JIS D 0802:2015 高度道路交通システム―前方車両衝突警報システム―性能要求事項及び試験方法 | ページ 3

                                                                                              9
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
反応時間値の選択は,FVCWS設計者に委ねられる。
5.5.4.4 運転者のブレーキ反応時間(Tresp)及びブレーキシステム反応時間(Tb)は,SV運転者がブレ
ーキを適用している場合,ゼロに設定してもよい。
5.5.4.5 SVで自動ブレーキが適用されている場合,警報に対する運転者の反応時間[運転者のブレーキ
反応時間(Tresp)]は,要求減速度の計算においてゼロに設定してもよい。
5.5.5 警報禁止要求事項
5.5.5.1 SVの減速度が要求減速度しきい値以上である状況においては,衝突警報及び予備衝突警報を発
してはならない。
5.5.5.2 表1の各クラスに設定された曲率半径要件の道路においては,SVの走行路以外にある障害車両
に対して衝突警報及び予備衝突警報を発してはならない。
5.5.5.3 SVの前方に割り込む車両に関して,その割り込み車両の速度がSVの速度よりも速い場合には衝
突警報及び予備衝突警報を発しないことを推奨する。
5.5.5.4 SVの運転者がブレーキ操作を行っている場合,衝突警報は抑制又は遅延されてもよい。
5.5.5.5 TTCが4.0秒間を超える状況では,衝突警報は抑制又は遅延されてもよい。
5.5.5.6 SVの車線変更若しくは大きな挙動変化が検知された場合,アクセルオーバライド(SVの運転者
がアクセル操作によって自動ブレーキを無効にしている。)が検知された場合,又はACCシステムが最大
能力でブレーキを作動させていることを運転者に知らせる警報が発しされている場合,衝突警報は抑制又
は遅延されてもよい。
5.5.5.7 平常時に用いられるステアリング操作(平均横加速度が3.5 m/s2以下)によってTVとの衝突が
回避可能である状況では,衝突警報は抑制又は遅延されてもよい。
5.5.5.8 5.3.2に規定される作動限界を超える状況では,衝突警報は抑制又は遅延されてもよい。
5.5.6 警報距離の計算例
警報開始が要求される最小距離は,Tresp=0.8秒間及びAreq=6.67 m/s2(3.17に規定のAreq算出式を参照)
に基づき次の式で求めることができる。
2
vr
xc minWarning 8.0vr
2 .6(67aTV )
5.5.7 警報距離計算と等価な警報方法
5.5.6とは異なる警報タイミングの計算方法(例 TTC又はETTC)を用いるシステムも許されるが,そ
のようなシステムも5.5.35.5.5の要求事項を満たさなければならない。

5.6 システムの分類

  FVCWSは,表1のカーブ曲率半径対応能力によって三つのクラスに分類する。
表1−システムの分類
クラス カーブ曲率半径対応能力
I 曲率半径500 m以上
II 曲率半径250 m以上
III 曲率半径125 m以上
クラスIのシステムは,曲率半径500 m以上のカーブ内でSVの進路上に存在する前方障害車両を検知
する能力をもっていなければならない。

――――― [JIS D 0802 pdf 11] ―――――

10
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
クラスIIのシステムは,曲率半径250 m以上のカーブ内でSVの進路上に存在する前方障害車両を検知
する能力をもっていなければならない。
クラスIIIのシステムは,曲率半径125 m以上のカーブ内でSVの進路上に存在する前方障害車両を検知
する能力をもっていなければならない。

5.7 障害車両検知範囲及び検知性能

5.7.1  障害車両検知範囲
5.7.1.1 最小検知範囲(クラスI,クラスII及びクラスIII)
最小検知範囲を図3に示す(記号の説明は表2及び表3を参照)。
図3−検知範囲
5.7.1.1.1 検知距離
検知距離の要求事項は,表2に示す。
表2−検知距離の要求事項
距離 計算式又は数値 摘要
dmax Vrelmax×Tmax+Vrelmax2/2amin
システムが距離を計測できる最大距離
d2 クラスI : 10 m以下 横方向オフセットが20 %未満のFVとの距離
7.5 m以下
クラスII : を計測できる最小距離
5 m以下
クラスIII :
d1 Tmin×Vmin システムが距離を計測できる最小距離
d0 2 m以下 距離計測機能はないが,検知できる最小距離
ここに,
Vrelmax : システムが作動可能である最大相対車両速度(m/s)
Vmin : システムが作動可能な最低車両速度(m/s)
Tmax : 警報後,運転者のブレーキ反応最大時間(s)
Tmin : 警報後,運転者のブレーキ反応最小時間(s)
amin : SV緊急ブレーキ時の最小減速度(m/s2)
Vrelmax及びVminは,車両の製造業者が決定する設計パラメータであり,一方Tmax,Tmin及びaminは,次
の数値(附属書A参照)とする。これらを使用してdmaxとd1とを計算することが望ましい。選択された
検出範囲は,5.5.3及び5.5.4の要求事項を満たすものとする。
Tmax=1.5 s

――――― [JIS D 0802 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
Tmin=0.4 s
amin=3.6 m/s2
5.7.1.1.2 検知幅及び検知高さ
検知幅及び検知高さの要求事項は,表3に示す。
表3−検知幅及び検知高さの要求事項
距離 最小検知幅 検知高さ
dmax WL(車線幅)m h(最高地上検知高さ)=1.1 m
h1(最低地上検知高さ)=0.2 m
d2 WV(SVの車両幅)m h(最高地上検知高さ)=1.1 m
h1(最低地上検知高さ)=0.2 m
d1 規定なし 規定なし
d0 規定なし 規定なし
5.7.1.2 曲率半径に対応した検知範囲
曲率半径に対応した検知範囲の角度は曲率半径に応じて拡大しなければならない(附属書B参照)。
5.7.2 警報距離の精度
警報距離が固定のシステムは,FVCWSの設計警報距離と最大許容誤差(±2 m又は±15 %)の範囲で
警報を発しなければならない。
この要件の反復試験は,周辺環境の違いに起因するシステムの性能によって起こり得る警報距離のばら
つきを排除するため,同一の条件下で実施しなければならない。
なお,警報距離が固定でないシステムとは,その警報タイミングが,例えば,検知された路面状態,道
路環境,運転者の状態,運転操作,運転シナリオなどの関数で決定されるシステムをいう。
5.7.3 TVの識別能力
5.7.3.1 縦方向の識別
SV前面からの距離d1からdmaxまでの検知範囲内に,2台以上の障害車両がある場合,システムはSVの
走行路内で最も近い車両をTVとして選択しなければならない。
5.7.3.2 横方向の識別
SVの走行路内又は隣接した位置に,2台以上の障害車両がある場合,システムはSVの走行路内にある
車両をTVとして選択しなければならない。
5.7.3.3 頭上方向の識別
道路上の4.5 mを超える高さに標識などの頭上の物体がある場合,システムはこれらの物体をTVとし
て選択してはならない。

5.8 カーブでのFVCWS性能

  FVCWSは,直線道路並びにカーブ曲率半径対応能力のクラスIでは500 m以上,クラスIIでは250 m
以上及びクラスIIIでは125 m以上の曲率半径のカーブに存在するSVの走行路内の障害車両に対して警告
する性能をもたなければならない。

5.9 使用者安全要求事項

5.9.1  光学レーダ
光学レーダは,JIS C 6802で規定するクラス1レーザの要求事項を満足しなければならない。

――――― [JIS D 0802 pdf 13] ―――――

12
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
5.9.2 電波レーダ
電波レーダの仕様は,将来制定される国際規格に準拠するものとする。

5.10 ヒューマンインタフェースに関する要求事項

5.10.1 警報の出力仕様
視覚,聴覚及び触覚へ訴える全ての警報は,運転者が知覚可能なものとする。視覚及び聴覚警報につい
ては,表4に示す特性を満たすことを推奨する。
なお,表4の内容は例であり,衝突警報及び予備衝突警報の要求事項は5.5.2に従う。
表4−警報特性
種類 視覚警報 聴覚警報
衝突警報 色 : 赤 音圧 : 高い緊急性を伝えるために,車内の他の全ての聴覚
位置 : SVの運転者の注視視野の方向警報以上の音圧
トーン : 容易に聞くことができ,車内の他の警報と容易に
輝度 : 昼間でも十分な輝度で,かつ,
夜間にまぶしくないもの 識別できるもの
発光間隔 : 短間隔の点滅を推奨 発音間隔 : 短間隔の断続音を推奨
予備衝突警報 色 : 黄色又はアンバー 音圧 : 音圧は周囲の騒音以上とする
輝度 : 日中でも十分に認識でき,かつ, トーン : うるさくない音色
夜間はまぶしくないもの 発音間隔 : 連続音又は長間隔の断続音若しくは単発音
発光間隔 : 連続又は長間隔の点滅
5.10.2 他の警報との干渉
FVCWSが,後方又は側方の障害車両警報システムなどの他の警報システムとともに備えられている場
合であっても,運転者によって明確に警報が識別されなければならない。
5.10.3 システム作動状態の表示
FVCWSの作動状態を明白にする,次のような表示を備えなければならない。
5.10.3.1 作動中の表示
FVCWSが作動していることを運転者に知らせる表示器を備える(例えば,点灯式電源スイッチ)。
5.10.3.2 故障中の表示
FVCWSが故障していることを運転者に知らせる表示器を備える(例えば,表示パネル上への“故障”
の表示)。

5.11 システム限界の周知

  FVCWSの使用者に,取扱説明書,注意ラベルなど適切な手段を使用して,次のようにシステムの限界
を知らせなければならない。
例 “正面衝突,交差点衝突,並びにセンサの能力限界(短曲率半径を含む。)及びシステムの使える
最大速度(Vmax)を超えている場合には,このシステムは利用できません。”

6 検知性能を測定する評価試験方法

6.1 試験目標物の仕様

6.1.1  光学レーダ方式
試験目標物は,代表的な二輪自動車の大きさ,輪郭及び表面形状とともに,二輪自動車で代表される反
射係数(RCTT)で規定する。

――――― [JIS D 0802 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
D 0802 : 2015 (ISO 15623 : 2013)
6.1.2 電波レーダ方式
試験目標物は,二輪自動車で代表されるレーダ有効反射断面積(RCS)で規定する。
注記 実際の使用において自動車用障害車両検知センサの計測距離は比較的短いので,反射板上で平
面レーダ波を得ることは困難である。したがって,RCSは便宜上,実際に使用する距離で実測
した値を用いる。
試験目標物の形状の例を,附属書Dに記載する。
6.1.3 受動型光学式センサ
試験目標物は,代表的な二輪自動車又は乗用車の物理的大きさ,形状及び表面輪郭で規定する。

6.2 周辺環境の条件

  周辺環境の条件は,次のとおりである。
− 試験場は平たんで,乾燥したアスファルト又はコンクリート舗装面とする。
− 外気温度範囲は,−20 ℃40 ℃とする。
− 水平視程は,1 km以上とする。
− 試験は昼光条件の下に行ってもよい。

6.3 検知範囲の試験方法

  検知範囲の試験は,動的試験が実際的であるが静的試験を選択できる。FVCWSは,図4に示すd0d1
間の任意の距離に置いた試験目標物を検知できなければならない。
FVCWSは,図4に示すd1d2間の任意の距離に置いた試験目標物を検知できなければならない。シス
テムは,図4に示されているようにd2とdmaxとの両方の距離に位置する試験目標物を検知できるものとす
る。
図4−検知範囲
センサとECUとが統合されているときなどに特殊な測定機器がないと検知範囲が確認できない場合に,
製造業者は特殊な測定機器を使用してこの試験を実施して検査のための試験結果を提供してもよい。付加
的に,この試験は動的試験を許容するので,この試験方法の目的が果たされるように箇条6の別の試験と
同時に実施されてもよい。例えば,前に規定された試験目標物仕様を満たす試験車両が試験目標物として
使用されてもよい。この試験で規定される様々な距離での衝突警報が適切に作動することは,検知性能を
満足していると考えてもよい。

6.4 警報距離範囲及び精度の試験方法

6.4.1  警報距離範囲試験
TV及びSVは,図5に示すように直線道路の同じ車線上を動いている。TVは速度8±1 m/sで動く。SV
は,速度20±2 m/sで動く。測定される警報距離は,5.5.6で計算された距離以上でなければならない。

――――― [JIS D 0802 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS D 0802:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15623:2013(IDT)

JIS D 0802:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS D 0802:2015の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC6802:2014
レーザ製品の安全基準