JIS E 6111:2012 鉄道車両―短一次形リニア誘導主電動機 | ページ 3

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)

5.6 主電動機特性

  主電動機の規定特性及び決定特性は,電力変換装置給電の可変周波数特性によるもので,LIMの線間電
圧,電流,周波数,滑り周波数,平均推力及び効率を,標準空隙でのLIMの応用範囲全体にわたって示し
たものである。電圧曲線は,基本波成分の実効値で表現する。電流曲線は,基本波成分の実効値及び全波
形成分の実効値で表さなければならない。LIMが電気ブレーキモードで使われる場合には,同様な特性曲
線が速度の関数として,入力となる推力と電気出力が示されなければならない。

6 表示

6.1 一次側の銘板

  この規格による全てのLIMの一次側には銘板を取り付ける。銘板には少なくとも次の情報を含まなけれ
ばならない。
a) 製造業者名
b) 一次側の形式名
c) 一次側の製造番号
d) 製造年
さらに,製造番号は全てのLIMの一次側に刻印しなければならない。一方向動作用に設計されたLIM
には移動方向を示す矢印を取り付ける。
注記1 一次側の製造番号及び方向矢印は,一次側が車両にぎ装されたときでも,容易に判読できる
ことが望ましい。
端子及び配線の表示は,特に取決めがない限り,IEC 60034-8の規定による。
標準の方向がLIMの外観によって容易に判断できない場合には,製造業者は,方向を表示しなければな
らない。
注記2 六つの端子をもった巻線用の表示の例を示す :
U1 U2 V1 V2 W1 W2

6.2 二次側の表示

  この規格による全てのLIMの二次側には個体が識別できる連番が書かれた永久的な表示を取り付ける。
表示は支持枠の両側に付けられて,次の情報を含まなければならない。
a) 二次側の形式
b) 長さ
c) 製造業者の製造番号
d) 特記事項

7 試験

7.1 試験の種別

7.1.1  一般
試験は,次の三つの種別がある。
a) 形式試験
b) 受渡試験
c) 調査試験

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E 6111 : 2012 (IEC 62520 : 2011)
7.1.2 形式試験
7.1.2.1 一般
形式試験は,新形式のLIMの定格,特性及び性能を確認するための試験である。形式試験の試験方法は,
箇条8によって新設計のLIMの一次側1台について行う。特に取決めがない限り,LIMは,最初に製造さ
れた10台中の1台とする。製造場所及び/又は製造方法が変わった場合には,7.1.2.4を適用する。
試験開始前に,製造業者は,試験がこの規格に沿って実施されることを説明する試験仕様書を使用者に
提出する。形式試験の完了に続いて,製造業者は完全な試験成績書を使用者に提出しなければならない。
7.1.2.2 電力変換装置給電による形式試験
各LIMが,個別の電力変換装置によって給電される場合には,形式試験は可能な限り実際の運転で使用
される電力変換装置を使って実行されることが望ましいが,代わりに,車両の電力変換装置からの給電と
波形の高調波の大きさと成分とが同等とみなされる電源を使ってもよい。
7.1.2.3 正弦波電源による形式試験
正弦波電源による形式試験は,LIMの特性の参考値を提供するための試験である。
この試験は,製造業者が決定した定格における温度上昇試験を含む。
電圧,周波数,推力,通風条件及び試験時間は製造業者が決定するが,試験時間は,1時間以上とし,
通常の実使用条件と比べて過酷とならない運転条件とする。
試験条件は,同一設計のLIMの後続する試験においてもそのまま適用されるものとする。
温度上昇試験は,8.1による。
7.1.2.4 繰返し形式試験
受渡当事者間の協定があり,正弦波電源による形式試験(7.1.2.3参照)結果があり,かつ,以前に製造
したLIMの受渡試験結果の裕度内にある場合には,その新しいLIMの形式試験の一部を省略することが
できる。すなわち,その製造業者が,同じ電磁気設計のLIMに対して,同等又はそれを上回る定格で実施
された形式試験成績書を提出した場合とする。これは,繰り返し発注の場合及び,製造場所及び/又は製
造方法の変更がある場合にも適用される。
7.1.3 受渡試験
受渡試験は,LIMの一次側が正しく組み立てられ,適切な耐電圧試験に耐えることができ,機械的及び
電気的に健全に動作することを実証するために行う。表2に記載された試験は,全てのLIMの一次側で実
施する。
二次側の受渡試験は,二次側が設計された構成に沿っており,寸法公差及び事前に使用者と製造業者と
によって合意された他の要求事項を満足していることを実証する。二次側の受渡試験項目を表3に示す。
二次側の受渡試験を実施する数量は,受渡当事者間の合意に基づいて決定する。
箇条9で規定された受渡試験は,通常全てのLIMで実施する。ただし,発注前に,受渡当事者間の合意
があれば,それに代わる試験方法を適用してもよい(例えば,厳密な品質管理手法のもとに大量生産され
るLIMの場合)。これは,全てのLIMに実施する試験項目を削減する方法又は発注数量に応じてランダム
に選定されたLIMに全試験項目を実施する方法がある。そのような協定のもとでも,9.1.3に規定された
耐電圧試験は実施しなければならない。
7.1.4 調査試験
調査試験は,追加情報を得るために行われる任意の特別な試験である。調査試験は,LIMの発注前に受
渡当事者間の合意がある場合に限って実施される。これらの試験の結果は,LIMの受取条件とはしない。

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7.2 試験項目

  この規格で規定する試験項目を,表2及び表3に示す。
表2−LIMの一次側に適用する試験項目a)
試験項目 試験の種類
形式試験 受渡試験 調査試験
温度上昇試験 8.1 − −
短時間温度上昇試験/ヒートラン 7.1.2.3 9.1.1 b) −
特性試験 8.2 9.1.2 −
耐電圧試験 − 9.1.3 −
振動衝撃試験 8.3 − −
構造試験 − 9.1.4 −
騒音試験 − − 10.2
注a) 形式試験を実施したものも含め,全てのLIMは,受渡試験を実施しなければならない。
b) 受渡当事者間で協定するオプションの試験。
表3−LIMの二次側に適用する試験項目
試験項目 形式試験 受渡試験 調査試験
寸法試験 − 9.2.1 −
化学成分試験 − 9.2.2 −
引張試験 − 9.2.3 −
曲げ試験 − 9.2.4 −
せん断試験 − 9.2.5 −
超音波探傷試験 − 9.2.6 −
摩擦試験 − 9.2.7 −
導電率試験 − 9.2.8 −

8 形式試験

8.1 温度上昇試験

8.1.1  一般
試験は一次側の保証定格で行う。
一次側の連続定格試験の場合に,負荷増大又は通風を低減した条件で試験を始めて飽和温度に達する時
間を短縮してもよい。その場合には,動作条件の変更後,定格条件が少なくとも2時間維持されているか,
又は,適切な方法によって飽和温度に達することが示されるならば,これによって短縮してもよい。
試験は,二次側を使用しないで実施してもよい。
注記 飽和温度とは,試験の最後の1時間の温度変化が,2 K未満となる状態とする。
8.1.2 温度上昇試験中の通風
冷却が強制通風による場合は,製造業者が指定した静圧及び冷却風の気流を試験に使用する。
一般に,車両の移動に起因する冷却は考慮しないが,これによる冷却が特に重要な所では,受渡当事者
間の合意のもとで冷却を行ってもよい。
8.1.3 温度測定
温度は,附属書Aに基づいて測定する。
8.1.4 結果の判定
附属書Aの“冷却開始”時における巻線の温度上昇は,表4に示す値を超えてはならない。

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8.1.5 温度上昇限度
絶縁材の耐熱クラスは,JIS C 4003の規定による。
表4は,LIMの構造に用いられた巻線と他の部分とを絶縁する材料の現在使用されている耐熱クラスに
ついて,試験台で測定される周囲温度に対する温度上昇限度を示す。
同一LIMの一次側の異なる部位で耐熱クラスが異なる場合は,各部分の温度上昇限度は,各々の耐熱ク
ラスの限度とする。
表4−連続定格及び他の定格のための温度上昇限度
単位 K
部位 測定方法 耐熱クラス
130 (B) 155 (F) 180 (H) 200 220 250
一次側巻線 抵抗法 130 155 180 200 220 250
一次側がエンジン又はその他の熱源からの熱に直接又は間接的にさらされる場所では,表4で指定され
た値より低い温度上昇限度の採用を,受渡当事者間で協定してもよい。

8.2 特性試験及び裕度

8.2.1  一般
8.2.1.1 試験方法
特性試験を実施することは,回転形の誘導モータに比べて難しいので,特性は次に示す特別な方法の一
つによって確認する。
a) IMの回転式試験装置
b) 電磁力解析法
c) 車両による動的推力試験
d) 車両走行試験
c)及びd)の場合には,システムインテグレータは,車両を利用できるようにしなければならない。
8.2.1.2 LIMの回転式試験装置
LIMの設計を確認するためには,走行試験が要求されるが,LIM単体の動的試験を実行することは困難
である。そのような場合に,一次側の長さが調査対象のLIMとおおよそ同じ特別な回転試験装置がしばし
ば使われる(一般的技術情報及び例は附属書B参照)。
8.2.1.3 電磁力解析法
8.2.1.3.1 静止試験
一次側と二次側とは,それらの間に標準空隙を維持するように固定する。次に,公称周波数の正弦波の
公称電圧を一次巻線に印加し,推力及び垂直力を測定する。一次側の支持構造物は,構造の変形による力
の測定への干渉が最小化できるように,設計されなければならない。二次導体の表面温度を測定して,記
録する。製造業者は,公称電圧,周波数,推力,垂直力及びそれらの許容公差を決定して,形式試験の前
に使用者に通知しなければならない。特定の新設計には,初回の製品によるこの試験を推奨するが,試験
の実施は受渡当事者間の協定による。
8.2.1.3.2 電磁力解析
LIMユニット(推進組立品)の試験走行を実施できないとき,通常,回転機で実施される速度特性の測
定を電磁気特性解析プログラムによる計算結果によって置き代えてもよい。
8.2.1.3による特性計算結果は,定格速度(すなわち,V/F一定運転領域)まで,少なくとも1台の実用

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規模のLIM(例えば,8.2.1.2に記載される回転式試験装置)の速度と推力に関して,速度特性の試験値と
比較し10 %以上の差がないことを確認しなければならない。
注記 電磁気特性の計算用プログラムは,縁効果に関する二次側導電率の補正と共に,長手方向の端
効果を考慮したマクスウェル方程式に基づいたものが望ましい。
8.2.1.3.1及び8.2.1.3.2に記載された試験は,両方とも必要である。
8.2.1.4 車両による動的推力試験
LIMの一次側は車両にぎ装されて,適切な二次側を備えた軌道で,走行試験を実施する。
動的推力は,計測装置によって直接測定するか,又は加速度測定から決定する。その補正は,車両質量,
勾配,走行抵抗及び電車線電圧によって行う。
動的推力試験は,加速試験で置き換えてもよい。
8.2.1.5 車両走行試験
車両走行試験は,JIS E 4041の9.2.1(形式試験)による。
試験は,標準空隙が測定公差に入っている状態で実施しなければならない。標準空隙は,走行試験の開
始に先駆けて測定し確認する。
8.2.2 裕度
ブレークポイント1) の推力は,定格条件における規定値の−5 %から+15 %までとする。
製造業者は,確認用のデータを使用者に提出しなければならない。
正弦波電源による形式試験(7.1.2.3参照)の温度上昇は,適用される箇所で基本となる形式試験の値か
ら±12 %又は±15 Kのいずれか高い値を超えて変化してはならない。
注1) 速度推力特性曲線の屈折点。

8.3 振動衝撃試験

  振動衝撃試験は,JIS E 4031による。この試験は,受渡当事者間の合意によって,省略又は試験条件を
変更することができる。
注記 車輪の回転がない磁気浮上式鉄道では,この試験の条件を緩和してもよい。

9 受渡試験

9.1 一次側の受渡試験

9.1.1  一般
受渡試験は,商用電力周波数又は運転で使われる周波数の正弦波電源で実施する。
各々の試験で使用する周波数は同じでなくともよいが,一度設定した周波数は変更してはならない。測
定点に対する決定値は,形式試験を実施した一次側の1台を含む4台の一次側で実施した試験の平均値と
する。
温度変化の効果を低減するために,試験は,全ての一次側で同じ順序で実施する。効率測定は,電気ブ
レーキモードも含めて不要である。
同一形式の中での一貫性を確認するために,正弦波温度上昇形式試験(7.1.2.3参照)を,ランダムに又
は受渡当事者間で協定した間隔で実施してもよい。裕度は,8.2.2の規定による。
9.1.2 特性試験及び裕度
9.1.2.1 一般
一次側ユニットの走行試験が実現可能でない場合には,受渡試験の特性試験は,次の測定で代用しても
よい。

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JIS E 6111:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62520:2011(IDT)

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