JIS E 5007:2019 鉄道車両―変圧器及びリアクトル | ページ 4

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試験用の正弦波形電圧がない場合は,補正方法についてIEC 60076-1を参照するのが望ましい。
変圧器の任意の巻線に電圧を印加する。高圧タップ制御の変圧器の場合には,タップ切換器及び固定比
率の主変圧器の一次巻線側は接続したままとする。しかし,いかなる場合でも他の全ての巻線は開路とす
る。
電流は,平均値及び実効値を測定する。
13.2.7.2 形式試験
無負荷電流及び無負荷損失の測定は,IEC 60850に示すUmin2,Umin1,Un,Umax1及びUmax2の一次電圧に
て行う。受渡当事者間の協定があれば,他の値も考慮してもよい。
補助変圧器の場合,ピーク無負荷電流は,定格電圧Urで測定する。必要であれば1.1Urと1.2Urとでも
測定する。
変圧器にタップがある場合又は複電圧仕様である場合は,指定のタップ又は電圧で測定し,そのうち一
つは定格タップに相当する電圧で測定する。
発注者は,電圧,電流波形及び高調波分析を要求してもよい。
13.2.7.3 受渡試験
測定は,13.2.7.2によるが,定格電圧Ur及び定格タップについてだけ測定を行う。
13.2.8 インピーダンス電圧又は短絡インピーダンスの測定(形式試験及び受渡試験)
13.2.8.1 一般
主変圧器及び補助変圧器の巻線配置は様々なので,インピーダンス電圧を測定すべき巻線対の組合せは,
受渡当事者間で協定する。このときの形式試験は,故障電流の計算のほかに,タップ切換器の全てのポジ
ションにおける負荷特性曲線が作成できる十分なデータを得るのが望ましい。インピーダンス電圧は,次
の組合せに対して,IEC 60076-1の手順に従って測定する。
a) 一次巻線と全ての主回路巻線を一括で直列接続して測定する(形式試験及び受渡試験)。
b) 一次巻線とほぼ同時に転流する巻線の各グループを測定する(形式試験)。
c) 一次巻線とそれぞれ独立した主回路巻線を別々に測定する(形式試験及び受渡試験)。
d) 一次巻線とそれぞれの補助巻線を別々に測定する(形式試験)。
e) それぞれの主回路巻線とそれぞれの補助巻線を別々に測定する(形式試験)。
a),b)及びc)の形式試験では,全タップについて測定する。一方,d)及びe)の形式試験,及び他の受渡
試験については,一次巻線の定格タップ及び補助巻線の指定のタップだけで測定する。
他のタップでの追加測定及び他の巻線組合せが必要な場合は,受渡当事者間の協定による。
インピーダンス電圧は,定格周波数で,ほぼ正弦波の電源によって測定する。測定は25 %100 %の間
のどの電流で測定してもよい。
どの巻線に印加される電圧も,当該巻線の定格電圧の50 %を超過しないことが望ましい。また,巻線の
定格電流値を超えないことが望ましい。
測定値は,試験電流と定格電流との比で補正し,それで得られた値は,表7又は表7Aに規定する基準
巻線温度によって,補正する。
短絡インピーダンスは,インピーダンス電圧から算出して短絡抵抗とインダクタンスとに分離する(IEC
60076-1:2011の3.7参照)。
13.2.8.2 過渡インダクタンスの測定(形式試験)
必要ならば,非線形短絡インダクタンス特性として,過渡インダクタンスを13.3.7.4によって測定する。
発注者は,インピーダンス(抵抗値及びインダクタンス)の周波数特性の測定を要求してもよい。

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13.2.9 基本負荷損の測定(形式試験及び受渡試験)
13.2.9.1 一般
基本負荷損は,インピーダンス電圧測定(13.2.8参照)の形式試験及び受渡試験の際に記録する。測定
値は,測定電流に対する定格電流の比の二乗を乗じて補正する。
これによって得られた基本負荷損は,13.2.5で与えられる適切な基準巻線温度で補正する。I2R(Rは直
流抵抗値)はRに比例変化し,他の全ての損失は抵抗に反比例する。抵抗値は,13.2.5の規定によって求
める。
基本負荷損は,次の巻線の組合せによって決定する。
a) 一次巻線及び全ての主回路巻線を直列又は並列に接続して測定する。
b) 一次巻線及びそれぞれの補助巻線に対して測定する。
基本負荷損は,IEC 60076-1:2011の附属書Eを基にした表7の基準巻線温度で補正する。
注記1 全損失は,a)及びb)で規定した巻線対で測定された損失の算術和では求めることができない。
注記2 全損失は,場合によっては,各巻線の直流抵抗及び電流から得られる損失試験で得られた付
加損失を加えて,求めることができる。
13.2.9.2 形式試験
基本負荷損は,13.2.9.1で規定したa)及びb)の組合せについて算定する。a)の組合せについては,タッ
プ切換器の次の3点でそれぞれの負荷損を算定する。
a) 定格タップ
b) 主回路負荷損が最大となるタップ
c) その他の1タップ
13.2.9.3 受渡試験
基本負荷損は,13.2.9.1で規定したa)の組合せ及び定格タップに限定して算定する。
13.2.10 全損失の算定(形式試験)
全損失は,無負荷損失(13.2.7参照)と,表7に定めた基準巻線温度で換算された負荷損[基本負荷損
(13.2.9)及び高調波損失]との和である。
電力変換装置によって誘導された高調波損失は,IEC 61378-1:2011の附属書Aによる方法,又は受渡当
事者間で協定した方法によって計算し,基本周波数で測定した損失に加える。
主変圧器の主回路に対する全損失は,定格タップ及び主回路負荷損が最大となるタップに対して計算す
る。主変圧器の全損失は,主回路の定格負荷と補助回路の定格負荷との組合せに対して計算する。受渡当
事者間の協定にもよるが,列車の暖房負荷による損失は,通常,この計算に含む。変圧器の補機(油ポン
プ,ファンなど)の電力消費は,全損失に含まない。特別な指定がなければ,補助変圧器については,全
損失は全ての巻線に同時にかかる定格負荷に対して計算する。
13.2.11 温度上昇試験(形式試験)
13.2.11.1 一般
温度上昇試験は,次によって実施する。
なお,温度上昇試験条件の詳細は,受渡当事者間で協定する。
a) 試験成績書上の温度パラメータを決定するために,変圧器及びリアクトルの定格容量又は電流(箇条
6参照)にて実施する。
b) 受渡当事者間で協定がない場合は,短時間最高温度が表3又は表3A,及び表4の限界値を超えないこ
とを検証するため,過負荷条件で実施する。そして,次の2ステップによる。

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1) ステップ1 製造業者が指定の波形を再現ができない限り,温度上昇試験は,製造業者にて,一定
の交流又は直流の定格電流又は容量で試験をする。
2) ステップ2 ステップ1で指定の波形で試験ができない場合,追加試験として電力変換装置を組み
合わせた試験を行う。
注記1 箱内に収納された乾式変圧器及びリアクトルに対しては,電力変換装置に接続して等価
な負荷を提供するステップ2のような温度上昇試験は,温度上昇における収納の影響を
評価することにも使われる。
注記2 油入変圧器及びリアクトルに対しては,ステップ2の目的は,高調波損失を測定するこ
とである。
タップのある巻線は,最大損失となるタップ又は他の指定されたタップで試験を実施する。
試験の間,冷却媒体の循環及び冷却用の全ての附属品は,実際の車両と同等の状態にする(例えば,指
定された熱交換器の目詰まり及び外部圧力損失など)。
動作温度範囲に対して,変圧器及びリアクトルに搭載された油ポンプ,送風機モータ,熱交換器などの
温度を測定し,確認する。
冷却システムの異なる冷却モードを確認するために,特殊温度試験について受渡当事者間で協定しても
よい(例えば,送風機モータの減速及び1台だけの油ポンプ駆動など)。
強制風冷の変圧器及びリアクトル,又は9.2.3で示した同様の冷却方式の変圧器及びリアクトルにおいて
は,指定風量,又は風速での試験及び車両に搭載されたことによる付加的な外部圧力損を考慮し算出した
通風量での試験を実施する。
発注者は,変圧器及びリアクトルの入気口における冷媒温度を指定する必要がある。
13.2.11.2 温度の決定法
実施する試験によって,次の三つの温度決定方法を用いる。
a) 直接温度測定 温度センサで直接温度を測定する(抵抗温度計,熱電対法,光ファイバ,サーモラベ
ル,赤外線カメラなど)。
b) 間接温度測定 電圧,電流,抵抗などのような他の物理的なパラメータを測定して算出する。例えば,
平均巻線温度は,直流抵抗の変化で求める。
c) 温度計算法 温度の直接測定で最高温度が発生する位置を特定することは難しい場合がある。この場
合,温度が上がりそうな場所の近傍を直接測定する。そのとき,最高温度が発生しそうな場所の温度
上昇値は,計算によって求める。製造業者は,参考として類似の変圧器並びにリアクトルの試験結果
及び計算法について,情報を提示しなければならない。
13.2.11.3 油入変圧器及び油入リアクトルの温度上昇試験
油入の場合,必ずしもホットスポット温度を直接測定することはできない。受渡当事者間の協定を基に,
特殊試験として巻線のホットスポット部の温度を直接測定するように決めることができる。
直接測定しない場合は,次のような温度上昇試験結果を基にした計算から,ホットスポット部の巻線最
高温度上昇を算定する。
− 巻線平均温度を測定(直流抵抗の変化による間接温度測定)
− 製造業者は,ホットスポットの位置,及びホットスポット温度と巻線平均温度との関係の調査結果を
発注者に提示する。
調査は,次に基づき実施するのが望ましい。
− 漏れ磁束及び付加的損失分布

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− 付加的損失が高い場所における巻線内部の絶縁油の循環状態
製造工場内の温度上昇試験は,次の3ステップで実施する。
a) ステップ1−油温上昇試験 試験は,変圧器及びリアクトル(タンク内に他の部品がある場合はこれ
も含めて)に全損失(13.2.10参照)を巻線内に生じさせる試験電流を注入することで実施する。受渡
当事者間の協定があれば,試験は低減損失で実施できる。ただし,全損失の80 %以下にならないこと
とし,13.2.10に従って全損失での結果を外挿によって換算する。複電圧対応の変圧器及びリアクトル
の場合,最も大きな損失を生じる電圧にて実施して,次のデータを測定する。
1) 熱交換器の出入口における油温
2) 入気口での冷媒温度及び風量
b) ステップ2−巻線温度上昇試験 この試験は,IEC 60076-2に従った方法で,定格電流注入法によって
実施する。受渡当事者間の協定があれば,この試験は指定の過負荷状態でも実施する。
c) ステップ3−結果の集約 温度上昇試験後,製造業者は結果を集約し,仕様条件(車両搭載上の制約
を含む。)での油と巻線の温度とを計算し,試験成績書として発注者に提示する。
この段階では,前のステップ1及びステップ2で再現できない(例えば,高調波損失),通常の動作
状態で鉄心及び巻線の温度に影響する全ての電流成分を含む計算になる。
負荷プロファイルによる温度は,これらの試験結果を基に計算する。
巻線温度上昇値を決める標準的な方法は,電流注入法である。変圧器における電流注入法は,IEC 60076-2
の短絡負荷法によって実施する。
特殊な場合として,協定があれば,試験は適切な負荷を接続することで定格電圧及び定格電流を印加し
て実施する。この方法は,主に低定格容量の変圧器に適用できる。協定によって返還負荷法を用いてもよ
い。この方法は,試験する変圧器1台を含む2台の変圧器を並列接続し,定格電圧で励磁する。異なった
電圧比とするか又は電圧の注入によって,定格電流が試験用の変圧器の巻線内に流れる。
IEC 60076-2には,次に示す幾つかのガイダンスが含まれる。
− 用語及び定義
− 種々の温度測定法
− 試験時間
− 油温度及び巻線温度の決定
− 測定値の必要な補正
13.2.11.4 乾式変圧器及び乾式リアクトルの温度上昇試験
乾式変圧器及び乾式リアクトルの温度上昇は,次の特徴がある。
− ホットスポットと平均巻線温度,又は巻線の表面温度との差は極めて大きい。
− 鉄心と巻線との間の熱的結合は強い。
− 温度センサは容易にセットできる。
温度を直接測定する場合,受渡当事者間の協定の基に温度センサの測定位置を決める。加えて平均巻線
温度を,直流抵抗の変化で間接的に測定する。温度センサの読みと平均巻線温度との差は,各巻線のホッ
トスポット測定値を確定するために使う。
受渡当事者間の協定がなければ,製造業者は次の3ステップによって温度上昇値を確定する。
a) ステップ1−電流通電試験 13.2.10に示すとおり,巻線及び鉄心の温度が定常状態に達するまで,変
圧器及びリアクトルの全損失を生じさせる試験電流を巻線に通電する。変圧器では,短絡負荷法で行
う。巻線及び鉄心の温度上昇値が1時間で2 K以内の変化になったときに最終温度上昇値に達したと

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考える。巻線温度はこのとき測定する。受渡当事者間の協定があれば,試験は低減損失で実施でき,
全損失の80 %以下とならない条件で実施して,13.2.10に示すように全損失での結果を外挿によって
換算する。
b) ステップ2−開回路試験(変圧器にだけ適用) 巻線及び鉄心の温度が定常状態になるまで,定格電
圧及び定格周波数で開回路試験を続ける。個々の巻線温度上昇値は,そのときに測定する。開回路試
験は,電流通電試験の前又は後に実施できる。
c) ステップ3−結果の集約 各巻線の全温度上昇(巻線及び通常励磁の鉄心の損失による。)は,製造業
者が算出し,発注者に試験成績書として提示する。
この計算には,ステップ1及びステップ2で再現できない実際の装置の動作状態時に発生する,鉄
心及び巻線温度に影響する全ての電流成分を含めなければならない。例えば,高調波による鉄心及び
巻線の損失は,この段階で含まれる。適用できるならば,鉄心に生じる高周波損失の寄与(例えば,
変圧器と統合されたリアクトルの分路鉄心)にも特別な注意を払う。
無負荷時の巻線のホットスポット温度上昇への鉄心の影響は,次の値又は変圧器及びリアクトルの
温度上昇試験中に製造業者によって測定された値とするのが望ましい。
− 外周側巻線で5 K
− 内周側巻線で25 K
負荷プロファイルによる温度は,試験結果を基に計算する。特殊な場合として,受渡当事者間の協定が
あれば,適切な負荷を接続することで,定格電圧及び定格電流を適用して実施する。これは主に低定格容
量の変圧器に適用できる。受渡当事者間の協定によって返還負荷法を用いてもよい。
13.2.11.5 温度補正
温度の測定値を限度値と比較する前に,次のように測定値の補正が必要になることがある。
a) 巻線の平均温度が直流抵抗を基にして決定する場合,IEC 60076-2によって,遮断の瞬間の値に外挿
する。
b) 温度上昇試験中に指定の容量又は電流を得ることができなかった場合,油入変圧器及びリアクトルで
はIEC 60076-2によって結果を補正する。また,乾式変圧器及びリアクトルではIEC 60076-12によっ
て補正する。この補正は,直流抵抗による温度の影響,及びその結果としての損失への影響も含む(こ
れは繰り返し計算によって行う。)。
c) 温度上昇試験が指定の冷却媒体の温度で実施できなかった場合,温度の直流抵抗への影響,及びその
結果としての損失への影響を考慮して補正する(これは繰返し計算によって行う。)。13.2.9.1のガイダ
ンスを参照。
13.2.11.6 温度上昇試験の判定基準
変圧器及びリアクトルが,次に適合した場合,合格とする。
a) 定格電流及び定格容量(6.2及び7.3参照),並びに冷媒基準温度における集約したホットスポット温
度は次のいずれかとする。
1) 受渡当事者間で協定の温度限界を超えていない。
2) 指定された絶縁物の寿命に適合する。絶縁物の寿命を評価する方法及び例を,それぞれ附属書B及
び,附属書Cに示す。
b) 集約したホットスポット温度が,最も厳しい条件でも表3又は表3A,及び表4の温度限度を超えない。
13.2.12 絶縁抵抗試験(任意の形式試験及び任意の受渡試験)
耐電圧試験を始める前に,絶縁抵抗計によって,巻線間及び巻線と接地との間の絶縁抵抗を,少なくと

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JIS E 5007:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60310:2016(MOD)

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