JIS E 3802:2012 自動運転都市内軌道旅客輸送システム(AUGTシステム)―安全要求事項 | ページ 10

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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
8.7.1 分離された軌道
専用するための軌道分離は,次の細分箇条のどちらを適用してもよい。
8.7.1.1 物理的に分離された軌道
公衆が軌道に入るのを防止するため,駅間軌道には,物理的な柵又は壁(側壁,上部構造物その他の対
策)を備えなければならない。当該構造物が非常脱出用又は保守用の扉を備えている場合,扉は施錠され
監視されなければならない。
8.7.1.2 法的規定による分離された軌道
法的規定による軌道の分離は,残留リスクが受け入れられないとSRAが判断する場合を除き,十分であ
るとみなされなければならない。
8.7.2 軌道に沿った警告手段
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,プラットホーム端部から線路に入り,軌道に沿っ
て進むことに伴う特定の危険について旅客の注意喚起のため,プラットホーム端部に警告手段(例えば,
案内,標識,及び表示)を備えなければならない。
8.7.3 線路に沿った物理的障壁
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,軌道への侵入を阻止するため駅間軌道に沿って物
理的な柵又は壁(例えば,フェンス,及び側壁)を備えなければならない。
個別の障壁の要求事項は,各適用事例について,関連規格に適合するか,又はTA及び/又はSRAが指
定しなければならない。
8.7.4 橋りょう脇の物理的障壁
軌道の上方の橋りょうについては,異物が線路上に落下するのを防止するため,橋りょう脇に物理的な
柵(例えば,格子,網及びフェンス)又は壁を備えなければならない。
橋りょうの個別の障壁の要求事項は,各適用事例について,関連規格に適合するか,又はTA及び/又
はSRAが指定しなければならない。
8.7.5 プラットホームに沿う線路と駅間軌道との間の侵入検出装置
この侵入検出システムは,プラットホームに沿う線路から駅間軌道に旅客が入るのを検出する。
プラットホームが閉鎖式プラットホームである場合,旅客の駅間軌道への立ち入りが発生する可能性は
非常に小さい。したがって,この場合には,この侵入検出装置は不要である。
個別のAUGT適用事例のリスク分析によって適切と認められる場合には,無断立ち入りに対して反応す
る侵入検出装置を備えなければならない。
検出装置を備えた開放式プラットホームの施設及び設備が,この侵入検出動作を実行する場合もある。
この場合,次の項目を適用する。
− 大半の単純な適用事例の場合,プラットホームに沿う線路防護の検出対象区域から警報が作動したと
き,隣接する駅間軌道に人が立ち入って危険の生じていることも想定しなければならない。
− 隣接線路への立ち入りが起きていないことを確認できる追加手段が用意されている場合には,隣接す
る駅間軌道内の運転の自動停止も回避可能である。例えば,軌道に沿って隔離された非常用通路が確
保されている場合は,旅客は危険な区域にいないとしてよい。
警報メッセージをOCC係員に通報しなければならない。
列車から軌道への旅客の立ち入りに対する対策については,8.5.1及び8.5.3を参照するのがよい。

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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
8.7.6 軌道侵入検出装置
駅間軌道が物理的に完全分離されていない箇所では,軌道侵入検出装置を備えることが安全防護対策と
なり得る。軌道への公衆の立ち入りが検出されたときは,公衆が立ち入った区間内に所在する又はその区
間に接近する全ての列車を停止させなければならない(8.7.1参照)。
プラットホーム外及び駅間軌道について,“駅間”区域の軌道への人の立ち入りが検出されたときに列車
の運転を停止させる対策を講じなければならない。影響を受ける軌道区域内にいるが,検出位置から離れ
る方向に走行している列車は,走行の継続を許可されなければならない。影響を受ける軌道区域に進入し
ようとしている列車は,進入を阻止されなければならない。警報メッセージをOCC係員に通報しなけれ
ばならない。
8.7.7 地上障害物検出装置
リスク分析によって必要と判断される場合,建築限界内に障害物が入るリスクに対して,常設の監視体
制を備えなければならない。特に,例えば,AUGT内で又は近くで土木工事が進行中であるなど,第三者
が建築限界内に支障を及ぼす危険があるときは必須である。おそらく,常設の監視体制,すなわち,係員
による監視,映像監視システム又は独立の検出システムが必要である。
8.7.8 立ち入り制限機能を備えたプラットホーム端部扉
8.4.1.1を参照する。
8.7.9 物理的に分離された軌道からの非常出口
駅間で旅客が避難するとき,可能な場合には,旅客は,プラットホームを経由して出口へ誘導されなけ
ればならない(8.4.1.1参照)。
駅間での旅客の避難時に,旅客と係員とが物理的に分離された軌道から出ることができる特定の非常出
口が必要か否か,各個別の適用事例についてTA及び/又はSRAが判断しなければならない。
直近の非常出口を指示する特定の標識は,軌道内のどの位置からでも最低一つは見えるように,備え付
けられなければならない。
8.7.10 駅間軌道における火災及び煙の検出
火災又は煙の検出警報を,自動的にOCCに通報しなければならない。火災又は煙に影響を受けると想
定される区域は,駅間軌道の区間全体でなければならない。火災又は煙の検出された区域内の列車は,次
の駅まで運行を継続する。当該区域に進入しようとしている列車は,進入を制止しなければならない。手
前の駅で停車している列車は,駅の出発を抑止しなければならない。
8.7.11 浸水防止
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,地下トンネル区間その他線路面が周辺地域よりも
低く,洪水時に水の流入を招きやすい軌道区間では,水の流入を防止するため及び/又は浸水を検出する
ために,軌道内及び駅アクセス区域内に防水門を備えなければならない。検出された場合,警報をOCC
に送らなければならず,OCC係員は,旅客の避難を含めて,適切な手続をしなければならない。
防水門又は扉を閉鎖するシステムは,その動作時に,必ず列車が当該区域に在線しないように,防水門
の閉鎖と列車抑止とを確実に連動させなければならない。
8.7.12 平面交差
平面交差の導入が必要で,かつ個別のリスク分析後に受け入れられる場合,次の細分箇条を適用する。
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,列車の平面交差通過は,道路交通による同時利用
の禁止動作で保護されている場合だけ,許可される。
平面交差から当該の動作を行えないことが通報された場合には,その平面交差に向かう全ての駅で列車

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の出発を抑止しなければならない。
8.7.12.1 平面交差の遮断機
平面交差には,システムを道路交通から分離するため,遮断機(ゲート)を設置しなければならない。
平面交差が列車の走行用に確保される前に,この遮断機で遮断しなければならない。遮断機は,遮断時に
人と車両が誤って平面交差に立ち入るのを最大限阻止するように設計しなければならない。
建築限界と遮断機間の安全空間が十分でない場合,非常事態下で人が平面交差から出られるよう対策を
講じなければならない。
遮断機が適正に遮断されていないことが確認された場合,列車の走行は抑止されなければならない。
8.7.12.2 平面交差の監視
閉じられた遮断機の内側に閉じ込められているとき,次の項目を検出するために,建築限界に沿った安
全空間を含めて,遮断機内側の平面交差区域全体を監視する方策を講じなければならない。
− 列車の走行によって危険にさらされる可能性のある人
− 列車の走行に危険を及ぼす可能性のある車両又は障害物
上記の場合,遮断機遮断後,平面交差監視装置から上記区域は異常なしと通報されない限り,列車の走
行を禁止しなければならない。この場合,警告をOCCに送り,当該平面交差の映像監視が起動しなけれ
ばならない。
遮断機遮断後,侵入が検出された場合,列車走行の許可は取り消されなければならない。この場合,非
常メッセージがOCCに送られ,当該平面交差の映像監視が起動しなければならない。
異常状況において,OCCの責任の下で運転を継続するには,個別の規則が要求される。
8.7.12.3 平面交差から軌道への侵入の防止及び検出
侵入の可能性が考えられる場合,次の項目を適用する。
− 平面交差から建築限界の脇の安全空間への立ち入りを,物理的手段によって可能な限り阻止しなけれ
ばならず,かつ,プラットホーム端部扉の機能と同様に,非常事態下での脱出が可能でなければなら
ない。
− 平面交差から建築限界区域内軌道への直接立ち入りを,平面交差に隣接する区域内の構造的手段によ
って可能な限り防止しなければならない。
− プラットホームに沿う線路と駅間線路との間の侵入検出用に設計されるのと同様の機能で,建築限界
内を経由した人及び車両の侵入を検出するための追加の対策を講じなければならない。この検出機能
は,平面交差が列車走行用に確保され,平面交差が遮断されているときも含めて連続的に作動しなけ
ればならない。
8.7.13 作業区域
保守係員のいる区域内でDTO及びUTOモードでの列車の走行が許可されてはならない。OCC係員は,
作業区域の設定及び解除をしなければならない。当該区域でOCC係員がDTO及びUTOモードでの列車
走行を認めるのは,保守係員から事前同意が与えられている場合だけでなければならない。

8.8 自動運転と非自動運転との切換え区域内及び車両基地の安全防護策

  各適用事例のリスク分析のプロセスを通じて,次に示すものの中から,安全防護策又は安全防護策の組
合せを選択しなければならない。
車両基地内で自動列車運転を行う場合,次の三つの区域を考慮しなければならない。
− 自動化区域
− 自動化区域と非自動化区域との間の切換え区域

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− 非自動化区域(NTO及びSTOモードを対象とする要求に適合する)
自動化区域については,AUGTシステムを対象とする安全防護策を適用しなければならない。切換え区
域については,自動モードの列車が非自動化区域に進入してはならない。
切換え区域は,AUGTシステムに個別の区域と考えられる。自動化区域と非自動化区域との間の列車の
移行は,切換え区域内で行われなければならない。
自動化列車と手動運転列車との起こり得る衝突を防止するため,AUGTシステムは,自動化列車が切換
え区域に進入するのを許すための,又はこの区域内で自動モードでの列車走行を禁止するための信号を受
け取らなければならない。
切換え区域内への係員の立ち入りは,TAの規定する運転規則によって取り扱わなければならない。また,
係員の保護のため警告手段又は物理的な柵を使用することができる。
手動モードから自動モードへの引き渡しについて,運転規則に定めなければならない。

9 使用上の情報

  システム供給者は,TAの支援を得て,システムの安全で正常な運用を確実にするために必要な情報を事
業者側の関係部門に提供しなければならない。この情報は,遅くともIEC 62278に規定するライフサイク
ルの段階9の終了まで提供されなければならない。
事業者側の関係部門のための情報には,少なくとも次の項目を含まなければならない。
− 地上及び車内で提供される全てのヒューマンマシンインタフェースの全ての指令内容及び表示の説明
を含めて,運輸係員による使用のための手引
− 鉄道分野に応用するための関連安全規格に適合した安全関連の適用条件の説明
− 鉄道分野に応用するための関連安全規格に適合したハザードログ
− 保守,及び後日にシステム変更を実施するときの参照を目的とする十分詳細な技術的説明(システム
の安全性に影響を与えないシステムに適用される保守及び変更の範囲は,供給者と保守の責任をもつ
TAとの間で合意されなければならない。)
使用上の情報は,この規格の適用範囲外となるものも含めて,表1に示す基本機能にも対応するもので
なければならない。
在来運転からDTO又はUTOモードへシステムを高度化する場合,事業者向け情報には,移行プロセス
に伴う個別の情報も含めなければならない(箇条10参照)。
使用上の情報は,全ての運転規則,及びライフサイクルの段階11の開始前に責任がTAに委譲される場
合には,TA自身の責任となる保守規則をTAが規定することが可能となるものでなければならない。安全
関連の適用条件には,予防保守の頻度及び故障状況のときの修理に関する助言が含まれていなければなら
ない。段階11以降,TAは,全ての安全に関連した事象の発生及びその結果として導かれる対策に関して,
ハザードログを継続しなければならない。
人の責任と技術が負担する責任との関係を確実にして,運転の総合的安全性を達成するため,TAの規定
する運転規則と保守規則との全てを,ライフサイクルの段階10のシステム受入れに至る評価・検証プロセ
スに組み込まなければならない。
AUGTシステムの特別な性質を考えると,文書化の内容には次に関連する事項を配慮しなければならな
い。
− 通常時,機能低下及び非常事態下において,係員が短時間介在することによる効果的かつ迅速な対応,
(巡回係員を含む)係員の配置,各種サブシステム(例えば,列車制御システム及び鉄道車両)を担

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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
当する技術専門家によるOCC要員の支援,必要なときに列車を運転する権限をもつ適正数の係員の
確保などを可能にする運転と保守の組織
− 特に機能低下及び非常事態下に対応する係員,及び複数業務を担当できる係員の訓練
− 複数の保守業務を担当できる係員が,車両,地上施設,音声・映像監視設備,軌道への侵入検出又は
防止設備の定期検査を行う重要性

10 在来システムで運行する既存線からDTO又はUTOへの高度化に関する個別の安全要求事項

  一般に,この規格に規定する全ての安全要求事項は,在来システムで運行する既存線からDTO又はUTO
への高度化を取り扱う個別の適用事例にも適用可能である。
後にDTO及びUTOで使用されることになる既存の施設及び設備を,その既存機能と制約との両面を併
せて,個別の危険及びリスク分析において考慮しなければならない。この結果として,追加の安全防護策
及び特定の要求事項仕様の必要が生じる可能性もある。
在来システムでの運転からDTO又はUTOへの移行プロセスを,既存設備が安全な運転に果たす寄与,
追加設備の影響,プロセスの各過程での運輸係員の業務の変更を考慮して,記載しなければならない。そ
のうえで,個別の適用事例の必要に応じて,次のいずれかの移行方針を適用しなければならない。
− 既存設備による営業を完全に休止し,完成及びシステム受入れ後に(完全新規設備又は既存設備によ
って)旅客営業運転を再開する
− 設置工事中に旅客営業運転を継続し,試験と試運転走行は,旅客営業運転時間外(例えば,夜間又は
週末)又は旅客営業運転区域外で実施する
− 設置工事中に旅客営業運転を継続し,試験と試運転走行は旅客営業運転列車の間合で実施する
移行プロセスの条項と条件について,供給者,TA及びSRAの間で必要によって合意しなければならな
い。最終システム受入れの前に自動モードで運行される列車の試験と試運転走行は,旅客営業運転に危険
を及ぼすことがないことを確実にしなければならない。したがって,移行プロセス中の個別の状況を取り
扱うリスク分析を実施し,その結果導かれた安全防護策を,移行プロセスのときに実施しなければならな
い(例えば,非常ブレーキに責任を負う車上の運輸係員,及び追加の非常停止スイッチ)。運輸係員及び追
加安全防護策は,システム受入れプロセスの進捗に応じて,段階的に減少することができる。

11 安全性の検証

  この規格では,箇条1に規定する運転士又は添乗員の不在を補うために必要とされる安全要求事項を取
り扱っている。当該安全要求事項は,箇条8に規定する。
この箇条では,安全目標が満たされていることの証明のために各個別の適用事例において履行しなけれ
ばならない安全検証プロセスについて規定する。SRAによって要求される場合,TAは,安全性の検証に
第三者機関を使用しても差し支えない。
検証プロセスは,個別の技術的又は手続的安全要求事項に付加される補完的なものである。そのため,
UTO又はDTOシステムでの検証プロセスは,STO又はNTOシステムと同じである。
したがって,検証プロセスについての記載は,規格の対象となるライフサイクルの段階(図1参照)に
限定することはできず,ライフサイクルの全体を取り扱うものでなければならない。
方法論は,IEC 62278に規定するリスク分析の原則(信頼性,アベイラビリティ,保守性及び安全性基
準)を基礎にしなければならない。プロセスモデルの基礎を,IEC 62278のV字図から導き,問題となる
個別の適用事例に実際面で応用することができる。このプロセスモデルを図6に示す。

――――― [JIS E 3802 pdf 50] ―――――

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  • IEC 62267:2009(IDT)

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