JIS E 6111:2012 鉄道車両―短一次形リニア誘導主電動機 | ページ 2

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)
運転中に,LIMに供給される線間電圧の基本波成分の最も高い実効値。
3.11
繰返しピーク電圧(repetitive peak voltage)
電力変換装置の出力電圧波形のピーク値。電車線電圧の過渡変動,その他の予測できない要因で生じる
不規則な過渡ピーク値を除く。
3.12
最大電流(maximum current)
5.3で規定する規定特性に示される最大電流。
3.13
最大出力(maximum output)
運転中における出力の最大値。
3.14
推力(thrust)
LIMの運転中に,進行方向に発生する加速力又は減速力。
3.15
最大推力(maximum thrust)
運転中における推力の最大値。
3.16
効率(efficiency)
実測入力に対する実測出力の割合,又は理論計算入力に対する理論計算出力の割合。
3.17
リニア誘導モータ(LIM)
伝統的な回転形誘導モータと同じ原理で動作し,線状の動作をする電気機械。
注記 回転形のモータと同様に,LIMの一次側と二次側とが磁気的に結合して,一次側からの磁界は,
二次側に渦電流を誘導する。この磁気的相互作用は,一次と二次との間で推力を発生する。
3.18
片側式リニア誘導モータ(SLIM)
一次側が二次側の片面だけに存在しているLIM。
3.19
端効果(たんこうか)(end effect)
一次側の長さが有限長であることによって,一次側の両端で移動磁界がゼロとなる三相の非対称性に起
因する性能の悪化現象。特に,LIMの高速時の動作において顕著となる。
3.20
縁効果(えんこうか)(transverse edge effect)
一次側及び二次側の幅が有限であることによって,LIMの特性に影響する現象。
3.21
一次側(primary)
三相巻線,溝付の強磁性体の積層鉄心及び機械的支持構造の三つの部分で構成された二次側と対向する
LIMの構成要素。

――――― [JIS E 6111 pdf 6] ―――――

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)
3.22
短一次形(short-primary type)
一次側が車両側に取り付けられ,二次側が軌道又はガイドウェイに固定されたLIM方式。二次側は基本
的に軌道に沿って連続的に配置される。
3.23
二次側(secondary)
導体と強磁性の鉄心とで構成され,一次側から数ミリメートル以上離れて配置されたLIMの構成要素。
この規格では,リアクションプレート,リアクションレールとも呼ばれる。
3.24
クラッド・リアクションプレート(cladding reaction plate)
導電性のプレートを二次側鉄心の表面に接合又は固定したリアクションプレート。
3.25
二次導体(secondary conductor)
二次側の強磁性鉄心の表面に固定された非磁性導体。
3.26
二次側オーバハング(secondary overhangs)
一次側の鉄心幅と比較し,リアクションプレートの追加している幅。
3.27
二次側支持構造(secondary supporting structure)
導電性リアクションプレートと二次側強磁性鉄心とをガイドウェイの表面に固定すると共に,様々な位
置の調整を可能にする鉄製の組立構造物。
3.28
機械的空隙(mechanical gap)
一次側の底面と二次側の上面との物理的な垂直線間距離。
3.29
標準空隙(nominal gap length)
LIMの性能設計に適用する機械的空隙。
3.30
磁気空隙(magnetic gap)
磁気回路上の空隙の長さで,一次鉄心と二次鉄心との間の物理的な距離。
3.31
移動磁界(traveling magnetic field)
LIMの一次巻線によって発生する磁界。回転形交流モータにおける回転磁界に相当する。
3.32
ポールピッチ,τ(pole pitch, τ)
隣接した二つの磁界の極の間の長手方向の距離。
3.33
同期速度(synchronous speed)
LIMの移動磁界の基本波の速度。この値は,次の式によって求める。
s
V 2f

――――― [JIS E 6111 pdf 7] ―――――

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)
ここに, Vs : 同期速度(m/s)
f : 一次側電源周波数(Hz)
τ : ポールピッチ(m)
3.34
滑り(slip)
同期速度と一次側の速度との差を同期速度で除した値。この値は,次の式によって求める。
Vs Vp
s
Vs
ここに, s : 滑り
Vp : 一次側の移動速度(m/s)
3.35
滑り周波数(slip frequency)
二次電流の周波数。この値は,次の式によって求める。
fs s f
ここに, fs : 滑り周波数(Hz)
3.36
垂直力(normal force)
一次側と二次側との間に働く,進行方向と直交する一次側の表面に垂直な方向の力。
3.37
電気ブレーキ(electric braking)
運動エネルギーから電気エネルギーへの変換によって車両を減速する方法。
注記 3.38及び3.39に示す二つの異なる方法がある。
3.38
回生ブレーキ(regenerative braking)
主電動機を発電機として働かせ,運動エネルギーを電気エネルギーに変換して給電システムに送り返し
て,ブレーキ力を得る方法。
3.39
逆相ブレーキ(reversing-phase braking)
空隙中の長手方向の磁界の進行方向を逆転して滑りを1より大きくすることで,渦電流として二次導体
中で消費されるエネルギーを大きくしてブレーキ力を発生させる電気ブレーキの方法。
3.40
磁気吸引浮上方式(electromagnetic suspension)
車上の電磁石と強磁性のレールとの間で作用する吸引力による磁気浮上方式。
3.41
磁気浮上力(magnetic levitation force)
車上のLIMの一次側とLIMの二次側との間に誘起する垂直方向の正味の反発又は吸引力。
3.42
横方向磁気案内力(magnetic lateral guidance force)
車上のLIMの一次側とLIMの二次側との間に誘起する水平方向の正味の反発力。
3.43
空間高調波解析(space-harmonic analysis)

――――― [JIS E 6111 pdf 8] ―――――

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)
LIMの特性を計算するための電磁気解析法。
注記 方法は,仮想の一次側の周期的な配列によって生成した電流面のフーリエ級数表現によって導
出された空間高調波スペクトルを用いる。
3.44
使用者(user)
LIMの運転上の要求事項を定義すること及び受取証明書に署名することについて責任がある機関。
3.45
製造業者(manufacturer)
LIMが使用者の性能要求事項を満足していることを検証することに責任がある会社。
注記 多数の異なる会社がLIMの構成部品の設計,製造及び試験に関係することも可能である。

4 環境条件

  使用者が特に定める場合を除き,環境条件は,次による。
a) 高度 : 海抜1 200 m以下。
b) 温度 : 日陰で40 ℃以下。
LIMが,これらのいずれか一方又は両方の限界を超えて運転される場合は,受渡当事者間の協定によっ
て特別な要求事項を設定してもよい。
さらに,使用者は,LIMがさらされる何らかの特に厳しい環境条件,例えば,じんあい,湿度,温度,
雪,動的作用(風,地震)などを製造業者に知らせなければならない。

5 特性

5.1 情報交換

  LIM及び電力変換装置の設計者は,これらを組み合せた主回路システムが,この規格の要求事項を満た
すように,全ての技術的に必要な事項について協調を図る。このため,LIMの設計者は,LIMと電力変換
装置との間の相互作用を十分に評価するために必要な全ての情報を電力変換装置の設計者に提供する。
電力変換装置の設計者も,また,次の情報をLIMの設計者に提供する。すなわち,き電システムの最高
及び最低電圧値での運転を含むその用途の全域にわたる特性について,例えば,電力変換装置出力電圧(繰
返しピーク電圧を含む。),電流,基本周波数,高調波及び電力の特性について示す。
この情報交換を記録した資料は,LIM及び電力変換装置の仕様の必須要件として仕様書に含めなければ
ならない。
注記1 受渡当事者間で情報交換するための技術文書は,JIS E 5008の4.1.3に示されている。
注記2 LIMと電力変換装置との間の配線長及びLIMの端子電圧のピーク値について考慮するのがよ
い。
さらに,LIMの一次側の設計者,二次側の設計者,二次側の締結装置及びシステムインテグレータは,
LIMがこの規格に記述された要求事項を満足できるように全ての必要な技術的項目を調整するのが望まし
い。
LIMの一次側の設計者は,二次側,二次側の締結装置の設計及びシステムインテグレータに,一次側と
二次側との相互作用について十分な検討を行い,必要な技術情報を提供しなければならない。
二次側の設計者もまた,全ての必要な技術情報を,一次側,二次側の締結装置の設計者及びシステムイ
ンテグレータに提供しなければならない。

――――― [JIS E 6111 pdf 9] ―――――

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)
一次側の製造業者及びその関係者の間で要求され,交換されるべき技術情報を,表1に示す。この情報
交換を記録した資料は,LIMの仕様の必須の要件を構成する。
注記3 システムインテグレータは,一次側及び二次側の附属品の公差,車輪とレールとの摩耗,走
行中の振動衝撃による空隙長の偏位を考慮して標準空隙を決定する。
表1−一次側の製造業者とその関係者との間で要求・交換されるべき技術項目
項目 一次側の 二次側の 二次側の締結装 システム
製造業者 製造業者 置の製造業者 インテグレータa)
標準空隙 ○ ○ − ■
LIMの方式 ■ ○ − ○
一次側の技術資料
二次側の技術資料 ○ ■ ○ ○
(その基礎を含む方式及び形状)
導線の寸法及び材料 ■ ○ − ○
鉄心の寸法及び材料
最大推力 ■ ○ ○ ○
最大の垂直力 ■ ○ ○ ○
垂直力の分布 ■ ○ ○ ○
最大偏位 一次側 ■ − − ○
二次側 − ■ − ○
二次側締結装置 − − ■ ○
強度 一次側 ■ − − ○
二次側 − ■ − ○
二次側締結装置 − − ■ ○
軌道構造物(まくらぎなど)が二次 − ○ ○ ■
側締結装置から受ける応力
注記 記号の説明は,次のとおり。
■ 情報発信者
○ 情報共有者
注a) システムインテグレータは,システムの供給業者又は鉄道事業者のいずれかである。

5.2 基準巻線温度

  全ての特性は,LIMに用いられている絶縁種別とは無関係に,基準巻線温度150 ℃を基準とする。この
基準温度を特性曲線上に記載する。

5.3 規定特性

  一般に,LIMの仕様は,この規格の関連箇条に示す特性曲線を含む。これらの特性曲線は,“規定特性”
と呼び,各変化量の設計上の動作限界点までプロットする。受渡当事者間の協定がない限り,これらの特
性は,附属書Cに規定する標準電圧における性能を示し,LIMが発注される前に使用者に提供する。

5.4 決定特性

  決定特性は,8.2.1に従って実施した形式試験の結果から求めた特性値で,8.2.2の裕度を満たさなければ
ならない。事前に受渡当事者間の協定がない限り,同一使用者又は同一用途に対して以前に製造されたLIM
と電磁気的に等価なLIMの決定特性は,既存のLIMの決定特性とする。その場合は,特性の承認は受渡
試験の結果だけによる。

5.5 効率特性

  効率特性においては,電力変換装置給電による高調波から生じる損失を考慮する。

――――― [JIS E 6111 pdf 10] ―――――

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JIS E 6111:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62520:2011(IDT)

JIS E 6111:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 6111:2012の関連規格と引用規格一覧