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C 62133-2 : 2020
5.8 組電池の安全部品
組電池の安全部品は,附属書Fを参照する。
6 試験項目及び試験数量
試験は,表1に規定する個数の単電池又は組電池に対し行う。この単電池又は組電池は,製造してから
6か月以内とする。コイン形電池の内部抵抗は,附属書Dに従って測定しなければならない。内部抵抗が
3 Ω以下のコイン形電池は,表1に従い試験しなければならない。内部抵抗が3 Ωを超えるコイン形電池
では,試験を行う必要がない。特に指定がない限り,試験は周囲温度20 ℃±5 ℃で行う。
注記 製造から6か月以内の単電池又は組電池を使用するのは,試験の再現性を高めるために制限し
たもので,6か月を過ぎると電池の安全性が低下することを意味するものではない。
表1−試験項目,試験数量,充電温度及び周囲温度
単位 ℃
試験項目 単電池 組電池 適用箇条
充電温度 試験時の 試験数量 充電温度 試験時の 試験数量
周囲温度 (個) 周囲温度 (個)
連続定電圧充電(単 20±5 上限試験温度 5 − − − 7.2.1
電池)
高温下での組電池 − − − 20±5 70±2 3 7.2.2
容器の変形(組電
池)
温度サイクル 20±5 − 5 20±5 − 5 7.2.2A
外部短絡(単電池) 上限試験温度 55±5 5 − − − 7.3.1
下限試験温度 55±5 5 − − −
外部短絡(組電池) − − − 20±5 20±5 5 7.3.2
自然落下 20±5 20±5 3 20±5 20±5 3 7.3.3
加熱(単電池) 上限試験温度 130±2 5 − − − 7.3.4
下限試験温度 130±2 5 − − −
圧壊(単電池) 上限試験温度 20±5 5 − − − 7.3.5
下限試験温度 20±5 5 − − −
過充電(組電池) − − − − 20±5 5 7.3.6
強制放電(単電池) 20±5 5 − − − 7.3.7
振動(組電池) − − − 20±5 20±5 5 7.3.8.1
衝撃(組電池) − − − 20±5 20±5 5 7.3.8.2
低圧(単電池) 20±5 − 3 − − − 7.3.8A
高率充電(単電池) − 上限試験温度 5 − − − 7.3.8B
− 下限試験温度 5 − − −
機器に装着した組電 − − − 20±5 20±5 3 7.3.8C
池の落下(組電池)
過充電保護(組電池) − − − − 20±5 1 7.3.8D
強制内部短絡(単電 上限試験温度 上限試験温度 10,20 b) − − − 7.3.9
池)a) 下限試験温度 下限試験温度 10,20 b) − − −
コイン形電池の交 − 20±5 3 − − − D.2
流内部抵抗の測定
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表1−試験項目,試験数量,充電温度及び周囲温度(続き)
注a) コイン形電池及びリチウムイオンポリマー単電池には適用しない。
b) 正極活物質層との対向部分に露出した正極アルミニウムはく(箔)部が存在しない場合は,必要な試料は最
大10個である。正極活物質層との対向部分に露出した正極アルミニウムはく部が存在する場合は,必要な試
料は最大20個である。
5.6.1の安全性分析は,短絡,過充電及び過放電防止に重要な保護回路の部品を指定することが望ましい。
短絡試験を行う際,短絡試験に影響を与える可能性のある単一故障状態のシミュレーションを考慮するこ
とが望ましい。
7 要求事項及び試験
7.0A 一般事項
試験は,表1に規定する個数の単電池又は組電池に対し行う。試験温度条件は,箇条7の各試験項目の
規定による。ただし,これらの試験は,過酷な条件又は試験結果が厳しくなる方法で行ってもよい。また,
単電池及び組電池は,モデルごとに試験を行う。ただし,組電池の構造の一部を変更した場合であって,
かつ,変更前の試験結果が代用できるものについては,この箇条に規定する試験を省略してもよい。
7.1 試験を行うための充電手順
7.1.0A 一般事項
試験を行うための充電手順として,第1手順及び第2手順を規定する。ただし,これらの充電手順は,
充電プロセスが試験の目的である7.3.6,7.3.7,7.3.8B及び7.3.8Dには,適用しない。
7.1.1 第1手順
この規格では特に指定がない限り,周囲温度20 ℃±5 ℃で製造業者が指定する方法によって,単電池
及び組電池を充電する。
充電に先立ち,周囲温度20 ℃±5 ℃,かつ,0.2 It Aの定電流で,製造業者が指定する設計上の放電終
止電圧まで放電する。
なお,この充電手順は,7.2.1,7.2.2,7.2.2A,7.3.2,7.3.3,7.3.8.1,7.3.8.2,7.3.8A及び7.3.8Cに適用す
る。
7.1.2 第2手順
周囲温度が表2に規定する上限試験温度及び下限試験温度の状態で1時間4時間安定させた後,上限
充電電圧及び最大充電電流で,定電圧充電制御時における電流値が0.05 It Aになるまで充電する。
なお,この充電手順は,7.3.1,7.3.4,7.3.5及び7.3.9に適用する。
表2−充電手順の条件
上限充電電圧 最大充電電流 上限試験温度 下限試験温度
4.25 V/単電池 単電池製造業者指定値 45 ℃ 10 ℃
上限充電電圧,上限試験温度又は下限試験温度を新たに適用·変更する場合,附属書A
に規定する手順に従って求めた根拠資料を単電池製造業者が保管する(A.3.2.3及びA.4.2.2
を参照)。当該値が上限充電電圧,上限試験温度又は下限試験温度になる。
警告 これらの試験は,適切な対策を怠ると,危害を及ぼすおそれがある。試験は,適切な資格及び
経験をもつ専門家だけが,適切な保護措置を装備した上で実施することが望ましい。やけどを
防ぐために,試験の結果,その外装が75 ℃を超える場合がある単電池又は組電池に注意を払
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うことが望ましい。
7.2 意図する使用
7.2.1 連続定電圧充電(単電池)
a) 要求事項 連続定電圧充電で,発火,破裂又は漏液を引き起こしてはならない。
b) 試験 7.1.1の第1手順に従って充電した単電池に対し,上限充電電圧及び上限試験温度で充電を28
日間行う。試験後,目視検査を行う。
c) 判定基準 発火,破裂又は漏液がないこと。
7.2.2 高温下での組電池容器の変形(組電池)
a) 要求事項 高温で使用したとき,組電池の内容物は露出してはならない。ただし,特殊な構造の組電
池については,適用しない。
b) 試験 7.1.1の第1手順に従って充電した組電池を高温下に放置する。組電池を温度70 ℃±2 ℃の空
気循環式オーブンの中に7時間放置する。この後,オーブンから取り出し,周囲温度20 ℃±5 ℃に
戻す。
c) 判定基準 内容物及び単電池の露出を引き起こす組電池容器の変形がないこと。
7.2.2A 温度サイクル
単電池及び組電池の温度サイクル試験は,次による。
a) 要求事項 高温及び低温の環境に繰り返し置いても,発火,破裂又は漏液を引き起こしてはならない。
b) 試験 7.1.1の第1手順に従って充電した単電池又は組電池を,次の手順及び図0Aの温度プロフィー
ルに従って,チャンバ内で,−20 ℃75 ℃の温度サイクルに放置する。
第1段階 : 単電池又は組電池を75 ℃±2 ℃の中に4時間放置する。
第2段階 : 30分間以内に20 ℃±5 ℃に移行し,2時間以上放置する。
第3段階 : 30分間以内に−20 ℃±2 ℃に移行し,4時間放置する。
第4段階 : 30分間以内に20 ℃±5 ℃に移行し,2時間以上放置する。
第5段階 : 第1段階第4段階を1サイクルとして,更に4回繰り返す。ただし,第4段階から
第1段階への移行時間は30分間以内とする。
第6段階 : − 5回目のサイクルの後,単電池又は組電池を20 ℃±5 ℃で7日間保管し,その後に
目視検査を行う。
注記 この試験では,温度の変化する単一のチャンバか,又は異なる三つの温度を保持する三つの
別々のチャンバの使用が可能である。
c) 判定基準 発火,破裂又は漏液がないこと。
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図0A−温度サイクル試験の温度プロフィール(1サイクル)
7.3 合理的に予見可能な誤使用
7.3.1 外部短絡(単電池)
a) 要求事項 正極端子と負極端子との短絡によって,発火又は破裂を引き起こしてはならない。
b) 試験 7.1.2の第2手順に従って充電した単電池を,周囲温度55 ℃±5 ℃の中に1時間4時間,放
置する。それぞれの単電池を,正極端子及び負極端子を総計80 mΩ±20 mΩの外部抵抗に接続して短
絡させる。単電池は24時間を経過するか,又は単電池表面の温度が最高温度から最大温度上昇幅(最
高温度と周囲温度との差)の80 %分低下(20 %にまで低下)するか,そのいずれか短い間放置する。
c) 判定条件 発火又は破裂がないこと。
7.3.2 外部短絡(組電池)
a) 要求事項 正極端子と負極端子との短絡によって,発火又は破裂を引き起こしてはならない。ただし,
特殊な構造の組電池については,適用しない。
b) 試験 7.1.1の第1手順に従って充電した組電池をそれぞれ周囲温度20 ℃±5 ℃の中に放置する。そ
れぞれの組電池を,正極端子及び負極端子を合計80 mΩ±20 mΩの外部抵抗に接続して短絡させる。
組電池は24時間を経過するか,又は組電池表面の温度が最高温度から最大温度上昇幅(最高温度と周
囲温度との差)の80 %分低下する(20 %にまで低下)か,そのいずれか短い間放置する。ただし,短
絡電流が急激に減少した場合は,電流が減少して定常状態に達してから1時間を経過するまでの間放
置することが望ましい。この定常状態とは,一般的には,直列接続された,単電池又は電池ブロック
当たりの電圧が0.8 V未満で,30分間ごとの電圧低下が0.1 V未満の状態である。短絡試験を行う前
に,試料5個のうち1個4個(保護回路に依存)に対して,放電保護回路の単一故障状態のシミュ
レーションを実施することが望ましい。単一故障は,MOSFET(MOS電界効果トランジスタ),ヒュ
ーズ,サーモスタット,又はPTCのような保護回路部品に適用する。
注記 放電保護回路の単一故障状態の例として,放電MOSFET,ヒューズ又は他の保護素子の短絡
を含めることが可能である。附属書Fに記載する適用可能な部品規格の要求事項を満たして
いる保護素子,又は動作が安全を確保することが確実である(機能安全が評価された)電子
回路は,単一故障状態試験の対象ではない。
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c) 判定条件 発火又は破裂がないこと。
7.3.3 自然落下
a) 要求事項 単電池又は組電池を落下させても(例えば,作業台の上から落下),発火又は破裂を引き起
こしてはならない。ただし,質量が7 kgを超える組電池及び特殊な構造の組電池については,適用し
ない。
b) 試験 7.1.1の第1手順に従って充電した単電池又は組電池を周囲温度20 ℃±5 ℃で保管する。各単
電池又は組電池を,高さ1.0 m±0.01 mの地点から任意の方向で平らなコンクリートの床又は金属の
床に3回落下させる。試験後,単電池又は組電池は,1時間以上放置して,目視検査を行う。
c) 判定基準 発火又は破裂がないこと。
7.3.4 加熱(単電池)
a) 要求事項 異常高温によって発火又は破裂を引き起こしてはならない。
b) 試験 7.1.2の第2手順に従って充電した単電池を周囲温度20 ℃±5 ℃で1時間安定させた後,自然
対流式又は循環対流式オーブンの中に置き,オーブンの温度を1分間に5 ℃±2 ℃の昇温速度で
130 ℃±2 ℃まで上昇させる。その後,オーブンの温度を130 ℃±2 ℃で30分間保持した後終了す
る。
c) 判定基準 発火又は破裂がないこと。
7.3.5 圧壊(単電池)
a) 要求事項 単電池が激しく圧壊されても,発火又は破裂を引き起こしてはならない。
b) 試験 7.1.2の第2手順に従って充電した単電池を2枚の平板間に入れて,圧壊装置によって13 kN±
0.78 kNの力で加圧する。試験開始時の電圧の3分の1までの急激な電圧降下の後,又は最大の圧力が
加わった後に,加圧力を解放する。円筒形又は角形リチウム二次単電池をその縦軸が圧壊装置の平板
と平行になるように加圧する。さらに,角形リチウム二次単電池は広い面だけ試験を行う。コイン形
電池は平面に力がかかるように加圧する。
c) 判定基準 発火又は破裂がないこと。
7.3.6 過充電(組電池)
a) 要求事項 製造業者が指定する充電時間よりも長時間充電しても,発火又は破裂を引き起こしてはな
らない。ただし,特殊な構造の組電池については,適用しない。
b) 試験 周囲温度20 ℃±5 ℃,かつ,0.2 It Aの定電流で,製造業者が指定する設計上の放電終止電圧
まで放電した組電池に対し,2.0 It Aの定電流で充電する。電源電圧及び電源は,次による。
注記 対応国際規格には“電源電圧”としか記載がないが,三つ目の細別には電源の記載が含まれ
るため,“及び電源”を追記した。
− 単一の単電池又は電池ブロックからなる組電池に対し,表2に規定する上限充電電圧の1.4倍(た
だし,6.0 Vを超えない。)の値を使用する。
− 直列接続した複数の単電池からなる組電池に対して,表2に規定する上限充電電圧に直列数を乗じ,
さらに,1.2倍した値を使用する。
− 試験の間又は電源電圧に達するまで,2.0 It Aの定電流を維持するのに十分な電源を使用する。
組電池には熱電対を装着し,組電池の容器温度を計測する。試験は,容器の温度が定常状態(30分
間の温度変化が10 ℃未満)に達するか,又は周囲温度20 ℃±5 ℃に戻るまで続ける。
c) 判定基準 発火又は破裂がないこと。
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JIS C 62133-2:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62133-2:2017(MOD)
JIS C 62133-2:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.220 : 電池及び蓄電池 > 29.220.30 : アルカリ二次電池(アルカリ蓄電池)
JIS C 62133-2:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-2-27:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
- JISC6065:2016
- オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器―安全性要求事項
- JISC6950-1:2016
- 情報技術機器―安全性―第1部:一般要求事項
- JISC8711:2019
- ポータブル機器用リチウム二次電池
- JISZ8051:2015
- 安全側面―規格への導入指針