JIS D 0802:2015 高度道路交通システム―前方車両衝突警報システム―性能要求事項及び試験方法 | ページ 2

4
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
3.16
相対速度,vr(t)(relative velocity)
当該車両と目標車両との縦方向速度差。次の式によって求められる。
vr (t) vSV (t)
vTV (t)
3.17
要求減速度,Areq(required deceleration)
目標車両との衝突を防止することができる最小減速度。次の式によって求められる。
2
vr (t)
aTV
Areq (t)
2 xc (t) xr (t
注記 xr(t)は,反応時間に起因する車間距離の減少量である。
3.18
当該車両,SV(subject vehicle)
この規格で定義するFVCWSを装備する車両。
3.19
目標車両,TV(target vehicle)
SVの前方進路上の最も近いFVで,FVCWSを作動させるFV。
3.20
衝突までの時間,TTC(time to collision)
次の式で求められるように,SVがTVと衝突するまでの推定時間。
xc (t)
TTC
vr (t)
3.21
加速度考慮の衝突までの時間,ETTC(enhanced time to collision)
次の式に示されるように,SVとTVとの間の相対加速度が一定であると想定した場合の,SVがTVと
衝突するまでの推定時間。
(vTV vSV ) (vTV vSV ) 2
2 (aTV aSV ) xc
ETTC
(aTV aSV )
ここに, aTV : TVの加速度
aSV : SVの加速度
vTV : TVの速度
vSV : SVの速度
xc : SVとTVとの車間距離
3.22
警報制動,WB(warning braking)
ブレーキを自動的に起動させて運転者に警報を与える動作。
3.23
警報手段(FVCWS warning modalities)
警報を運転者に伝達するために使用される手段。
例 視覚,聴覚,及び/又は触覚。

――――― [JIS D 0802 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
3.24
横方向オフセット(lateral offset)
SVとTVとの中心線を基準としたオフセット量。SVの横幅に対する割合で表す。

4 記号及び略語

  この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。
試験時の最大横加速度
alateralmax
amin SV緊急ブレーキ時の最小減速度
d0 距離計測はできないが,検知できる最小距離
d1 距離を計測できる最小距離
d2 割込み車両との距離を計測できる最小距離
dmax 距離を計測できる最大距離
h 最高地上検知高さ
h1 最低地上検知高さ
RCTT 赤外線反射器に対する試験目標物の反射係数
Tresp 運転者のブレーキ反応時間
Tb ブレーキシステム反応時間
RCS レーダ有効反射断面積
試験開始時の試験車両の速度
Vcirclestart
Vmax システムが作動可能な最大車両速度
Vmin システムが作動可能な最小車両速度
WL 車線幅
WV SVの車両幅
Vrel システムが作動可能である相対車両速度
Vrelmax システムが作動可能である最大相対車両速度
Vrelmin システムが作動可能である最小相対車両速度
vr(t) SVとTVとの間の相対速度
vTV TVの速度
vSV SVの速度
aTV TVの加速度
aSV SVの加速度
注記 上記の略語及び記号で点線の下線を施している個所は,対応国際規格では欠落しているため追
加した。

――――― [JIS D 0802 pdf 7] ―――――

6
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)

5 仕様及び要求事項

5.1 システム機能要件

  FVCWSの目的は,運転者が追突を回避又は被害軽減することを支援する警報を提供することである。
これらの警報は,最も頻度の高い追突を運転者がブレーキだけの操作によって,回避することができるタ
イミングで発することが望ましい。煩わしさ又は間違いと判断されるようなタイミングで警報を発するこ
となく衝突を回避する,又は衝突の被害を軽減するために十分なタイミングで警報を発することが望まし
い。FVCWSは警報だけを提供するものであり,衝突を軽減するための車両制御を実行しない。
SVが,全車速域ACCなどの車両の他のシステムによって自動ブレーキが制御されているとき,FVCWS
は異なる作動をする可能性がある。この状況では,FVCWSは,自動ブレーキシステムの機能を考慮する
ことができる。車両が自動ブレーキ制御中,FVCWSは,警報基準及び警報仕様に従わなくてもよい。

5.2 必須機能

  FVCWSを備える車両は,次の機能を装備する。
− FVの存在を検知する。
− SVに対する,検知したFVの相対位置及び動的位置を決定する。
− SVの速度を決定する。
− SVの進路を推定する(クラスII及びクラスIII : 5.6を参照)。
− FVCWSの機能及び要件に従って運転者に警報を発する。

5.3 動作モデル

  図2は,FVCWSの状態遷移図を示す。
[1--2]
[1-2] スタンバイ(2)
オフ(1)
オフ(1) スタンバイ(2)
[2-1]
[2--1]
[3-1]
[3--1] [3-2]
[3--2] [2-3]
[2--3]
アクティブ(3)
アクティブ(3)
[1-2] エンジン作動中,又はエンジン作動中及びオン/オフスイッチオン(オン/オフスイッチがある場合)
[2-1] イグニションオフ若しくはオン/オフスイッチオフ又は故障状態
[3-1] イグニションオフ若しくはオン/オフスイッチオフ又は故障状態
[2-3] Vmin≦速度≦Vmax,かつ,ギヤが前進位置
[3-2] (Vmin>速度),(速度>Vmax),ギヤがバック位置又はパーキング位置
図2−FVCWS状態遷移図

――――― [JIS D 0802 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
5.3.1 状態の機能説明
FVCWSの各状態で実行される機能について説明する。
5.3.1.1 FVCWSオフ(1)
FVCWSオフ状態では,いかなる警報も発しされない。イグニションオン中の,FVCWSの状態を運転者
が選択できる手段を備えるのは任意である(例 オン/オフスイッチ)。イグニションオフ中,FVCWSは
FVCWSオフ状態に遷移する。自己診断機能が,FVCWSが適切な性能を実現できないと判断した場合は,
常にFVCWSはFVCWSオフ状態に遷移する。
5.3.1.2 FVCWSスタンバイ(2)
FVCWSスタンバイ状態では,いかなる警報も発しされない。この状態では,FVCWSは車両速度及びギ
ヤの位置を監視する。車両速度がFVCWS作動範囲内にあり,ギヤの選択が前進位置(バック及びパーキ
ングを除く全てのギヤ位置)になると,システムはスタンバイ状態からアクティブ状態に遷移する。イグ
ニションオンが完了し,エンジンが作動する,又はエンジンが作動して任意のオン/オフスイッチが“オ
ン”位置になった場合,FVCWSは,FVCWSオフ状態からFVCWSスタンバイ状態に入る。オン条件が満
たされない場合,すなわち,車両速度の値がFVCWS作動範囲外にある,バックギヤが選択されている,
又はパーキングが選択されている場合,FVCWSはアクティブ状態からこの状態に遷移する。
5.3.1.3 FVCWSアクティブ(3)
警報条件が満たされると,常に警報が発しされる。ギヤ選択が前進位置のいずれかにあり,車両速度の
値がFVCWS作動範囲内にある場合,FVCWSはこの状態に遷移する。
5.3.2 作動限界
Vminの値は,最大で11.2 m/sにしなければならない。Vmaxの値は,最小で27.8 m/sとし,SVの最大速度
が,27.8 m/s以下の場合は,SVの最大速度とする。Vrelminの値は,最大で4.2 m/sにしなければならない。
Vrelmaxの値は,最小で20 m/sにしなければならない。

5.4 警報機能要件

  FVCWSは,動いている(“センサが動いていると検出するが,現在は停止しているもの”も含む。)車
両に対する警報を発するものとする。静止している車両(絶対速度が4.2 m/s以下)に対する警報について
は任意である。FVCWS警報は,次の機能に従って発しされる。
5.4.1 障害車両とSVとの間の距離及び相対速度の検出
前方にある障害車両を,光学レーダ,電波レーダ,画像処理装置などの障害物検知機器で検出する。
5.4.2 衝突タイミングの判断
衝突可能性のタイミングを判定するための一つの可能な方法は,SV速度,障害車両までの距離,SVと
障害車両との間の相対速度並びにSV及び障害車両の減速度を推定した結果によるものである。システム
が同時に多数の車両を検出した場合,何の行動もとらなければ,SVが最初に衝突する可能性のあるSVの
予想される軌跡にある一車両を,システムは障害車両として選択しなければならない。
5.4.3 予備衝突警報及び衝突警報(附属書A参照)
FVCWSは,運転者に衝突警報を発しなければならない。予備衝突警報は任意である。予備衝突警報の
目的は,前方衝突の可能性の存在を運転者に知らせることである。この場合,運転者は,追突可能性を回
避するために必要な行動をとる準備をすることが望ましい。システムが衝突警報に先立ってこの警報を発
しようとしたとしても,急速に変化する状況が発生して,その結果,予備衝突警報なしに衝突警報が発せ
られる可能性がある。衝突警報の目的は,差し迫った追突を回避又は低減するために行動をとる必要性を
運転者に知らせることである。

――――― [JIS D 0802 pdf 9] ―――――

8
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
警報は視覚,聴覚及び/又は触覚に訴える手段を単独又は組み合わせて使用する。しかしながら,衝突
警報の場合は,視覚警報並びに聴覚及び/又は触覚に訴える警報が運転者に発しなければならない。
警報はSVと障害車両との間の相対速度,SV速度,車間距離,空走時間(運転者のブレーキ反応時間)
及びSVとFVとの減速度に応じて発しされる。
SVがFVに接近しているとき,警報距離は,要求減速度しきい値に従って決定することが望ましい。も
し,他の警報起動方法を使用する場合はそれと同等の基準に従って決定することが望ましい。

5.5 警報要素要件

5.5.1  FVCWS出力
FVCWSは,運転者に衝突警報を提供するものとする。予備衝突警報は任意である。
5.5.2 警報様式
5.5.2.1 FVCWS衝突警報は,視覚警報,並びに聴覚及び/又は触覚に訴える警報を含まなければならな
い。
5.5.2.2 FVCWS予備衝突警報は,視覚,聴覚又は視覚と聴覚との組合せを含まなければならない。補足
の触覚警報手段は,予備衝突警報では任意である。
5.5.2.3 SVの運転者がブレーキを操作している場合,WBを,衝突警報には使用しないことを推奨する。
5.5.2.4 SVで自動ブレーキが適用されている場合(すなわち,自動ブレーキが作動中である場合),衝突
警報及び予備衝突警報には,WBを使用してもよい。
5.5.2.5 警報ブレーキは,1秒間未満の持続時間で適用しなければならない。結果として,0.5 g未満の減
速度及び2 m/s以下の速度減少でなければならない。警報ブレーキの有効性を保証するため,100ミリ秒間
の平均減速度は0.1 g以上としなければならない。
5.5.2.6 警報音は,容易に聞くことができるとともに,前方向脅威に関係ない警報(例 側方衝突警報)
と容易に識別できるよう,選択されなければならない。
5.5.2.7 FVCWS衝突警報としてシートベルトプリテンショナの作動を使用してもよい。
5.5.3 要求減速度しきい値
5.5.3.1 要求減速度がAreqのしきい値を超えたとき,FVCWSは衝突警報を発しなければならない。しき
い値Areqは,乾燥道路及び温暖な天気条件で(5.5.4の反応時間の値を考慮して),0.68 g以下でなければな
らない。
5.5.3.2 運転者が警報タイミングを調整できるFVCWSは,5.5.3.1の要求減速度しきい値Areq要件を満た
す設定が,調整範囲に含まれなければならない。
5.5.3.3 FVCWSは,より低い要求減速度しきい値にて予備衝突警報を発してもよい。
5.5.3.4 衝突警報及び予備衝突警報の要求減速度しきい値は,検出された道路条件,環境及び運転者の状
態,運転者の挙動及び異なる運転シナリオに基づき,適合させてもよい。
5.5.3.5 SVで自動ブレーキが適用されている場合,自動ブレーキシステム(例 ACCシステム)の最大
減速度機能を超えるよう,Areqの値を変更することは任意である。
5.5.4 反応時間
5.5.4.1 警報に対する運転者の反応時間[運転者のブレーキ反応時間(Tresp)]は,警報タイミングの計
算に組み込むものとする。Tresp値は0.8秒間以上とする。
5.5.4.2 運転者が警報タイミングを調整できるFVCWSは,5.5.4.1のTresp要件を満たす設定が,調整範
囲に含まれなければならない。
5.5.4.3 ブレーキシステム反応時間(Tb)は,要求減速度の計算に組み込んでもよい。ブレーキシステム

――――― [JIS D 0802 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS D 0802:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15623:2013(IDT)

JIS D 0802:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS D 0802:2015の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC6802:2014
レーザ製品の安全基準