JIS E 3802:2012 自動運転都市内軌道旅客輸送システム(AUGTシステム)―安全要求事項

JIS E 3802:2012 規格概要

この規格 E3802は、専用軌道上を走行する,添乗員付き又は自走式自動列車運転を伴うAUGTシステムの高水準な安全要求事項について規定。

JISE3802 規格全文情報

規格番号
JIS E3802 
規格名称
自動運転都市内軌道旅客輸送システム(AUGTシステム)―安全要求事項
規格名称英語訳
Automated urban guided transport (AUGT) -- Safety requirements
制定年月日
2012年11月7日
最新改正日
2017年10月25日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

IEC 62267:2009(IDT)
国際規格分類

ICS

45.060
主務大臣
国土交通
JISハンドブック
鉄道 2019
改訂:履歴
2012-11-07 制定日, 2017-10-25 確認
ページ
JIS E 3802:2012 PDF [54]
                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[2]
  •  2 引用規格・・・・[4]
  •  3 用語,定義及び略語・・・・[4]
  •  3.1 用語及び定義・・・・[4]
  •  3.2 略語・・・・[7]
  •  4 方法論・・・・[7]
  •  4.1 システムの定義及び適用条件・・・・[8]
  •  4.2 システム全体での危険源分析・・・・[8]
  •  4.3 安全要求事項・・・・[9]
  •  5 システムの説明・・・・[9]
  •  5.1 駅・・・・[9]
  •  5.2 列車・・・・[10]
  •  5.3 駅間軌道・・・・[10]
  •  5.4 システム境界・・・・[12]
  •  6 保護すべき対象・・・・[12]
  •  6.1 人・・・・[12]
  •  6.2 財産・・・・[13]
  •  7 同定された危険状態及び適用可能な安全防護策・・・・[13]
  •  7.1 軌道の監視・・・・[14]
  •  7.2 旅客乗降の監視・・・・[17]
  •  7.3 列車の運転・・・・[19]
  •  7.4 非常事態の検出及び管理の確保・・・・[20]
  •  8 安全要求事項・・・・[23]
  •  8.1 一般的安全要求事項・・・・[23]
  •  8.2 AUGTシステムの監視・・・・[25]
  •  8.3 運転規則・・・・[27]
  •  8.4 プラットホーム上の安全防護策・・・・[29]
  •  8.5 列車における安全防護策・・・・[34]
  •  8.6 旅客乗降用区域の安全防護策・・・・[38]
  •  8.7 軌道に関する安全防護策・・・・[42]
  •  8.8 自動運転と非自動運転との切換え区域内及び車両基地の安全防護策・・・・[45]
  •  9 使用上の情報・・・・[46]
  •  10 在来システムで運行する既存線からDTO又はUTOへの高度化に関する個別の安全要求事項・・・・[47]
  •  11 安全性の検証・・・・[47]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS E 3802 pdf 1] ―――――

E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)

pdf 目次

ページ

  •  11.1 文書化及び責任・・・・[48]
  •  11.2 検証プロセス・・・・[48]
  •  附属書A(参考)OCCの役割・・・・[50]

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS E 3802 pdf 2] ―――――

                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄道電気技術協会(JREEA)及
び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出が
あり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 3)

――――― [JIS E 3802 pdf 3] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                          JIS
                                                                              E 3802 : 2012
                                                                            (IEC 62267 : 2009)

自動運転都市内軌道旅客輸送システム(AUGTシステム)−安全要求事項

Automated urban guided transport (AUGT)-Safety requirements

序文

 この規格は,2009年に第1版として発行されたIEC 62267を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
  なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
  この規格は,自動運転都市内軌道旅客輸送システム(以下,AUGTシステムという。)に適合する安全
要求事項を規定するに当たって,鉄道事業者及び安全監理当局の助けとなるよう推奨事項を提示する一般
ガイドラインである。この規格が推奨する一般要求事項は,現在既に稼働中のAUGTシステムから得られ
た経験に基づいている。しかしながら,各個別の適用事例についての安全要求事項は,AUGTシステムが
構築されるべき条件を考慮し,また,特定地域の環境で広く用いられているリスク受入れ原則に基づいて,
リスク分析の結果だけから規定することができる。AUGTシステムに関する包括的リスク分析の実施に適
用すべき規格は,IEC 62278(RAMS)である。
  新しいAUGTシステムには多様な技術的解決方策が採用される可能性があること,また,運用の条件も
多様であることから,この規格で取り扱う一般的な危険状態のリストは,あくまでも最小限のリストと考
えなければならない。この規格に規定する安全防護策の要求事項は,該当する危険状態を緩和するために
個別の安全防護策を適用するときの最低限の要求事項であることを意図している。しかし,固有のリスク
分析は,選ばれた安全防護策の幾つかの要求が,幾つかの特定の条件を考慮するために修正されなければ
ならないことを示す場合がある。また,新しいAUGTシステムそれぞれの個別の設計並びに新しいAUGT
システムを取り巻く個別の地理的条件,自然環境,社会的環境,及び法的環境の各方面から,新しい危険
源が生じる可能性があり,そのために追加的な安全要求事項が求められる場合もある。したがって,常に,
追加的な要求事項又は修正対象となる要求事項を識別する個別の危険源分析が必須である。
  それゆえに,この規格は,危険状態から発生するリスクを間違いなしに緩和し得る何らかの具体的手段
を規定するものではなく,また,これを規定することはできない。この規格は,在来システムにおいて運
転士及び係員が担っていた機能が,AUGTシステムで自動機能又は他の安全防護策によって代替されると
いう基本的な想定から導かれる,予見可能な危険状態のリストを同定している。新しいAUGTシステムに
ついて実施されるリスク分析に際して,このリストを注意深く考慮してもらうことがこの規格の目的であ
る。
  この規格は,一般的な危険状態に加えて,対策として適用可能な安全防護策,及び広く実施されている
安全防護策を規定している。これについては,個別のリスク分析の結果として,個別の適用事例に適応す
るように修正するのが明らかに妥当という場合もある。

――――― [JIS E 3802 pdf 4] ―――――

2
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
  既に世界で運転中の多数の異なるAUGTシステムの中の一つ以上において同定された全ての危険状態
が,この規格で必ずしも取り扱われたわけではない点に留意する必要がある。また,仮に全て網羅したと
しても直ちにそれが実効的であることを示すものではないであろう。さらに,個別の適用事例について要
求される適用可能な安全防護策の全てをこの規格で規定し尽くすことはできない。
  この規格は,同定された全ての一般的な危険状態に安全防護策が実施されることを要求してはいない。
これは,しばしば,危険状態及び関連するリスクが,安全防護策を必要とせず許容できると評価されるこ
とがあり得るからである。IEC 62278によると,具体的AUGT適用事例に適用できるそれらの具体的リス
ク受入れ基準及び法的要求事項を考慮に入れながら,各々のリスクの許容性及び特定の安全防護策の必要
性に関して決めることは,鉄道事業者の責任である。これは,管轄権がある安全監理当局との合意に従う。

1 適用範囲

  この規格は,専用軌道上を走行する,添乗員付き又は自走式自動列車運転を伴うAUGTシステムの高水
準な安全要求事項について規定する。
    注記 この規格における“専用軌道上を走行する”列車の走行方式は,鉄輪,ゴムタイヤ,リニアな
          ど,その種類を問わない広い意味で用いる。
  この規格では,列車運転の機能(表1を参照)の一部又は全てについて本来責任を負う運転士又は添乗
員が不在であることを補償するために,システムの自動化の度合に応じて必要とされる安全要求事項だけ
を取り扱う(表1の網掛け部分を参照,及び自動化の各程度の定義については3.1を参照)。
  この規格の要求事項は,箇条5に規定する輸送システム,並びにそれぞれ3.1.4と3.1.20とに定義する
DTO及びUTOに適用を限定する(表1の網掛け部分を参照)。

――――― [JIS E 3802 pdf 5] ―――――

                                                                                              3
                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
                                       表1−自動化の度合
                                           目視      非自動     半自動    添乗員付き    自動
           列車運転の基本機能            列車運転   列車運転   列車運転      自動     列車運転
                                                                           列車運転
                                           TOS        NTO        STO         DTO        UTO
                                          GOA0       GOA1        GOA2       GOA3       GOA4
 列車の安全   安全な進路の確保          X(分岐器
 な走行の確                             はシステム     S           S          S          S
 保                                     側で指令及
                                        び制御され
                                        る)
              安全な列車間隔の確保          X          S           S          S          S
              安全な速度の確保                     X(一部は
                                            X      システムに      S          S          S
                                                   よる監視)
 走行制御     力行及び制動の制御            X          X           S          S          S
 軌道の監視   障害物との衝突の防止          X          X          X           S          S
              人との接触の防止              X          X          X           S          S
 旅客乗降の   旅客用乗降口の扉の制御        X          X          X        X又はS        S
 監視         車両間又はプラットホームと    X          X          X        X又はS        S
              列車との間の人身傷害の防止
              安全な出発条件の確保          X          X          X        X又はS        S
 列車の運転   営業運転の開始及び終了        X          X          X           X          S
              列車状態の監視                X          X          X           X          S
 非常事態の   列車診断の実行,火災又は煙    X          X          X           X      S及び/又
 検出及び管   の検出,脱線の検出,非常事                                             はOCC内
 理の確保     態への対処(通報又は避難,                                                係員
              監視)
 注記
 X=運輸係員の責任(システム側によって実現される場合もある。)
 S=技術システムの責任
  この規格では,セキュリティの問題を特に取り扱わない。しかしながら,安全要求事項の各側面は,輸
送システム内でセキュリティを確保する任務にそのまま適用してもよい。
    注記1 “セキュリティ”とは不合理な人間の行為に対する鉄道システムの抗力を特徴付ける要素で
            あり,“安全”とは許容できない危害が発生するリスクがないことである(IEC 62278を参照)。
  この規格の適用は,鉄道事業者及び安全監理当局(IEC 62278を参照)との責任の下にあり,また,次
の内容を考慮したうえで,輸送システムを取り巻く(経済的,社会的,政治的その他の)環境内で適用さ
れる特定の法令を遵守する。
− 文化の相違,国内法的規制[例えば,省令,BOStrab(参考文献参照)]又はリスク受入れ原理(例え
    ば,GAME,ALARP)の相違による社会的リスク受入れ
      注記2 上記の省令は参考文献を参照。
− 国の違いによる法令
      注記3 日本では鉄道営業法が該当する。
− 安全監理当局又は特定の適用を担当する独立の査定者によって規定された,特別又は異なる要求事項
− 鉄道事業者による“安全な運用”の責任

――――― [JIS E 3802 pdf 6] ―――――

4
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
  鉄道事業者によって別途要求される場合を除いて,次に示す種類の輸送システムはこの規格の適用外で
ある。
− 空港,商業センタ,行楽地などの特別な環境内で稼働するAPM(自動旅客輸送手段 : Automated People
    Movers)
− 一般的に,旅客が同じ場所で乗降する,駅が1か所であることを特徴とする遊園地の乗り物及びロー
    ラコースタ
− 一般的に,郊外環境を路線の一部とする都市間及び幹線鉄道
− ケーブル駆動システム
− 光センサ,磁気センサ,又は同種の装置及びシステムを搭載する案内操だ(舵)車両を特徴とするシ
    ステム
  この規格は,システムの建設,設置,改修,及び解体の作業中に生じるリスクを対象としない。
  この規格は,この規格の制定前に設計された,既存のDTO又はUTOシステム(3.1の定義を参照)を
対象としない。
  既存輸送システムからDTO又はUTOシステムへ高度化する場合に,既存のシステムに付随するリスク
は,この規格の適用範囲外である。ただし,この規格及びここに規定するリスク分析プロセスは,追加の
サブシステム及び必要であれば移行プロセス自体に関連する。したがって,この規格の適用は,安全監理
当局の裁量に属する。
  稼働中の既存DTO又はUTOシステムの拡張又は改修の場合については,安全監理当局の判断によって
当該変更が重大とされる場合だけ,この規格の適用対象となる。ただし,既存システムの変更のない部分
(例えば,車両,き電電力供給,信号,及びプラットホーム)との関係によって生じるリスクを考慮に入
れなければならない。
    注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
             IEC 62267:2009,Railway applications−Automated urban guided transport (AUGT)−Safety
                requirements(IDT)
              なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
            ことを示す。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
    IEC 62278:2002 Railway applications−Specification and demonstration of reliability, availability,
        maintainability and safety (RAMS)

3 用語,定義及び略語

  この規格で用いる主な用語,定義及び略語は,次による。

3.1 用語及び定義

3.1.1
自動運転都市内軌道旅客輸送システム,AUGTシステム(Automated Urban Guided Transport,AUGT)
  専用軌道上を走行し,自走式,かつ,軌道によって案内される車両を使用する(次に定義される)運転
士なし又は完全無人運転のシステム。

――――― [JIS E 3802 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
3.1.2
在来システム(conventional system)
  TOS,NTO又はSTOで運用されるシステム。
3.1.3
閉扉状態に保持(doors closed and locked)
  旅客が扉を開けることができない状態。
3.1.4
添乗員付き自動列車運転,DTO(Driverless Train Operation,DTO)
  運輸係員が列車に添乗はするが,力行又は制動操作を行わず,かつ,列車前方の軌道を目視して危険状
態の場合に列車を停止させることにも責任を負わない列車運転。扉の閉鎖を含めて,駅からの安全な列車
出発は,運輸係員の任務とする場合と技術システムが責任を担う場合とがある。
3.1.5
専用軌道(exclusive guideway)
  他のタイプの輸送システムに支障を与えずに,専ら単一の輸送システムにだけ使用されることを意図し
た軌道。
    注記 この規格における“軌道”はその種類(鉄輪,ゴムタイヤ,リニアなど)を問わない,広い意
          味で用いられる。
3.1.6
自動化の度合(grade of automation)
  列車運転の特定の基本機能について運輸係員と技術システムとの間で責任を分担することによる列車運
転の自動化レベル。
3.1.7
建築限界(guideway clearance)
  線路に対して相対的に定義される,線路周囲のあらかじめ定めた空間。各運転条件の下で,走行する列
車が,この空間の外に位置する人間又は物と接触することが完全に不可能であるように定義される。
    注記 この規格では,人間又は物が,建築限界の内に位置した場合には,走行する列車と接触する可
          能性があることを意味する。
3.1.8
非自動列車運転,NTO(Non-automated Train Operation,NTO)
  運転士(すなわち,列車を運転する係員)が,先頭車両の運転台に乗務して,軌道を目視して危険状態
において列車を停止させる列車運転。力行及び制動は,地上信号又は車内信号に従って,運転士が制御す
る。信号システムは,運転士の運転操作結果の監視を行う。この監視が,不連続的か,準連続的か,又は
連続的かは適用されたシステムによる。閉扉を含めて,駅からの安全な列車出発は,列車に乗務している
又は駅のプラットホームで勤務に従事している運輸係員の責任である。
    注記 この文章における“運転士の運転操作結果の監視”は速度監視の意味である。
3.1.9
目視列車運転,TOS(On Sight Train Operation,TOS)
  運転士が全面的に責任を負い,したがって,運転士の運転操作結果を監視・制御するために技術システ
ムが要求されない列車運転。ただし,ポイント(分岐器)及び単線区間の制御については,部分的にシス
テムによって監視・制御される場合もある。

――――― [JIS E 3802 pdf 8] ―――――

6
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
3.1.10
運行指令所,OCC(Operations Control Centre,OCC)
  線区又は路線網の運行の監視及び管理を行う指令所。
3.1.11
客室(passenger cabin)
  旅客を輸送するために使用される車両の部分。
3.1.12
旅客乗降用区域(passenger transfer area)
  プラットホーム上の待機用区域と列車との間に位置し,乗降時に旅客が通行することを目的とする,建
築限界に直に隣接するプラットホームの区域。
3.1.13
旅客用乗降口の扉(passenger transfer door)
  客室と駅のプラットホームとの間で,旅客の乗降口となる列車の乗降口の扉。危険状態時(例えば,火
災,有害ガス発生時など)には非常出口としても使用できる。
3.1.14
プラットホームに沿う線路(platform track)
  駅内のプラットホームの前に位置する線路部分(図2を参照)。
3.1.15
プラットホーム上の待機用区域(platform waiting area)
  接近する列車を旅客が待機するためのプラットホーム上の区域。旅客乗降用区域によって建築限界から
隔てられている。
3.1.16
安全空間(safety space)
  人が身を守ることができ,走行する列車によって危害を及ぼされない,建築限界の脇の区域。
3.1.17
半自動列車運転,STO(Semi-automated Train Operation,STO)
  運輸係員が,先頭車両の運転台に乗務して,軌道を目視して危険状態の場合に列車を停止させる列車運
転。力行と制動は自動化され,速度は,システムによって連続的に監視・制御される。駅からの安全な列
車出発は,列車に乗務している又は駅のプラットホームで業務に従事している運輸係員の責任である。
3.1.18
切換え区域(transfer area)
  自動化区域と非自動化区域との間で列車の運転方式の切換えが行われる区域。
    注記 “自動化区域”はDTO及びUTOモードを対象とする要求に適合する区域であり,“非自動化
          区域”はそれ以外の区域である。
3.1.19
鉄道事業者,TA(Transport Authority,TA)
  輸送システムの安全で秩序ある運行に責任を負う機関。
    注記 安全面に関して,“鉄道事業者”(Transport Authority)の用語は,IEC 62278に使用される“鉄
          道事業者”(Railway Authority)の用語と同義である。

――――― [JIS E 3802 pdf 9] ―――――

                                                                                              7
                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
3.1.20
自動列車運転,UTO(Unattended Train Operation,UTO)
  運輸係員が乗務しない列車運転(全ての機能について技術システムが責任を担う)。
    注記 ここでの自動列車運転は乗務員の付かない自動運転の方式であり,JIS E 3013で規定される“自
          動列車運転装置”とは区別される。いわゆる“無人運転”である。
3.1.21
ゼロ速度状態(zero speed status)
  列車が停止しているとシステムが判断するために,列車速度が既定の制限値未満であることを示す安全
関連情報。

3.2 略語

  ALARP                                  (As Low As Reasonably Practicable)
    注記 ALARPとは,“合理的で実用可能な限り低く”を意味するイギリスのリスク受入れ原理
  AUGT 自動運転都市内軌道旅客輸送        (Automated Urban Guided Transport)
  DTO     添乗員付き自動列車運転         (Driverless Train Operation)
  GAME                                   (Globalement Au Moins Equivalent)
          (“全世界的には少なくとも等しい”を意味するフランスの安全原理)
  GOA     自動化の度合                   (Grade Of Automation)
  NTO     非自動列車運転                 (Non-automated Train Operation)
  OCC     運行指令所                     (Operations Control Centre)
  SRA     安全監理当局                   (Safety Regulatory Authority)
  STO     半自動列車運転                 (Semi-automated Train Operation)
  TA      鉄道事業者                     (Transport Authority)
  TOS     目視列車運転                   (On-sight Train Operation)
  UTO     自動列車運転                   (Unattended Train Operation)

4 方法論

  この規格に示す一般安全要求事項を導くに当たって用いた方法論は,IEC 62278に規定するライフサイ
クルの段階の原則に基づいている。次に示す図1は,システムライフサイクルのV字形表現であり,この
手法の各種作業を網掛けで示している。

――――― [JIS E 3802 pdf 10] ―――――

8
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
   個別のAUGT適用事例の
       ライフサイクル
                         この規格の一般的
         構想                 取組み
        システムの           システムの
     定義及び適用条件     定義及び適用条件
                                                            運用及び保守    改修及び追加
                              システム全体での
             リスク分析
                                 危険源分析                      性能の監視   廃止及び処分
                                                    システムの
                  システム         安全要求           受入れ
                  要求事項           事項
                                                システムの妥当性確認
                   システム要求事項の         (安全性の受入れ及び
                         割当て                コミッショニングを含む)
                          設計及び実行       設置
                                      製造
            図1−この規格で取り扱うライフサイクルの段階(IEC 62278の図10を参照)
  この方法論による作業(図1の網掛け部分)の流れは次のとおりである。
− 一般的AUGTシステムとその適用条件を定義する。
− 全体システムレベルで,危険源分析を実施する。
− 安全要求事項を導き出す。
  上記作業について,次に概要を説明する。

4.1 システムの定義及び適用条件

  箇条5では,一般的AUGTシステム,サブシステム,それらの境界,及び適用条件を規定する。ここで
考慮の対象となる列車運転の基本的機能は,専らDTO及びUTOの下で取り扱われる機能だけであり,表
1に網掛けで示した部分である。システムの定義によって,一般的危険源分析の基礎となる適用条件が明
確化され,具体的適用事例との比較が可能となる。

4.2 システム全体での危険源分析

  箇条5に規定する一般的システムについて,システム全体での危険源分析については実施した。
  この規格の適用上,危険源分析は,次の内容とする。
− 危険状態の判定
− 同定された危険状態について想定される原因の識別
− 適用可能な安全防護策の割当て
  ここで考慮の対象となる危険状態は,次の条件下でAUGTシステムに生じる危険状態である。
− 先頭車両の運転台に列車運転士が乗務しない(すなわちDTO)
− いかなる運輸係員も列車に乗務しない(すなわちUTO)

――――― [JIS E 3802 pdf 11] ―――――

                                                                                              9
                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)

4.3 安全要求事項

  システム全体での危険源分析の結果として,先頭車両の運転台に列車運転士が乗務しないこと,又はい
かなる運輸係員も乗務しないことを補うことが可能な,適用可能な安全防護策が同定されており,これを
箇条7に列記する。表2表9に列記する各安全防護策について,箇条8では,それぞれに対応する安全
要求事項を明示する。これらの安全防護策及び要求事項には,現在稼働中の複数の自動運転システムから
収集された運転経験の共通部分も反映されている。
  この規格では,安全防護策の選択について,また,受入れ可能な残留リスクのレベルについて規定する
ことはしない。これらは,各地域の安全文化に応じて異なる。安全政策若しくは安全目標を設定する業務,
又は安全受入れ基準若しくはリスク許容性基準を設定する業務は,その適用について管轄権をもつ所管
SRAの責任である。どのような安全要求事項が導かれるかに応じて,結果的に,残留リスクのレベルはお
そらくそれぞれに異なる場合がある。したがって,どのように対処するかは,所管SRAのリスクを許容で
きるかどうかの判断による。

5 システムの説明

  AUGTシステムは,次に該当するシステムである。
− 駅間の旅客輸送を担う。
− 自動化された自走式列車を使用する。
− 専用軌道上を走行する。
− 他の交通から独立した列車運転を可能とする。
− 安全な列車の走行の条件を提供する。
  図2に点線で示したサブシステム(駅,列車及び駅間軌道)及びその境界について,次の細分箇条で説
明する。

5.1 駅

  駅とは,公共的な場と列車との間の移動(すなわち乗車又は降車)によって,システムを旅客が利用で
きるようにする場所である。
  サブシステムとしての駅は,図2に示すように,幾つかの区域に区分される。その各区域は次のように
定義する。
− プラットホーム上の待機用区域 : この規格の適用上,人が走行する列車から危害を受けることのない
    安全と認められる区域であり,プラットホーム上の待機用区域は,定義上,この規格の適用範囲外で
    ある。
− 旅客乗降用区域(プラットホーム縁端区域) : プラットホーム上の待機用区域と列車との間で,旅客の
    乗降に使用される区域であり,この区域では,走行する列車との接触又は転落によって旅客が危険に
    さらされる可能性がある。
− 確実に輸送するために,走行する列車が使用するプラットホームに沿う線路。

――――― [JIS E 3802 pdf 12] ―――――

10
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
                                  プラットホーム上の待機用区域
                                        旅客乗降用区域
                                           建築限界
                                    プラットホームに沿う線路
  サブシステム
      境界
                                   図2−駅サブシステムの境界

5.2 列車

  軌道内を運行し,通常は軌道に沿って走行し,旅客の乗降のために駅に停車するサブシステムで,列車
は次のいずれかに該当する。
− 1両の車両
− ユニットを構成し,通常運行時には分割できない,複数の車両から組成
− 通常運行時に分割可能な,複数の車両又はユニットから組成
  列車サブシステムは,次のように区分する。
− 客室 : 列車の安全な走行が確保され,列車に支障を及ぼす(例えば,走行路上の障害物),又は旅客に
    支障を及ぼす(例えば,火災)外部の事象に対して適切な安全防護策が講じられている場合に安全区
    域として定義する。
− 設けられている場合は,乗務員(運転)室
− 旅客用乗降口の扉
− 設けられている場合は,その他の列車扉又は特別に設けられた非常出口
  駆動部,台車,及び客室をもつ列車自体は,機械的及び電気的な列車構造の一般的要求が満たされ,車
輪が安全に案内される場合,安全と解釈される。これは,この規格の適用範囲外である。
  駆動・制動システム,台車,車両案内走行設備,信号システム,客室の機械的及び電気的側面,通信シ
ステム,及び他のIEC安全規格によって取り扱われる列車サブシステムのその他同種の要素で構成される
列車機器は,この規格の適用範囲外である。しかしながら,列車機器の機能設計要求事項は,この規格に
提示する安全要求事項によって決定又は影響される場合がある。
  “列車の安全な走行の確保”基本機能(表1を参照)は,運輸係員が列車に乗務するか否かにかかわら
ず,表1のNTOからUTOまで全ての自動化の度合に共通する代表的機能であり(IEC 62290-1を参照),
したがって,この規格の適用範囲外である。

5.3 駅間軌道

  サブシステムとしての駅間軌道(図3図5参照)は,次のように区分する。
− 地上施設の要素(例えば,橋りょう,トンネル,高架橋,線路) : この要素は,安全な建造物(固定シ
    ステム)又は,車輪が安全に案内されるなどの要求事項が遵守されている場合に限り,安全とみなさ
    れる。解釈上,この要素は,この規格の適用範囲外である。
− 建築限界

――――― [JIS E 3802 pdf 13] ―――――

                                                                                             11
                                                                   E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
− 特別の救出上の理由で設けられている場合,非常出口を含む軌道の安全空間
      A駅                                                                             B駅
                                 歩行路(任意)
                                                                  建築限界
                                             線路
                                                                  建築限界
  サブシステム                         安全空間(任意)
      境界
                                                            非常出口(任意)
                              図3−“駅間軌道”サブシステムの境界
  この規格において,平面交差は,駅間軌道の一部とみなす。
  平面交差は,この規格の適用範囲内である(図4参照)。
    注記 “平面交差”とは,道路交通と交差する場合,踏切道を意味する。
       A駅                                            平面交差                        B駅
                                    踏切遮断機
                                                                           建築限界
                                 線路
                                                                   建築限界
                    安全空間(任意)
     サブシス
     テム境界
                       図4−平面交差のある“駅間軌道”サブシステムの境界
  側線(図5参照)は,軌道の中で,特に次の目的に使用する部分である。
− 旅客輸送に使用されないときの列車の留置
− 運用を終了した列車の受入れ,及び運用への列車の投入
− 運行中の折り返し運転の実施

――――― [JIS E 3802 pdf 14] ―――――

12
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
                                             サブシステム境界
           A駅
                                                                         歩行路
                                                 側線
                                           線路
                                                 建築限界
                                            安全空間(任意)
                         図5−側線のある“駅間軌道”サブシステムの境界

5.4 システム境界

  システムには,次も含む。
− 保守用作業車両
− 車両基地の自動運転区間
− 自動運転区間と非自動運転区間との間のインタフェース
− OCC
− 軌道に沿ったき電電力設備
  特に次の項目は,システムに含まない。
− 駅(ただし,旅客乗降用区域は除く)
− エレベータ,エスカレータなど
− トンネル,橋りょう及び構造物
− 自動運転を実施しない区域(例えば,検修場)
− 軌道沿いの設備を除く配電システム

6 保護すべき対象

  個別の適用事例のリスク分析の一部として実施される危険源の同定に際しては,次の人及び財産が危険
源にさらされることについて考慮しなければならない。

6.1 人

  当該システム内において,人は,旅客,公衆,及び外部からの救援組織を含む係員に分類される。
6.1.1  旅客
  駅から駅まで移動するためにシステムを利用する人で,(例えば,料金を支払うことによって)システム
を利用する権利をもつ者,又は(例えば,所管TAによって)システムを利用することを許可された者。
特定の時点においてシステムを利用する人々(利用者)は,自身の意思によって利用していると想定され
る。
  旅客によっては認識,移動能力,及び危険状態に反応する能力に差がある場合がある。利用者について
は,次のことが考えられる。

――――― [JIS E 3802 pdf 15] ―――――

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JIS E 3802:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62267:2009(IDT)

JIS E 3802:2012の国際規格 ICS 分類一覧

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