JIS Z 8736-2:1999 音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第2部:スキャニングによる測定

JIS Z 8736-2:1999 規格概要

この規格 Z8736-2は、音響パワーレベル測定対象とする騒音源を取り囲んで設定した測定面に垂直な音響インテンシティ成分を測定する方法を規定。

JISZ8736-2 規格全文情報

規格番号
JIS Z8736-2 
規格名称
音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第2部 : スキャニングによる測定
規格名称英語訳
Acoustics -- Determination of sound power levels of noise sources using sound intensity -- Part 2:Measurement by scanning
制定年月日
1999年2月20日
最新改正日
2019年10月21日
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対応国際規格

ISO

ISO 9614-2:1996(IDT)
国際規格分類

ICS

17.140.01
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1999-02-20 制定日, 2004-03-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS Z 8736-2:1999 PDF [21]
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS Z 8736-2には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 音場指標の計算
附属書B(規定) 必要な測定精度を得るための手順
附属書C(参考) 気流が音響インテンシティ測定に及ぼす影響
附属書D(参考) 測定面内の吸音の影響
附属書E(参考) 測定面の設定及びスキャニングの方法
附属書F(参考) 文献
JIS Z 8736群は,規格名称の前づけ及び主題を,“音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワー
レベルの測定方法”とし,次の各部からなる。
第1部 : 離散点による測定
第2部 : スキャニングによる測定

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8736-2 : 1999
(ISO 9614-2 : 1996)

音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第2部 : スキャニングによる測定

Acoustics−Determination of sound power levels ofnoise sources using sound intensity−Part 2 : Measurement by scanning

序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 9614-2, Acoustics−Determination of sound power
levels of noise sources using sound intensity−Part 2 : Measurement by scanningを翻訳し,技術的内容及び規格
票の様式を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲
1.1 この規格は,音響パワーレベルの測定対象とする騒音源を取り囲んで設定した測定面に垂直な音響
インテンシティ成分を測定する方法を規定する。
測定面に垂直な音響インテンシティ成分の面積分は,測定面を連続した面要素に分割し,その各要素上
に設定した連続的な経路上をインテンシティプローブを掃引することによって近似する。1回の掃引ごと
のノーマル音響インテンシティの平均値及び二乗音圧の平均値は,測定器によって求められる。プローブ
の掃引は,手動によっても機械的な方法によってもよい。
ノーマル音響インテンシティの測定結果から,オクターブバンド,1/3オクターブ又は帯域制限されたA
特性音響パワーレベルを求める。この測定方法は,物理的に固定した測定面が設定でき,その面上で3.13
に規定するように被測定音源及び主要な外部音源による騒音が時間的に定常であるようなすべての音源に
適用できる。被測定音源の定義は,測定面の設定による。この測定方法は,実際に音源が設置されている
現場,特殊な目的をもつ試験環境のいずれにおいても適用できる。
測定精度を評価するために,この規格では音響パワーレベル測定に関する補足的な試験方法を附属書B
に規定する。それによって,測定精度の評価,及びグレードの区分を行う。測定結果がこの規格の要件を
満たさない場合には,指示されている方法に従って測定方法を変更する。
この規格は,音源の音響パワーレベルが負の値として測定される周波数帯域に適用することはできない。

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 2] ―――――

2
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
1.2 この規格は,音源の発生音の時間的変動が音響インテンシティの測定精度を著しく低下させるほど
大きくはなく,また,測定プローブが著しい速度及び変動を伴う気流にさらされることがない環境に設置
されている音源の測定に適用する(5.2.2, 5.3及び5.4参照)。
外部騒音のレベルが測定器のダイナミック性能以上であったり,測定時間中の変化が大きすぎるなど,
測定条件がこの規格の要件を満たすことが不可能な場合もある。そのような場合には,この規格に規定す
る方法は,音源の音響パワーレベル測定に適用することはできない。
備考 上記のような場合には,その他の方法,例えば,ISO/TR 7849に規定されている音源表面の振
動レベルから音響パワーレベルを求める方法などを適用してもよい。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS C 1515 音響校正器
備考 IEC 60942 : 1988, Sound calibratorsが,この規格と一致している。
IEC 61043 : 1993, Electroacoustics−Instruments for the measurement of sound intensity−Measurements with
pairs of pressure sensing microphones
参考 上記のIEC規格番号は,1997年1月1日から実施のIEC規格新番号体系によるものである。
これによって前に発行された規格については,規格票に記載された規格番号に60000を加えた
番号に切り替える。これは番号だけの切替えであり内容は同一である。
3. 定義 定義は次による。
3.1 音圧レベル (sound pressure level)
3.1.1 音圧レベル (sound pressure level) p 基準音圧の二乗に対する平均二乗音圧の比の常用対数を10
倍した値で,単位はデシベル (dB) 。基準音圧は,20
3.1.2 面要素平均音圧レベル (segment-average sound pressure level) pi 基準音圧の二乗に対するi番目
の面要素上の空間平均二乗音圧の比の常用対数を10倍した値。単位はデシベル (dB) 。
瞬時音響インテンシティ (instantaneous sound intensity) t) ある点における瞬時的な粒子速度の
3.2
方向に垂直な単位断面積を通過する単位時間当たりの音響エネルギー流の瞬時値 (W/m2) 。
この量は,ベクトル量で,ある点の音圧と粒子速度の瞬時値の積に等しい。
It pt u (1)
ここに, p (t) : 音圧の瞬時値 (Pa)
u t) : 粒子速度の瞬時値 (m/s)
t : 時刻 (s)
音響インテンシティ (sound intensity) 歛 檗 場におけるI t) の時間平均値
3.3
1 T
I lim I t dt (2)
T T 0
ここに, T : 積分(平均化)時間
また,I 爰 付き大きさをIで表す。符号は,向きを示し,エネルギー流の正の向きの取り方によっ
て決まる。
|I|はI 爰 なし大きさ(絶対値)である。

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 3] ―――――

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Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)

ノーマル音響インテンシティ (normal sound intensity) n 単位法線ベクトルn 定面に
3.4
対して垂直方向の音響インテンシティ成分。
In I n (3)
n 測定面から外向きの単位法線ベクトル
ここに,
3.5 ノーマル音響インテンシティレベル (normal sound intensity level) In ノーマル音響インテンシテ
ィの絶対値|In|をレベル表示した値で,式(4)で定義される。単位はデシベル (dB)。
In
LIn 10 log10 dB (4)
I0
ここに, I0 : 音響インテンシティの基準値 (=10-12W/m2)
Inが負の場合には, 3.11参照)の評価に用いる場合を除いて,レベルは(−)XX dBと表示する。
3.6 音響パワー (sound power)
3.6.1 部分音響パワー (partial sound power) i 測定面上の一つの面要素を通過する単位時間当たりの
音響エネルギー流の時間平均値で,式(5)で定義される。
Pi=〈Ini〉Si (5)
ここに, 〈Ini〉 : 測定面上のi番目の面要素上で測定された面要素平均ノーマ
ル音響インテンシティの符号付き大きさ
Si : i番目の面要素の面積
また,|Pi|はPiの絶対値を表す。
3.6.2 音響パワー (sound power) この規格で規定する方法によって測定される音源の全放射音響パワ
ー(音響出力)で,式(6)及び式(7)で表される。
N
P iP (6)
i1
N
P iP (7)
i1
ここに, |P| : Pの絶対値
N : 測定面上の面要素の総数
3.6.3 部分音響パワーレベル (partial sound power level) Wi 測定面上のi番目の面要素を通過する音響
パワーのレベル表示値で,式(8)で表される。単位はデシベル (dB)。
Pi
LWi 10 log10dB (8)
P0
ここに, P0 : 基準の音響パワー (=10-12W)
Pが負の場合には (−) X dBと表示する。
3.6.4 音響パワーレベル (sound power level) w この規格で規定する方法によって測定される音源の音
響パワーをレベル表示した値で,次式で定義される。単位はデシベル (dB)。
P
LW 10 log 10 dB (9)
P0
Pが負の場合には,記録の便宜上, (−) X dBと表示する。

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 4] ―――――

4
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
3.7 測定面 (measurement surface) 音響インテンシティ測定を行うための仮想的な面で,音源を完全に
包み込むように設定する。音響的に剛な連続的な面と一体となって音源を囲んでもよい。剛な面をもつ物
体が仮想面を貫通する場合には,物体と仮想面との交差部分を測定面の端部とする。
3.8 面要素 (segment) 面を幾つかに分割したうちの一つの面。
3.9 測定面の外部にある音源の寄与による音響インテンシ
外来インテンシティ (extraneous intensity)
ティ。
3.10 プローブ (probe) センサを含んだ音響インテンシティ測定システムの一部。
3.11 音圧−残留インテンシティ指数 (pressure-residual intensity index) 場内でプローブを音響イ
ンテンシティが0となるような向きに設置したときに測定されるLpとLIの差。単位はデシベル (dB)。
(Lp−LI) (10)
0の測定方法はIEC 61043に詳しく規定されている。
3.12 ダイナミック性能指数 (dynamic capability index) d 式(11)で定義される量で,単位はデシベル
(dB) 。
Ld= K (11)
K(バイアス誤差係数)は必要とする測定精度に応じて,表1に示す値とする。
表1 バイアス誤差係数K
測定精度(1) バイアス誤差係数dB
実用級(グレード2) 10
簡易級(グレード3) 7
注(1) SO 12001で定義されている。
3.13 定常信号 (stationary signal)測定面上のそれぞれの面要素上における測定時間について得られる
時間平均値が,平均化時間を測定面上のすべての面要素における測定に要する時間に延長した場合にその
面要素上で測定される値と等しい信号。
備考 周期的に変動する信号でも,個々の面要素における測定時間を信号の変動周期の少なくとも10
倍以上にとれば,定常とみなしてよい。
3.14 音場指標 (field indicators) pI及びF+/- 附属書A参照。
3.15 スキャニング (scan) 測定面上の面要素上に設定された経路に沿ってインテンシティプローブを
連続的に移動すること。
隣接するスキャニング線の平均間隔の逆数。
3.16 スキャニング線の密度 (scan line density)
4. 一般測定条件
4.1 騒音源の大きさ 騒音源の大きさは制限しない。音源の大きさは,測定面の設定によって決まる。
4.2 騒音源の発生音の特性 被測定音源の発生音は,定常(3.13参照)でなくてはならない。音源の作
動状態が周期性をもって段階的に変化し,その段階ごとに明確な定常的な状態があれば,この規格によっ
て,その作動条件ごとに音響パワーレベルを測定することができる。非定常的な外部の騒音源の作動が予
測できる場合には,その作動時間中には測定を避ける(附属書Bの表B.1参照)。

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 5] ―――――

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JIS Z 8736-2:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9614-2:1996(IDT)

JIS Z 8736-2:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8736-2:1999の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC1515:2020
電気音響―音響校正器