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h) 列車とプラットホームスクリーンとの間の空間を最小化できないとき,列車とプラットホームスクリ
ーンとの間に人が閉じ込められるのを防止するため,入り込み防止突起(例えば,L字形保護板)付
きホームドアを備え付けなければならない。又は,
i) 当該空間に人が入り込むことが可能で,車両とプラットホームスクリーンとの間に人が挟まれること
が物理的に可能な空間である場合には,車両とプラットホームスクリーンとの間の人の存在を検出し,
列車の出発を防止しなければならない。挟まった旅客を止まった列車とプラットホームスクリーンと
の間から確実に安全に脱出させる,又は引き出すための対策も実施しなければならない。
j) ホームドアには,扉が閉まるときに旅客が扉の間に挟まれたときに傷害を負うのを防止するための保
護装置を備えなければならない(8.6.3参照)。
k) 列車が駅に停止したときにホームドアに対し正しく位置がそろっていないために,制御システムが扉
の自動開扉を許可していない状態で列車からの非常避難が要求される場合に,旅客が列車から避難し
てプラットホームに行けるようにする対策がなければならない。
l) 上記 k)の要求事項に対応するため,列車からの避難手順を実施しなければならず,ホームドア,プラ
ットホームスクリーンに設けられた非常出口の扉,又はプラットホーム端部扉を,旅客が手動で開け
ることができなければならない。
m) プラットホームスクリーン,ホームドア及びそれらの扉板の設計,製造,及び設置は,該当する規格
とガイドラインに適合しなければならない。
8.4.2.2 可動式ホーム柵
可動式ホーム柵は,フェンス又は歩行者用安全防護策を対象とする現地の建築要求以上の高さの障壁と
しなければならない。
ホームドア(フルハイト)に関する8.4.2.1に規定する要求事項は,特に8.4.2.1 f)については適正である
が,可動式ホーム柵にも適用しなければならない。
さらに,可動式ホーム柵を備えたプラットホームには,個別のAUGT適用事例についてのリスク分析の
結果として必要と思われる場合,8.4.1.5及び8.4.1.6に規定する非常停止スイッチ,及びき電電力遮断設備
も備えていなければならない。
8.4.3 検出システムを備えた開放式プラットホーム
プラットホームから進入可能な軌道区域内にいる人を即時に検出するための対策を講じなければならな
い。
プラットホームから軌道への旅客の立ち入りを検出したとき,システムは,プラットホームに沿う線路
上の列車を停止させ,他の列車が当該区域へ進入するのを防止しなければならない。
軌道区域がプラットホームから到達可能で,き電電力を供給する設備に不注意で接触する可能性がある
場合,当該区域のき電電力を遮断するための対策も講じなければならない。
人を検出した場合,自動的にOCCへ警報を送らなければならない。
検出対象区域は,個別の危険源分析によって規定されるプラットホームから進入できる軌道区域である。
少なくとも走行路面の高さで検出対象区域に入るとき,最低限,人は危険にさらされているとみなされ
る。
上面で重量に感応する検出方式を用いる場合に,線路に転落した人が必ずしも軌道上に横たわるのでは
ないことを想定することは合理的である。
試験用の物体が検出されるなら,プラットホームに沿う線路の検出機能による監視は,果たされている
ものとみなす。試験用の物体は,個別の適用事例のそれぞれについて,TA及びSRAによって規定される。
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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
プラットホームに沿う線路の検出システムのリセットは,危険状態から脱したことをOCC係員が(例
えば,プラットホームの監視によって)確認した後(8.1.3.4参照),OCCの安全関連指令が実行できる。
場合によっては,このプラットホームに沿う線路の検出システムを,8.7.5に規定する侵入検出システム
と組み合わせることが妥当である可能性がある。これは,個別のAUGT適用事例のリスク分析において考
慮するのがよい。両方の機能は非常に類似しており,両機能を単一の共通システムに統合することは可能
である。
8.5 列車における安全防護策
それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策
又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。
この細分箇条では,車内に備える安全防護策に関する安全要求事項を取り扱う。この要求事項の対象と
なるのは,まず,列車扉の作動,不注意による開放の防止,旅客乗降後の安全な発車条件の確保,及び非
常事態での避難である。留意すべきこれらの要求事項は,DTO及びUTOシステムに特定されるものでは
ない点である。さらに,一部の安全防護策は,列車自体及び運輸係員による列車前方の軌道の連続的監視
をしていないことを考慮しなければならない。
車内の旅客の安全のために適用すべき基本原則は,確実に,列車が次の駅に到着することである。ただ
し,これに相反する,考慮すべき安全関連条件がある場合はこの限りではない。
8.5.1 旅客用乗降口の閉扉状態の監視
NTO及びSTOシステムについての要求と同じように,旅客用乗降口の扉は,閉位置のままになってい
なければならない。扉は,旅客が開けることができない場合には,閉位置を保持しているとみなす。
これは,次の手段のいずれかによって達成可能である。
− 両扉が押し合って,閉位置に保持されるような十分な推進力
− 閉じた扉の施錠メカニズム
旅客用乗降口の閉扉状態監視ができなくなった場合には,自動的にOCCに通報しなければならない。
そのようなメッセージに備え,OCC係員が状況を判断し,安全確保を行う規定を作成しなければならない
(例えば,接近する列車の停止,き電の停止など)。
扉が開いていると検出し,かつゼロ速度状態を検出した場合は,列車の発車を抑止しなければならない。
列車が走行中に,閉扉状態監視が予期せずできなくなった場合には,列車を停止させるか次の駅まで運
行させるかを具体的なリスク分析によって判断しなければならない。
8.5.2 旅客用乗降口の扉の解錠
次の場合,旅客用乗降口の扉は,指定区域内において通常の状況下で解錠して開放しなければならない。
− あらかじめ定めた開扉すべき扉の選択を列車側で指令した
− ゼロ速度状態が検出されている
− 列車全長がプラットホーム区域内にある
閉鎖式プラットホームでは,次が加わる。
− 旅客用乗降口の扉とホームドアの位置がそろい,連動して開放するよう同期化する
− 動作停止されたホームドアに対応する列車扉は,閉扉状態で保持されたままでなければならない。自
動運転の継続に関わる扉の動作停止数を,個別のリスク分析によって判断しなければならない。
通常の状況下で開放すべく解錠した扉は,次のいずれかによって開放する。
− 自動的に
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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
− 旅客からの事前要請があり,それが保持されている場合,自動的に
− 旅客からの要請によって
8.5.3 非常時の扉解錠
NTO及びSTOモードにおける通路又は軌道の安全空間を使った避難が可能な場合の要求と同じように,
DTO又はUTOシステムでは,非常事態のときには旅客が扉を開くことができなければならない。したが
って,旅客用乗降口の扉は,列車が停止した場合,避難要求後に解錠しなければならない。扉解錠後,旅
客が扉を開くことができなければならない。
列車の走行中に車内から避難要求を通報した場合,列車を停止するか,次の駅又は指定の避難区域まで
運行するかを,個別のリスク分析によって判断しなければならない。駅間で何らかの計画外停止の後に,
列車扉が開いておらず,非常開放用の解錠状態にない場合は,次の駅までの列車走行を継続できなければ
ならない。車内から避難要求を通報した場合には,OCCからの安全関連指令,又は運輸係員の手動による
避難要求のリセットまで,次の駅又は指定の避難区域への列車走行を止めなければならない。
車内からの避難要求による非常時の扉解錠は,作動前にOCCに通報しなければならない。そのような
メッセージに備え,OCC係員が状況を判断し,安全確保を行う規定を作成しなければならない(例えば,
接近する列車の停止,き電の停止など)。
駅間での列車の停止時に,避難要求によって扉を開放した場合は,列車の停止を維持しなければならな
い。
避難要求によって,たとえ列車の一部だけがプラットホーム外で停止し,列車扉を開く場合であっても,
感電の危険があれば,確実に指定区域内のき電を停止しなければならない(8.1.3.5参照)。
8.5.4 非常出口
旅客の救助目的に旅客用乗降口の扉のほかに非常出口が設備される場合,旅客用乗降口の扉と同様に,
監視するとともに,非常開放時には解錠しなければならない。
8.5.5 車上障害物検出装置
車上障害物検出装置は,線路上の障害物との衝突から旅客及び設備に生じる損害を低減することができ
る。
障害物検出装置は,列車前方の障害物を遅くとも障害物と装置との接触時に検出しなければならない。
検出対象となる障害物の仕様は,各特定の適用事例についてTA及びSRAが規定しなければならない。障
害物が検出された場合,列車は,非常ブレーキを適用しなければならない。
障害物の検出は,非常メッセージとしてOCCに通報しなければならない。
平常運転の再開は,必ず,全ての危険状態が解消したことを検証した後でなければならない。
8.5.6 脱線検出装置
脱線検出装置は,部分的な列車脱線の発生時に,事故の影響が旅客と設備へ波及するのを低減すること
ができる。
脱線検出装置は,少なくとも,先頭車軸を監視し,検出時には非常ブレーキを適用しなければならない。
検出対象となる脱線の仕様と脱線検出装置の求められる設計とは,個別の列車と軌道との設計に合致しな
ければならない。
脱線の検出は,非常メッセージとして自動的にOCCへ通報しなければならない。そのようなメッセー
ジに備え,OCC係員が状況を判断し,安全運転確保を行う規則及び手順を作成しなければならない(例え
ば,接近する列車の停止,き電の停止など)。
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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
8.5.7 車内映像監視
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,映像監視は,列車から警報又は要請があったとき
に客室内の状況を把握できるものでなければならない。終着駅で旅客全員が列車から降りるのをOCCか
ら監視するために映像監視を使用する場合,確実に客室の全域を明瞭に見通すことができるようにし,判
断手続きによって,OCCからの特定の指令によって許可される場合にだけ,列車が継続して走行できるよ
うにしなければならない。
8.5.8 車上放送システム
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,列車には,車上放送システムを備えなければなら
ず,この放送システムは,少なくともUTOシステムでは,直接OCCに接続しなければならない。
車上放送システムは,特定の状況へ対処する際(例えば,避難手続)に役立つ支援システムとみなされ
る。車上放送システムは,次のような運転関連情報及び交通関連情報を放送するのに有効である。
− 非常事態にどのように行動するかについての旅客への指示
− OCCによって直接指令されるとき,列車指令の放送
− OCCによる,列車の遅延,列車の接続などに関する情報
− “次の駅”などの自動放送
− その他の放送
OCCによる緊急放送は,優先順位が低い放送の開始後でも自動的に割り込ませなければならない。
音声及び映像通信設備の全てが,き電電力の有無と無関係に稼働しなければならず,かつ,さらされる
可能性のある周囲条件下で確実に機能しなければならない。この規格の要求する音声及び映像通信設備は
全て,少なくとも避難に必要な時間,持続可能な非常電源に接続しなければならない。
8.5.9 列車の営業運転終了を伝える車内放送
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,例えば,終着駅で,列車が回送になったことを旅
客に知らせるため車内で放送をしなければならない。この放送は,聴覚と視覚とに訴えるものでなければ
ならない。既存の車両については,視覚に訴える放送の要求事項は,当該車両に適合する場合にだけ適用
する。
また,旅客が車内に残っていないことを点検するための対策についても,TAの要求する安全性のレベル
に応じて,係員による目視点検など,種々の管理対策を整備することは可能である(対応するプラットホ
ーム上の放送について8.4.1.9参照)。
8.5.10 車内からの非常停止要求
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,列車には,旅客の使用のために非常停止要求スイ
ッチ(非常ブレーキハンドル)を備えなければならない。
非常停止要求の発生は,少なくともUTOシステムについては,OCCに通報しなければならない。
スイッチの作動によって,列車を停止する非常手順を開始しなければならないが,この手続によって,
駅外において,トンネル内又は安全空間のない区域内では,列車が停止するのを許容してはならない。列
車が駅内で停止した後,OCC指令による許可がない限り列車は運行を継続してはならない。
他の理由で,駅間で列車が停止し,扉が閉状態に維持されている場合には,列車は,次の駅まで運行を
継続しなければならない。列車が停車中に扉が開かれた場合,自主避難が想定されるため,列車を再発車
することはできない。
TA及びSRAは,列車から安全に避難できる,駅外部の安全な待避所の立地点など,列車を停止させる
代替区域を指定することもできる。
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E 3802 : 2012 (IEC 62267 : 2009)
8.5.11 車内の非常通報装置
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,列車には,非常通報装置を備えなければならない。
少なくともUTOシステムについては,この装置は,旅客とOCCとの間の通信に対応するものでなければ
ならない。非常メッセージには,高い優先順位を与えなければならない。OCC係員が状況を判断し,迅速
かつ適切な処置(運転の即時停止,該当する運転手順の開始など)を実行できるように,設備を整えてお
かなければならない。
車内の非常通報装置の設置位置は,他の非常関連スイッチ類(非常停止要求スイッチなど)に準じて選
択しなければならない。非常通報装置は,はっきりと目に見え,その機能が識別されなければならない。
スイッチの識別と設置位置は,システム全体にわたって一様でなければならない。
音声及び映像通信設備の全てが,き電電力の有無とは無関係に稼働しなければならず,かつ,さらされ
る可能性のある周囲条件下で万全に機能しなければならない。この規格の要求する音声及び映像通信設備
は全て,少なくとも避難に必要な時間,持続可能な非常電源に接続しなければならない。
8.5.12 車内における火災及び煙の検出
火災又は煙検出システム警報は,OCCに自動通報しなければならない。火災又は煙検出システム警報を
発した列車は,次の駅まで運行を継続し,そこで停止しなければならない。つまり,それ以上の運行の継
続を制止しなければならない。列車が駅内にいるときに火災又は煙を検出した場合には,駅からの出発を
抑止しなければならない。
8.5.13 列車状態の監視及び試験
個別の安全分析は,安全目標を維持するために試験を必要とする全ての安全関連システムを同定しなけ
ればならない。試験条件及び試験頻度も規定しなければならない。
列車運転を継続するために不安全な状態となり得る列車設備の障害は,検出されなければならない。検
出された障害のタイプによって,列車を即時運転停止とするか,次駅まで運転継続を許可した後に次駅以
降の運転継続を抑止しなければならない。列車が運転に入る前に障害を検出した場合,列車の発車を抑止
しなければならない。
運転の継続を許可すると,その後,列車が立ち往生する結果になる可能性のある障害が検出された場合
も,列車を駅にとどめなければならない。
列車の運転継続を許容してもよい列車障害の分類を,障害が運転に及ぼす影響に従って,定めなければ
ならない。この種の障害に関する運転規則も定めなければならない。
障害及び障害の分類は,OCCに通報しなければならない(8.2.1参照)。
8.5.14 手動運転
自動運転モードで走行できない列車を運転するため,運輸係員用に,車上に手動運転の機能を備えなけ
ればならない。列車の手動運転は,次の安全防護策を適用しなければならない。
注記 8.5.14において,IEC規格原文では,手動運転を行う者をtrain conductor(列車の車掌)と記載
しているが,列車の手動運転ができることを鑑みて,JISでは運輸係員(operation staff)とした。
8.5.14.1 運転モードスイッチの施錠
列車が自動モードから手動モードへ切り換えられるのは,本線において機能に障害があって,手動運転
の必要があるとき,又は自動モードと非自動モードとの間の切換え区域においてのいずれかである。
NTO及びSTOモードについての要求と同じように,列車は,(例えば,カバーの施錠及び運転装置の施
錠によって)権限のない人が手動運転するのを抑えるように設計しなければならない。
――――― [JIS E 3802 pdf 40] ―――――
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JIS E 3802:2012の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62267:2009(IDT)