JIS E 3802:2012 自動運転都市内軌道旅客輸送システム(AUGTシステム)―安全要求事項 | ページ 2

                                                                                              3
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
表1−自動化の度合
目視 非自動 半自動 添乗員付き 自動
列車運転の基本機能 列車運転 列車運転 列車運転 自動 列車運転
列車運転
TOS NTO STO DTO UTO
GOA0 GOA1 GOA2 GOA3 GOA4
列車の安全 安全な進路の確保 X(分岐器
な走行の確 はシステム S S S S
保 側で指令及
び制御され
る)
安全な列車間隔の確保 X S S S S
安全な速度の確保 X(一部は
X システムに S S S
よる監視)
走行制御 力行及び制動の制御 X X S S S
軌道の監視 障害物との衝突の防止 X X X S S
人との接触の防止 X X X S S
旅客乗降の 旅客用乗降口の扉の制御 X X X X又はS S
監視 車両間又はプラットホームと X X X X又はS S
列車との間の人身傷害の防止
安全な出発条件の確保 X X X X又はS S
列車の運転 営業運転の開始及び終了 X X X X S
列車状態の監視 X X X X S
非常事態の 列車診断の実行,火災又は煙 X X X X S及び/又
検出及び管 の検出,脱線の検出,非常事 はOCC内
理の確保 態への対処(通報又は避難, 係員
監視)
注記
X=運輸係員の責任(システム側によって実現される場合もある。)
S=技術システムの責任
この規格では,セキュリティの問題を特に取り扱わない。しかしながら,安全要求事項の各側面は,輸
送システム内でセキュリティを確保する任務にそのまま適用してもよい。
注記1 “セキュリティ”とは不合理な人間の行為に対する鉄道システムの抗力を特徴付ける要素で
あり,“安全”とは許容できない危害が発生するリスクがないことである(IEC 62278を参照)。
この規格の適用は,鉄道事業者及び安全監理当局(IEC 62278を参照)との責任の下にあり,また,次
の内容を考慮したうえで,輸送システムを取り巻く(経済的,社会的,政治的その他の)環境内で適用さ
れる特定の法令を遵守する。
− 文化の相違,国内法的規制[例えば,省令,BOStrab(参考文献参照)]又はリスク受入れ原理(例え
ば,GAME,ALARP)の相違による社会的リスク受入れ
注記2 上記の省令は参考文献を参照。
− 国の違いによる法令
注記3 日本では鉄道営業法が該当する。
− 安全監理当局又は特定の適用を担当する独立の査定者によって規定された,特別又は異なる要求事項
− 鉄道事業者による“安全な運用”の責任

――――― [JIS E 3802 pdf 6] ―――――

4
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
鉄道事業者によって別途要求される場合を除いて,次に示す種類の輸送システムはこの規格の適用外で
ある。
− 空港,商業センタ,行楽地などの特別な環境内で稼働するAPM(自動旅客輸送手段 : Automated People
Movers)
− 一般的に,旅客が同じ場所で乗降する,駅が1か所であることを特徴とする遊園地の乗り物及びロー
ラコースタ
− 一般的に,郊外環境を路線の一部とする都市間及び幹線鉄道
− ケーブル駆動システム
− 光センサ,磁気センサ,又は同種の装置及びシステムを搭載する案内操だ(舵)車両を特徴とするシ
ステム
この規格は,システムの建設,設置,改修,及び解体の作業中に生じるリスクを対象としない。
この規格は,この規格の制定前に設計された,既存のDTO又はUTOシステム(3.1の定義を参照)を
対象としない。
既存輸送システムからDTO又はUTOシステムへ高度化する場合に,既存のシステムに付随するリスク
は,この規格の適用範囲外である。ただし,この規格及びここに規定するリスク分析プロセスは,追加の
サブシステム及び必要であれば移行プロセス自体に関連する。したがって,この規格の適用は,安全監理
当局の裁量に属する。
稼働中の既存DTO又はUTOシステムの拡張又は改修の場合については,安全監理当局の判断によって
当該変更が重大とされる場合だけ,この規格の適用対象となる。ただし,既存システムの変更のない部分
(例えば,車両,き電電力供給,信号,及びプラットホーム)との関係によって生じるリスクを考慮に入
れなければならない。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62267:2009,Railway applications−Automated urban guided transport (AUGT)−Safety
requirements(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
IEC 62278:2002 Railway applications−Specification and demonstration of reliability, availability,
maintainability and safety (RAMS)

3 用語,定義及び略語

  この規格で用いる主な用語,定義及び略語は,次による。

3.1 用語及び定義

3.1.1
自動運転都市内軌道旅客輸送システム,AUGTシステム(Automated Urban Guided Transport,AUGT)
専用軌道上を走行し,自走式,かつ,軌道によって案内される車両を使用する(次に定義される)運転
士なし又は完全無人運転のシステム。

――――― [JIS E 3802 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
3.1.2
在来システム(conventional system)
TOS,NTO又はSTOで運用されるシステム。
3.1.3
閉扉状態に保持(doors closed and locked)
旅客が扉を開けることができない状態。
3.1.4
添乗員付き自動列車運転,DTO(Driverless Train Operation,DTO)
運輸係員が列車に添乗はするが,力行又は制動操作を行わず,かつ,列車前方の軌道を目視して危険状
態の場合に列車を停止させることにも責任を負わない列車運転。扉の閉鎖を含めて,駅からの安全な列車
出発は,運輸係員の任務とする場合と技術システムが責任を担う場合とがある。
3.1.5
専用軌道(exclusive guideway)
他のタイプの輸送システムに支障を与えずに,専ら単一の輸送システムにだけ使用されることを意図し
た軌道。
注記 この規格における“軌道”はその種類(鉄輪,ゴムタイヤ,リニアなど)を問わない,広い意
味で用いられる。
3.1.6
自動化の度合(grade of automation)
列車運転の特定の基本機能について運輸係員と技術システムとの間で責任を分担することによる列車運
転の自動化レベル。
3.1.7
建築限界(guideway clearance)
線路に対して相対的に定義される,線路周囲のあらかじめ定めた空間。各運転条件の下で,走行する列
車が,この空間の外に位置する人間又は物と接触することが完全に不可能であるように定義される。
注記 この規格では,人間又は物が,建築限界の内に位置した場合には,走行する列車と接触する可
能性があることを意味する。
3.1.8
非自動列車運転,NTO(Non-automated Train Operation,NTO)
運転士(すなわち,列車を運転する係員)が,先頭車両の運転台に乗務して,軌道を目視して危険状態
において列車を停止させる列車運転。力行及び制動は,地上信号又は車内信号に従って,運転士が制御す
る。信号システムは,運転士の運転操作結果の監視を行う。この監視が,不連続的か,準連続的か,又は
連続的かは適用されたシステムによる。閉扉を含めて,駅からの安全な列車出発は,列車に乗務している
又は駅のプラットホームで勤務に従事している運輸係員の責任である。
注記 この文章における“運転士の運転操作結果の監視”は速度監視の意味である。
3.1.9
目視列車運転,TOS(On Sight Train Operation,TOS)
運転士が全面的に責任を負い,したがって,運転士の運転操作結果を監視・制御するために技術システ
ムが要求されない列車運転。ただし,ポイント(分岐器)及び単線区間の制御については,部分的にシス
テムによって監視・制御される場合もある。

――――― [JIS E 3802 pdf 8] ―――――

6
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
3.1.10
運行指令所,OCC(Operations Control Centre,OCC)
線区又は路線網の運行の監視及び管理を行う指令所。
3.1.11
客室(passenger cabin)
旅客を輸送するために使用される車両の部分。
3.1.12
旅客乗降用区域(passenger transfer area)
プラットホーム上の待機用区域と列車との間に位置し,乗降時に旅客が通行することを目的とする,建
築限界に直に隣接するプラットホームの区域。
3.1.13
旅客用乗降口の扉(passenger transfer door)
客室と駅のプラットホームとの間で,旅客の乗降口となる列車の乗降口の扉。危険状態時(例えば,火
災,有害ガス発生時など)には非常出口としても使用できる。
3.1.14
プラットホームに沿う線路(platform track)
駅内のプラットホームの前に位置する線路部分(図2を参照)。
3.1.15
プラットホーム上の待機用区域(platform waiting area)
接近する列車を旅客が待機するためのプラットホーム上の区域。旅客乗降用区域によって建築限界から
隔てられている。
3.1.16
安全空間(safety space)
人が身を守ることができ,走行する列車によって危害を及ぼされない,建築限界の脇の区域。
3.1.17
半自動列車運転,STO(Semi-automated Train Operation,STO)
運輸係員が,先頭車両の運転台に乗務して,軌道を目視して危険状態の場合に列車を停止させる列車運
転。力行と制動は自動化され,速度は,システムによって連続的に監視・制御される。駅からの安全な列
車出発は,列車に乗務している又は駅のプラットホームで業務に従事している運輸係員の責任である。
3.1.18
切換え区域(transfer area)
自動化区域と非自動化区域との間で列車の運転方式の切換えが行われる区域。
注記 “自動化区域”はDTO及びUTOモードを対象とする要求に適合する区域であり,“非自動化
区域”はそれ以外の区域である。
3.1.19
鉄道事業者,TA(Transport Authority,TA)
輸送システムの安全で秩序ある運行に責任を負う機関。
注記 安全面に関して,“鉄道事業者”(Transport Authority)の用語は,IEC 62278に使用される“鉄
道事業者”(Railway Authority)の用語と同義である。

――――― [JIS E 3802 pdf 9] ―――――

                                                                                              7
E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
3.1.20
自動列車運転,UTO(Unattended Train Operation,UTO)
運輸係員が乗務しない列車運転(全ての機能について技術システムが責任を担う)。
注記 ここでの自動列車運転は乗務員の付かない自動運転の方式であり,JIS E 3013で規定される“自
動列車運転装置”とは区別される。いわゆる“無人運転”である。
3.1.21
ゼロ速度状態(zero speed status)
列車が停止しているとシステムが判断するために,列車速度が既定の制限値未満であることを示す安全
関連情報。

3.2 略語

  ALARP                                  (As Low As Reasonably Practicable)
注記 ALARPとは,“合理的で実用可能な限り低く”を意味するイギリスのリスク受入れ原理
AUGT 自動運転都市内軌道旅客輸送 (Automated Urban Guided Transport)
DTO 添乗員付き自動列車運転 (Driverless Train Operation)
GAME (Globalement Au Moins Equivalent)
(“全世界的には少なくとも等しい”を意味するフランスの安全原理)
GOA 自動化の度合 (Grade Of Automation)
NTO 非自動列車運転 (Non-automated Train Operation)
OCC 運行指令所 (Operations Control Centre)
SRA 安全監理当局 (Safety Regulatory Authority)
STO 半自動列車運転 (Semi-automated Train Operation)
TA 鉄道事業者 (Transport Authority)
TOS 目視列車運転 (On-sight Train Operation)
UTO 自動列車運転 (Unattended Train Operation)

4 方法論

  この規格に示す一般安全要求事項を導くに当たって用いた方法論は,IEC 62278に規定するライフサイ
クルの段階の原則に基づいている。次に示す図1は,システムライフサイクルのV字形表現であり,この
手法の各種作業を網掛けで示している。

――――― [JIS E 3802 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS E 3802:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62267:2009(IDT)

JIS E 3802:2012の国際規格 ICS 分類一覧