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C 6186 : 2020 (IEC 61315 : 2019)
際の光パワーレベルを測定することが望ましい。被校正器の分光応答度及び光源の分光分布が既知の場合
には,スペクトルバンド幅依存性も,数学的解析によって求めることが可能である。
6.3.10 偏光依存性
被校正器の偏光依存感度(PDR)は,異なる偏光状態において,光パワーメータの応答度測定を複数回
行うことによって評価する。ほぼ100 %偏光した安定な光源を使用するか,又は図8に示すような偏光子
を光源の後に入れて使用することが望ましい。偏光制御器は,固定した入力偏光状態を任意の偏光状態に
変換するために使用する。
S
偏光制御器
Polarization
光源 偏光子 光パワーメータ
図8−光パワーメータの偏光依存性の測定系
光源の光パワーの不安定性及び偏光制御器の損失変動は,被校正器の偏光依存性よりも十分に小さいこ
とが望ましい。これは,被校正器を,偏光依存感度が非常に小さい検出器と置き換えて確認することが望
ましい。
レーザ光源は,偏光状態が変動している光が後方反射する場合に出力光パワーが不安定となるので,光
源と偏光制御器との間に光減衰器又は光アイソレータの挿入を必要とする場合がある。
別のPDR測定方法であるマトリクス法は,JIS C 61300-3-2:2012で規定する偏光依存性損失(PDL)の
ミューラーマトリクス法を適用できる[3]。
6.3.11 その他の依存性
被校正器の種類によっては,その他のパラメータに対する依存性も存在することがある。これらは,校
正条件での応答度に対する,応答度の相対変化として求めることが望ましい。
一例としては,変調周波数及びデューティサイクルの範囲を規定した,強度変調光信号を動作条件に含
め,変調に起因するタイプB不確かさを評価してもよい。極端なデューティサイクルは,光検出器及び電
子回路のいずれか一方,又は両方を飽和させる場合があることに注意することが重要である。
7 非直線性の校正
7.1 一般事項
校正レベルから離れた光パワーレベルでの高精度測定,又は,損失若しくは利得といった相対計測を行
うには,光パワーメータの非直線性を校正することが望ましい。校正は,光パワーレベルを増減すること
で行うことが望ましい。これは光パワーメータの信号増幅器の各測定レンジの境界における非直線性を盛
り込むためで,測定レンジ切替による非直線性を検出すること,又は各測定レンジ境界の両側での測定結
果をできる限り含めることが目的である。検出器の非直線性に波長依存性があることに留意する。例えば,
インジウムガリウムひ素(InGaAs)検出器は,1 310 nm及び1 550 nmでは直線性があるが,850 nmでは
非直線性を示す可能性がある。
幾つかの校正方法が可能であるが,重ね合せ法は最も高精度で参照標準を必要としない基準試験法(自
己校正法)である。
全ての方法で,光パワーレベルが選択可能な光源を使用する。例えば,(安定化)レーザダイオード光源
と可変光減衰器とを組み合わせたものである。生成できる光パワーレベルは,規定の測定範囲をカバーす
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ることが望ましい。測定中において,光入力端子の最大許容放射照度は,シングルモード光ファイバで励
振する条件下で,かつ,測定範囲の上限の光パワーで定義することが望ましい。
検出器の飽和光パワーレベルは,ビームの幾何学的形状に依存する。小さいスポット径の方が大きいス
ポット径よりも低い光パワーで,検出器を飽和させることがある。
極端な周囲温度では,非直線性が増す可能性がある。6.3.2の最後の段落に記載したように,幾つかの不
確かさは一つ以上の動作条件に依存する可能性があり,動作温度範囲の上下限で非直線性を追加測定して,
動作条件における不確かさの増加を記録することが必要な場合がある。
7.2 重ね合せ法に基づく非直線性の校正
7.2.1 一般事項
高精度な非直線性の校正は,重ね合せ法(重畳法ともいう。)で行うことができる[4] [5]。空間ビーム二
重開口法の光ファイバ版[6] [7]では,シングルモード光ファイバを使用してもよい。測定系の一例を,図9
に示す。光パワーを,シャッタを設けた二つの異なる経路に分け,被校正光パワーメータの前で再結合さ
せる。
図9−重ね合せ法に基づく非直線性の校正
光アイソレータ(反射の影響を抑えるため)をもつ,安定な分布帰還形(DFB)レーザを用いることが
できるが,絶対光パワー校正の手順と同様に,線幅を広げてコヒーレンスを適度に調整する。(マッハツェ
ンダ形の)干渉による強度変動を避けるため,測定系の二つの光路長を異なる長さ(DFBレーザの場合,
約100 m)にすることが望ましく,光ブランチングデバイスの未使用端は無反射終端しなければならない。
重ね合せ法は,挿入損失が大きい欠点がある。一般に,最初の光減衰器で約1.5 dB,最初の光ブランチン
グデバイスで0.5 dB,2番目の光減衰器がそれぞれ1.5 dB,及び再結合用の光ブランチングデバイスで約
3.5 dB,合計で約7 dBである。より高い光パワーで測定する場合は,光源と最初の光減衰器との間に[1 550
nm用のエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような]光増幅器を任意で挿入することができる。
7.2.2 手順
手順は,次による。
a) いずれの光路(それぞれ光路a,光路bとする)からでも光パワーメータで測定する光パワーが等し
くなるように,二つの光路の光減衰器を調整する。
b) 両方のシャッタを開き,同時に両方の光路からの総光パワーPab,iを測定する。
c) 光路bのシャッタを閉じ,光路aからの光パワーPa,iを測定する。
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d) 光路aのシャッタを閉じ,光路bのシャッタを開け,光路bからの光パワーPb,iを測定する。
e) 個々の光パワーの測定値の和が総光パワーに等しくない場合は非直線性がある。この1区間の非直線
性の値は,式(37)によって算出する。
Pab,i
NLi 10log10 (dB) (37)
Pa,i Pb,i
f) 最初の光減衰器で,光パワーを半分(10 log10 2≒3.01 dB)に減衰させ,総光パワーが前の区間の個々
の光パワーのレベルになるようにする。
g) 測定したいレンジ全域について,b) f)を繰り返す。
h) 最終的には,デシベル(dB)表記の1区間の非直線性の総和として全区間の非直線性を算出する。全
区間の非直線性は,(高次の項は無視して)非直線性を0とした基準光パワーレベルから起算して計算
する。
n 1
Pn
NLglobal () i 0
NLi (n=−1, −2, −3, ·) (38)
P0
NLglobal ()0 基準光パワー)
n
Pn
NLglobal () NLi (n=1, 2, 3, ·)
i 1
ここに, n<0 : 基準光パワーよりも低い光パワーレベルを示す。
n>0 : 基準光パワーよりも高い光パワーレベルを示す。
NLi : i番目の1区間の非直線性(Pabが基準光パワーに一致する区
間に対してi=0とする。)
以上の結果,表2で示すように,3.01 dBごとの区間で刻んだ光パワー範囲全体について,全区間の非直
線性のリストを得る。
表2−非直線性
i Pa,i Pb,i Pa,i+Pb,i Pab,i NLi NLglobal(Pab,i)
(W) (W) (W) (W) (dB) (dB)
2 NL2 NL1+NL2
1 NL1 NL1
0 P0 NL0 0
−1 NL−1 −NL0
−2 NL−2 −NL0−NL−1
基準光パワーに対する最大の非直線性は,式(39)による。
NLmax max (dB)
NLglobal (39)
非直線性校正の結果は,5.5に規定した,被校正器の校正証明書又は校正報告書に含めることができる。
必要ならば,NLmaxは,7.2.3で計算するように,適用できる不確かさとともに,別々に報告してもよい。
3 dBの光パワーの区間は,光パワーメータの信号増幅器のレンジ境界での非直線性を測定するには,刻
み幅が大きすぎることがある。この制約は,幾つかの基準光パワーから校正を開始するか,又は信号増幅
器のレンジ境界の両側で同じ光パワーレベルの測定を別に行うことによって,回避できることがある。
7.2.3 不確かさ
重ね合せ法における典型的な不確かさには,一連の三つの測定中に起こり得る全ての光パワー変動,例
えば,ドリフト又は反射戻り光の変化に敏感な光源揺らぎ,コヒーレンス長の長いレーザの場合に干渉で
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生じる不安定性,並びに光パワーメータの偏光依存性及び分解能が含まれる。各区間でのこれらの誤差は
累積して,その後の区間で生じる誤差に加算する。
もう一つの不確かさは,各区間で各光路の光パワーが完全には同じにならないこと,及び次の区間の総
光パワーが,前の区間での各光路の光パワーに完全には一致しないことで生じる。各光路の光パワーが適
切に釣り合わないと,測定結果は信頼できないものとなる。このため,図9に示すように各光路でオプシ
ョンの光減衰器を使うことが望ましい(通常,シャッタは,光減衰器に含む。)。各々の光減衰器によって,
測定開始時に各光路の光パワーを等しくできる。このアプローチを活用した別の測定系として,それぞれ
第2,第3の光減衰器と直結した二つのレーザ光源を使う方法がある。この方法は,より高い光パワーで
測定を始められる利点があるが,光減衰器を各区間で調節するために被校正器との通信が必要となる。
最初に,関連する全ての標準不確かさの二乗和平方根をとって各区間ごとの1区間の非直線性に対する
合成標準不確かさu(NLi)を計算する。次に,全区間の非直線性の標準不確かさを,式(40)から求める。
uNL
( global ) nuNL( i) (40)
ここに, n : 基準レベルから繰り返した3.01 dBごとの区間数
7.3 校正された光パワーメータとの比較に基づく非直線性の校正
7.3.1 一般事項
置換法によって,被校正器と参照標準器とを直接比較する測定方法も考えられる。参照光パワーメータ
で出力光パワーを測定した後,被校正器につなぎ換え,両方の測定器の測定結果を記録する。ここでの誤
差は,光減衰器の再現性,光減衰器の偏光依存性損失,光源の光パワーの安定性,及び参照光パワーメー
タの非直線性に起因する。参照光パワーメータの非直線性は,より高精度な方法で校正しておくことが望
ましい。
実用標準で測定を繰返し,測定中のドリフトを確認することが望ましい。低い光パワーレベルまで測定
を拡張するため,参照光パワーメータには低ノイズの検出器を使用するのがよい。
交互に測定する代わりに,図10のようにビームスプリッタ又は光ブランチングデバイスを用いて,被校
正器及び参照標準器を同時に測定することもできる。非対称な分岐比の光ブランチングデバイスを使用す
るか,又は第2の光減衰器を使用すれば,光パワー測定の範囲を拡大できる。光パワーレベル及び偏光変
動に依存するかを調査しなければならない。
図10−比較による非直線性の校正のための測定系
7.3.2 手順
手順は,次による。
a) 初段の減衰器で,必要な基準光パワーを設定する。
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b) 参照光パワーメータPref,0及び被校正光パワーメータPDUT,0で光パワーをそれぞれ測定する。
c) 初段の減衰器で,光パワーを増加(又は減少)して参照光パワーメータPref,i及び被校正器PDUT,iで測
定した光パワーを記録する。
d) 非直線性を,式(41)によって計算する。
PDUT,i Pref,i
NLi 10log10 10log10 (dB) (41)
PDUT,0 Pref,0
e) 光パワー範囲をカバーするまで,ステップc)及びd)を繰り返す。
7.3.3 不確かさ
考えられる測定不確かさの要因を,次に示すが,網羅的ではない可能性がある。測定系及び手順に依存
して,追加の不確かさ要因の考慮が必要な場合がある。不確かさの計算及び言明は,附属書Aに規定する
数学的根拠によることが望ましい。
a) 直線性の標準器の非直線性(通常,重ね合せ法で校正する。)
b) 光源の不安定性(反射戻り光が,光源の不安定性を引き起こす可能性がある。)
c) 光の干渉(光源のコヒーレンス長は,反射点間の距離よりも小さいことが望ましい。)
d) 光伝送用部品の偏光依存性
e) 被校正器の分解能
f) ビームスプリッタ又は光ブランチングデバイスを使用した場合は,分岐比の安定性
g) 手順によっては,光減衰器の再現性
7.4 光減衰器との比較に基づく非直線性の校正
非直線性の測定で最も簡単だが最も精度の低い方法は,校正済みの光減衰器で光パワーレベルを変えて
測定することである。ここで用いる光減衰器は,トレーサビリティの連鎖を取らなければならない。光減
衰器の校正は,それ自体,校正済みの光パワーメータの直線性に基づいているので,不確かさの計算には
注意が必要である。この方法は,2番目の光パワーメータを必要としない。その代わり,基準光パワーレ
ベルを,光減衰器の既知の減衰量を用いて計算することができる。主な誤差は,可変光減衰器の非直線性,
シングルモード光ファイバの場合は可変光減衰器のPDL,及び光源の光パワーの安定性から生じる。また,
光減衰器の再現性及び波長依存性にも留意することが重要である。それでも,高精度を必要としない場合
は,この方法は簡単であるので有益である。挿入損失が(光減衰器の損失だけだと)少ないので,他の方
法に比べて高い光パワー(光減衰器が直線性を維持できる最大入力光パワー)まで測定が可能である。
7.5 高光パワー測定のための光パワーメータの校正
ほとんどの光電検出器は,約10 mW超の光パワーで非直線性になる。より高い光パワーを測定できる検
出器は,通常,検出器の前に光減衰器を組み込んでいる。
高い光パワーでの絶対光パワー校正[8]は,広く利用可能とは限らない。そこで,高い光パワーまで光パ
ワーメータの非直線性を校正することが必要である。この文脈では,高い光パワーとは10 mWを超える光
パワーと定義する。幾つかの光伝送用部品は非線形効果を示す可能性があるので,7.27.4に規定したの
と同じ測定系をそのまま使用できるとは限らない。校正の測定系に用いる全ての光伝送用部品(コネクタ,
光減衰器,光ブランチングデバイスなど)の高光パワーでの特性を調査することが望ましい。重ね合せ法
は,参照標準に頼らないという点で望ましいが,測定系の一光路における長尺光ファイバの使用は,高光
パワーでは非線形光学効果を引き起こす可能性があり,光パワーメータに見かけ上の非直線性を引き起こ
すことに留意する。
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- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.10 : 光ファイバ及び光ケーブル
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- 規格番号
- 規格名称
- JISC6820:2018
- 光ファイバ通則