2-1-35 自由電子 原子に束縛されずに,原子核の引力から抜け出free electron 111-14-22
し,物質内又は真空中を動くことのできる電子。
2-1-36 電子ガス 金属内の自由電子を気体とみなす場合の呼称。electron gas 111-14-28
2-1-37 電子密度 electron
単位体積中の電子数,又は電子の波動関数で表さ 705-06-05
れる確率密度。 density,
electron
concentration
2-1-38 電子温度 electron
電子の運動エネルギーを,kT(k: ボルツマン定
数)に等しいとおいたときの温度 T。 temperature
2-1-39 電子軌道 electron orbit
原子又は分子の電子がそのエネルギー,角運動量
に応じて描く軌道。
2-1-40 ボーア半径 ボーアとゾンマーフェルトの考えに基づくボーBohr radius
ア原子モデルによる水素原子の基底状態の電子
が描く円軌道の半径。大きさは 0.052 8 (nm)。

――――― [JIS C 5600 pdf 8] ―――――

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2-1-41 励起 excitation
原子,原子核,分子,電子,イオンなどの粒子又 393-03-33,
はそれらで構成される固体,液体,気体に外部か 845-04-17,
らエネルギーを与えてエネルギーの低い状態か 881-02-71
ら高い状態へ遷移させること。
2-1-42 内殻励起 原子の内殻にある電子をエネルギーの高い状態inner-shell
に励起すること。 excitation
2-1-43 特性X線 characteristic
原子の内殻の電子が,外部から十分大きなエネル 393-02-16,
radiation
ギーを得て外部に飛び出し,そのときできたホー 881-02-21
ルに外側の軌道の電子が遷移するときに放出さ
れる,その軌道エネルギーの差に相当するエネル
ギーの電磁波(X線)。軌道電子のエネルギーが
元素によって固有なので,特性X線は元素に固有
である。
2-1-44 連続X線 連続的なエネルギースペクトルをもつX 線。 continuous X 393-02-17
備考 特性X線を除く。 radiation
2-1-45 オージェ効果 励起状態の電子が他の電子にエネルギーを与えAuger effect 393-03-40,
ることによってエネルギーの低い状態に緩和す 881-03-43
ること。 エネルギーを与えられ励起された電子
を“オージェ電子”(Auger electron) という。(一
般に,原子の場合は,励起され原子の外に飛び出
した原子をオージェ電子といい,半導体では,伝
導帯や不純物準位にある電子が励起されホット
になった電子をオージェ電子という。)。
2-1-46 基底状態 ground state
ある量子力学系の定常状態のうち,最低のエネル 111-14-29
ギー状態。
2-1-47 励起状態 基底状態より高いエネルギー量子状態。 excited state 111-14-30
2-1-48 閉殻 パウリの原理で許される最大個数の電子を収容closed shell
した電子殻。
2-1-49 原子価 ある元素の原子1個が結合する水素原子の数。 valence
水素原子と結合しない場合は,他の元素を媒介と
して求められる相応の数。
2-1-50 荷電粒子 電荷を帯びている粒子。 charged particle
例 イオン,陽子,中間子,電子,正孔。
2-1-51 イオン 電荷をもっている原子,原子団又は分子。 ion 111-14-26,
393-01-34,
705-06-01,
881-02-70
2-1-52 イオン化 ionization
中性の原子,原子団及び分子が電子を失い陽イオ 111-14-27
ンになること,又は電子を与えられて陰イオンと 電離;
なること。陽イオンになるために必要なエネルギ イオン化,
ーをイオン化エネルギー,陰イオンになるときに 393-03-01
放出されるエネルギーを,電子親和力という。 ま (111-14-27)
た,イオン化前の中性原子数に対するイオン化し 電離,
たイオン数の割合をイオン化率という。 705-06-02
電離

――――― [JIS C 5600 pdf 9] ―――――

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2-1-53 散乱(粒子の) ある粒子が同種又は異種の粒子と衝突してその (of a
scattering 393-03-07,
運動方向が変化する現象。 ただし,衝突の前後particle) 881-03-14
で粒子の種類又は数が変化しない場合をいう。
2-1-54 衝突 二つの粒子が互いに近距離力の範囲に接近又はcollision 393-03-41,
接触し,極めて短時間で,互いに相互作用し,運 881-03-51
動量又はエネルギー条件を変化させる現象。
2-1-55 散乱確率 粒子が単位時間に散乱中心に散乱される頻度。scattering rate
2-1-56 衝突確率 粒子が単位時間に衝突中心に衝突する頻度。 collision rate
2-1-57 断面積 cross-section
入射粒子又は波とターゲットとの間の衝突,散乱 111-14-55
などのある特定の相互作用の確率を表す指標で, cross-section
ターゲット当たりの相互作用確率を入射粒子又 (of interaction)
は波の流束密度で除した商。 相互作用の確率P (相互作用の)
は,ターゲットの密度Nと流束の速度vとの積に 断面積,
比例する。その比例係数をSとすると [P=S(Nv) ], 393-04-42,
S は面積の次元をもちこれを相互作用の断面積 881-04-03
と定義する。このように定義した断面積Sは,タ
ーゲットの面積Sの範囲に飛び込んできた粒子が
ターゲットと相互作用するとした考えと一致す
る。
2-1-58 弾性散乱 393-03-10,
elastic scattering
散乱の前後で,系全体の運動エネルギーと粒子の
内部エネルギーとの両者が保存される散乱。 881-03-17
2-1-59 弾性衝突 393-03-42,
elastic collision
衝突の前後で,系全体の運動エネルギーと粒子の
内部エネルギーとの両者が保存される衝突。 881-03-52
2-1-60 非弾性散乱 散乱の前後で,系全体の運動エネルギーが失わinelastic 393-03-11,
scattering
れ,そのエネルギーが粒子の内部エネルギーの増 881-03-18
加となる散乱。
2-1-61 非弾性衝突 inelastic
衝突の前後で系全体の運動エネルギーが失われ, 393-03-43,
そのエネルギーが粒子の内部エネルギーの増加 collision 881-03-53
となる衝突。
2-1-62 伝導電流 外部電界の印加によって荷電粒子が移動するこconduction 212-01-17,
とによって生じる電流。 current 521-02-15
2-1-63 ドリフト(粒子 drift (of a
多数の粒子が存在する拡散系で,ランダムな熱運
の) 動をする粒子の位置平均が外部電界を受けて移 particle)
動する現象。
2-1-64 ドリフト速度 外部電界によって荷電粒子がドリフトによってdrift velocity
移動する速度。

――――― [JIS C 5600 pdf 10] ―――――

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  • IEC 60050(MOD)

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