JIS C 60364-4-44:2022 低圧電気設備―第4-44部:安全保護―妨害電圧及び電磁妨害に対する保護 | ページ 4

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表443.2−機器に必要な定格インパルス電圧
設備の 公称電圧に対 機器に必要な定格インパルス電圧c)
公称電圧a) 応した線導体 kV
と中性線との 過電圧カテゴリIV 過電圧カテゴリIII過電圧カテゴリII 過電圧カテゴリI
間の交流又は (非常に高い定格 (高い定格インパ (標準的な定格イ (低減された定格
直流電圧の インパルス電圧の ルス電圧の機器) ンパルス電圧の機 インパルス電圧の
最大値 機器) 器) 機器)
例 : 例 : 例 : 例 :
電力量計,遠隔制 分電盤,スイッ 家庭用電化製品, 敏感な電子機器
V V 御システム チ,コンセント 電動工具
120/208 150 4 2.5 1.5 0.8
100e)
100200(単
相)e)
230/400b) d) 300 6 4 2.5 1.5
277/480b)
200(三相)e)
400/690 600 8 6 4 2.5
1 000 1 000 12 8 6 4
1 500 d.c 1 500 d.c − − 8 6
注a) IEC 60038:2009による。
注b) サムカントリーノートに関する規定は,JISでは不要のため,不採用とした。
注c) この定格インパルス電圧は,充電用導体とPEとの間に適用する。
注d) 220 V240 Vで運転するIT系統においては,230/400の行を1線地絡故障での対地電圧のために使用しな
ければならない。
注e) 我が国の公称電圧をJIS C 60664-1に従って追加した。

444 電磁的影響に対する手段

444.1 一般事項

  この箇条は,電磁妨害の低減のための基礎的推奨事項について規定する。電磁妨害は,電子部品又は電
子回路がある機器だけでなく,情報システム又は情報機器に障害又は損傷を引き起こす可能性がある。雷,
開閉操作,短絡及びその他の電磁現象による電流は,過電圧及び電磁障害を引き起こす可能性がある。
これらの影響は,次の場合に最も深刻である。
− 大規模金属ループが存在する場合
− 異なる電気配線系統を,共通のルートに施設している場合,例えば,一つの建築物内に電力供給用及
び情報技術機器の信号用の両方の配線系統がある場合
誘導電圧の値は,障害電流の電流変化率(di/dt)及びループの大きさに依存する。
大きな電流変化率(di/dt)の大電流(例えば,エレベータの起動電流又は整流器によって制御する電流)
を流す電力ケーブルは,情報技術システムの電線に過電圧を誘起することがあり,その過電圧は,情報技
術機器又は類似の電気機器に影響又は損傷を与える可能性がある。
医用室内又はその近傍において,電気設備に伴う電界又は磁界は,医用電気機器に障害を与える可能性
がある。

――――― [JIS C 60364 pdf 16] ―――――

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この箇条は,建築物の建築家並びに建築電気設備の設計者及び施工者に,電磁的影響を制限する施工の
概念に関する情報を提供する。ここでは,電磁妨害につながるような影響を低減するために,基本的な検
討項目を示す。

444.2 (空白)

  この箇条は,将来のために設けてある。

444.3 用語及び定義

  基本的定義については,JIS C 60364-1参照。この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
444.3.1
ボンディングネットワーク,BN(bonding network)
直流(DC)から低いラジオ周波数(RF)に至る周波数において,電子システムのための“電磁遮蔽”
を行う相互に結合した導電性構造物の集合体
(出典 : ETS 300 253:1995)
注釈1 用語“電磁遮蔽”は,電磁エネルギーの通過を拡散,遮断又は阻止する構造物を意味する。一
般に,BNを大地に接続する必要はないが,この規格ではBNは大地に接続することとする。
444.3.2
ボンディングリング導体,BRC(bonding ring conductor)
閉鎖リング状の接地母線導体
(出典 : EN 50310:2000の3.1.3)
注釈1 通常は,ボンディングネットワークの一部としてのボンディングリング導体は,その性能を改
善するためにCBNに多点接続する。
444.3.3
共通等電位ボンディングシステム(common equipotential bonding system)
共通ボンディングネットワーク,CBN(common bonding network)
保護等電位ボンディング及び機能的等電位ボンディングの両方の機能がある等電位ボンディングシステ

(出典 : IEV 195-02-25)
444.3.4
等電位ボンディング(equipotential bonding)
等電位性の確立を目的とし,導電性部分間を電気的に接続する手段
(出典 : IEV 195-01-10)
444.3.5
接地極ネットワーク(earth-electrode network),[ground-electrode network (US)]
複数の接地極及びそれらの相互接続だけからなる接地設備の部分
(出典 : IEV 195-02-21)
444.3.6
メッシュ状ボンディングネットワーク,MESH-BN(meshed bonding network)

――――― [JIS C 60364 pdf 17] ―――――

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全ての関連する機器のフレーム,ラック及びキャビネット並びに通常直流の電力帰線導体を一緒に接続
するとともに,多くの点でCBNに接続し,かつ,メッシュの形態をもつボンディングネットワーク
(出典 : ETS 300 253:1995の3.2.2)
注釈1 MESH-BNはCBNを拡大したものである。
444.3.7
バイパス等電位ボンディング導体/並列接地導体,PEC(by-pass equipotential bonding conductor/parallel
earthing conductor)
遮蔽層を流れる電流を制限する目的で,信号用電線及び/又はデータ用電線の遮蔽層と並列に接続した
接地導体
444.4 電磁障害[EMI(Electromagnetic Interference)]の低減
電気機器への電気的及び磁気的影響を低減するために,電気設備の設計者及び施工者は,444.4.1
444.4.12に規定する手段について考慮しなければならない。
適切なEMC規格の要求事項(JIS C 61000規格群)又は関連製品規格のEMC要求事項を満足する電気
機器だけを使用することが望ましい。
444.4.1 EMIの発生源
電磁的影響に対して敏感な電気機器を,次のような電磁エミッションの潜在的発生源に接近して設置し
ないことが望ましい。
− 誘導性負荷の開閉装置
− 電動機
− 蛍光灯照明
− 溶接機
− コンピュータ
− 整流器
− チョッパ
− 周波数変換器又はレギュレータ
− エレベータ
− 変圧器
− 配電盤
− 配電用母線
444.4.2 EMIを低減するための手段
次の手段が電磁障害を低減する。
a) 電磁的影響に敏感な電気機器に対しては,伝導される電磁現象との電磁両立性を改善するために,SPD
及び/又はフィルタを用いることを推奨する。
注記1 フィルタの設置によって,高周波の漏れ電流が増大するおそれがある。
b) ケーブルの金属製被覆は,CBNに接続することが望ましい。

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c) 電力用,信号用及びデータ回路用配線の共通ルートの選定する場合は,誘導性ループを避けることが
望ましい。
d) 電力用電線及び信号用電線は,分離して配置し,実施可能な場所では相互に直角に交差させることが
望ましい(444.6.3参照)。
e) 保護導体への誘導電流を低減するために同軸ケーブルの使用。
f) 周波数制御電動機運転の変換装置と電動機との間の電気的接続のための平衡形多心ケーブル(例えば,
分離した保護導体を含む遮蔽層付き電線)の使用。
g) 製造業者の説明書のEMC要求事項に従った信号用電線及びデータ用電線の使用。
h) 雷保護システムを設置する場合は,次による。
− 電力用電線及び信号用電線は,最小離隔距離によるか又は遮蔽層の使用によって,雷保護システム
(LPS)の引下げ導体から分離しなければならない。最小離隔距離は,JIS Z 9290-3に従ってLPSの
設計者が決めなければならない。
− 電力用電線及び信号用電線の金属製被覆又はシールドは,JIS Z 9290-3及びJIS Z 9290-4に規定す
る雷保護の要求事項に従ってボンディングすることが望ましい。
i) 遮蔽層付信号用電線又はデータ用電線を用いる場合は,接地した信号用電線又はデータ用電線の遮蔽
層及び心線を経由して流れる電力系統からの故障電流を制限するように注意することが望ましい。例
えば,遮蔽層を強化するためのバイパス等電位ボンディング導体のような追加導体を必要とする場合
がある(図44.R1参照)。
I故障電流
遮蔽層強化のためのバイパス導体
図44.R1−共通等電位ボンディングシステムをもたらす遮蔽層強化のためのバイパス導体
注記2 信号用電線又はデータ用電線の被覆に近接するバイパス導体の使用は,遮蔽層強化のため
だけでなく,保護導体で大地に接続している機器に関連するループ面積も低減する。この
方法は,雷電磁インパルス(LEMP)のEMIの影響を大幅に低減する。
j) 遮蔽した信号用電線又はデータ用電線が,TT系統から電力供給する複数の建築物に共通である場合
は,バイパス等電位ボンディング導体を用いることが望ましい(図44.R2参照)。バイパス導体は,銅
で16 mm2又は同等の最小断面積のものでなければならない。同等の断面積は,IEC 60364-5-54の544.1
に従った寸法でなければならない。

――――― [JIS C 60364 pdf 19] ―――――

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L1
L2
L3
N
建築物1 建築物2 建築物3
代替又はバイパス等電位
ボンディング導体
遮蔽した信号線
図44.R2−TT系統における代替又はバイパス等電位ボンディング導体の例
注記3 接地したシールド線を信号帰線として用いる場合は,二重同軸ケーブルを用いる。
注記4 該当する規定がなくなったため,不採用とした。
注記5 大規模公共通信網における対地電位差の問題は,他の手段を採用することができる通信網
管理者の責任である。
注記6 サムカントリーノートに関する記載は,JISでは不要のため,不採用とした。
k) 等電位ボンディングの接続は,次のような方法によって,できる限り低いインピーダンスにすること
が望ましい。
− できるだけ短くする。
− 径路の1 m当たりの誘導性リアクタンス及びインピーダンスが低くなるような断面の形状を用いる。
例えば,幅に対する厚さの比率が5対1となるボンディング用編組線。
l) 接地母線が,建築物内における相当数の情報技術設備の等電位ボンディングシステムの支援を目的と
する場合(444.5.7による)には,閉鎖リングとして施設してもよい。
注記7 通信産業の建築物には,この手段が多く適用されている。
444.4.3 TN系統
電磁的影響を最小にするために,次の444.4.3.1444.4.3.4を適用する。
444.4.3.1 相当数の情報技術機器があるか又は施設する可能性のある既存の建築物にはTN-C系統を継続
させないことが望ましい。
TN-C系統は,相当数の情報技術機器があるか又は施設する可能性のある新築建築物には使用してはな
らない。
注記 全てのTN-Cの設備は,負荷電流又は故障電流が等電位ボンディングを通して建築物の中の金属
性施設及び構造体に流れやすい。
444.4.3.2 公共の低圧配電網から電力供給し,かつ,相当数の情報技術機器があるか又は施設する可能性
のある既存の建築物においては,設備の源点の負荷側にはTN-S系統を施設することが望ましい(図44.R3A
参照)。

――――― [JIS C 60364 pdf 20] ―――――

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JIS C 60364-4-44:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60364-4-44:2007(MOD)
  • IEC 60364-4-44:2007/AMENDMENT 1:2015(MOD)
  • IEC 60364-4-44:2007/AMENDMENT 2:2018(MOD)

JIS C 60364-4-44:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 60364-4-44:2022の関連規格と引用規格一覧