JIS C 60364-4-44:2022 低圧電気設備―第4-44部:安全保護―妨害電圧及び電磁妨害に対する保護 | ページ 2

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442.1.2 記号
箇条442では,次の記号を使用する(図44.A1参照)。
IE : 変電所の接地設備を通して流れる高圧系統の地絡故障電流
RE : 変電所の高圧機器用接地設備の抵抗値
RA : 低圧設備機器の露出導電性部分へ接続する接地設備の抵抗値
RB : 変電所の接地設備と低圧系統中性点の接地設備とが電気的に独立している低圧系統に対して,低圧
系統の中性点へ接続する接地設備の抵抗値
Uo : TN及びTT系統では交流公称対地電圧の実効値,IT系統では線導体と中性線又は適用によっては
中間線との間の交流公称電圧
Uf : 故障の継続時間中に低圧系統内の露出導電性部分と大地との間に発生する商用周波故障電圧
U1 : 故障の継続時間中に変電所の低圧側の線導体と高圧側の露出導電性部分との間に発生する商用周波
ストレス電圧
U2 : 故障の継続時間中に低圧設備の線導体と低圧機器の露出導電性部分との間に発生する商用周波スト
レス電圧
注記1 商用周波ストレス電圧(U1及びU2)は,低圧機器の絶縁部分にまたがって生じる電圧,及び低
圧系統に接続しているサージ防護デバイス(SPD)にまたがって生じる電圧である。
次の追加記号は,低圧設備用機器の露出導電性部分を,変電所の接地設備から電気的に分離している接
地設備に接続しているIT系統について使用する。
Ih : 高圧系統の故障及び低圧設備内の第1故障の時間中に低圧設備用機器の露出導電性部分に接続する
接地設備を介して流れる故障電流(表44.A1参照)
Id : JIS C 60364-4-41の411.6.2に従って,低圧設備内の第1故障の時間中に低圧設備の露出導電性部分
に接続する接地設備を介して流れる故障電流(表44.A1参照)
Z : 低圧系統と接地設備との間のインピーダンス(例えば,絶縁監視装置の内部インピーダンス,人意的
中性点のインピーダンス)
注記2 二つ以上の接地設備において,一つの接地設備内の地絡事故によって発生する電位上昇が他の
接地設備に容認できないほどの電位上昇を引き起こさない場合,その接地設備は電気的に独立
していると考えられる(IEC 61936-1参照)。

442.2 高圧系統の地絡故障時間中の低圧系統の過電圧

442.2.0 一般事項
変電所の高圧側の地絡の場合,次の種類の過電圧が低圧設備に影響する可能性がある。
− 商用周波故障電圧(Uf)
− 商用周波ストレス電圧(U1及びU2)

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表44.A1に,各接地系統における異なる種類の過電圧の算出方法を示す。
注記1 表44.A1は,中性点があるIT系統だけを扱う。中性点がないIT系統に関しては,結線とし
て計算式を調整する。
変電所 U1 低圧設備 U2
高圧 低圧 L1
L2
L3
又は N 又はPEN
Z
IE RE RB RA Uf
図44.A1−変電所及び低圧設備内の接地工事に関する代表的な概略図並びに地絡故障の場合の発生過電圧
高圧系統の接地設備と低圧系統の接地設備とが互いに近接している場合,次の二つの実施方法を現在用
いている。
− 全ての高圧系統接地設備(RE)と低圧系統接地設備(RB)との相互接続
− 低圧系統接地設備(RB)と高圧系統接地設備(RE)との分離
一般的に用いる方法は,相互接続である。高圧系統接地設備によって低圧系統接地設備を保護している
区域内の場合,高圧系統接地設備と低圧系統接地設備とは,相互接続しなければならない(IEC 61936-1参
照)。
注記2 異なる種類の接地系統(TN,TT及びIT)は,JIS C 60364-1に規定されている。

――――― [JIS C 60364 pdf 7] ―――――

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表44.A1−低圧系統内の商用周波ストレス電圧及び商用周波故障電圧
接地系統 接地接続の種類 U1 U2 Uf
の種類
TT REとRBとを接続 Uoa) RE×IE+Uo 0a)
REとRBとを分離 RE×IE+Uo Uoa) 0a)
TN REとRBとを接続 Uoa) Uoa) RE×IEb)
REとRBとを分離 RE×IE+Uo Uoa) 0a)
IT REとZとを接続 Uoa) RE×IE+Uo 0a)
REとRAとを分離 Uo×3 RE×IE+Uo×3 RA×Ih
REとZとを接続 Uoa) Uoa) RA×IE
REとRAとを相互接続 Uo×3 Uo×3 RA×IE
REとZとを分離 RE×IE+Uo Uoa) 0a)
REとRAとを分離 RE×IE+Uo×3 Uo×3 RA×Id
設備内に地絡故障がある場合。
注a) 検討の必要なし。
注b) 442.2.1の第2段落及び第3段落参照。
注記3 U1及びU2に関する要求事項は,一時的商用周波過電圧に関する低圧機器の絶縁に対する設計
基準から導き出した(表44.A2も参照)。
注記4 中性線を変電所の接地設備に接続している系統では,このような一時的商用周波過電圧が,機
器が建築物の外にある場合の接地したエンクロージャ内に収納していない絶縁に加わることも
あり得る。
注記5 表中のTT系統及びTN系統において,表記の“接続”及び “分離”は,REとRBとの間の電気
的接続を指す。IT系統に関しては,REとZとの間の接続及びREとRAとの間の電気的接続を指
す。
442.2.1 商用周波故障電圧の大きさ及び継続時間
露出導電性部分と大地との間の低圧設備内に発生する故障電圧Uf(表44.A1で計算した値)の大きさ及
び継続時間は,故障の継続時間中に関して,図44.A2の曲線から求められるUfの値を超えてはならない。
一般に,低圧系統のPEN導体は,複数箇所で大地へ接続している。この場合,総合抵抗値は,減少する。
これらの多重接地PEN導体に関して,Ufは次の式によって計算する。
Uf=0.5RE×IE

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故障電圧継続時間
図44.A2−高圧系統の地絡故障による許容故障電圧
注記 図44.A2に示す曲線は,IEC 61936-1から引用している。確率的及び統計的な根拠を基に,この曲
線は,低圧系統の中性線を変電所の接地設備にだけ接続している単純で最悪の場合に対する危険
性の下限レベルを示している。その他の場合に関する指針は,IEC 61936-1に規定されている。
442.2.2 商用周波ストレス電圧の大きさ及び継続時間
高圧系統中の地絡故障による低圧設備内にある低圧機器の表44.A1で求めた商用周波ストレス電圧(U1
及びU2)の大きさ及び継続時間は,表44.A2に示す要求事項を超えてはならない。
表44.A2−許容商用周波ストレス電圧
高圧系統中の地絡故障の継続時間 低圧設備内の機器における許容商用周波ストレス電圧
t U
>5 s Uo+250 V
≦5 s Uo+1 200 V
中性線のない系統においては,Uoは,線間電圧とする。
注記1 表の1行目は,長い遮断時間の高圧系統についてである。例えば,中性点非接地及び
共振接地の高圧系統。表の2行目は,短い遮断時間の高圧系統についてである。例え
ば,低インピーダンス接地の高圧系統。両者は,ともに一時的商用周波過電圧に関す
る低圧機器の絶縁のための設計基準に関連している(JIS C 60664-1参照)。
注記2 中性線を変電所の接地設備に接続している系統では,機器が建築物の外にあり,接地
したエンクロージャ内に収納していない場合は,このような一時的商用周波過電圧
が絶縁に加わることが予期される。

――――― [JIS C 60364 pdf 9] ―――――

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442.2.3 制限電圧の算出に関する要求事項
表44.A1による場合,許容商用周波ストレス電圧は,表44.A2の値を超えてはならない。
表44.A1による場合,許容商用周波故障電圧は,表44.A2の値を超えてはならない。
配電系統から低圧で電力供給を受けている設備は,442.2.1及び442.2.2に適合しているとみなす。
上記要求事項を満足するために,高圧系統の管理者と低圧系統の施工者との間の調整が必要である。上
記要求事項への適合は主として,変電所の施工者,所有者又は管理者の責任となる。また,IEC 61936-1の
要求事項への適合も変電所の施工者,所有者又は管理者の責任となるため,U1,U2及びUfの計算は,一般
的に低圧設備の施工者には必要ない。
上記要求事項を満足するための手段は,例えば,次のとおりである。
− 高圧系統と低圧系統との間の接地設備の分離
− 低圧系統接地の変更
− 接地抵抗REの低減

442.3 TN系統及びTT系統における中性線の欠落の場合の商用周波ストレス電圧

  多相系統の中性線が遮断した場合,線導体と中性線との間の電圧を定格とする構成部品と同様に,基礎
絶縁,二重絶縁及び強化絶縁に対しても,線間電圧が一時的に加わり得るということを考慮しなければな
らない。これらの商用周波ストレス電圧は,U=3Uoにまで達することがある。

442.4 中性線があるIT系統内に地絡故障が発生した場合の商用周波ストレス電圧

  IT系統の線導体が偶然に接地した場合,線導体と中性線との間の電圧を定格電圧とする絶縁又は構成部
品は,線間電圧が一時的に加わり得るということを考慮しなければならない。これらの商用周波ストレス
電圧は,U=3Uoにまで達することがある。

442.5 線導体と中性線との間に短絡故障が発生した場合の商用周波ストレス電圧

  線導体と中性線との間の低圧設備内に短絡が発生した場合,他の線導体と中性線との間の電圧は,最長
5秒間に1.45×Uoの値に達し得るという事実を考慮しなければならない。

443 大気現象又は開閉による過渡過電圧に対する保護

443.1 一般事項

  箇条443は,電源系統への直撃雷を含む配電系統によって伝ぱ(播)する大気現象による過渡過電圧及
び開閉過電圧に対する電気設備の保護に関する要求事項を規定する。箇条443は,建築物への直撃雷又は
近傍雷による過渡過電圧に対する保護に関する要求事項については規定していない。
注記1 建築物への直撃雷又は近傍雷による過渡過電圧保護に関するリスクマネジメントに関しては,
IEC 62305-2を参照。

――――― [JIS C 60364 pdf 10] ―――――

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JIS C 60364-4-44:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60364-4-44:2007(MOD)
  • IEC 60364-4-44:2007/AMENDMENT 1:2015(MOD)
  • IEC 60364-4-44:2007/AMENDMENT 2:2018(MOD)

JIS C 60364-4-44:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 60364-4-44:2022の関連規格と引用規格一覧