JIS C 9300-6:2013 アーク溶接装置―第6部:限定使用率アーク溶接装置 | ページ 3

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1 測定系統 A,B 測定回路の接続点
2 溶接電源 L ライン
3 図2の回路 N 中性点
PE 保護接地
図1−故障状態の接触電流の測定
A,B 試験端子 CS 0.22 μF
RS 1 500 Ω R1 10 000 Ω
RB 500 Ω C1 0.022 μF
U1 実効値電圧 U2 ピーク値
U(ピーク値)
重み付けした接触電流(知覚/反応) : 5002
図2−接触電流測定回路

7 温度要求事項

7.1 温度保護及び温度制限の機器

  溶接電源は,温度保護及び温度制限装置の二つの独立した機器を装備しなければならない。
温度制限装置は,回路を開又は電流を減少させることによって構成要素の温度を制限し,自動リセット

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し,かつ,箇条8に規定するように設計する。
温度制限装置が動作不良を生じた場合,箇条9に規定する温度保護が動作するように設計する。

7.2 温度上昇試験

7.2.1  試験条件
溶接電源は,冷えた状態から始まった定格最大出力電流I2max,及び12.2による標準負荷電圧で動作しな
ければならない。
I2maxにおいて最高温度にならないことが分かっている場合,最悪条件の試験は,最高温度になる定格範
囲内の設定でも行う。
測定器は,製造業者が提供したカバープレート,点検用ドア,又は簡単に取外しができるパネルだけを
通して,設置する。測定器によって溶接電源の通常の通気を妨げたり,熱を授受する原因となってはなら
ない。
注記1 構成部品の温度は,無負荷状態で最高になることがある。
注記2 定格最大出力電流試験及び適切な最悪条件の試験は,溶接電源が周囲温度に戻るのを待たな
いで行ってもよい。
7.2.2 試験条件の許容値
7.2.3による温度上昇試験において,次の許容範囲を維持する。
a) 負荷電圧 適切な標準負荷電圧の+10 %
−5
+10
b) 出力電流 適切な標準出力電流の−5
%
c) 入力電圧 適切な定格入力電圧の±5 %
d) エンジン速度 適切な定格速度の+10 %
−5
e) 温度 周囲温度の+10 K
0
7.2.3 定格最大出力電流
定格最大出力電流I2maxの試験方法は,次による。
a) 溶接電源を,周囲温度20 ℃に均衡させる[7.2.2 e) の許容値参照]。
b) 溶接電源は,定格最大出力電流で運転する。
c) 温度制限装置の最初の動作のオン時間の記録 : 定格連続溶接時間tON (max)。
d) 温度制限装置をリセット後,直ちに60分間試験を繰り返す。
e) それぞれの周期のtONのオン時間を記録する。
tONが30秒間未満又はtON (max) が60秒間未満の場合は,試験は不合格とする。
7.2.4 計算
次の定格値を計算する。
− 定格最大出力電流での1時間における定格溶接時間tON[7.2.3 e) 参照]。
ここに,tONは,それぞれの周期のオン時間。
tONの最小値は,60秒間。

7.3 温度測定

7.3.1  測定条件
ピーク温度は,次によって決める。
a) 巻線は,抵抗法測定又は埋込温度センサによる。
b) その他の部分は,表面温度センサによる。

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ピーク温度は,60分間の温度上昇試験の最後のオン時間の間で測定する。
注記 溶接電源の設計は,絶縁クラスで定義した最大許容温度で運転する温度制限装置を基礎とする。
7.3.2 表面温度センサ
JIS C 9300-1の7.2.2(表面温度センサ)による。
7.3.3 抵抗法
JIS C 9300-1の7.2.3(抵抗法)による。
7.3.4 埋込み温度センサ
JIS C 9300-1の7.2.4(埋込み式温度センサ)による。
7.3.5 周囲温度の決定
JIS C 9300-1の7.2.5(周囲温度の決定)による。
7.3.6 温度の記録
JIS C 9300-1の7.2.6(温度の記録)による。

7.4 温度上昇限度

7.4.1  巻線,整流子及びスリップリング
巻線,整流子及びスリップリングの温度は,表1に規定する絶縁クラスの動作温度以下とする。
いかなる部分も,たとえその部分が表1に規定する値を満足していたとしても,その部分がその他の部
分に損傷を与える温度に到達してはならない。
表1−絶縁クラスによる最高温度限度
絶縁クラス 105(A) 120(E) 130(B) 155(F) 180(H)
動作温度(℃) 105 120 130 155 180
過負荷状態の最高温度(℃) 175 190 200 215 235
注記1 過負荷状態の最高温度の値は,JIS C 6575-1若しくはJIS C 8269-1によるヒュ
ーズ以外の保護機器,又はサーキットブレーカ以外の保護機器に基づき,かつ,
JIS C 61558-1の表3(短絡又は過負荷状態での温度の最高値)によることが望
ましい。
注記2 動作温度とは,温度制限装置が動作する温度である。
合否判定は,7.3に従った測定による。
7.4.2 外部表面
JIS C 9300-1の7.3.2(外部表面)による。
7.4.3 その他の構成部材
その他の構成部材の最高温度は,それぞれの適切な規格に基づく最高温度以下とする。

7.5 負荷試験

  溶接電源は,損傷なし又は機能不良なしで,繰り返される負荷周期に耐えなければならない。
合否判定は,次の試験及び溶接電源の試験の間に発生する損傷又は機能不良の立証による。
冷温停止状態から起動し,溶接電源は,温度制限装置が動作するまで定格最大出力電流で動作させる。
温度制限装置のリセット後,直ちに次の試験を行う。
a) 垂下特性溶接電源の場合,定格最大出力電流を供給するように制御する。外部抵抗が8 m 地
短絡回路を用いて,3秒間の休止の後に2秒間通電するサイクルを,60回繰り返す。
b) 定電圧特性溶接電源の場合,最大負荷電圧の設定値で定格最大出力電流の1.5倍を15秒間通電する。

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7.6 整流子及びスリップリング

  整流子及びスリップリング,並びにそれらのブラシには,エンジン駆動の溶接電源の全回転範囲で有害
な火花の形跡又は損傷があってはならない。
合否判定は,次の試験中に目視検査によって行う。
a) 7.2による温度上昇試験
b) 7.5による負荷試験

8 温度制限装置

8.1 構造

  温度制限装置は,次の事項がいずれもできない構造とする。
a) 温度設定を変更する。
b) 明白な物理的損傷を加えずにその動作を変更する。
合否判定は,目視検査による。

8.2 配置

  温度制限装置は,確実に放熱できる方法で,溶接電源の内部に恒久的に配置する。
合否判定は,目視検査による。

8.3 動作

  温度制限装置は,箇条4 a) に規定する周囲温度範囲において,溶接電源の巻線が表1に規定する動作温
度,及び全ての構成部材の定格温度を超えることを,防止する。
合否判定は,7.2.1の出力状態での溶接電源の運転中に行う。

8.4 リセット

  温度制限装置は,オフ時間(tOFF)に続く次の周期で,tONが30秒間以上になる温度に下がるまでリセッ
トしない。
合否判定は,温度上昇試験の間の各々のtONの測定による。

8.5 動作能力

  温度制限装置は,溶接電源が定格最大出力電流を出力している状態で,破損することがなく,入力電流
又は溶接電流を200回連続で遮断できなければならない。
合否判定は,温度制限装置を用いている回路,又は電流及びリアクタンスが同じ電気的特性をもつ回路
の連続遮断要求回数を満たすことで行う。
試験後,温度制限装置は,8.3及び8.4の規定に適合しなければならない。

8.6 表示

  溶接電源には,温度制限装置が溶接電源出力を低減又は遮断したことを表示する機能を備える。表示は,
黄色の光(若しくは窓の黄色のフラグ),又は取扱説明書に,その意味を記載する記号若しくは単語を,表
示できる表示装置による。
合否判定は,目視検査による。

9 温度保護

9.1 構造

  温度保護装置は,次の事項がいずれもできない構造とする。
a) 温度設定を変更する。

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b) 明白な物理的損傷を加えないでその動作を変更する。
c) 自動又は手動でリセットする。
合否判定は,目視検査による。

9.2 配置

  温度保護装置は,確実に放熱できる方法で,溶接電源の内部に恒久的に配置する。
合否判定は,目視検査による。

9.3 動作

  温度保護装置は,温度上昇試験の間,動作してはならない。
温度保護装置は,溶接電源が表1に規定する過負荷状態の最高温度を超えることを防止する。
合否判定は,温度上昇及び次の試験の間に行う。
溶接電源は,定格入力電圧又は定格回転速度で運転し,温度制限装置を無効にし,かつ,7.2.1の出力状
態で溶接電源を運転する。試験の間,温度保護装置は,過負荷状態の最高温度を超える前に動作しなけれ
ばならない。

10 異常動作

10.1 一般

  溶接電源は,10.210.4に規定する試験の異常な運転状態において,危険な電気的破壊又は火災の危険
を起こしてはならない。これらの試験を,溶接電源各部の到達温度及び溶接電源が正常に機能しているか
どうかにかかわらず継続して行う。唯一の判定基準は,溶接電源が危険にならないことである。これらの
試験は,別の溶接電源で行ってもよい。
注記 例えば,ヒューズ,遮断器,温度保護などで内部を保護している溶接電源は,不安全な状態に
なる前に内蔵保護装置が動作する場合,この要求を満たしている。
合否判定は,次の試験による。
a) 乾いた脱脂綿の層を溶接電源の真下に置き,溶接電源の各側面から各150 mm外側に脱脂綿を広げて
敷く。
b) 溶接電源は,冷えた状態から通電を開始し,10.210.4に従って運転する。
c) この試験の間に,この綿を発火させる炎,溶融金属及びその他の物質が生じてはならない。
d) この試験の後,5分間以内にJIS C 9300-1の6.1.5 b) の絶縁耐力試験を行い,溶接電源は,これに耐
えなければならない。

10.2 ファン停止試験

  モータ駆動のファンを備えた溶接電源は,箇条7の試験中最も温度が上がる7.2.1の出力状態でファンモ
ータを機械的に停止し,定格入力電圧又は定格回転速度で2時間運転する。ただし,エンジン駆動式溶接
電源の運転時間は,製造業者の指定による。
注記 この試験の趣旨は,ファンを備えた溶接電源を運転し,ファン及び溶接電源の両方の保護を確
認することである。

10.3 短絡試験

  JIS C 9300-1の8.3(短絡試験)による。

10.4 過負荷試験

  溶接電源は,温度制限装置を無効にし,7.2.1の出力状態で,定格入力電圧又は定格回転速度で2時間運
転する。ただし,エンジン駆動式溶接電源の運転時間は,製造業者の指定による。

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JIS C 9300-6:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60974-6:2010(MOD)

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