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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
列車が自動モードにあるとき,明確な運転上の理由なく,カバーの解錠及び運転装置の解錠を検出した
場合,OCCに警報を送らなければならない。この場合,次の駅で列車を停止させるなど,適切な手続を適
用しなければならない。
自動モードから手動モードへ及びその逆の列車切換えは,運転手順に準拠しなければならない。
8.5.14.2 自動運転モードと手動運転モードとの間のインタロック
自動モードが選択されない限り,列車の自動運転を抑止しなければならない。
自動モードの列車と手動モードの列車との間の安全な列車間隔を,どのような状況下でも確保しなけれ
ばならない。自動手動混在運転用に設計していないシステムにあっては,少なくとも線路の特定区域にお
いて,自動運転を停止するまでは,手動モードでの列車の走行を禁止しなければならない。
8.5.15 自動連結時の安全速度
立ち往生した列車の回復又は列車の再組成のために,旅客を乗せた列車間の自動連結を行う場合,安全
な列車間隔を確保するシステムは,当該の特定走行について,次の項目を行わなければならない。
− 安全な列車間隔の条件を無効にする
− 連結速度を指示する
連結速度は,旅客が連結の衝撃によって危険にさらされないように,関連規格に適合させるか又はTA
及びSRAが指定しなければならない。
注記 ただし,連結速度は,列車が確実に接続される速度でなければならない。
8.5.16 予期しない列車の動きへの対応
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,いかなる時点でも予期しない列車の動きに対して
は,非常ブレーキ機能を即時適用しなければならない。
8.5.17 避難についての車内警告手段
旅客が駅間で列車から降りることを阻止するため,適切な手段によって旅客に警告を与えなければなら
ない(8.1.4参照)。
8.6 旅客乗降用区域の安全防護策
それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策
又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。
この細分箇条では,車上又はプラットホーム上で実施される可能性のある,旅客乗降用区域専用の安全
防護策に関する安全要求事項を取り扱う。この要求事項の対象となるのは,連結車両間,プラットホーム
と列車との間,又は旅客乗降中の駅プラットホームと列車との間の人身傷害(転落,取残し,引きずりな
ど)を防止する基本要求事項を充足する安全防護策である。これらの要求事項は,DTO及びUTOシステ
ムに特有ではなく,NTO及びSTOについて適用してもよい。
旅客乗降は,次のときに開始する。
− 開放式プラットホームの駅では,列車がプラットホーム上の予定位置に達し,列車扉を解錠し,開扉
の準備が整ったとき
− 閉鎖式プラットホームの駅では,列車が予定位置に達し,列車扉とホームドアを解錠し,開扉の準備
が整ったとき
旅客乗降は,列車の出発のための要求事項の全てが充足されたとき,終了する。
8.6.1 旅客乗降中の列車の起動及び転動の防止
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,列車は,旅客乗降中,動き出さない状態にしなけ
ればならない。列車の全ての扉及び(閉鎖式プラットホームの場合)プラットホームの全ての扉が閉扉状
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態を保持していることを検出しない限り(8.6.3.3参照),列車の出発を抑止しなければならない。
8.6.2 開扉に関する安全防護策
8.4及び8.5を参照。
8.6.3 閉扉に関する安全防護策
列車扉が閉じるときに旅客が傷害を負う重大なリスクを防止する措置を次の細分箇条に規定する。
列車の出発は,列車の全ての扉及び(閉鎖式プラットホームの場合)プラットホームの全ての扉が閉扉
状態を保持している場合に限り,許可されなければならない。
8.6.3.1 扉が閉じるときの光及び音による合図
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,扉が閉じ始まる前に,光及び音による閉扉の合図
によって,旅客乗降の終了を放送で伝えなければならない。この措置の狙いは,閉扉の手順と,引き続い
て起こる旅客乗降の間に支障が生じないようにし,運転のアベイラビリティを高めることである。
この要求事項は,列車扉,及びホームドアが設置されている場合はホームドアに適用する。
停車時間が終了した時点で閉扉シーケンスが実行される。
閉扉の放送を音声で放送するには,構内放送システム(8.4.1.9及び8.5.8参照)を使用してもよい。
8.6.3.2 扉の閉じ圧力(推進力)を制限する設計
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,旅客用乗降口の扉には,旅客が無理に挟まれ又は
身動きが取れなくなることがないように,安全防護策を備えなければならない。この要求事項は,該当す
る規格とガイドラインに従って充足しなければならない。
8.6.3.3 閉扉動作中の障害物検出
閉じる扉間の障害物が閉扉プロセスの妨げになり,閉扉の保持状態に達するのを妨げられることがない
ようにするため,扉の制御では,NTO及びSTOモードについての要求と同じように,この障害物を検出
しなければならない。障害物の形と大きさに応じた検出のしきい値を,関連規格に適合させるか,若しく
はTA及び/又はSRAが指定しなければならない。
障害物を検出したとき,障害物を扉間から取り出せるようにするために,使用できる閉扉シーケンスの
タイプが幾つかある。TAは,障害物検出時にどのようなシーケンスを適用するか決定しなければならな
い。有望なシーケンスには,次が含まれる。
− 閉扉サイクルに割り込んで開扉し,数秒間後に再閉扉を試みる
− 開扉はしないで閉扉動作を数秒間停止して障害物を取り除き,その後,再閉扉を試みる
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,全ての旅客用乗降口の扉が適正に閉扉状態を保持
した後でなければ,列車を発車できないようにしなければならない。検出設備の仕様と設計とは,関連規
格及びガイドラインに適合していなければならない。
閉扉状態の保持が規定の時間内に達成できないときは,OCC係員に警報を発しなければならない。
8.6.3.4 扉を閉めた後の扉の間に挟まった異物の検出
旅客の乗降を監視する運輸係員のいない開放式プラットホームで,旅客が列車に引きずられるリスクを
緩和するため,扉間にある薄い異物を検出することのできる追加設備を備えることが推奨される。検出す
る異物の薄さの程度は,個別のリスク分析後にTA及び/又はSRAが決定しなければならない。この追加
装置は,異物を検出したときに,閉扉状態を保持している旨の情報を流してはならない。閉扉状態を保持
しているときに異物を検出できない場合は,少なくとも列車出発時に異物を検出しなければならない。検
出した場合は,出発する列車に非常ブレーキを適用し,非常メッセージをOCCに送らなければならない。
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受け入れられる運転アベイラビリティを確保するため,発車から既定の時間経過後又は既定の距離若しく
は速度到達後は,この追加設備を機能停止することが推奨される。
8.6.3.5 扉に挟まった異物を手で除去
扉が閉まるときに扉間に薄い異物が挟まったときでも,列車は,出発プロセスを開始することができる。
薄い異物とは,閉扉シーケンス時に検出不能な異物である。こうした持ち物を取り出すためには,旅客が
扉を僅かに開扉できるようにしなければならない。この手動開扉は,小さな持ち物を自由にさせるのに十
分に,かつ,旅客にそれ以上の危険(さらに巻き込まれること,手又は持ち物が開口部に入ること,その
他の誤用)が及ぶことのないほど狭い幅で,扉を一定限度動かすことができなければならない。その後,
扉は,十分な推進力によって,閉め戻される。再開閉によって,閉扉状態の保持状態は変更しない。この
機能は,閉じている列車扉に対していつでも利用可能である。上記の僅かな動きの限度と閉め戻しの推進
力は,TA及び/又はSRAが規定しなければならない。
戸先を適切に設計することは,再開扉せずに旅客が異物を容易に引き抜くことを可能にする。
8.6.4 プラットホーム上の車両の扉位置の表示
開放式プラットホームの場合,列車扉の予定位置に旅客を誘導するためプラットホーム上の列車扉位置
を表示し,これによって,連結した2車両間の隙間又はプラットホーム縁端と車両との間の隙間に旅客が
転落するリスクを低減しなければならない。この表示は,8.4.1.2の例記に準じて,視力障害者のニーズに
対して明示的に有効でなければならない。
8.6.5 運輸係員による監視
旅客乗降を,運輸係員による監視の対象とすることができる。監視の範囲及び監視を適用する条件につ
いては,個別のリスク分析に基づいて明確化する必要がある。
係員の配置として次が考えられる。
− 車内
− プラットホーム上
− 遠隔サイト(例えば,駅又はOCC)
8.6.6 列車とプラットホームとの間の隙間に関する安全防護策
8.6.6.1 プラットホーム縁端と車体との間の隙間の縮小化
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,平常運転条件下で,プラットホーム縁端と車体と
の間の水平隙間を十分狭くすることによって,隙間への転落事故又は旅客が少なくとも身体の一部を隙間
に挟まれることを回避できるように,システム要素の設計と配置に配慮しなければならない。運転上安全
と定義される隙間のしきい値を,TA及びSRAは規定しなければならない。
列車とプラットホームとの間の高さの違いが,旅客が転落するリスク又は水平の隙間に挟まれるリスク
を高めるので,このことにも配慮しなければならない。
とりわけ移動が不自由な人のために,快適な旅客乗降を可能にし,扉区域でのつまずきを防止するため
に,プラットホームと列車との間でステップの使用を可能な限り回避しなければならない。
8.6.6.2 隙間に関するプラットホーム上の警告手段
旅客乗降時にプラットホーム縁端と車体との間に生じる隙間に旅客の注意を引きつける具体的な対策を
適用することによって,隙間に付随するリスクを低減することができる。
最低限,プラットホーム縁端は,強い視覚的コントラストによって目を引くようにしなければならない。
全ての駅で,又は場合によっては特定の駅で,プラットホームの床面への塗装又は著しく目立つ標識な
ど,プラットホーム縁端近くに配置される明瞭で統一的なデザインによる標識を常設の警告機能として備
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えなければならない。
下からの強い照明で隙間の視認性が高まる場合には,この照明も,検討の余地がある。照明は,プラッ
トホーム又は列車設備のどちらからでもよい。旅客乗降時にだけスイッチを入れるのでもよい。照明に加
えて,(例えば,視力に障害のある旅客に配慮して)旅客乗降が可能なときに限り特定の音の合図によって
隙間を知らせることもできる。
標識が見えなくなるほど混雑している状況の場合及び視力の弱い人のニーズを考慮して,扉開放シーケ
ンスと同調させて“隙間及び段差にご注意ください”の音声放送を流すことで,隙間に付随するリスクを
低減できる。高いリスクの存在する全ての駅で,この放送を行わなければならない。旅客乗降用区域の近
くで,聴き取りにくさや聞き間違いが生じないように,旅客乗降に関連する各音声放送を同期しなければ
ならない。
8.6.6.3 隙間に関する車内の警告手段
旅客乗降時,プラットホーム縁端と車体間の隙間に旅客の注意を引きつけるような具体的な対策を適用
することによって,隙間に付随するリスクを低減することができる。
フロアの縁端の表示など,車内の旅客用乗降口の扉区域内に配置される明瞭で統一的なデザインによる
ひときわ目立つ標識を,常設の警告機能として備えなければならない。
曲線状の駅など,高いリスクの存在するあらゆる駅で列車到着時に旅客に警告するため,例えば,“隙間
及び段差にご注意ください”などの音声放送を使用しなければならない。
放送の重複のために聴き取りにくさが生じないように,例えば,車両外部に設置するスピーカから閉扉
シーケンスの放送などのように,放送をプラットホームからだけ行うか又は車上装置からだけ行うように
しなければならない。
8.6.6.4 車上又はプラットホーム上の可動ステップ
隙間を低減できる可能性がほかにない場合,可動ステップを各扉区域の前に設置することが推奨される。
プラットホーム縁端と車体間の隙間に旅客が転落するのを防止する場合のプレートが,可動ステップに該
当する。各可動ステップは,扉開放シーケンスの開始前,少なくとも列車が駅の正規停車位置に停止して
いるときに作動し,閉扉シーケンスの終了時に格納しなければならない。可動ステップは,列車の一部又
はプラットホームの一部であってもよい。可動ステップが張り出されていない場合に,列車扉が開くこと
があってはならない。
旅客乗降時以外に開くことを含めて,可動ステップの不具合又は故障が,危険状態をもたらしてはなら
ない。
8.6.6.5 車上又はプラットホーム上の隙間監視装置
プラットホーム縁端と車体との間の隙間を十分に低減できる可能性がない場合,旅客がこの隙間に転落
する又は挟まれるのを検出する検出装置の設置が推奨される。
検出した場合,非常メッセージをOCC係員に通報しなければならない。
検出した場合,列車出発を抑止しなければならず,停車時間の終了時に列車扉が閉じてはならない。シ
ステムはこの動作を,運輸係員の責任の下で運転指令によって取り消すまで,保持しなければならない。
検出装置は,プラットホーム縁端に関連する地上設備として設置することも,列車扉に関連する車上装
置として設置することもできる。検出装置は,列車扉の区域内の隙間をカバーしなければならず,次のタ
イミングで起動しなければならない。
− 列車が完全な停止に達したとき(地上設備の場合),又は
− 列車扉が開いたとき(車内設備の場合)
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少なくとも身体の一部が挟まった旅客を検出するための適切なしきい値を,関連規格に適合させて又は
TAとSRAが指定しなければならない。
8.6.6.6 線間又はプラットホーム下の避難場所
8.4.1.4を参照する。
8.6.7 車両連結部に関する安全防護策
8.6.7.1 車上側での車両連結部の転落防止設備
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,車両連結部の空間に旅客が転落するリスクを最大
限抑制するため,この空間を設計によって縮小するか又は柵によって閉鎖しなければならない。
8.6.7.2 プラットホーム上の車両連結部停止位置への部分的な固定柵
8.4.1.3を参照する。
8.6.7.3 連結部の監視装置
プラットホームから人が車両間の連結部に転落するのを検出するため,検出装置を使用しなければなら
ない。この装置は,駅停車中の連結部の位置する区域を対象とする地上設備として設置することも,車上
装置として設置することもできる。装置を,少なくとも列車が停止位置に達したとき(又はゼロ速度を検
出したとき)起動しなければならない。検出した場合,列車の発車を抑止し,非常メッセージをOCCに
送らなければならない。
8.6.8 列車とプラットホームスクリーンとの間の空間に関する安全防護策
8.6.8.1 列車とプラットホームスクリーンなどとの間の空間を最小化する設計上の方策
8.4.2.1 g)を参照する。
8.6.8.2 列車とプラットホームスクリーンとの間の水平空間を監視する車上又はプラットホーム上の装
置
検出装置は,8.4.2.1 i)及び8.4.2.2の要求に従って,使用しなければならない。
8.6.9 隙間に転落した後の感電から旅客を保護するための安全防護策
旅客が通電中の露出導体に接触して感電するリスクを,次の対策によって緩和しなければならない。
− 隙間を最小化する
− 可動ステップ
− 車上の通電中の露出導体(例えば,集電靴)の保護
8.7 軌道に関する安全防護策
各適用事例のリスク分析の過程を通じて,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策又は安全防護
策の組合せを選択しなければならない。
最初の段階で,危険状態が発生するのを阻止するための対策を次の項目に従って実施しなければならな
い。
軌道外部からの侵入に対して,次の手段によって,軌道を保護しなければならない。
− 軌道に沿った物理的障壁(例えば,フェンス又は壁)の設置
− プラットホームから軌道に人及び/又は異物が入るのを回避するプラットホームスクリーンその他の
手段
− 施錠され,警報と警告標識によって保護された,軌道に至るプラットホーム端部扉その他の扉
− 軌道の近隣の人が建築限界を侵すのを阻止するため,法令又は契約上の規制実施
8.3.4の規定に従って,建築限界内の定期的点検の規則と手続が存在しなければならない。
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