JIS E 6103:2015 鉄道車両―永久磁石同期機 | ページ 2

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8.1に規定する条件の下に,永久磁石同期機を試験台上で冷状態から規定の時間運転し,永久磁石同期機
が表2に示す温度上昇限度を超えることなく,しかも,この規格で要求する全ての該当条件を満たして運
転できる定格。
3.4
短時間過負荷定格(short-time overload rating)
決められた時間に協定された温度上昇限度を超えることなく,試験台上で運転できる定格。
注記 短時間過負荷定格は,連続定格以下の比較的長い運転時間の後に,連続定格を超える過負荷状
態が,ごく短期間運転される電動機の性能決定に用いている。この定格は,主として機関車用
に適用されている。
なお,都市内輸送,又はそれに似た短時間運転の繰返しに用いる電動機へのこの定格を適用
することは適切ではない。
3.5
間欠負荷定格(intermittent duty rating)
間欠負荷で運転される永久磁石同期機が,表2に示す温度上昇限度をいかなる時点でも超えることなく
運転できる,断続的な運転サイクルで与えられる定格。
3.6
等価定格(equivalent rating)
間欠負荷運転と同一温度となるような,等価的な連続運転での電圧,電流,回転速度などで示す受渡当
事者間で協定した連続定格。
3.7
保証定格(guaranteed rating)
製造業者が試験のために設定する定格。主電動機の場合,通常連続定格とするが,受渡当事者間の協定
によって短時間定格又は間欠負荷定格としてもよい。補助電動機の場合,特に指定がなければ連続定格と
する。
3.8
定格電圧(rated voltage)
永久磁石同期機が保証定格で運転するときに,供給される線間電圧の基本波の実効値。
3.9
定格速度(rated speed)
保証定格での回転速度。
3.10
最高運転電圧(maximum service voltage)
運転中に,永久磁石同期機に供給する最も高い線間電圧の基本波成分の実効値。
3.11
最高電圧(maximum voltage)
可能性のあるあらゆる条件において,最も高い線間電圧の基本波成分の実効値。
注記 回路開放時に高速で回転した永久磁石同期機の線間電圧は,最高運転電圧より高くなる可能性
がある。
3.12
繰返しピーク電圧(repetitive peak voltage)

――――― [JIS E 6103 pdf 6] ―――――

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電力変換装置の出力電圧波形のピーク値。電車線電圧の過渡変動,その他の予測できない要因で生じる
不規則な過渡ピーク値を除く。
3.13
起電力(EMF,electromotive force)
永久磁石の磁束によって,永久磁石同期機の巻線に生じる起電力。
3.14
誘起電圧(induced voltage)
回路開放時,規定した回転速度及び規定した磁石温度における起電力によって発生する線間電圧の基本
波成分の実効値。
3.15
最大電流(maximum current)
5.4で定義する規定特性に示される最大電流。
3.16
最高使用回転速度(maximum working speed)
製造業者が指定した永久磁石同期機の最高回転速度。
a) 主電動機 主電動機を搭載している車両の性能が規定されている場合,この回転速度は,鉄車輪の最
小摩耗直径,又はゴムタイヤの最小踏面直径の場合の車両の最高運転速度に対応する回転速度を下回
らない。
b) 主発電機又は補助発電機 特定の用途のディーゼル機関の最高回転速度に対応した発電機の回転速度
とする。この回転速度は,一般的には無負荷時のディーゼル機関の最高回転速度である。負荷が変動
する時の瞬間的な速度は適用範囲外である。
c) 補機 特定の用途に対しては,運転中に発生し得る最も好ましくない電圧,周波数,負荷などの条件
を考慮する。
3.16A
規定値
規定特性に示される値。
注記 規定特性については,5.4を参照する。
3.16B
決定値
決定特性に示される値。
なお,受渡試験においては,9.1に規定された値。
注記 決定特性については,5.5を参照する。
3.17
使用者(user)
通常は,鉄道事業者。ただし,その権限を外部の組織へ委任することができる。
3.18
製造業者(manufacturer)
永久磁石同期機の製造業者。
3.19
システム製造業者(system manufacturer)

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全体システムに技術的な責任をもつ組織。
注記 ここで定義されているシステム製造業者は,電動機の製造業者,電力変換装置の製造業者,制
御機器の製造業者,それらを全て製造している製造業者,又はそれらを全く製造していない組
織でもよい。
3.20
コギングトルク(cogging torque)
回転子の永久磁石と固定子の鉄心との間の吸引力が回転角度に対して変化することによって生じる,無
通電状態の永久磁石同期機におけるトルク。

4 使用条件

  使用者が特に定める場合を除き,使用条件は,次による。
a) 標高 IEC 62498-1のクラスA3(1 200 m以下)とする。
b) 温度 日陰でIEC 62498-1のクラスT4(−10 ℃40 ℃)とする。
上記のいずれか一方,又は両方の限界を超えて運転する永久磁石同期機の場合は,受渡当事者間の協定
によって環境条件を設定してもよい。詳細は,IEC 60034-1による。
さらに,使用者は,永久磁石同期機がさらされる使用環境,例えば,じんあい(塵埃),湿度,温度,雪,
振動・衝撃条件などを製造業者に知らせなければならない。

5 特性

5.1 情報交換

  永久磁石同期機の設計者及び電力変換装置の設計者は,これらを組み合わせた主回路システムが,この
規格の要求事項を満たすように,次に示す技術的に必要な全ての事項について情報交換を行い,協調を図
る。また,この情報交換事項を記録した資料は,永久磁石同期機及び電力変換装置の仕様書の一部とする。
a) 永久磁石同期機の設計者は,永久磁石同期機と電力変換装置との相互作用を十分に評価するために必
要な全ての情報を,電力変換装置の設計者に提供する。
b) 永久磁石同期機の設計者は,永久磁石の温度が20 ℃での全回転速度範囲における回転速度の関数と
しての誘起電圧特性及び他の温度での誘起電圧を計算するために,必要な誘起電圧の温度傾向に関す
る資料を電力変換装置の設計者に提供する。
c) 電力変換装置の設計者は,永久磁石同期機の設計者にき電システムの最高電圧及び最低電圧での運転
を含む全領域にわたる特性を提供する。例えば,電力変換装置の出力電圧波形(繰返しピーク電圧を
含む。),電流,基本波周波数,高調波及び電力の特性についての情報を提供する。
注記1 詳細情報は,JIS E 5008の5.3.1.1[主電動機と変換装置(インバータ)との間のインタフ
ェース]を参照する。
注記2 永久磁石同期機及び電力変換装置の間の配線長及び永久磁石同期機の端子電圧のピーク値
について考慮する。この課題への対策は,システム製造業者の責任である。
注記3 電力変換装置の出力電圧波形及びその永久磁石同期機への影響については,IEC 60034-17
を参照する。

5.2 永久磁石同期機の特徴

  永久磁石同期機は回転によって常に起電力が発生するため,この影響を考慮する必要がある。
例(参考) :

――――― [JIS E 6103 pdf 8] ―――――

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− 巻線が内部で短絡した場合,回転すると短絡電流が流れる。
− 回転すると端子間に電圧が発生する。
− コギングトルクが生じることがある。

5.3 基準温度

  基準温度は,永久磁石同期機の絶縁システムの耐熱クラスとは無関係に,巻線は150 ℃,永久磁石は
100 ℃とし,この基準温度を特性曲線に記載する。ただし,これらの基準温度は,受渡当事者間の協定に
よって変更してもよい。

5.4 規定特性

  一般に,永久磁石同期機の仕様書には,5.75.10に示す特性曲線を含める。これらの特性曲線は,“規
定特性”と定義し,各変化量の設計上の限界まで示す。受渡当事者間の協定がない限り,規定特性は,電
力変換装置の直流電圧が標準の値である場合の性能を示し,永久磁石同期機が発注される前に製造業者が
使用者に提供する。

5.5 決定特性

  決定特性とは,8.2.1に従って実施した形式試験の結果から求めた特性値で,8.2.2の裕度を満たさなけれ
ばならない。事前に受渡当事者間の協定がない限り,同一使用者又は同一用途に対する電気的に等価な永
久磁石同期機の決定特性は,以前に製造された永久磁石同期機と同一とする。その場合,特性の承認は簡
易形式試験の結果による。

5.6 効率特性

  効率特性は,電力変換装置からの給電電力に含まれる高調波成分の損失を考慮する。

5.7 主電動機特性

  主電動機の規定特性及び決定特性は,電力変換装置から給電される可変周波数の特性であり,主電動機
の全使用領域にわたって回転速度の関数として,主電動機の線間電圧,電流,誘起電圧,周波数,平均ト
ルク及び効率を示す。電圧曲線は,基本波成分の実効値を示す。電流曲線には,基本波成分の実効値及び
全実効値を示す。ブレーキモードで使用される主電動機については,主電動機の回転速度に応じたトルク
入力及び電気出力を同様に示す特性を求める。
歯数比,車輪直径及び動力伝達損失が明示されていれば,特性曲線は主電動機のトルク及び回転速度の
代わりに引張力及び車両速度を示してもよい。動力伝達損失に協定値を用いる場合,附属書Bによる。

5.8 主発電機特性

  特性曲線は,規定の回転速度における負荷電流の関数として電圧及び効率を示す。
特性曲線は,最高,平均及び最低(又はその間)のディーゼル機関の回転速度において,けん(牽)引
に利用できる発電機の機械入力の範囲内で描く。ディーゼル機関に幾つかの中間の回転速度ノッチを設定
している場合,主発電機の性能を適切に表す十分な数の回転速度ノッチに対する特性曲線を追加する。
特性曲線を負荷電流の関数とする代わりに,回転速度の関数として示してもよい。
発電機をディーゼル機関の始動用として使用する場合,5.7と同様に扱う。

5.9 補助電動機特性

  補助電動機の規定特性及び決定特性は,電力変換装置給電時の特性である。これらの特性には,その電
動機の全使用領域における各運転周波数に対し,電動機の出力の関数として,電動機の線間電圧,電流,
回転速度及び平均トルクを示す。連続可変周波数で運転する電動機の特性は,最大周波数及び最小周波数
だけを示してもよい。
電圧曲線は,基本波成分の実効値を示す。電流曲線には,基本波成分の実効値及び全実効値を示す。こ

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れらの特性では,給電高調波成分から生じる付加的損失及び保証定格における効率を明示する。
補助電動機の特性については,出力の代わりに回転速度の関数として特性曲線を作成してもよい。

5.10 補助発電機特性

  出力電圧,出力及び効率の特性曲線は,定格回転速度における負荷電流の関数として示す。可変速度の
発電機では,使用範囲の最低回転速度及び最高使用回転速度での特性曲線を示す。その際,交流出力の周
波数を併せて示す。
発電機をディーゼル機関の始動用として使用する場合,5.9と同様に扱う。

6 表示

6.1 銘板

  この規格で規定する永久磁石同期機は,受渡当事者間の協定がない限り,少なくとも次の項目を含む銘
板を取り付ける。
a) 製造業者名
b) 形式
c) 永久磁石同期機であることを示す表示
d) 製造番号
e) 製造年
f) 最終組立場所の表示[f)はa),d)又はe)にまとめてもよい。]
さらに,各永久磁石同期機の固定子及び回転子の両方に製造番号を刻印し,また,単一回転方向で設計
した永久磁石同期機の場合,回転方向を表示する。
永久磁石同期機の銘板及び回転方向は,その永久磁石同期機を車両に取り付けた状態で読みやすいよう
に表示する。ただし,回転方向の表示については,そのような表示が可能な場合に限る。

6.2 端子及びリード線の表示

  端子及びリード線の表示は,受渡当事者間の協定による。協定によらない場合には,IEC 60034-8の規
定による。

7 試験

7.1 試験の種類

  試験は,次の4種類とする。
a) 形式試験
b) 簡易形式試験(繰返し形式試験)
c) 受渡試験
d) 調査試験
注記 さらに,永久磁石同期機及び電力変換装置の組合せ試験を実施する場合,重複を避けるため
に,形式試験又は調査試験は,組合せ試験と同じ試験台で実施することが望ましい。

7.2 形式試験

7.2.1  一般
形式試験は,新形式の永久磁石同期機の定格,特性及び性能を確認するための試験であり,全ての新設
計の永久磁石同期機の1台について必ず行う。受渡当事者間の協定がない限り,その永久磁石同期機は最
初に製造された10台中の任意の1台とする。

――――― [JIS E 6103 pdf 10] ―――――

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JIS E 6103:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60349-4:2012(MOD)

JIS E 6103:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 6103:2015の関連規格と引用規格一覧