JIS Z 8736-2:1999 音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第2部:スキャニングによる測定 | ページ 2

5
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
4.3 測定の不確かさ この規格に規定する方法によって測定される騒音源の音響パワーレベルは,真の
値とは異なる可能性がある。その差そのものを求めることはできないが,多数回の測定によって得られる
結果が真値の周りに正規分布するという仮定に基づけば,測定結果が真値の周りのある範囲にある確度を
評価することはできる。ある測定場所に置かれたある一つの音源について,同一の測定手順及び測定器に
よる同一の測定条件で繰り返して測定を行うことによって,測定の繰返し性 (repeatability) を示す統計的
データが得られる。一方,ある一つの音源について,異なる測定場所で異なる測定器を用いて測定を行う
ことによって,測定の再現性 (reproducibility) を示すデータが得られる。再現性は,測定場所の環境条件
及び測定技術の違いの影響を受ける。この規格で規定する測定方法に関して,再現性に関する標準偏差の
最大値を表2に示す。ただし,これらの標準偏差は,音源の作動条件(回転速度,電源電圧など)及び設
置条件の違いによる音響パワーの変化を考慮していない。
備考1. 熟練した測定者が,ある特定の場所に置かれたある特定の音源の音響パワー測定を類似の装
置・測定器を用いて行った場合,その結果の標準偏差は,表2に示す値よりも小さい値となる
はずである。
2. 類似の寸法及びパワースペクトル特性をもつ類似の音源を類似の環境条件で作動させ,ある
特定の規格に従って測定した場合,再現性の標準偏差は,表2に示す値よりも小さい値とな
るはずである。同種の機械類のばらつきを評価する統計的手法は,ISO 7574-4に規定されて
いる。
3. この規格に規定する測定方法及び表2に示す標準偏差は,ある特定の音源を対象とした測定
に適用することができる。同系列又は同じ形の一団の音源の音響パワーレベル評価の場合に
は,信頼区間を定めた無作為抽出法を適用し,結果は統計的上限値で表示する。これらの方
法を適用する場合,ISO 7574-1に規定されているように,一団の機械の中の個々の機械の発
生音響パワーのばらつきを評価する指標である製品上の標準偏差を含む標準偏差は,既知で
あるか,又は何らかの方法で予測する必要がある。
この規格では,表2に示す2段階の測定精度が設定されている。この表に示されている不確かさは,所
要の測定精度のグレードに応じてバイアス誤差係数K(表1参照)を決めることによって制限されるバイ
アス誤差の最大値と,測定に伴うランダム誤差を考慮して設定されている。ただし,これらの値には,IEC
61043で規定されている測定器の性能の許容誤差,被測定音源の設置方法及び作動条件の変化などによる
影響は含まれていない。
備考 50Hz以下については,精度を決めるデータが十分でない。そこでこの規格では,A特性の通常
の範囲は,オクターブバンドで63Hz4kHzまで,1/3オクターブバンドで50Hz6.3kHzまで
である。31.540Hzまで及び810kHzまでの周波数範囲に著しく高いレベルの成分が含まれ
ていなければ,オクターブバンドで63Hz4kHzまで,1/3オクターブバンドで50Hz6.3kHz
までの帯域ごとの値から計算したA特性の値は正しいと考えてよい。これを確認するためには,
上記の帯域外でA特性の重み付けをしたバンドレベル値が合成計算で求めたA特性の値から
6dB減じた値以上となっていないことを確かめる。上記の範囲より狭い周波数範囲についてA
特性音響パワーレベルを求める場合には,その周波数範囲を明記する必要がある[10.6b)参照]。
騒音源の音響パワーレベルの測定値の不確かさは,音源の近傍音場,外部音場の性質,被測定音源自体
の吸音性,及び音響インテンシティ場のサンプリングの仕方と用いられた測定方法による。そのため,こ
の規格では,設定した測定面上の音場の特性を表す指標を調べるための初期測定を規定する(附属書A参
照)。この初期測定の結果に基づいて,所定の精度を確保するために必要な方法を表B.1によって選ぶ。

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 6] ―――――

6
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
表2 音響パワーレベル測定における不確かさ
オクターブバンド 1/3オクターブバンド 標準偏差 (s)
中心周波数 中心周波数 実用級(グレード2)簡易級(グレード3)
Hz Hz dB dB
63 125 50 160 3 −
250 200 315 2
5004 000 4005 000 1.5 −
6 300 2.5 −
A特性(2) − 1.5(3) 4
備考 1/3オクターブバンドで4005000Hzまでの帯域以外の周波数帯域におけるA特性音
響パワーレベル(合成値)が,この周波数帯域におけるA特性音響パワーレベル(合
成値)よりも大きい場合には,上記のA特性音響パワーレベルに対する標準偏差を
適用することはできず,それぞれの帯域ごとの標準偏差を適用しなければならない。
注(2) 63Hz4kHz又は50Hz6.3kHz
(3) 特性音響パワーレベルの真値は,95%の信頼度で測定結果を中心として±3dBにあ
ると期待される。
A特性音響パワーレベルの値だけを求める場合には,A特性の重み付けをした帯域ごとのパワーレベル
のうち,最大の値よりも10dB以上小さい帯域は無視して計算してもよい。そのような帯域が二つ以上あ
る場合には,それらの帯域のA特性音響パワーの和のレベルが最大値よりも10dB以上小さい場合には無
視してもよい。A特性音響パワーレベルの値だけを求める場合,A特性の重み付けをしたバンドパワーレ
ベルがA特性のオーバーオール値よりも10dB以上小さい帯域は測定精度に影響しない。
5. 音響環境条件
5.1 測定環境条件 測定環境は,IEC 61043に規定され,用いられる個々の測定器による音響インテンシ
ティ測定の原理に適合する条件を備えていなければならない。また,5.25.5に規定する条件を満たさな
ければならない。
5.2 外来インテンシティ
5.2.1 外来インテンシティのレベル 測定精度の低下を防ぐために,外来インテンシティのレベルを最小
にする[附属書Bの式(B.2)参照]。測定面を適切に設定し,外来インテンシティを抑えることによって,
音場指標FpI(附属書AのA.2.1)が10dB以下となるようにする。
備考 被測定音源の一部が吸音性材料でできている場合には,外来インテンシティによって音響パワ
ーレベルが小さめに測定されることがある。被測定音源の音を停止させることができる場合に
ついては,この種の測定誤差の評価の方法を附属書Dに示す。
5.2.2 外来インテンシティの変動性 測定中の外来インテンシティの変動が最小となるように,測定に先
立って適切な処置(被測定音源の作動に関係のない外部の音源が自動的に作動することがないようにする,
機械のオペレータに問題点を知らせておくなど)をとり,測定時間を適切に設定する。
5.3 風及び気流 音響インテンシティ測定に対する気流の乱れの影響については,附属書Cに詳しく述
べる。測定面上で気流がある場合には,プローブにウインドスクリーンを装着しなければならない。
プローブの近傍における風及び気流の条件が,測定システムが十分な性能を発揮するために必要な製造
業者が指定する限界以上となっている場合には,測定を行ってはならない。測定によって測定面上のすべ
ての場所で風速の時間平均値の最大値が4m/s未満であることが確認できない場合には,音響パワーレベル
測定を開始する前に,次の方法によって測定環境条件を確かめる。
風又は気流の乱れが最大となっていると思われる面要素を選ぶ。面要素上の平均ノーマル音響インテン

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 7] ―――――

7
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
シティレベルLInを設定したスキャニングの方法(8.1)によって続いて2回測定し,B.1.3の基準3が満たさ
れているかどうかを調べる。基準3が満たされない周波数帯域については,この規格による音源の音響パ
ワーレベル測定は不可能である。上記の測定作業を基準3が満たされるまで繰り返して行ってはならない。
5.4 温度 周囲の空気に比べて著しく温度が異なる物体に対して20mm以内にプローブを近づけてはな
らない。
備考 プローブの軸方向に温度こう(勾)配が生じている場合,二つのマイクロホンの特性は時間と
ともに異なる変化をし,それによってインテンシティ測定にバイアス誤差を生じる。
5.5 周囲の状況 測定環境は,測定の時間内でできるだけ一定の条件に保たなければならない。この条
件は,音源が純音成分を含んでいる場合に特に重要である。測定中に周囲の環境の変化が避けられない場
合には,その旨を報告する。いずれの測定点についても,できるだけ測定中に測定者がプローブ軸の方向
又は近傍に立たないようにする。被測定音源の近くにあるものはできるだけ移動する。
5.6 大気の条件 気圧及び温度によって空気の密度及び音速が変化する。したがって,測定器の校正値
に対するこれらの要因の影響を十分考慮し,指示値に対して適切な補正を行う必要がある(IEC 61043参
照)。
6. 測定器
6.1 一般事項 IEC 61043の規定に適合する音響インテンシティ測定器及びプローブを用いること。グレ
ード2の精度の測定にはクラス1の測定器,グレード3の精度の測定にはクラス1又はクラス2の測定器
を用いなければならない。IEC 61043に従って,大気圧及び気温に応じて測定器の感度を調節する。使用
する測定器のIEC 61043に定義されている音圧−残留音響インテンシティ指数を測定周波数帯域ごとに記
録しておく。
6.2 校正及び測定現場におけるチェック プローブを含む測定器は,IEC 61043に適合していなければな
らない。IEC 61043に適合していることを確認するために,少なくとも1年に1回,又は音響パワーレベ
ル測定ごとにインテンシティ校正器を使用する場合には,少なくとも2年ごとに,認定された校正機関に
おいてIEC 61043に適合していることを確認する。その結果は,10.5によって記録しておく。
それぞれ一連の測定に先立って,測定器が正常に作動していることを確かめるために,測定器製造業者
の指示によって現場における点検を行う。そのような方法が指定されていない場合には,次の方法によっ
て運搬中などに起こる測定器の異常の有無を調べる。
6.2.1 音圧レベル JIS C 1515に規定するクラス0又はクラス1,0L又は1Lの音圧校正器を用いて,イ
ンテンシティプローブを構成する二つのマイクロホンの音圧感度を校正する。
6.2.2 音響インテンシティ 測定面上で,ノーマル音響インテンシティが測定面全体の平均値よりも大き
い位置にインテンシティプローブをその軸が面に垂直になるように置く。その状態で,すべての測定周波
数帯域におけるノーマル音響インテンシティレベルを測定する。次に,インテンシティプローブを測定軸
に対して180°回転させる。その場合,プローブの音響中心は前と同じ点に保つ。この状態でインテンシ
ティを再び測定する。回転の際にプローブが同じ位置を保つようにスタンドに取り付ける。測定器が適合
しているためには,すべての周波数帯域で二つのInの符号が反対で両者のレベル差が1.5dB以下でなけれ
ばならない。
7. 騒音源の設置及び作動

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 8] ―――――

8
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
7.1 一般事項 被測定音源を通常の使用状態に近い形で適切に設置する。特殊な機械又は装置で特別の
試験要項がある場合には,その試験要項に従って設置する。被測定音源,外部音源及び測定環境に関する
変動要因を特定できるようにしておく。
7.2 被測定音源の作動条件 試験要項で指定されている作動条件に従う。特に試験要項が定められてい
ない場合には,次の条件の中から適切なものを選ぶ。
a) 規定された負荷及び作動条件
b) 最大負荷の条件[a)と異なる場合]
c) 無負荷(アイドリング)の条件
d) 通常の使用状態で音の発生が最大となる条件
e) 条件をよく考えた疑似負荷条件
f) 特徴的な作動周期における作動条件
8. ノーマル音響インテンシティレベルの測定 附属書Bの図B.1に一般的な方法を示す。
8.1 スキャニング プローブのスキャニングは,手動又は機械式移動装置を用いて行う。プローブが感
知する機械式移動装置による外来インテンシティの大きさは,測定面上のインテンシティよりも20dB以
上低くなくてはならない。
インテンシティプローブを各面要素上にあらかじめ設定した経路に沿って連続的に移動する。音響イン
テンシティ及び音圧の平均値を求めるための測定装置の積分(平均化)時間を各面要素上にスキャニング
に要する時間Tに設定する。設定した経路に沿って,測定面に対してプローブの軸が常に垂直になるよう
に,また,プローブの移動速度が一様になるように注意してスキャニングを行う。機械式移動装置を用い
る場合,測定面の形状がいかなる場合にも,これらの条件を満たすことが技術的には可能である。
手動でスキャニングを行う場合には,不規則又は三次曲面の測定面上で上記の条件を満たすことは難し
い。したがって,単純で規則的な面を設定することが望ましい(附属書E参照)。スキャニング経路の基
本的な要素は1本の直線である。スキャニング経路は,一様な移動速度でそれぞれの面要素をカバーする
ようなものでなければならない。図1にその一例を示す。隣接するスキャニング線の平均的な間隔は一様
で,初期測定の際に設定する測定面の上では,音源の表面から面要素までの平均距離以下でなければなら
ない。スキャニング線の密度は,3.16で定義されている。
図1 スキャニングパターンの一例
手動スキャニングによる場合,移動速度は0.10.5m/sまでの範囲とする。一方,機械式スキャニングに
よる場合の掃引速度は,1m/s以下とする。
一つの面要素上における1回のスキャニングの時間は20秒間以上とする。平均化時間は,各面要素上に

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 9] ―――――

9
Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996)
おけるスキャニングの開始時点から終了時点までとする(附属書E参照)。
備考 スキャニング経路上に障害物がある場合には,時間平均操作を一時中断してもよい。
手動のスキャニングによる場合,測定者は対象としている面要素に直面する位置に立たず,音源から放
射音を妨げないように側方に立つ。機械式スキャニングによる場合には,移動装置があることによって生
じる音の干渉の影響を小さくするために,音を散乱させる移動装置の各部位の断面積をできるだけ小さく
する。
備考 FpIが10dB以上となっている場合,スキャニング速度を0.25m/s以上とすると,音場の定常性
にかかわらずB.1.3の基準3を満たすことが難しくなる。
8.2 初期測定のための測定面 被測定音源を取り囲んで,初期測定のための測定面を設定する。測定面
の一部は,コンクリートや石ばりなどの反射性の面(残響室法吸音率0.06以下)であってもよい。ただし,
そのような面についてはインテンシティ測定は行わず,式(6)による音響パワーレベルの計算からも除外す
る。
測定面は最小でも四つの面要素に分割する。各面要素は,設定したスキャニング経路に沿ってプローブ
を面に垂直に保って移動しやすく,また,その面積が特定しやすい形状とする(附属書E参照)。手動ス
キャニングによる場合には,平面又は一次曲面とすることが望ましい。附属書Eの図E.1に,平面形状を
もつ面要素の例を示す。
面要素は,できるだけ形状,材質,接合部,開口部などで区別される音源の各部位又は部品ごとに設定
する。全体の音響パワーの大部分が測定面上又は音源の特定の範囲から放射されていることが明らかな場
合には,できるだけ平均パワー以上となっている範囲とそれ以下となっている範囲とを区別するように面
要素を設定する。面要素は,被測定音源と強い外部音源との間の測定面などで,負の部分音響パワーが卓
越している範囲と正の部分音響パワーが卓越している範囲とを分けて設定する。各面要素の最大寸法は,
設定した経路に沿ってプローブを面に垂直に保ちながら一定の速度及び密度でスキャニングできるように
設定する。
被測定音源が広い平板又はシェルの形状をしている場合,音源と面要素の平均距離が200mm以上とな
るように設定する。音源が小さく,まとまった形をしている場合には,その距離は100mmまで縮めても
よい。その場合,表B.1及び図B.1に示す対応策aの方法は適用しない。
8.3 初期測定 音響パワーレベルを求めるすべての周波数帯域について,面要素ごとに平均ノーマル音
響インテンシティレベル及び平均音圧レベルを測定する。
8.3.1 部分音響パワーの繰返し性 グレード2の精度の測定では,各面要素上でスキャニングを2回行い,
すべての測定周波数帯域について,3.6.3によって部分音響パワーレベルLWi(1),LWi(2) を別々に求める。
その場合,2回のスキャニング経路は直交(スキャニングパターンを90°回転)するように設定すること
が望ましい(図1参照)。B.1.3の式(B.3)によって,部分音響パワーの差を求める。その結果,基準3が満
たされていない場合には,その原因を探り,できるだけ差が小さくなるようにする。もし,それが効果が
ない,又は実際的でない場合には,B.2に従って改善手段をとる。
それでもいずれかの周波数帯域で基準3が満たされない面要素がある場合には,この規格に基づく部分
音響パワーレベルの測定は不可能とし,それらの周波数帯域における音響パワーレベル測定の精度は,表
2に示されている値よりも低いことが分かるように報告書に明記する。ある一つの周波数帯域で,基準3
を満足しない面要素を通過する部分音響パワーが,基準3を満足するその他の面要素を通過する部分音響
パワーから計算した音源の音響パワーに比べて1/10未満と推定される場合には,この規格によって音源の
音響パワーレベルを求めてもよい。

――――― [JIS Z 8736-2 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS Z 8736-2:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9614-2:1996(IDT)

JIS Z 8736-2:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8736-2:1999の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC1515:2020
電気音響―音響校正器