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E 5006 : 2016
電子機器は4.1.2に規定する外部の周囲温度の適合範囲全体にわたり,次の湿度ストレスに対して設計す
るものとする。
a) 年平均湿度 : 75 %以下
b) 年間の連続した30日間の湿度 : 95 %
さらに,使用中に発生するいかなる結露(特に,トンネル通過時の結露)条件に対しても,損傷又は故
障を生じてはならない。
電子機器の周辺ユニット(計測用変換器など)が分散配置されている場合,又は一つの電子機器が複数
の部分ユニットに分散配置されている場合で,いずれかの部分が上記の湿度ストレスを超えているとき,
当該電子機器の設置位置で生じる実際の湿度を使用して設計する。
4.2 特殊な使用条件
4.2.1 一般
適用する使用条件が4.1の規定事項と異なることが判明した場合には,その特殊な使用条件について,
関係する当事者間で協定する(例えば,台車に搭載する電子機器,電力変換装置に組み込まれた電子機器
など)。
特殊な使用条件の有効性については,必要があれば受渡当事者間で協定した方法で,車両を使用した追
加の形式試験として確認することができる。
4.2.2 大気汚染物質
電子機器はその全使用寿命期間にわたって,様々な汚染物質にさら(曝)されると考えられる(例えば,
油霧,塩霧,導電性ほこり,硫黄酸化物)。汚染物質の種類及び濃度は,発注者が作成する仕様書で規定す
ることが望ましい。
5 電気的使用条件
5.1 電源
5.1.1 蓄電池による給電
5.1.1.1 一般
電子機器に供給される公称電圧(Un)は,次の中から選択する。
24 V,32 V,36 V,48 V,64 V,72 V,87 V,96 V,110 V
注記 これらの公称電圧値は,電子機器の設計用の標準値として規定される。蓄電池から電子機器に
給電される電圧は,その蓄電池に規定された公称電圧である。ただし,蓄電池の電圧は,蓄電
池の種類,セル数及び動作条件に依存するので,無負荷時の蓄電池電圧と考えてはならない。
JIS E 5004-1に従って上記の電圧とは異なる電圧を使用する場合,受渡当事者間の協定によって規定す
る。
5.1.1.2 電圧供給の変動範囲
種別1
電圧安定デバイスのない蓄電池を電源とする電子機器は,次に規定する変動範囲内のあらゆる電圧
で正常に動作するものとする(電子機器の入力側端子で測定した電圧)。
電子機器の供給者は,蓄電池用配線ケーブルサイズの計算ができるように,その消費電力を規定す
る。
最低電圧 : k Un
公称電圧 : Un
――――― [JIS E 5006 pdf 11] ―――――
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定格電圧 : 1.15 Un
最高電圧 : 1.25 Un
(例えば,補助装置の起動時の電圧変動又は蓄電池充電器の電圧変動のように)0.6 Un1.4 Unの間
にあり,かつ,その継続時間が0.1秒間を超えない電圧変動に対しては,機能の逸脱があってはなら
ない。
電圧変動が,1.25 Un1.4 Unの間にあり,かつ,その継続時間が1秒間を超えない電圧変動に対し
て電子機器は,故障が発生してはならない。ただし,こうした電圧変動中は,電子機器は全ての機能
を十分に発揮できない可能性がある。
内燃機関の場合は,5.1.1.4を参照する。
注記 kの値は,蓄電池の種類によって決まり,例えば,従来形の蓄電池は0.7,ニッケルカドミ
ウム蓄電池などは0.8が使われている。
種別2
浮動充電がなく蓄電池だけから給電される場合,及び浮動充電される蓄電池から給電される場合の
いずれにおいても,電子機器は定格電圧(電子機器の入力側端子で測定した電圧)の0.7倍1.1倍の
変動範囲内のあらゆる電圧で正常に動作しなければならない。
5.1.1.3 電源中断
次のように,等級によって10 ms以内の電源中断が発生する可能性がある。
a) 1 : 中断なし
b) 2 : 10 msの中断
この電源中断によって電子機器に故障が発生してはならない。ここに規定する中断時間は,公称電圧に
対して規定している。また,等級の選択は,車両システム設計者が規定する。
5.1.1.4 内燃機関で駆動する動力車の電源電圧変動
内燃機関の起動の際には,起動シーケンス全般にわたって,電源システムは主要な電子機器の電源供給
を保証できるように設計する。
5.1.1.5 直流リプル率
全ての蓄電池には,充電中に脈動電圧がある。他の規定がない場合,次の計算式で求めた直流リプル率
の値は15 %を超えてはならない。
Umax Umin
r= 100
Umax Umin
ここに, r : 直流リプル率(%)
Umax : リプル電圧の最高値(V)
Umin : リプル電圧の最低値(V)
ただし,最高電圧最低電圧は,5.1.1.2で規定する範囲を満足しなければならない。
5.1.2 静止形変換装置又は回転機からの給電
安定した電源(例えば,静止形変換装置又は調整装置付きの電動発電機)から電力の供給を受ける電子
機器の場合,0.9 Unから1.1 Unまでの電圧変動に対しては,機能の逸脱があってはならない。ここに,Un
は公称電圧であり,交流又は直流のいずれにも適用できる。
動作中の電子機器に対して,許容される電圧変動は,次による。
種別1
a) 電圧変動が0.7 Un1.25 Unの間にあり,その継続時間が1秒間を超えない場合,及び,
――――― [JIS E 5006 pdf 12] ―――――
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b) 電圧変動が0.6 Un1.4 Unの間にあり,かつ,その継続時間が0.1秒間を超えない場合。
種別2
電圧変動は,定格電圧(電子機器の入力側端子で測定した電圧)の0.7倍1.1倍とする。
5.1.3 電源切換
蓄電池及び安定電源(直流)からの電力が交互に供給される電子機器の場合,5.1.1.1,5.1.1.2,5.1.1.5
及び5.1.2に規定する条件による電源切換時においても,次の電源切換等級で正常に動作できるものとし,
いずれの等級を選択するかを受渡当事者間で協定する。
a) 等級C1 : 時間100 msの間,電圧低下0.6 Un(ただし,中断はない)
b) 等級C2 : 時間30 msの間,給電停止(中断あり)
5.1.4 架空電車線又は第三軌条からの給電
架空電車線又は第三軌条から直接電源の供給を受ける電子機器(例えば,直接電源を受けて始動する静
止形変換装置の制御電子装置)の場合には,架空電車線又は第三軌条の電圧の変動範囲内において正常に
動作できるものとする。架空電車線又は第三軌条から給電される電圧の変動範囲は,IEC 60850による。
5.2 電源過電圧
制御システム電源に接続することができる電子機器の全ての接続は,次の条件に耐えなければならない。
a) 5.1.1.2及び/又は5.1.2で規定する継続時間及び/又は最高電圧値の範囲の電源過電圧
b) 12.2.7に規定する電源過電圧
過電圧は,制御システム電源の帰線側電位に関係して発生し,また,過電圧前後に存在すると思われる
制御システム電圧のレベルが単に上昇して発生するものと仮定している。制御システム電源の反対側極性
の電圧変化は,考慮する必要はない。電圧変動が1.25 Unを超え,かつ,その継続時間が0.1秒間を超える
過電圧は,制御システム電源に故障が発生した場合にだけ発生するものとみなす。
5.3 取付け
電子機器への電源供給は,可能な限り電源に直結された別個の導体を用いて配線するのが望ましい。こ
の導体は,電子回路の供給だけに使用するのが望ましい。
電子機器の取付けは,可能な限り外部の電気的妨害の影響を低減するように配置することが望ましい。
抑圧装置は,電気的障害の発生源に設けることが望ましい。
車両に搭載した蓄電池の片方の電極が車体に接続されている場合には,仕様書に明記する。
複数の製造業者が共通の直接接続部をもつ電子機器を納入する場合には,受渡当事者間の協定によって
基準電位点1か所を決める。
5.4 サージ,静電放電及び過渡バースト感受性試験
全ての電子機器は,IEC 62236-3-2で規定するサージ,静電放電及び過渡バースト感受性試験に耐えなけ
ればならない。試験は12.2.8による。
5.5 電磁両立性
電子機器は,IEC 62236-3-2で規定する伝導及び/又は放射による電磁障害によって悪影響を受けないよ
うに防護され,かつ,IEC 62236-3-2で規定するレベルを超える無線周波帯のノイズを放射してはならない。
試験は12.2.9による。
6 信頼性,保全性及び寿命
6.1 機器の信頼性
6.1.1 予想される信頼性
――――― [JIS E 5006 pdf 13] ―――――
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使用者は,製造業者の信頼性に関する予測値又は使用者が規定する信頼性の目標値を満足することを製
造業者に要求してもよい。計算方法は,引合時に受渡当事者間で協定し,かつ,正式に承認されている規
格に準拠しているものとする。
6.1.2 信頼性の証明
使用者が信頼性の要求レベルを規定する場合には,次の具体的方策が必要となる。
a) 電子機器の性能を慎重にモニタする。
b) 当該電子機器に関して,実施した全活動を記録することを,電子機器の受渡当事者間で協定する。
c) 電子機器の信頼性レベルを実証するために,取り替えた部品を識別し(回路の参照番号,種類,製造
業者,製造ロット番号,走行距離及び/又は運転時間など),かつ,故障の定義及び原因(設計上の弱
点,ソフトウェア,部品の問題など)を記述した不具合報告書を,受渡当事者間で協定した期間(走
行距離又は運転時間)の終了時点に提出する。
d) 電子機器が規定された信頼性に関する要求事項を満足しているかを示すために,当該電子機器に関す
る信頼性評価を実施することが望ましい。このための指針として,JIS C 5750-3-5,IEC 60605-2,IEC
60605-4,IEC 60605-6及びIEC 61124を適用してもよい。
e) 信頼性評価の詳細手順を契約書に規定する。
6.2 寿命
電子機器の寿命は,引合時に電子機器の受渡当事者間で合意した使用条件の下で協定する。また,電子
機器より寿命が短いことがあらかじめ知られている部品を使用する場合,当該部品の用途及び定期交換の
手順について,受渡当事者間で協定する。
注記 “寿命”の意味は,“設備の経済性を検討する場合に使用される推定使用可能年数”である。
6.3 保全性
別段の協定がない限り,定期的な保守を必要としないように電子機器を設計することが望ましい。保守
に関する特別な要求事項がある場合には,使用者は,かかる要求事項を引合時に明示する。プリント基板
組立品及び/又はサブラックは,個別に試験ができるものとする。電子機器の製造業者は,必要な保守手
順又は保守上の禁止事項を明示する。
注記 超音波洗浄,診断試験装置の接続,電気絶縁試験及び輸送用こん包の手配のような保守の過程
で,組立品及び部品に余分なストレスが加わり,電子機器の信頼性レベルを低下させてしまう
可能性があるので注意を要する。
6.4 保守レベル
6.4.1 車上診断及び修理
受渡当事者は,車上の故障診断結果に従って,交換すべきユニットの種類(例えば,サブラック又はプ
ラグインユニット)について協定する。“ライン交換可能ユニット”と定義されるこれらのユニットは,容
易に交換できるように設計する。受渡当事者は,この保守手順に必要な特殊工具の使用についても協定す
る。適切な可搬形試験装置又は組込み形診断機能を使用し,その附属試験の要領書によって,故障したラ
イン交換可能ユニットを識別できるように電子機器を設計することが望ましい。
このレベルの保守手順又は診断手順では,ライン交換可能ユニットの中にある部品類の取外し又は交換
を要求してはならない。
6.4.2 車両から取り外して行う装置の診断及び修理
試験装置を使用し,その試験要領書によって,車両から取り外した各種車載電子機器の十分な診断及び
性能確認を有資格者が修理センタで実施できるように電子機器を設計する。部品又は配線に損傷を与えず
――――― [JIS E 5006 pdf 14] ―――――
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に,診断及び修理に必要なアクセスができるように電子機器を製作する。また,プリント基板組立品には,
診断及び修理のプロセスを手助けする,(例えば,試験用プラグ,試験パッドなど)試験用端子などを装備
する。
6.5 組込み形診断
入力データ,出力データ,主要制御機能,電源などの状態を表示するために,必要に応じ,診断保守を
支援する表示装置を使用する。自己試験は,電子機器の動作状態を明確に表示できるものとする。電子機
器をモニタするだけでなく,動作させることができる組込み形診断装置は,試験状態以外では電子機器が
通常の運転を中断することがないように,適切なインタロックを設ける。組込み形診断のために別の部品
を追加して使用する場合には,これによって電子機器の信頼性が大きく影響されてはならず,かつ,その
ような部品を使用するときには信頼性に関する計算で考慮する。
6.6 自動試験装置
使用者は,電子機器を鉄道車両に取り付けた状態又は鉄道車両から取り外して電子機器の故障箇所を特
定するために,特殊な自動試験装置の使用を要求する場合がある。このような要求がある場合,使用者は
そのような自動試験装置及びそれと車載電子機器とのインタフェイス,例えば,ベッドオブネイル又はガ
イドプローブ(プリント基板を車両から取り外しての点検用),電子機器の(車上診断用)コネクタなどの
詳細情報を,引合時に提供する。自動試験装置の接続を容易にするために,電子機器の機能に影響しない
プラグインユニットは取り外してもよい。
6.7 故障診断装置の代替手段
製造業者が所有している試験装置を使用して車載電子機器を開発又は試験した場合,かかる試験装置の
使用が当該電子機器にとって実用的であり,かつ,使用者が製造業者のサポートを全て利用できるならば,
製造業者は修理センタ内の故障診断装置の代替手段としてこれを提案してもよい。
6.8 専用試験装置及び特殊工具
市販の工具以外の電子装置に必要な工具を使用する場合,使用者の事前承認を得る。使用者が正規の保
守手順を実施するために,専用試験装置及び/又は特殊工具を必要とする場合,製造業者は使用者に対す
るその専用試験装置及び/又は特殊工具の販売提案を行う。その専用試験装置及び/又は特殊工具を販売
するための製造及び調達に関する詳細情報を提供する。ただし,専用試験装置自体は,必ずしもこの規格
に準拠する必要はない。
7 設計
7.1 一般
7.1.1 品質管理
全ての設計は,JIS Q 9001に従って実施する。設計の過程は見て分かるようにし,かつ,監査可能とす
る。使用者が,引合の評価用に設計過程の詳細情報を要求する場合,その旨を引合文書に明記しなければ
ならない。
全ての,システム,ハードウェア及びソフトウェアの設計に対して,機能仕様及びインタフェイス仕様
を明確に規定する場合,JIS Q 9001の要求に特に留意する。
7.1.2 ライフサイクル
全ての設計は,品質計画書に規定するライフサイクルモデルに従って進める。
7.2 詳細な具体策-ハードウェア
7.2.1 インタフェイス
――――― [JIS E 5006 pdf 15] ―――――
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JIS E 5006:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60571:2012(MOD)
JIS E 5006:2017の国際規格 ICS 分類一覧
JIS E 5006:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5014:1994
- 多層プリント配線板
- JISC5750-3-5:2006
- ディペンダビリティ管理―第3-5部:適用の指針―信頼性試験条件及び統計的方法に基づく試験原則
- JISC60068-2-1:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-1部:低温(耐寒性)試験方法(試験記号:A)
- JISC60068-2-2:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-2部:高温(耐熱性)試験方法(試験記号:B)
- JISC60068-2-30:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-30部:温湿度サイクル(12+12時間サイクル)試験方法(試験記号:Db)
- JISC6484:2005
- プリント配線板用銅張積層板―耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂
- JISC6489:1999
- プリント配線板用銅張積層板―耐燃性ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂銅張積層板
- JISE4001:2011
- 鉄道車両―用語
- JISE4017:2000
- 鉄道車両―電気用図記号
- JISE4031:2013
- 鉄道車両用品―振動及び衝撃試験方法
- JISE5004-1:2006
- 鉄道車両―電気品―第1部:一般使用条件及び一般規則
- JISE5008:2017
- 鉄道車両―電力変換装置
- JISE6402:1999
- 鉄道車両―静止形補助電源装置―試験方法
- JISQ9001:2015
- 品質マネジメントシステム―要求事項