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C 61000-4-6 : 2017 (IEC 61000-4-6 : 2013)
図I.1−ポート間注入のセットアップ例
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C 61000-4-6 : 2017 (IEC 61000-4-6 : 2013)
附属書J
(参考)
増幅器の圧縮及びノンリニアリティ
J.1 増幅器のひずみを制限する目的
増幅器のノンリニアリティは,EUTに加わる妨害信号の不確かさの要因となり得る。この附属書の目的
は,増幅器のノンリニアリティを低く保ち,不確かさに影響を与えないようにすることである。この附属
書は,増幅器のひずみを理解及び制限するための試験所に向けた指針である。
J.2 高調波及び飽和が原因として考えられる問題点
増幅器を飽和状態で用いる場合,次のような結果を生じることがある。
a) 電力計は基本波及び高調波の両方の総電力を測定するため,試験レベルの校正時の測定値に高調波が
大きく影響することがある。例えば,EMクランプ入力端子で第2次及び第3次高調波が基本周波数
よりも15 dB低いと仮定すると,それ以外の高調波は無視できる。さらに,実質的なEMクランプ係
数が,基本周波数のときに比べて,第3次高調波の周波数のときに5 dB低いと仮定する。基本周波数
の電圧レベルは,第3次高調波のレベルよりも10 dB高いだけである。10 Vの全振幅が測定した場合,
基本周波数の影響は9.5 Vだけの可能性がある。EMクランプ校正の不確かさよりも小さい場合,これ
は許容できる誤差である。スペクトラムアナライザのような周波数選択式装置はこの測定誤差はない。
b) UTが意図する基本周波数に対しては影響を受けないが,高調波周波数に対しては強い影響を受ける
場合,高調波がEUTの誤動作の原因となることがある。誤動作は不正確に記録され,不正確な誤動作
対策につながる可能性がある。
c) 特別な状態で高調波が非常によく抑えられている場合でも,高調波が測定結果に影響を及ぼすことが
ある。例えば60 MHzの受信機を試験する場合,20 MHzの信号の高調波が十分微弱に抑えられていて
も,受信機の入力で過負荷になるときがある。似たような現象は,信号発生器が高調波に無関係な信
号(スプリアス)を出力している場合にも起こることがある。特殊なLPF又はノッチフィルタは,感
度の高いEUTの保護に用いることができる。
d) 測定可能な高調波がない場合でも飽和が内在することがある。これは,増幅器が高調波を抑えるLPF
を備えている場合,及び/又は内部回路及び複合技術で帯域端部の高調波を抑えるように働いている
場合に発生する。このような場合にも,次に示す例のように誤った結果を導くことがある。
1) 6.4.2に規定するアルゴリズムでは電力増幅器がリニアリティをもつことを前提としているため,こ
れが校正中に生じた場合,誤った校正データとなる。
2) 試験時のこの種の飽和は,不正確な変調指数及び変調周波数(通常1 kHz)となる。
上記の事例から分かるように,ひずみの影響は,試験するEUTの種類に大きく依存するため,電力増幅
器のひずみに対して,数値的な制限が与えられないことは明らかである。
J.3 妨害信号の高調波成分の制限
妨害信号の高調波成分は,電力増幅器の出力端子において,調整可能形,トラッキング形又は同調形LPF
を用いて制限できる。
電力増幅器の出力端子に生じた高調波は,J.2 c) において論じられた状況を除き,全ての周波数に対す
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る妨害信号の基本波と高調波との差は15 dB以上あれば十分である。
これによって,妨害電圧レベル誤差は2 %に制限される。例えば,広帯域で測定した10 V信号は,基本
波9.8 V及び高調波1.75 Vから生じる結果である。これは,校正の不確かさとして許容してもよい。
出力端子に固定LPFをもつ電力増幅器では,基本波周波数の上限は,電力増幅器の仕様上の最大周波数
の約1/3となる。
飽和した電力増幅器の高調波をLPFで抑制している場合,どのような状況(例えば,特性が最も悪い周
波数,変調を含んだ最大妨害電圧レベル)でも電力増幅器の2 dB圧縮点を超えないことが望ましい。2 dB
圧縮点で,最大電圧振幅は20 %減少する。これは,80 %変調指数が64 %に低くなること,言い換えると,
EUT内で検波される電圧の20 %低減となる。
J.4 イミュニティ試験へのリニアリティの影響
J.4.1 一般
イミュニティ試験の結果に影響を及ぼす問題は,電力増幅器のリニアリティ特性,高調波及び飽和であ
る。
6.4.2に規定するCDN及び/又はクランプのレベル設定手順は,用いる電力増幅器が入力信号に比例し
た出力を発生すると仮定している。
電力増幅器のリニアリティは,用いる電力増幅器が校正電圧レベル及びより低い計算されたレベルにお
いて,正しい妨害電圧レベルを生成することを保証するために検証することが望ましい。
電力増幅器のリニアリティは,振幅変調の変調度にも影響を与えるため,振幅変調度も検証することが
望ましい。
J.4.2 電力増幅器のリニアリティ特性評価
J.4.2.1 評価レベル範囲
電力増幅器のリニアリティ特性は,試験に用いる電力増幅器の周波数範囲及びレベル範囲全体にわたっ
て評価することが望ましい。これには,変調による変化分を考慮した,最小レベルから最大レベルを含ま
なければならない。
最大レベルは変調分を考慮し,連続波の最大レベルを5.1 dB増加する。
一つの結合デバイスレベル調整手順に基づいて,異なる試験妨害電圧レベルを計算して求めるときは,
試験に利用されるアンプ出力の最小と最大の範囲でリニアリティ特性評価を実施する。例えば,10 Vのレ
ベル調整手順から得られた値を用いて1 V試験を実施するならば,電力増幅器に定義された出力のリニア
リティ特性評価範囲は,最低でも1.8 V18 V(e.m.f.)と定義される。
いろいろな結合デバイスは,必要とする妨害レベルを達成するために異なる電力増幅器の出力を必要と
する場合があるため,それについても考慮する。例えば,電流クランプは,10 Vの妨害試験レベルを達成
するためにCDNよりも更に多くの電力を必要とする場合がある。
注記 6.4.2で規定する結合デバイス校正手順では,電力増幅器の最大の出力が5.1 dB増加するとき,
試験所は許容範囲2 dBを確認することを規定している。この手順は,J.4.2.2で記載するリニア
リティ特性を評価するのではなく,電力増幅器の飽和状態を確かめるだけに適用できる。
J.4.2.2 評価手順
電力増幅器のリニアリティ評価には,試験のために利用される結合デバイス及び試験装置のような実際
の負荷並びに環境条件を用いることが重要である。試験セットアップを図J.1に示す。
電力増幅器のリニアリティ特性は,少なくとも電力増幅器の周波数範囲の最小,中央及び最大の周波数
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で評価する。例えば,0.15 MHz80 MHzの電力増幅器の場合,0.15 MHz,40 MHz及び80 MHzを評価す
る。
注記 上記リニアリティ特性の測定結果の評価によって,他の周波数のリニアリティ特性が妥当であ
るとみなすことができる。
図J.1−電力増幅器のリニアリティ特性の測定セットアップ
リニアリティ特性の測定は,上記の各周波数において,次の手順に従って行う。
1) 結合デバイスを適切にセットアップするために,信号発生器の最小及び最大レベルの出力の設定を
決定する(J.4.2.1参照)。
2) 信号発生器を1) で決定した最小値に設定し,信号発生器の出力及び電力増幅器の進行波電力を記
録する。
3) 信号発生器の設定を1 dB増加し,そのときの信号発生器の出力及び電力増幅器の進行波電力を記録
する。
4) 1) で決定した信号発生器の最大値に到達するまで,3) を繰り返す。
5) 残りの周波数で2)4) を繰り返す。
J.4.2.3 リニアリティ特性の基準
J.4.2.2で得られた結果に関して,信号発生器の出力が1 dB増加するごとに,測定した電力増幅器の出力
も1 dB(電力増幅器のリニアリティ特性の許容範囲は±1 dBである)増加しなければならない。
J.4.2.2で記載した手順に従って記録した値が±1 dBの基準を満たす場合,評価した電力増幅器はリニア
リティ特性の基準を満たしている。記録した値がこのリニアリティ特性の基準を超えている場合は,J.4.2.4
及びJ.4.2.5を適用する。
ある周波数で出力された電力増幅器のリニアリティ特性,及び±1 dB許容範囲の例を図J.2に示す。こ
の例における信号発生器出力は,最小値の−30 dBmと最大値の0 dBmとの間の変化を示している。この
例では,電力増幅器は許容範囲を超えている。
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10
5 Bm)
0
電力増幅器出力値d
(
5
10
15
±1 dB
20
測定値
25
30 25 20 15 10 5 0
信号発生器出力値(dBm)
図J.2−リニアリティ特性の例
J.4.2.4 振幅変調の確認
J.4.2.3によって得た評価結果がリニアリティ特性の基準±1 dBを超えた場合,次の手順で振幅変調を確
認する。試験セットアップは図J.3に示す。
J.4.2.3の評価の結果,許容範囲を逸脱した全ての周波数で試験する。
図J.3−変調度の測定セットアップ
1) 対象の周波数において振幅変調を有効にし,信号発生器の出力をJ.4.2.1で決定した最大値にする。
2) 1) で決定した信号発生器の出力周波数を,図J.3に示すようにスペクトラムアナライザの中心周波
数に設定する。
3) 搬送波,上側波帯及び下側波帯の波形が画面に表示されるように,スペクトラムアナライザを設定
する。例えば,周波数スパンを10 kHz,分解能帯域幅を100 Hzとする。
4) 搬送波の値(Lcarrier)と上側波帯又は下側波帯(Lsideband)との振幅の差(Lcs = Lcarrier−Lsideband)を記録
する(図J.4参照)。
Lcsが10 dBよりも大きい(変調度が64 %未満)か,又はLcsが6 dBよりも小さい(変調度が100 %を超
える)場合,その結果を試験報告書に記録することが望ましい。
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JIS C 61000-4-6:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61000-4-6:2013(IDT)
JIS C 61000-4-6:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.20 : イミュニティ
JIS C 61000-4-6:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60050-161:1997
- EMCに関するIEV用語