JIS E 5004-4:2008 鉄道車両―電気品―第4部:交流遮断器 | ページ 2

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3.2.1.1
過電流(瞬時)引外し機構[over-current (instantaneous) elease]
電流が規定値を超えた場合,遅滞なく引外し動作を行う機構。
3.2.1.2
定限時遅延過電流引外し機構(definite time-delay over-current release)
過電流値とは無関係に,調整可能な遅延時間で動作する過電流引外し機構。
3.2.1.3
直接過電流引外し機構(direct over-current release)
遮断器の主回路に流れる電流によって,直接動作させる過電流引外し機構。
3.2.1.4
間接過電流引外し機構(indirect over-current release)
主回路に流れる電流を,変圧器又は変流器の電流センサを介した電流によって,動作させる過電流引外
し機構。
3.2.2
ポンピング防止機能(anti-pumping device)
投入動作を開始する機構が投入位置に保持される限り,“投入−開極”動作後の再投入を阻止する機能。
注記 開極動作は,開極指令又は引外し動作のいずれかによる場合がある。
3.2.3
きょう(筐)体(enclosure)
外部汚染に関する規定の汚損度のレベルに対して,遮断器を保護し,かつ,充電部及び可動部へのアク
セスに関する規定の保護等級をもつ部品。例えば,遮断器のアークの影響に対して,周囲の部品を保護す
る場合もある。
3.2.4
一体形きょう(筐)体(integral enclosure)
遮断器の一部を構成するきょう(筐)体。
3.3 動作特性(operational features)
3.3.1
引外し自由遮断(trip-free circuit-breaker)
投入指令が保持されていても,投入動作開始後に開極(すなわち,“引外し”)動作が行われると,可動
主接触部が開極位置に戻り,その開極位置を優先する機能。
注記1 投入指令開始後,電流を確実に遮断するために,各主接触部が直ちに投入位置に到達する必
要がある場合がある。
注記2 引外し自由動作には,ポンピング防止機能が必要となる場合がある。
3.3.2
電流設定値(current setting)
過電流引外し機構の動作特性の基準となり,引外し機構に設定される主回路の電流値。
注記 引外し機構に複数の電流値が設定される場合もある。
3.3.3
引外し動作(tripping operation)
引外し機構の動作によって始まる遮断器の開極動作。

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3.4 投入特性及び遮断特性(making and breaking characteristics)
注記 附属書B参照
3.4.1
開極時間(opening time)
指定した開極動作の開始の瞬間からアーク接触子が離れる瞬間までの時間。
注記 開極時間には,遮断器を開極するために必要で,かつ,遮断器の構造上の一部を構成するすべ
ての補助装置の動作時間を含む。
3.4.2
推定電流(prospective current)
遮断器をインピーダンスの無視できる導体に置き換えたとき,その回路に流れる電流。
注記1 この用語は,通常,故障状態に関連して使われる。
注記2 推定電流は,交流成分のrms値に,直流成分(存在する場合)を加えたものである。
3.4.3
推定ピーク電流(prospective peak current)
事故電流発生後の過渡期間における推定電流のピーク値。
3.4.4
交流回路の推定対称電流[prospective symmetrical current (of an AC circuit)]
電流が流れ始めた瞬間から,過渡現象分を除外した推定電流。rms値で表す。
3.4.5
交流回路の最大推定ピーク電流[maximum prospective peak current (of an AC circuit)]
推定電流が起こり得る最大値になる瞬間に流れる推定ピーク電流。
注記 事故電流の推定ピーク電流は,電流が流れ始める位相によって変わる。
3.4.6
遮断電流(breaking current)
遮断器の電流遮断過程において,アーク発生の瞬間に流れる電流。
3.4.7
遮断容量(breaking capacity)
遮断器が規定の使用条件及び動作条件のときに,指定電圧で遮断可能な推定電流の値。
3.4.8
投入容量(making capacity)
遮断器が規定の使用条件及び動作条件のときに,指定電圧で投入可能な推定電流の値。
3.4.9
短絡投入容量(short-circuit making capacity)
回路短絡を含む,規定の条件における投入容量。
3.4.10
短絡遮断容量(short-circuit breaking capacity)
回路短絡を含む,規定の条件における遮断容量。
3.4.11
短時間耐電流(short time withstand current)
投入位置にある遮断器が規定の使用条件及び動作条件のもとで,規定された短時間に通電することので

――――― [JIS E 5004-4 pdf 7] ―――――

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きる電流。
3.4.12
ピーク耐電流(peak withstand current)
投入位置にある遮断器が規定の使用条件及び動作条件のもとで,通電することのできるピーク電流。
3.4.13
回復電圧(recovery voltage)
電流遮断の直後に,遮断器の端子間に生じる電圧。
注記 この電圧には,二つの連続した期間が考えられる。過渡電圧が存在する第一の期間及び,それ
に続く電源周波の回復電圧又は定常状態の回復電圧だけが存在する第二の期間である。
3.4.14
過渡回復電圧(transient recovery voltage)
過渡特性をもつ時間中の回復電圧。
注記 過渡回復電圧は,回路及び開閉機器の特性によって,振動,安定,又は振動と安定とが組み合
わされて生じる電圧の場合がある。
3.4.15
商用周波の回復電圧(power frequency recovery voltage)
過渡電圧現象が収束した後の回復電圧。

4 分類

  遮断器は,次のように分類する。
a) 動作頻度による分類(5.4参照)
b) 設計条件による分類。例えば,屋外用遮断器又は屋内用遮断器。
c) きょう(筐)体で防護される保護等級(JIS C 0920)による分類。

5 特性

5.1 特性を示す項目

  特性は,次に示す項目の中から必要に応じて規定する。
a) 遮断器の種類(5.2参照)
b) 主回路の定格値及び限度値(5.3参照)
c) 動作頻度(5.4参照)
d) 電気制御回路及び空気制御回路(5.5参照)
e) 電気補助回路及び空気補助回路(5.6参照)
f) 過電流引外し機構(5.7参照)
g) 回復電圧のピーク値(5.8参照)

5.2 遮断器の種類

  遮断器は,次に示す項目を表示する。
a) 機器の種類(例えば,空気遮断器,真空遮断器,気中遮断器など。)
b) 設計条件による分類(箇条4参照)
c) きょう(筐)体で防護される保護等級(箇条4参照)
d) 動作特性(例えば,引外し自由遮断のための直接又は間接過電流引外し機構,遅延過電流引外し機構,

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電源オフ時の引外し方式など。)

5.3 主回路の定格値及び限度値

5.3.1  一般
定格値は,製造業者が指定するが,すべての項目の定格値を指定する必要はない。
5.3.2 主回路の定格電圧
交流遮断器の定格電圧は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
なお,交直流電気車両に使用する遮断器で,直流定格電圧を規定する場合には,5.3.3Aによる。
a) 種別1
1) 定格動作電圧(Ue)は,JIS E 5004-1の5.1.2(定格動作電圧)による。ただし,遮断器の種類によ
っては,複数の定格動作電圧値又は定格動作電圧範囲を規定してもよい。
注記 定格動作電圧は,定格使用電圧と呼ぶ場合もある。
2) 定格絶縁電圧(Ui)は,JIS E 5004-1の5.1.3(定格絶縁電圧)による。ただし,遮断器に定格絶縁
電圧が指定されていない場合,定格絶縁電圧は,定格動作電圧の最大値と同等とみなす。
3) 定格インパルス耐電圧(Uimp)は,JIS E 5004-1の5.1.5(定格インパルス耐電圧)による。
b) 種別2
定格電圧は,標準電車線電圧の120 %とする。
5.3.3 主回路の定格電流
交流遮断器の定格電流は,次による。
なお,交直流電気車両に使用する遮断器で,直流定格電流を規定する場合には,5.3.3Aによる。
a) 定格力率T2(5.3.5参照)における定格動作電流(Ie)は,JIS E 5004-1の5.3.1(定格動作電流)によ
る。ただし,遮断器の種類によっては,複数の定格動作電流値又は定格動作電流範囲を規定すること
ができる。
b) 通常の大気中における遮断器単体の温度上昇試験電流(Ith)は,JIS E 5004-2の5.3.3(定格電流)に
よる。
c) 定格短時間耐電流(Icw)は,JIS E 5004-1の5.3.2(定格短時間耐電流)による。
注記1 例えば,機器の1時間定格電流は,“指定の温度上昇限度を超えないで,その遮断器に1
時間連続して流すことができる電流”で,定格短時間電流の一つである。この仕様は,製
造業者が規定する。(JIS E 5004-1の5.3.2参照)。
注記2 変圧器,リアクトル又はリアクティブフィルタ回路の励磁用及び保護用に遮断器を使用す
る場合には,励磁用の突入電流に長時間にわたる大きな直流成分を含む場合がある。
5.3.3A 交流遮断器の直流定格
交直流電気車両に使用する交流遮断器に,直流定格を規定することができる。ただし,直流電化区間で
使用する場合の定格は,通電特性に限る(5.3.2及び5.3.3参照)。
5.3.4 定格周波数
遮断器の定格周波数とは,定格動作電圧に関係する周波数である[JIS E 5004-1の5.4(定格動作周波数)
参照]。
注記 遮断器によっては,複数の定格周波数を規定することができる。
5.3.5 定格力率
次の遮断器性能の特徴を示す場合には,定格力率を使用する。
a) 短絡条件としての定格力率 = 0.1(T1)

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b) 通常の使用条件としての定格力率 = 0.8(T2)
短絡条件用の定格力率は,変電所の電気性能,車両への給電線,負荷などによって異なる。そのため,
必要があれば,受渡当事者間で協定して,別の力率を規定してもよい。
5.3.6 短絡特性
交流遮断器の短絡特性は,次による(附属書B参照)。
5.3.6.1 定格短絡投入容量
製造業者は,力率T1に対応する定格短絡投入電流値を規定する。
遮断器の定格短絡投入容量は,定格動作電圧に対応する投入電流のピーク値であり,当該定格短絡投入
容量値は,定格短絡遮断電流の交流成分のrms値の2.5倍とする。遮断器は,9.3.4に規定する定格短絡投
入試験を満足し,試験後も引き続き使用できるものとする。
5.3.6.2 定格短絡遮断容量
製造業者は,力率T1に対応する定格短絡遮断電流値を規定する。
定格短絡遮断容量は,この規格で規定した試験条件下において,遮断器が遮断できる最大短絡電流であ
る。この場合,定格動作電圧に対応する商用周波の回復電圧及び5.3.6.3に規定する定格値と同等の過渡回
復電圧の回路を使用する。
定格短絡遮断電流は,次の二つの数値で示す。
a) 定格短絡電流と呼ぶ交流成分のrms値。
b) パーセント直流成分
注記 パーセント直流成分が20 %以下の場合,定格短絡遮断容量は,その交流成分のrms値だけ
で表す。
遮断器は,この条件のもとで,定格値以下の交流成分及び指定値以下のパーセント直流成分も含む定格
短絡遮断電流までの短絡電流を遮断できる。
遮断器は,9.3.4に規定する定格短絡遮断試験を満足し,試験後も引き続き使用できるものとする。
主回路電流は,定格動作電圧を下回る電圧で,定格短絡遮断電流を遮断することができる。
5.3.6.3 定格過渡回復電圧
回路短絡に対する定格過渡回復電圧は,5.3.6.2による定格短絡遮断容量と関連しており,回路条件のも
とに事故電流を遮断するときに課し得る過渡回復電圧の限度をいう。
注記 更に詳細な要求事項に関しては,IEC 62271-100:2001の4.102.1及び4.102.2を参照。
5.3.6.4 定格短絡耐久時間
定格短絡耐久時間は,遮断器が投入状態で定格短絡電流に等しい電流を流すことができる時間であり,
受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 定格短絡耐久時間の通電時間は,1秒間とする。
注記 詳細はIEC 62271-100の4.7及びIEC 60694の4.7を参照。
b) 種別2 定格短絡耐久時間の通電時間は,2秒間以上とする。
注記 通電時間は,IEC規格では1秒間を標準としている。電力用保護リレーの動作時間を考慮す
ると,我が国の現状では,地上電気設備用遮断器の超高圧系統以上では1秒間とすることも
可能であるが,それ以下の電圧系統では2秒間が必要である。この規格では,通電時間は2
秒間を種別2として設けたが,今後,保護リレーシステムの動向に注意を払う必要がある。

5.4 動作頻度

  動作頻度は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。

――――― [JIS E 5004-4 pdf 10] ―――――

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JIS E 5004-4:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60077-4:2003(MOD)

JIS E 5004-4:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 5004-4:2008の関連規格と引用規格一覧