JIS E 3801-4:2021 無線式列車制御システム―第4部:無線システムの性能要求事項決定手順

JIS E 3801-4:2021 規格概要

この規格 E3801-4は、無線式列車制御システムに適用する無線システムのための性能要求事項を決定する手順について規定。

JISE3801-4 規格全文情報

規格番号
JIS E3801-4 
規格名称
無線式列車制御システム―第4部 : 無線システムの性能要求事項決定手順
規格名称英語訳
Train control system using radio communication -- Part 4:Procedure to determine the performance requirements for radio systems
制定年月日
2021年5月21日
最新改正日
2021年5月21日
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‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

45.020
主務大臣
国土交通
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2021-05-21 制定
ページ
JIS E 3801-4:2021 PDF [24]
                                                                                 E 3801-4 : 2021

pdf 目 次

ページ

  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義,並びに略語・・・・[1]
  •  3.1 用語及び定義・・・・[1]
  •  3.2 略語・・・・[2]
  •  4 性能要求事項の決定手順の概要・・・・[2]
  •  4.1 一般・・・・[2]
  •  4.2 使用電波に関する前提条件の項目・・・・[3]
  •  4.3 鉄道運行に関する前提条件の項目・・・・[3]
  •  4.4 無線パラメータの項目・・・・[3]
  •  5 使用電波に関する前提条件・・・・[4]
  •  5.1 環境条件・・・・[4]
  •  6 鉄道運行に関する前提条件・・・・[4]
  •  6.1 線区条件・・・・[4]
  •  6.2 運転条件・・・・[5]
  •  6.3 通信条件・・・・[5]
  •  6.4 伝送方式・・・・[6]
  •  7 無線パラメータ・・・・[6]
  •  7.1 一般・・・・[6]
  •  7.2 伝送パラメータ・・・・[6]
  •  7.3 セキュリティパラメータ・・・・[7]
  •  8 システムの前提条件と無線パラメータとの関係について・・・・[7]
  •  8.1 一般・・・・[7]
  •  8.2 環境条件・・・・[8]
  •  8.3 線区条件・・・・[9]
  •  8.4 運転条件・・・・[10]
  •  8.5 通信条件・・・・[11]
  •  8.6 伝送方式・・・・[13]
  •  附属書A(参考)その他の前提条件・・・・[14]
  •  附属書B(参考)異常時の考慮・・・・[21]
  •  参考文献・・・・[22]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS E 3801-4 pdf 1] ―――――

           E 3801-4 : 2021

まえがき

  この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本鉄道電気技術協会(JREEA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出
があり,日本産業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本産業規格である。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS E 3801-4 pdf 2] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
                                                                           E 3801-4 : 2021

無線式列車制御システム−第4部 : 無線システムの性能要求事項決定手順

Train control system using radio communication-Part 4: Procedure to determine the performance requirements for radiosystems

1 適用範囲

 この規格は,無線式列車制御システムに適用する無線システムのための性能要求事項を決定する手順に
ついて規定する。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    IEC 62280,Railway applications−Communication, signalling and processing systems−Safety related
        communication in transmission systems

3 用語及び定義,並びに略語

  この規格で用いる主な用語及び定義,並びに略語は,次による。

3.1 用語及び定義

3.1.1
容量(capacity)
  無線リンクにおいて単位時間当たりに送受信される情報量の最大値。
3.1.2
伝送速度(data rate)
  ある単位周期時間当たりに伝送されるデータ量。
    注記1 通常は,“ビット/秒”又は“バイト/秒”で表す。
    注記2 最小伝送速度は,列車制御システムのために単位時間当たりの送信データの最大量を考慮す
            る必要がある。
3.1.3
暗号化(encryption)
  第三者が解読できないように情報を伝送する方法。
    注記 システム内で送受信される情報の秘匿性を高めるために用いる。

――――― [JIS E 3801-4 pdf 3] ―――――

           2
E 3801-4 : 2021
3.1.4
ハンドオーバ(handover)
  移動局の接続先基地局を隣接基地局へ切り替える方法。
3.1.5
なりすまし対策(measures against masquerading)
  電文の改変又はなりすましを回避するための対策。
    注記 電子認証又は合理性チェックを行う,ネットワークにファイアーウォールを設ける,又は物理
          的に隔離する方法がある。
3.1.6
変調方式(modulation method)
  ベースバンド信号の情報に従ってキャリア信号に変化を与える方式。
    注記 周波数,帯域幅,伝送速度,アンテナパラメータなどで表される伝搬特性を考慮して決定する。
3.1.7
接続数(number of connections)
  ある基地局が同時に通信できる移動局の最大個数。
3.1.8
周期(period)
  物理的な無線インタフェースで使用する二つの連続したメッセージの伝送時間間隔。
3.1.9
サービス品質(quality of service)
  通信品質を示す尺度。
    注記 通信ネットワークのサービス品質評価項目としては,保証されたスループット,ジッタ,遅延
          時間,パケット損失などを用いる。

3.2 略語

ATS : 自動列車停止装置
ATC : 自動列車制御装置
GOA : 自動化の程度
GPS : 全地球測位システム
QoS : サービス品質

4 性能要求事項の決定手順の概要

4.1 一般

  無線式列車制御システムにおける無線システムの性能要求事項の決定では,その性能要求に影響を及ぼ
す可能性のある条件を特定し,システムの適用環境を評価して,これらの条件を性能要求事項に反映する
か判断する必要がある。ここでは,性能要求事項に影響する様々な条件の特定に役立つ手順の概要を示す。
  無線システムの性能要求事項の決定時においては,次の要因を考慮する必要がある。
a) 使用電波に関する前提条件 環境条件
b) 鉄道運行に関する前提条件 線区条件,運転条件,通信条件及び伝送方式
c) 無線パラメータ 伝送パラメータ及びセキュリティパラメータ
  これらの要因は,無線通信システムより上位の,列車制御システムのレベルで定義される,性能要求事

――――― [JIS E 3801-4 pdf 4] ―――――

                                                                                             3
                                                                                 E 3801-4 : 2021
項の表現に対応している必要がある。
  前提条件は,無線パラメータに直接的又は間接的に影響を及ぼす。環境条件,線区条件,運転条件及び
通信条件が伝送パラメータを決定し,伝送方式がセキュリティパラメータを決定する。これらの前提条件
が,無線システムの性能要求事項を決定する。前提条件が入力となり,無線パラメータがその出力となる。
  これらの関係を,図1に示す。また,前提条件及び無線パラメータの項目は,4.2以降に示す。
  前提条件については箇条5及び箇条6,無線パラメータについては箇条7に定義する。また,箇条8に
はそれらの相互関係の要点を示す。
                              図1−性能要求事項に影響を与える要素

4.2 使用電波に関する前提条件の項目

4.2.1 環境条件
  障害物,気象条件及び電磁障害がある。

4.3 鉄道運行に関する前提条件の項目

4.3.1 線区条件
  線区最高速度,線路条件(トンネルなど),線区構成及び駅構成がある。
4.3.2 運転条件
  設計上の最小運転時隔及び1制御エリア当たりの最大列車数(一度に制御可能な列車本数)がある。
4.3.3 通信条件
  最大許容通信損失,ネットワーク遅延時間,伝送周期,スループット,制御エリア及び保守条件がある。
4.3.4 伝送方式
  オープン又はクローズド伝送がある。

4.4 無線パラメータの項目

4.4.1 伝送パラメータ
  周期,容量(スループットなど),接続数,ハンドオーバ,周波数,帯域幅,伝送速度,変調方式及び伝
送路の種類がある。
4.4.2 セキュリティパラメータ
  暗号化及びなりすまし対策がある。

――――― [JIS E 3801-4 pdf 5] ―――――

           4
E 3801-4 : 2021
    注記 列車制御システムのためのその他の運転条件及びシステム条件を附属書A及び附属書Bに示
           す。

5 使用電波に関する前提条件

5.1 環境条件

5.1.1 一般
  この細分箇条では,無線式列車制御システムを利用する上で,鉄道事業者が考慮すべき電波に関して制
限となる環境条件について規定する。列車制御システムに適用する無線システムの周波数,変調方式及び
容量の伝送パラメータ決定に当たっては,次の環境条件を考慮する必要がある。
5.1.2 障害物
  列車制御に利用する無線システムの性能に影響を与える可能性のある地物[ビル,橋りょう(梁),擁壁,
地形など]をいう。
  電波,アンテナの種類及び配置を決定するに当たっては,電波の確実な送受信が行えるよう,沿線の障
害物の形状及び位置を考慮する必要がある。障害物によるマルチパス伝搬は,フェージング及びシャドー
イングを引き起こし,弱電界エリアが発生する可能性がある。
  沿線の建造物の条件は,以後の周辺地域開発によって変化する可能性がある。
  山及び河川の存在及び起伏といった地形的な特徴は,電波の到達距離又は吸収特性に影響を与える可能
性がある。
  このような地形的条件は,経年による自然環境の変化(樹木の成長,自然災害など)といった意図しな
い変化をする可能性がある。
  これらの条件は,アンテナの特性,配置及び数の決定に対してアンテナの設置及び保守と同様に影響を
与える。
5.1.3 気象条件
  列車制御に利用する無線システムの性能に影響を与える可能性のある気象をいう。
  特に,周波数によっては,降雨,降雪,雷及び霧が電波伝搬に影響し,受信した無線信号の品質に影響
する可能性がある。
5.1.4 電磁障害
  周囲の設備(高電圧設備,電力線,高周波設備,電子スイッチングデバイスなど)内のノイズ源が,デ
ータの伝送品質に影響を与える可能性のあることをいう。列車制御に利用する以外の無線設備,又は業務
用無線などの移動無線からの干渉などもある。
  これらの環境は,逐次変化する。

6 鉄道運行に関する前提条件

6.1 線区条件

6.1.1 一般
  この細分箇条では,無線式列車制御システムを利用する上で,鉄道事業者が考慮すべき無線パラメータ
に影響を与える線区条件について規定する。列車制御システムに適用する無線システムの周波数,変調方
式及び容量の伝送パラメータ決定に当たっては,次の線区条件を考慮する必要がある。
6.1.2 線区最高速度
  鉄道事業者が定めた線路網上の一定の区間(以下,線区という。)における最高速度をいう。線区最高速

――――― [JIS E 3801-4 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
                                                                                 E 3801-4 : 2021
度を決定する要因として,線路の構造,車両の性能などの物理的制約のほか,サービスのタイプ又は周辺
環境への配慮などのサービス上の制約などがある。
6.1.3 線路条件
  無線通信に影響を与える構造物(トンネルなど)の線路条件をいう。例えば,トンネルの場合は,トン
ネルの線路上の位置及び長さ,トンネルの構造(トンネル断面の形状,曲線·勾配·縦曲線などの三次元
的な形状など),トンネル壁面の材質,トンネル内の設置物の有無などが線路条件となる。トンネル以外の
構造物としては,曲線区間における切取斜面及び障害物がある。
6.1.4 線区構成
  単線,複線,複々線などの駅間の線路形状のことをいう。制御エリア又は伝送方式の種類などの決定時
に影響を与える可能性がある。
6.1.5 駅構成
  駅の規模及び構造のことをいう。駅の規模とは,無線の到達範囲に影響を与える駅の物理的な広さのほ
か,システムの容量に影響を与える可能性のある配線,プラットホーム数及び駅の広さ(同時在線列車数
に関係)を示す。駅の構造とは,無線の電界強度に影響を与える可能性のある高架構造,地下構造,多層
構造などの条件のことを示す。

6.2 運転条件

6.2.1 一般
  この細分箇条では,無線式列車制御システムを利用する上で,鉄道事業者が考慮すべき運転条件につい
て規定する。列車制御システムに適用する無線システムの周波数,変調方式及び容量の伝送パラメータ決
定に当たっては,次の運転条件を考慮する必要がある。
6.2.2 設計上の最小運転時隔
  線路形状,ブレーキ性能,列車長及び列車制御システムを考慮して達成された,続行する2本の列車の
時間間隔の最小値をいう。
6.2.3 1制御エリア当たりの最大列車数
  無線式列車制御システムの制御対象となるエリア内に同時に在線することがある制御対象列車の本数を
いう。制御対象となるエリアを幾つかに分割して制御する場合,最大列車数は,その分割されたエリアご
とに定める(図2参照)。
                            図2−エリアが分割された場合の最大列車数

6.3 通信条件

6.3.1 一般
  この細分箇条では,無線式列車制御システムを利用する上で,無線パラメータに影響を与える通信条件

――――― [JIS E 3801-4 pdf 7] ―――――

           6
E 3801-4 : 2021
について規定する。列車制御システムに適用する無線システムの周波数,変調方式及び容量の伝送パラメ
ータ決定に当たっては,次の通信条件を考慮する必要がある。
6.3.2 最大許容通信損失
  通信状態が劣化又は遮断となった最大の期間(秒)で,列車制御システムの性能を低下させないものを
いう。
6.3.3 ネットワーク遅延時間
  ネットワーク·データ·パケットがソース·ノードからネットワークに転送された瞬間から,意図した
目的ノードに到達するまでの経過時間をいう。
6.3.4 伝送周期
  一つの列車制御装置から,対象の列車に,メッセージを伝送する最低限の時間間隔をいう。
6.3.5 スループット
  1列車当たりで評価する列車制御システムの車上と地上との構成要素間における列車制御に関するデー
タの交換頻度をいう。地上から車上方向のスループットは,車上から地上方向のスループットとは独立で
ある。
6.3.6 制御エリア
  地上と車上との間で無線による列車制御に関わる情報の伝送を行うエリアをいう。制御エリアは,全線,
区間及び駅に分類することができる。
  全線は,沿線の全ての場所において,無線による地上と車上との間の情報伝送が可能となる場合を示す。
  区間は,沿線のある区間において,無線による地上と車上との間の情報伝送が可能となる場合を示す。
  駅は,駅においてだけ,無線による地上と車上との間の情報伝送が可能となる場合を示す。このエリア
には駅近傍,例えば,場内信号機及び出発信号機から駅中間に向けて一定距離の通信が可能な状態を含む。
6.3.7 保守条件
  線路及び沿線設備の保守のための車両並びに作業員に対する条件をいう。安全性を確保するための列車
速度制御を行う場合,特定の機能を考慮する場合がある(沿線の保守作業員と無線伝送を使って通信し,
作業区間内の情報を通信する機能など)。

6.4 伝送方式

  要求される伝送の種類はIEC 62280に基づく,オープン伝送又はクローズド伝送をいう。

7 無線パラメータ

7.1 一般

  無線システムの性能要求事項の決定時においては,7.2及び7.3のパラメータによって決定する。

7.2 伝送パラメータ

  次に記載する伝送に関するパラメータは,無線システムの性能を決定付ける諸量のうち,システムの諸
条件を満たすため,調整するためのパラメータである。
a) 周期
b) 容量
c) 接続数
d) ハンドオーバ
e) 周波数
f) 帯域幅

――――― [JIS E 3801-4 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
                                                                                 E 3801-4 : 2021
g) 伝送速度
h) 変調方式
i) 伝送路の種類

7.3 セキュリティパラメータ

  次に記載するセキュリティパラメータは,システムへの侵入に対する対応方法を取り扱うためのパラメ
ータである。
a) 暗号化
b) なりすまし対策

8 システムの前提条件と無線パラメータとの関係について

8.1 一般

  無線式列車制御システムの具体的性能要求事項の決定には,前提条件と無線パラメータとの詳細項目の
関連性を考慮することが必要である。ここでは,それらの関連性の要点を表1に示し,SR又はRとした
項目の詳細については,8.2以降に規定する。
                       表1−前提条件と無線パラメータとの相関マトリックス
                                                            無線パラメータ−出力
                                                                                      セキュリ
                                                               伝送
                                                                                        ティ
                                             周 容  接  ハ 周  帯 伝  変 伝  暗  な
                                             期 量  続  ン 波  域 送  調 送  号  り
                前提条件−入力                       数  ド 数  幅 速  方 路  化  す
                                                           オ          度  式 の       ま
                                                           ー                   種       し
                                                           バ                   類       対
                                                                                           策
                                              1   2  3   4  5   6   7  8   9  10 11
            障害物                       1  R  −  −  R  R  −  R   R  SR  − −
 環境条件  気象条件                     2  R  −  −  R  R  −  R   R   R  − −
            電磁障害                     3  R  −  −  R  R  −  R   R  SR  − −
            線区最高速度                 4  − −  − SR  R  −  −  R  −  − −
            線路条件                     5  R   R  R   R  R  −  R   R  SR  − −
 線区条件
            線区構成                     6  − SR  SR −  − −  −  − −  − −
            駅構成                       7  R  SR  SR −  − −  −  − SR  − −
            設計上の最小運転時隔         8  − SR  SR SR  −  R  −  − −  − −
 運転条件
            1制御エリア当たりの最大列車数 9 SR  SR  SR −  −  R  −  − −  − −
            最大許容通信損失            10  − −  SR SR  SR −  − SR  SR  − −
            ネットワーク遅延時間        11 SR  SR  SR  R  SR −  SR SR  SR  − −
            伝送周期                    12 SR  SR  SR SR  SR SR  SR SR  SR  − −
 通信条件
            スループット                13 SR  SR  SR SR  SR SR  SR SR  SR  − −
            制御エリア                  14  − −  SR −  − −  −  − −  − −
            保守条件                    15  R   R  R  −  − −  −  − −  − −
 伝送方式  要求される伝送の種類        16  − −  − −  − −  −  − −  SR SR
 SR : 前提条件と性能要求事項とが直接的な関係
  R : 前提条件と性能要求事項とが間接的な関係
 − : 前提条件と性能要求事項とで無関係

――――― [JIS E 3801-4 pdf 9] ―――――

           8
E 3801-4 : 2021

8.2 環境条件

8.2.1 障害物と伝送パラメータとの関係
8.2.1.1 周期
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界のエリアでは,
電文が破損する確率(パケットロスや電文誤りなど)が増大する可能性がある。より小パケットにするこ
とで短周期での伝送が可能となる。
8.2.1.2 ハンドオーバ
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,伝送パラメータによっ
ては弱電界のエリアでは,沿線の基地局間隔が狭くなる可能性がある。そのため,ハンドオーバ処理の信
頼度低下に加え,頻繁なハンドオーバ発生を考慮する。
8.2.1.3 周波数
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界のエリアでは,
無線周波数帯域の要求される性能(通信距離,伝送速度など)を満たすように選定する。
8.2.1.4 伝送速度
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界のエリアでは,
伝送速度は要求される通信容量を満たすよう考慮する。
8.2.1.5 変調方式
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界のエリアでは,
適切な変調方式を選定する。
8.2.1.6 伝送路の種類
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界のエリアでは,
必要なQoSを確保するように,伝送路の種類及び機器の設置条件(アンテナの指向性,配置など)を考慮
する。
8.2.2 気象条件と伝送パラメータとの関係
8.2.2.1 周期
  弱電界のエリアでは,電文が破損する確率(パケットロス,電文誤りなど)が増大する可能性がある。
より小さいパケットにすることで短周期での伝送が可能となる。
8.2.2.2 ハンドオーバ
  弱電界のエリアでは,複数個所において沿線の基地局間隔をより狭くすることが望ましく,ハンドオー
バ発生頻度の上昇,及びハンドオーバ処理の信頼性の低下を考慮する。
8.2.2.3 周波数
  フェージングによって,弱電界となるエリアでは,無線周波数帯域は,要求される性能(通信距離,伝
送速度など)を満たすように選定する。
8.2.2.4 伝送速度
  弱電界のエリアでは,伝送速度は要求される通信容量を満たすように考慮する。
8.2.2.5 変調方式
  弱電界のエリアでは,適切な変調方式を選定する。
8.2.2.6 伝送路の種類
  弱電界のエリアでは,必要なQoSを確保するように,伝送路の種類及び機器の設置条件(アンテナの指
向性,配置など)を考慮する。

――――― [JIS E 3801-4 pdf 10] ―――――

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8.2.3 電磁障害と伝送パラメータとの関係
8.2.3.1 周期
  弱電界のエリアでは,電文が破損する確率(パケットロス,電文誤りなど)が増大する可能性がある。
より小パケットにすることで短周期での伝送が可能となる。
8.2.3.2 ハンドオーバ
  沿線の無線到達範囲が減少し,通信が遮断される可能性がある。この対策としては,沿線の基地局間隔
を狭める。
  しかしながら,沿線の基地局間隔を狭めすぎると,ハンドオーバが非常に頻繁に起こるため,ハンドオ
ーバ処理の信頼度の低下を考慮する。
8.2.3.3 周波数
  干渉を回避するため使用する無線周波数帯域を考慮する。
8.2.3.4 伝送速度
  干渉を受ける区間は,干渉によって引き起こされるパケット損失によって,列車制御応答に対する実効
の伝送速度が減少する。そのため,伝送速度は要求される通信容量を満たすように考慮する。また,変調
方式によっては,パケット損失を軽減するために,伝送速度を減少させる。
8.2.3.5 変調方式
  干渉の影響が考えられる場合には,変調方式を考慮する。
8.2.3.6 伝送路の種類
  干渉を受けることが考えられる区間でも,必要なQoSを確保するように,伝送路の種類及び機器の設置
条件(アンテナの指向性,配置など)を考慮する。

8.3 線区条件

8.3.1 線区最高速度と伝送パラメータとの関係
8.3.1.1 ハンドオーバ
  線区最高速度の高速化によるハンドオーバ中の接続切替え時間への影響を考慮する。
8.3.1.2 周波数
  線区最高速度の高速化によるフェージング及びドップラーシフトの影響を考慮する。
8.3.1.3 変調方式
  線区最高速度の高速化によるフェージング及びドップラーシフトの影響に配慮して,変調方式を考慮す
る。
8.3.2 線路条件と伝送パラメータとの関係
8.3.2.1 周期
  線路条件(トンネル又は曲線部でアンテナ毎の伝送エリアが狭くなる区間など)によって,遮蔽及びマ
ルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界となることが考えられるエリ
アでは,電文が破損する確率(パケットロスや電文誤りなど)が増大する可能性がある。より小パケット
にすることで短周期での伝送が可能となる。
8.3.2.2 容量
  線路条件(トンネル又は曲線部でアンテナ毎の伝送エリアが狭くなる区間など)によって電界が弱くな
り,通信容量が減少することが考えられる。これらの場合には容量の増強を考慮する(帯域幅の拡大及び
/又は伝送速度の増加など)。

――――― [JIS E 3801-4 pdf 11] ―――――

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E 3801-4 : 2021
8.3.2.3 接続数
  線路条件(トンネル又は曲線部でアンテナ毎の伝送エリアが狭くなる区間など)によって弱電界の区間
では,接続数が減少することが考えられ,必要な列車と通信できるように接続数を考慮する。
8.3.2.4 ハンドオーバ
  地形条件によって,弱電界のエリアでは,沿線の基地局間隔が狭くなるおそれがあり,ハンドオーバ頻
度の上昇及びハンドオーバ処理の信頼度の低下を考慮する。
8.3.2.5 周波数
  使用する無線周波数帯域と通信距離との関係(使用帯域への,周辺環境の影響など)を考慮する。
8.3.2.6 伝送速度
  線路条件(トンネル又は曲線部でアンテナ毎の伝送エリアが狭くなる区間など)によって弱電界の区間
では,伝送速度が低下することが考えられ,必要な伝送速度で通信を行えるよう考慮する。
8.3.2.7 変調方式
  地形条件によってフェージングの影響が考えられる場合には,変調方式を考慮する。
8.3.2.8 伝送路の種類
  線路条件(トンネル又は曲線部でアンテナ毎の伝送エリアが狭くなる区間など)によって弱電界の区間
では,必要なQoSを確保できるように,伝送路の種類及び機器の設置条件(アンテナの指向性,配置など)
を考慮する。
8.3.3 線区構成と伝送パラメータとの関係
8.3.3.1 容量
  複数の軌道が平行して配置されているような線区構成の場合には,同時に多数の列車との通信が必要に
なる場合が多い。そのため,同時最大制御列車数を考慮して通信容量を決定する。
8.3.3.2 接続数
  複数の軌道が平行して配置されているような線区構成の場合には,同時に多数の列車との通信が必要に
なる場合が多い。そのため,最大制御列車数を取り扱うために必要な周期で地上と車上との間の通信がで
きるように,接続数を決定する。
8.3.4 駅構成と伝送パラメータとの関係
8.3.4.1 周期
  遮蔽及びマルチパスに起因したフェージング及び/又はシャドーイングのため,弱電界のエリアでは,
電文が破損する確率(パケットロス,電文誤りなど)が増大する可能性がある。より小さいパケットにす
ることで短周期での伝送が可能となる。
8.3.4.2 容量
  障害物及び屋根がある場合は,通信品質が低下し電文が破損する確率(パケットロスや電文誤りなど)
が増加して,通信の障害の発生も懸念されるため,駅の構造を考慮して通信容量を決定する。
8.3.4.3 接続数
  同時に複数列車が停車する場合は,複数列車との通信が必要になる。最大制御列車数を制御するために
必要な周期で地上と車上との間の通信ができるように,接続数を決定する。
8.3.4.4 伝送路の種類
  障害物及び屋根がある場合は,駅の構造を考慮して,伝送路の種類を選定する。

8.4 運転条件

8.4.1 設計上の最小運転時隔と伝送パラメータとの関係

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8.4.1.1 容量
  設計上の最小運転時隔に依存する必要な編成数と通信できるように,容量を考慮する。
8.4.1.2 接続数
  設計上の最小運転時隔に依存する必要な編成数と通信できるように,接続数を考慮する。
8.4.1.3 ハンドオーバ
  設計上の最小運転時隔の短縮に伴い単位時間当たりのハンドオーバ処理頻度が上昇するため,ハンドオ
ーバ処理の信頼性の低下を考慮する。
8.4.1.4 帯域幅
  設計上の最小運転時隔に依存する必要な編成数を制御できる接続数を確保するため,帯域幅を考慮する。
8.4.2 1制御エリア当たりの最大列車数と伝送パラメータとの関係
8.4.2.1 周期
  制御エリアに対し必要な最大列車数と通信できるように周期を考慮する。
8.4.2.2 容量
  制御エリアに対し必要な最大列車数と通信できるように容量を考慮する。
8.4.2.3 接続数
  制御エリアに対し必要な最大列車数と通信できるように接続数を考慮する。
8.4.2.4 帯域幅
  制御エリアに対し最大列車数を制御できる接続数を確保できるように帯域幅を考慮する。

8.5 通信条件

8.5.1 最大許容通信損失と伝送パラメータとの関係
8.5.1.1 接続数
  通信損失を生じさせないように,接続数は無線の容量を超過しないよう考慮する。
8.5.1.2 ハンドオーバ
  ハンドオーバ中の通信損失が接続切替え時間を考慮した最大許容通信損失以下となるように,ハンドオ
ーバを決定する。
8.5.1.3 周波数
  通信損失に与える影響が最小化するように,周波数を決定する。
8.5.1.4 変調方式
  最大許容通信損失を考慮して,十分な伝送速度などが確保できるように,変調方式を選定する。
8.5.1.5 伝送路の種類
  最大許容通信損失を考慮して,必要なQoSが確保できるように,伝送路の種類を選定する。
8.5.2 ネットワーク遅延時間と伝送パラメータとの関係
8.5.2.1 周期
  ネットワーク遅延時間を考慮して,周期を決定する。
8.5.2.2 容量
  常に制御される最大列車数を考慮したネットワーク遅延時間要求を満たすように,容量を決定する。
8.5.2.3 接続数
  一度に制御される最大列車数を考慮したネットワーク遅延時間要求を満たすように,接続数を決定する。
8.5.2.4 ハンドオーバ
  ハンドオーバ中の接続切替え時間を考慮したネットワーク遅延時間要求を満たすように,ハンドオーバ

――――― [JIS E 3801-4 pdf 13] ―――――

           12
E 3801-4 : 2021
を決定する。
8.5.2.5 周波数
  使用する周波数の特性(通信距離,伝送速度など)を考慮してネットワーク遅延時間を補償できるよう
に,周波数を決定する。
8.5.2.6 伝送速度
  ネットワーク遅延時間を満たすように,伝送速度を考慮する。
8.5.2.7 変調方式
  ネットワーク遅延時間に対して要求される伝送速度を満たすように,変調方式を選定する。
8.5.2.8 伝送路の種類
  ネットワーク遅延時間を考慮して,必要なQoSが確保できるように,伝送路の種類を選定する。
8.5.3 伝送周期と伝送パラメータとの関係
8.5.3.1 周期
  伝送周期及び最大接続数と両立するように,周期を決定する。
8.5.3.2 容量
  常に制御される最大列車数を考慮した伝送周期を確保できるように,容量を決定する。
8.5.3.3 接続数
  制御エリアに対する最大列車数を考慮した伝送周期を確保できるように,接続数を決定する。
8.5.3.4 ハンドオーバ
  ハンドオーバ中の接続切替え時間を考慮した伝送周期を確保できるように,ハンドオーバを決定する。
8.5.3.5 周波数
  伝送周期に対して要求された伝送速度を達成するように,変調方式との組合せで周波数を決定する。
8.5.3.6 帯域幅
  制御エリアに対する最大列車数を考慮し,伝送周期に対して十分な数の接続を確保できるように,帯域
幅を考慮する。
8.5.3.7 伝送速度
  伝送周期に対して十分な伝送速度が確保できるように,伝送速度を考慮する。
8.5.3.8 変調方式
  伝送周期に対して要求された伝送速度を達成するように,周波数との組合せで変調方式を選定する。
8.5.3.9 伝送路の種類
  伝送周期に対して必要なQoSが確保できるように,伝送路の種類を選定する。
8.5.4 スループットと伝送パラメータとの関係
8.5.4.1 周期
  要求されるスループットが満たされるように,周期を決定する。周期が減少すると,パケット管理のた
めのオーバヘッドが増えるため,スループットが減少する。
8.5.4.2 容量
  常に制御される最大列車数を考慮したスループットを確保できるように,容量を決定する。
8.5.4.3 接続数
  制御エリアに対する最大列車数を考慮したスループットを確保できるように,接続数を決定する。
8.5.4.4 ハンドオーバ
  ハンドオーバ中の接続切替え時間を考慮したスループットを確保できるように,ハンドオーバを決定す

――――― [JIS E 3801-4 pdf 14] ―――――

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る。
8.5.4.5 周波数
  要求されるスループットを達成するように,変調方式との組合せで周波数を決定する。
8.5.4.6 帯域幅
  制御エリアに対する最大列車数を考慮し,スループットに対して十分な伝送速度を確保できるように,
帯域幅を考慮する。
8.5.4.7 伝送速度
  要求されたスループットを達成するように,伝送速度を考慮する。
8.5.4.8 変調方式
  スループットに対して十分な伝送速度などが確保できるように,変調方式を選定する。
8.5.4.9 伝送路の種類
  スループットに対して必要なQoSが確保できるように,伝送路の種類を選定する。
8.5.5 制御エリアと伝送パラメータとの関係
8.5.5.1 接続数
  制御エリアを全線とするシステムの場合,全線にわたり,システム上要求される最大列車数を考慮した
接続数を決定する。
  制御エリアをある一部の区間とするシステムの場合,そのエリアにおいてシステム上要求される最大列
車数を考慮した接続数を決定する。
  制御エリアを駅構内及び駅近傍とするシステムの場合,そのエリアにおいてシステム上要求される最大
列車数を考慮した接続数を決定する。
8.5.6 保守条件と伝送パラメータとの関係
8.5.6.1 周期
  沿線の保守作業員及び保守用車の情報の授受に要求される最大応答時間を満足するため,周期を考慮す
る。
8.5.6.2 容量
  複数作業員が同時に通信する場合,データの増加を処理するためには,容量を考慮する。
8.5.6.3 接続数
  複数作業員が同時に通信する場合,データの増加を処理するためには,接続数を考慮する。

8.6 伝送方式

8.6.1 要求される伝送の種類とセキュリティパラメータとの関係
8.6.1.1 暗号化
  オープン伝送を用いる場合,秘匿性が低いので適切なセキュリティ対策(暗号化)を施す。
8.6.1.2 なりすまし対策
  オープン伝送を用いる場合,悪意ある攻撃に関連する列車制御伝送への侵入を防ぐため,適切ななりす
まし対策を行う。

――――― [JIS E 3801-4 pdf 15] ―――――

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JIS E 3801-4:2021の国際規格 ICS 分類一覧

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