JIS E 6302:2015 鉄道車両―パンタグラフ | ページ 2

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3.2 構成
次の用語及び定義に対応する構成品を,図1に示す(ただし,品番2B,5A,9,10A,10B,1519は,
図1には図示していない。)。
3.2.1
枠組(frame)(品番1)
パンタグラフの台枠に対し,集電舟を上下運動させるための機構。
3.2.2
台枠(base frame)(品番2)
鉄道車両の屋根上に設置された絶縁用がいしの上に取り付けられ,枠組を支持する部分。
3.2.2A
かぎ装置(locking system)(品番2A)
折り畳んだパンタグラフの集電舟が上昇しないように,その状態を確実に保持しておくための装置。
3.2.2B
かぎ外し装置(unlocking device)(品番2B)
かぎ装置のかぎを開放して,集電舟を上昇させる装置。操作方法の違いによって電磁かぎ外し装置,空
気かぎ外し装置,手動かぎ外し装置などがある。
3.2.3
集電舟(collector head)(品番3)
すり板,すり板体,ホーン(集電舟にある場合。)などで構成され,舟支えによって支持される部品。
3.2.4
すり板(contact strip)(品番4)
すり板体の上面に固定され,架空電車線としゅう動して集電する部品。一般的に取替え可能な部品であ
る。
3.2.5
ホーン(horns)(品番5)
わたり線において,架空電車線の円滑な移行を確保するため,集電舟又は舟支えの先端部分に設けた部
品。
3.2.5A
舟支え(collector head support)(品番5A)
集電舟を支持する部品。一般的に,枠組の頂部にあってばね作用をもつ。
3.2.6
集電舟の長さ(collector head length)(品番6)
集電舟の長手方向(鉄道車両の幅方向)の寸法(ホーンを含む。)。
3.2.7
集電舟の幅(collector head width)(品番7又は7)
集電舟の走行方向(鉄道車両の長手方向)の寸法(一体形の集電舟の場合は品番7,独立形の場合は品
番7である。)。
3.2.8
集電舟の高さ(collector head height)(品番8)
すり板の上面と集電舟最下部との垂直寸法。

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3.2.9
集電舟の回転軸(collector head pivot)(品番9)
集電舟のピッチング軸(舟体がピッチング方向に回転可能である場合。)。
3.2.10
すり板の長さ(length of contact strips)(品番10)
すり板の長手方向(鉄道車両の幅方向)の寸法。
注記 すり板が複数枚ある場合は,全てを加算した寸法。
3.2.10A
標準作用高さ(standard working height)
鉄道車両に搭載した状態で,すり板上面が架空電車線の標準的な高さにある場合の,パンタグラフのが
いし取付面とすり板上面との垂直距離。
3.2.10B
基準作用高さ(nominal working height)
パンタグラフの設計において想定する,パンタグラフのがいし取付面とすり板上面との標準的な垂直距
離。
3.2.11
最低作用高さ(height at“lower operating position”)(品番11)
パンタグラフが十分な集電性能を保証できるすり板上面高さ範囲のうち最も低い位置における,パンタ
グラフのがいし取付面とすり板上面との垂直距離。
3.2.12
最高作用高さ(height at“upper operating position”)(品番12)
パンタグラフが十分な集電性能を保証できるすり板上面高さ範囲のうち最も高い位置における,パンタ
グラフのがいし取付面とすり板上面との垂直距離。
3.2.13
全作用範囲(working range)(品番13)
最低作用高さから最高作用高さまでの高さの範囲。
3.2.14
折り畳み高さ(housed height)(品番14)
パンタグラフの折り畳み状態における,パンタグラフのがいし取付面とすり板上面との垂直距離。ただ
し,折り畳み状態において,すり板上面よりも更に上方に別の部品がある場合,その部品の上面とパンタ
グラフのがいし取付面との間の垂直距離。
3.2.15
パンタグラフの電気的厚さ(pantograph“electrical thickness”)(品番15)
パンタグラフの折り畳み状態において,電圧が印加される部分の最上面と最下面との垂直距離。ただし,
がいし部分の寸法は含まない。
3.2.16
押上機構(operating system)(品番16)
集電舟を上昇又は下降させるための力を発生する装置。
3.2.17
突放高さ(maximum extension)(品番17)

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機械的ストッパの作用によって,集電舟が全作用範囲より高い位置において,これ以上上昇できない状
態になったときの,パンタグラフのがいし取付面とすり板上面との垂直距離。
3.2.18
制限付き突放高さ(limited maximum extension)(品番18)
常用ではなく限定的に使用される機械的ストッパの作用によって,集電舟が全作用範囲内の中間位置に
おいてこれ以上上昇できない状態となったときの,パンタグラフのがいし取付面とすり板上面との垂直距
離。
3.2.19
自動降下装置(automatic dropping device)(品番19)
走行中,集電舟に故障及び/又は破損が発生した場合,架空電車線及び後続のパンタグラフに損傷を与
えないように,パンタグラフを自動的に降下させる装置。
5 4
6
7
7'
10
3
1
8
13
12
11
2
14
2A
注記 この図はパンタグラフの一例であり,他の形状[例えば,ひし(菱)形パンタグラフなど]のパンタグラフ構
造を除外するものではない。
図1−パンタグラフの用語
3.3 一般特性
全ての一般特性は,顧客仕様書によって指定される。環境条件が指定されない場合は,IEC 62498-1に
規定された条件を使用する。その場合,環境条件のカテゴリは,顧客によって指定される。
3.3.1
定格電圧(rated voltage)
パンタグラフを設計する際の基本電圧。

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3.3.2
停車時の定格電流(rated current, vehicle at standstill)
停車状態において,パンタグラフが30分間連続して集電できる電流値。
3.3.3
停車時の最大電流(maximum current, vehicle at standstill)
停車状態において,パンタグラフが顧客仕様書で指定された時間だけ集電できる電流の最大値。
3.3.4
走行時の定格電流(rated current, vehicle running)
走行状態において,パンタグラフが連続して集電できる電流値。
3.3.4A
動作空気圧(operating air pressure)
パンタグラフ操作用の空気圧力。
3.3.5
静押上力(static contact force)
停車状態において,押上機構の働きによって集電舟が架空電車線を垂直方向に押し上げる力。
3.3.6
公称静押上力(nominal static contact force)
静押上力を規定するための公称値。
3.3.7
平均静押上力(mean static contact force)
集電舟が上昇するときの静押上力Fr及び下降するときの静押上力Flをそれぞれ測定したとき,(Fr+Fl)/2
の値が,全作用範囲で一定値となるよう設計されている静押上力の値。
3.3.8
標準静押上力(target static contact force)
通常使用される条件で,集電舟が0.05 m/sで上昇しているときの標準作用高さにおける静押上力。
3.3.8A
基準静押上力(design target static contact force)
通常使用される条件で,集電舟が0.05 m/sで上昇しているときの基準作用高さにおける静押上力。
3.3.9
全平均押上力(total mean uplift force)
集電舟が走行中に架空電車線を垂直方向に押し上げる力の平均値で,通常は集電舟がトロリ線に着線し
ていないようにワイヤなどで固定した状態で測定した押上力。
注記 全平均押上力は,決められた作用高さにおいて,列車速度に応じてパンタグラフに発生する揚
力と静押上力との和になる。ただし,空気力には,自然風の影響を含まない。
3.3.10
全接触力(total contact force)
走行状態において,集電舟と架空電車線との間に作用する力。
3.3.11
折り畳み力(housing force)
パンタグラフを折り畳み状態に保持するために,集電舟に対して加えられる下向きの力。

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3.4 記号及び略語
この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。
AC : 交流電流
ADD : 自動降下装置
DC : 直流電流
F0 : パンタグラフの横方向振動の固有振動数
Fr : パンタグラフ上昇時の静押上力
Fl : パンタグラフ下降時の静押上力
MDBF : 平均故障距離
Γ : 集電舟の回転軸に発生する横方向の加速度
E : 最高作用高さと折り畳み高さとの差

4 性能

4.1 一般

  全ての一般特性は,顧客仕様書で指定する。受渡当事者間の協定がない場合,環境条件はIEC 62498-1
による。この場合,環境のカテゴリは顧客が指定する。

4.2 車両限界

  折り畳み状態及びしゅう動状態にあるパンタグラフは,顧客仕様書で規定した車両限界を超えてはなら
ない。顧客仕様書に指定がない場合,IEC 62486による。

4.3 パンタグラフのストローク

  3.2.10A3.2.13で定義される値は,顧客仕様書で指定する。
なお,パンタグラフの上昇時又は下降時の集電舟の全作用範囲における軌跡に指定がない場合,集電舟
の軌跡の垂直線に対する偏い(倚)量は,鉄道車両の長手方向に±50 mm,鉄道車両の幅方向に±10 mm
の範囲とする。
LRV用パンタグラフの場合,集電舟の軌跡の垂直線に対する偏い量は,鉄道車両の幅方向に対して,表
1に示す許容値以下とする。ただし,鉄道車両の長手方向の偏い量については,規定しない。
表1−LRV用パンタグラフの集電舟の垂直線に対する偏い量の許容値
E 鉄道車両の幅方向に対する
m 集電舟の偏い量の許容値
mm
E<1 10
1≦E<2 20
2≦E 30

4.4 電気的数値

  顧客仕様書で指定されていない場合,架空電車線の印加電圧は,IEC 60850による。
上昇時及び折り畳み時のパンタグラフについて,予測される変動電圧値及びその持続時間については,
顧客仕様書で指定する。さらに,3.3.23.3.4で定義した電流値は,顧客仕様書で指定する。

4.5 静押上力の許容範囲

  受渡当事者間に別途協定がない限り,次の種別1又は種別2を許容範囲とする。種別1又は種別2の選

――――― [JIS E 6302 pdf 10] ―――――

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JIS E 6302:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60494-1:2013(MOD)
  • IEC 60494-2:2013(MOD)

JIS E 6302:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 6302:2015の関連規格と引用規格一覧