この規格ページの目次
- 3 用語及び定義
- 3.1 一般的な定義
- 3.2 変圧器の定義
- 3.3 リアクトルの定義
- 4 分類
- 4.1 変圧器の分類
- 4.2 リアクトルの分類
- 5 使用条件
- 6 負荷プロファイル及び定格電流
- 6.1 負荷プロファイル
- 6.2 定格電流
- 7 定格電圧及び変圧器巻線の容量
- 7.1 定格一次電圧
- 7.2 定格二次電圧
- 7.3 変圧器の定格容量
- 8 変圧器のタップ
- 9 冷却
- 9.1 冷却方式による変圧器及びリアクトルの区分
- 9.2 記号の並べ方
- 10 温度限度
- 10.1 絶縁物の分類
- 10.2 固体材料の温度限度
- JIS E 5007:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS E 5007:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS E 5007:2019の関連規格と引用規格一覧
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E 5007 : 2019
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,IEC 60076-1によるほか,次による。
注記1 “変圧器”と記載しているものは,主変圧器及び補助変圧器の両方を意味する。
注記2 IEC 60050-421,IEC 60050-811及びIEC 60076-6:2007に記載されている“Inductor”は,この
規格では,“リアクトル”という用語で使われている。
3.1 一般的な定義
3.1.1
負荷プロファイル(load profile)
電圧を含む指定の条件の下での電流及び出力の時間との関係。
3.1.2
冷却媒体(cooling medium)
変圧器及びリアクトルで発生する熱の排出のために使われる冷却媒体。例えば,空気,水,油,ヒート
シンクなどがある。
3.1.3
定格絶縁電圧,UNm(rated insulation voltage)
製造業者が機器又はその部分について指定した実効値耐電圧。この値は,この絶縁の規定の(5分間以
上の)耐電圧性能を表す。
注記1 UNmは,製品の導通部及び接地間又は他の導電部間に与える電圧である。鉄道車両において
の接地は車体になる。
注記2 鉄道車両の主回路及び補助回路システムについて,UNmは国際規格などに幅広く使われてい
る機器類の最高電圧に相当する。
注記3 UNmは,運転時電圧又はそれ以上の電圧である。このため,直接架線に接続される回路にお
けるUNmは,IEC 60850に規定されているUmax1と同等か又はそれ以上である。主変換装置に
接続される回路の場合,UNmは直流リンク電圧に等しいか又はそれ以上の値である。
注記4 UNmは,性能に密接に関係する定格電圧と一致しなくてもよい。
3.1.4
公称電圧,Un(nominal voltage)
給電システムで指定又は規定するために用いられる電圧。
3.1.5
定格電圧,Ur(rated voltage)
指定する動作条件に対して規定する電圧。
3.1.6
定格インパルス電圧,UNi(rated impulse voltage)
インパルス電圧値。過渡的な過電圧に対する指定の絶縁耐力を表す。
3.1.7
試験電圧,Ua(test voltage)
商用周波耐電圧,誘導電圧,層間絶縁など,各試験ごとにUNmから決定される実効電圧値。
――――― [JIS E 5007 pdf 6] ―――――
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3.1.8
繰返しピーク電圧,UmT,UmG(recurring peak voltage)
端子間電圧(UmT),又は端子−接地間電圧(UmG)の電圧波形で周期的に現れるピーク電圧の最大値。
3.2 変圧器の定義
3.2.1
電圧移行率,VTR(voltage transmission ratio)
指定のインパルス又はく(矩)形波電圧が一次側に印加しているときの一次電圧に対する二次電圧の割
合。パーセンテージで表す。
3.2.2
インピーダンス電圧(impedance voltage)
短絡法で定格電流を流したときの,電圧印加側巻線の端子電圧の実効値。基準巻線温度に補正した値を
パーセンテージで表す。
注記 パーセンテージ又はユニット比として表したとき,IEC 60076-1:2011の3.7に示すように短絡
インピーダンスに等しくなる。
3.2.3
裕度(tolerance)
実測値の保証値に対する許容偏差(IEC 60050-411:2007の411-36-19参照)。
3.3 リアクトルの定義
リアクトルのインダクタンスの値は,用途に応じて次のとおり分類する。この場合,測定に用いる電流
の種類及び電流値を明記する。
3.3.1
交流インダクタンス(a.c. inductance)
指定の電圧及び周波数の正弦波交流電圧を印加して,リアクトルの交流電流を測定することによって得
られるインダクタンス。
3.3.2
過渡インダクタンス(differential inductance)
電流によって作られる磁束の変化から得られるインダクタンス値(磁気特性の傾きと等しい。)。
注記 リアクトルの瞬時の電圧及び電流の変化又は磁束の変化を測定することによって得られる。
3.3.3
脈流インダクタンス(incremental inductance)
リアクトルに流れる直流電流に重畳したある振幅,周波数の交流成分によるインダクタンス。
注記1 脈流電流の脈流率はパーセントで表し,慣例的に次の式で定義する。
Imax Imin
= 100
Imax Imin
ここに, μ : 脈流率(%)
Imax : 脈流電流の最大値(A)
Imin : 脈流電流の最小値(A)
注記2 これらの数値は,端子電圧を測定することによって得られる。
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E 5007 : 2019
4 分類
4.1 変圧器の分類
変圧器は,次のように分類できる。
a) 主回路に電力を供給する主変圧器。他の機器に電力を供給する場合もある。
b) 主回路を除く電気機器に電力を供給する補助変圧器。
なお,この規格に記載している巻線は,次のように分類する。
a) 電車線に直接つながる一次巻線。
b) 主回路に供給する主巻線。
c) 他の目的に使われる補助巻線。
この規格では,主巻線及び補助巻線を総称して二次巻線という。
4.2 リアクトルの分類
リアクトルは使用目的によって,次のように分類できる。
a) 交流リアクトル 交流を通電するリアクトルで,タップ切換器のタップ間渡り用リアクトル,交流整
流子電動機のブレーキ回路用リアクトル,干渉抑制用リアクトル,同調フィルタ回路用リアクトルな
ど。
b) 直流リアクトル 交流成分が小さいか,又は無視できる程度の直流を通電するリアクトルで,フィル
タリアクトル,主電動機用誘導分流器,直流電動機のブレーキ回路用リアクトルなど。
c) 脈流リアクトル 周期的なリップルをもった交直流リアクトルで,主電動機用平滑リアクトル,補助
変換装置用の正弦波フィルタリアクトルなど。
5 使用条件
変圧器及びリアクトルの標準的使用条件は,IEC 62498-1又はJIS E 5004-1の7.(通常の使用条件)に
よる。特殊使用条件は,受渡当事者間で協定する。
6 負荷プロファイル及び定格電流
6.1 負荷プロファイル
変圧器及びリアクトルは,通常時及び過負荷時において,定常状態及び過渡(サージ)状態で使用され
ることを考慮して設計する。
発注者は,附属書Eを参考にして,負荷プロファイルを指定することが望ましい。電流頻度スペクトラ
ムは発注者が指定する。
6.2 定格電流
巻線の定格電流とは,基準温度における連続負荷において巻線が恒久的に耐え得る電流を示す。
定格電流は,次のいずれかの方法によって計算する。
a) 負荷プロファイルから算出した実効値。
b) 附属書Bによる絶縁材料の熱的寿命を考慮。
冷却モードの変化及び時間平均の取り方に特別な注意を払うことが望ましい。
連続負荷時の基準温度は,変圧器及びリアクトルと外部との境界での冷媒温度であり,それは次による。
a) 発注者によって直接指定される。
この値はIEC 62498-1に示す車両の外気温度を基準とするのが望ましい。
b) 発注者によって提示された温度分布と附属書Bの方法とを基に,製造業者が計算する(B.4.2の寿命
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計算のための冷媒基準温度を参照。)。主回路用巻線の定格電流は,定格タップについて定める。この
定格電流値は,他の巻線が定格負荷を受けもつことを前提に定める。
7 定格電圧及び変圧器巻線の容量
7.1 定格一次電圧
定格一次電圧は,通常の運転状態で一次巻線に供給される電圧の実効値である。この巻線にタップがあ
る場合には,定格電圧は,定格タップの電圧とする。受渡当事者間で協定がない場合には,定格一次電圧
は,電車線の標準電圧に等しいものとする。
注記 IEC 60850に電車線の標準電圧の一覧表がある。
7.2 定格二次電圧
変圧器二次巻線の定格電圧は,変圧器の一次巻線の定格タップに定格周波数の定格電圧を印加したとき
に,二次巻線の端子間に現れる無負荷電圧の実効値とする。
7.3 変圧器の定格容量
変圧器巻線の定格容量は,巻線についての定格電圧と定格電流との積で定義される。
注記 変圧器は,通常,幾つかの二次巻線をもっている(例えば,主回路用,補助回路用,暖房用)。
変圧器の一次巻線の定格容量は,種々の二次巻線の定格容量の合計より少ない場合もある。
8 変圧器のタップ
変圧器の変圧比を変化させるため,一つ又は複数の巻線に中間タップを設ける場合がある。これらの中
間タップについては,使用限度特性を示し,結線図及び仕様書に表示しなければならない。変圧器の一次
巻線に,定格周波数の定格電圧を印加し,主電動機に定格電流を通電したときに,その主電動機の端子電
圧が主電動機の定格電圧となるタップを定格タップという。一次巻線及び二次巻線の両方に中間タップが
ある場合には,定格タップを指定する。多電源方式の車両においては,定格タップは電源方式ごとに異な
ってもよい。各タップに対する変圧比は,無負荷時の値で定義する。
9 冷却
9.1 冷却方式による変圧器及びリアクトルの区分
変圧器及びリアクトルは,冷却方式によって区分する。各冷却方式によって使用する文字記号を,表1
に示す。
表1−冷却方式に関する文字記号
冷却媒体の種類 記号 循環の種類 記号
燃焼点が300 ℃以下の鉱油又は他の絶縁液 O 自然循環 N
燃焼点が300 ℃を超える絶縁液 K F
強制循環(巻線内に強制的に導油しない場合)
燃焼点が沸点を超える絶縁液 L 強制循環(巻線内に強制的に導油する場合)D
ガス G
水 W
空気 A
強制導油循環式の変圧器及びリアクトルは,ある一定の割合の強制循環油流が,巻線の中を通るように
導かれている。しかし,個別タップ付調整巻線,補助巻線,安定化巻線などの巻線は,強制導油としなく
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てもよい。冷却媒体は,発注者の承諾によって確定する。
9.2 記号の並べ方
9.2.1 収納形変圧器及びリアクトル
変圧器及びリアクトルは,製造業者が指定した定格に対し,各々の冷却方式に応じて表1に示した記号
を用いて4文字で表示する。記号の使用順序を,表2に示す。
表2−記号の順序
第1文字 第2文字 第3文字 第4文字
巻線と接触する冷却媒体を示す。 外部冷却系と接触する冷却媒体を示す。
冷却媒体の種類 循環の種類 冷却媒体の種類 循環の種類
強制導油循環式及び強制風冷式の油入変圧器は“ODAF”,シリコーン油入り変圧器は“KDAF”と表示
する。
なお,異なる冷却方式のグループ記号を区別するために,斜線“/”を用いて,例えば,次のように表
示する。自然対流冷却式又は非導油式で,強制冷却が可能な油入変圧器は,“ONAN/ONAF”又は“ONAN
/OFAF”と表示する。シリコーン油入り変圧器は,“KNAN/KNAF”又は“KNAN/KFAF”と表示する。
非循環保護箱内の乾式変圧器箱で,箱の内側及び外側が自然空冷式に対しては,“ANAN”と表示する。
9.2.2 非収納形変圧器及びリアクトル
保護箱のない乾式変圧器及びリアクトルは,巻線又は絶縁材(例えば,エポキシ樹脂)で被覆された巻
線の場合は,被覆材表面と接触する冷却媒体に応じて,表1の2個の記号だけで表示する。
保護箱のない,又は通風式の箱付き自然空冷式の乾式変圧器の冷却方式は,“AN”と表示する。
9.2.3 空冷
変圧器又はリアクトルが,車両の移動によって生じる空気流によって冷却する場合,又は試験の際に使
用したものと違う強制風冷装置で冷却する場合には,装置の定格運転状態における基準となる空気流量(又
は流速)は,発注者が指定しなければならない。
10 温度限度
10.1 絶縁物の分類
この規格が適用される変圧器及びリアクトルの巻線の絶縁に,現在使われている固体材料(EIM-Electrical
Insulating Material)及び絶縁システム(EIS- Electrical Insulating System)の種々の等級を,表3に示す。こ
の耐熱クラスについては,JIS C 4003で定義されている。
与えられた固体絶縁材料の耐熱クラスは,周りの媒体(例えば,空気,鉱油,エステル油など)に依存
する。巻線の絶縁に使われる固体材料の耐熱クラスは,製造業者が指定しなければならない。
10.2 固体材料の温度限度
変圧器及びリアクトルの固体材料の温度限度は,受渡当事者間の協定によって表3(種別1)又は表3A
(種別2)のいずれかによって,その最高温度を超えてはならない。
温度限度は,ホットスポットと考えられる短時間最高温度に適用する。これらの温度は,規格の運転条
件で,最も厳しい条件と関連する(長期間運転での温度限度は,13.2.11.6を参照。)。
――――― [JIS E 5007 pdf 10] ―――――
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JIS E 5007:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60310:2016(MOD)
JIS E 5007:2019の国際規格 ICS 分類一覧
JIS E 5007:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC2320:1999
- 電気絶縁油
- JISC4003:2010
- 電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
- JISE4031:2013
- 鉄道車両用品―振動及び衝撃試験方法
- JISE5004-1:2006
- 鉄道車両―電気品―第1部:一般使用条件及び一般規則
- JISZ8736-1:1999
- 音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第1部:離散点による測定
- JISZ8736-2:1999
- 音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第2部:スキャニングによる測定