この規格ページの目次
4
F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
2.12
最小影響濃度,LOEC(lowest-observed effect concentration)
対照と比較して有意な影響が認められる最小の試験濃度。
注記 LOECを超える全ての試験濃度では,LOECで認められている以上の影響が見られるはずであ
る。
2.13
海洋環境(marine environment)
海洋生物の生存能力及び生物学的機能に影響を及ぼし,海洋生物を取り囲む物理的,化学的及び生物学
的特性。
注記 海水域及び河口域が含まれる。
2.14
無影響濃度,NOEC(no-observed-effect concentration)
対照と比較して統計的に有意な致死的又はその他の影響が観察されない最大の試験濃度。
2.15
予測環境濃度,PEC(predicted environment concentration)
暴露評価によって定量的に求められた対象環境中の物質の推定濃度。
注記 物質とは,殺生物性活性物質,化学物質,代謝産物又はその他の関連物質を指す。
2.16
予測無影響濃度,PNEC(predicted no-effect concentration)
適切なアセスメント係数を適用することで有害性評価によって決定される物質の濃度であって,その濃
度以下では対象環境への悪影響がないと予想される濃度。
2.17
溶出速度(release rate)
防汚方法の単位表面積から水中へ1日に溶出する殺生物性活性物質の質量の代表値。
注記 溶出速度はg cm-2 day-1で表す。
2.18
リスク(risk)
ある一定の条件下での物質に起因して悪影響を起こす確率とその重大性との組合せ。
2.19
リスク評価(risk assessment)
物質への暴露によって生じたリスクを定量的に推定するためのプロセス。
注記1 環境リスクの定量的評価のことを“環境リスク評価”という。
注記2 分解性が低く,かつ,生物濃縮が非常に高い場合,リスク評価はPEC/PNECを算出せずに実
施することがある。
2.20
リスクキャラクタリゼーション(risk characterization)
暴露評価によって算出したPEC及び有害性評価によって算出したPNECに基づいて算出したPEC/PNEC
から,リスクの度合いを決定すること。
2.21
船舶(ships)
――――― [JIS F 0600-1 pdf 6] ―――――
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
水中翼船,エアクッション船,潜水船,浮遊機器,固定され又は浮いているプラットフォーム,浮いて
いる貯蔵施設(FSU)及び浮いている生産貯蔵・取卸し施設(FPSO)を含む,海洋環境で運航するあらゆ
る種類の船舟類。
2.22
最悪シナリオ(worst-case scenario)
海洋環境に生息する生物が殺生物性活性物質に最も多量に暴露されると予想される現実的シナリオ。
2.23
半数影響濃度,EC50(50 % effective concentration)
試験生物の半数への影響が観察される濃度。
2.24
半数致死濃度,LC50(50 % lethal concentration)
実験で試験生物の半数が死亡する濃度。
3 適用
3.1 一般
この規格で定義するリスク評価は,海洋環境保護のために実施する。
分解物が,その親物質の質量分率10 %以上,環境中に存在するという根拠がある場合には,分解物に対
してもリスク評価を行う。
この規格は,川,湖などの淡水域に対するリスクを評価するために変更することができる。淡水域に求
められる排出シナリオの定義には特別な注意を払う必要があり,十分な配慮をもって淡水環境で見られる
種への影響を考慮することが望ましい。
この規格は,次の用途に対する最低限のガイドラインを提供する。
− 政府機関による防汚方法の規制
− 事業者又は事業者団体の自主規制又は認定制度
− 事業者が製品開発のために行う評価
この規格によって殺生物性活性物質による海洋環境への環境リスクの定量的判定が可能となり,その物
質の環境リスクが許容範囲内かどうかを決定することができる。
3.2 適用に関する検討事項
この規格を使用する場合,次の各項を考慮しなければならない。
a) この規格は,殺生物性活性物質に起因する海洋(及び必要に応じ淡水)環境リスクの定量化方法を規
定するものであるが,それらの物質の使用及び商品化の直接的な規制及び承認を意味するものではな
い。ある物質が“リスク懸念”のカテゴリに分類されることは,その物質の使用を禁止することを直
接的に意味するわけではない。環境中のその物質又は代謝物を継続的にモニタリングするなど,一定
の条件の下での使用が容認されることがあり得る。
b) この規格は,工業用化学物質の一般的なリスク評価の方法は対象としていない。そのような評価は,
他の方法で既に実施されていると考えられる。
c) 認定又は評価手順があり,この規格に従って構築された規制システムで,第2段階のレベル1で“暫
定的低リスク”に分類される物質を制限する規制システムにおいては,暴露環境に対する影響の重大
性を考慮に入れて,適切な販売期間又は販売量を規定することが望まれる。
この規格に基づき申請者が提出した全てのデータについては,申請者に帰属する所有権が確保されなけ
――――― [JIS F 0600-1 pdf 7] ―――――
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
ればならない。これらのデータは,データの所有者からの書面による事前承認なしには他の申請者が使用
できないように措置されなければならない。
4 環境リスク評価の構造及び手順
環境リスク評価は,暴露評価,有害性評価及びリスクキャラクタリゼーションの三つの手順から構成さ
れる。暴露評価はPECを求めるための手順であり,有害性評価はPNECを求めるためのものである。PNEC
に対するPECの比(PEC/PNEC)は,リスク評価の定量的指標として用いる。図1にこの手順をまとめる。
船舶の防汚方法に使用される殺生物性活性物質の環境リスク評価のリスクキャラクタリゼーションのプ
ロセスは,有機物質については附属書Bに,無機物質については附属書Cに,それぞれ記載する。
リスク評価
暴露評価 有害性評価
代表製品の選 * 有害性情報の
定 収集・取得
溶出速度の NOECの
決定 算定
排出シナリオ アセスメント
の作成 係数の検討
リスクキャラクタ
PECの算出 PNECの算出
リゼーション
リスク評価書
追加情報 追加情報
の作成
注* 有機殺生物性活性物質は,生物濃縮係数(BCF)が2 000以上の場合,高蓄積性
で“リスク懸念”とみなす。
図1−環境リスク評価の構成及び手順の概略
5 暴露評価
5.1 代表製品の選定
暴露評価に用いる代表製品(例 防汚塗料)は,評価対象となる殺生物性活性物質を含む防汚方法から
選ぶ。代表製品の溶出速度は5.2.1に従い数値化する。リスク評価プロセスによって,環境保護のため,
実際の製品で使用可能な殺生物性活性物質の最大溶出速度を決定できる。
5.2 溶出速度の決定
溶出速度を決めるには,マスバランス計算法,ラボ試験法及び現場計測法の三つの方法がある。
――――― [JIS F 0600-1 pdf 8] ―――――
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
5.2.1 定量化法
船舶に適用する防汚方法から,海水への殺生物性活性物質の溶出速度を推定する必要がある。
防汚方法の溶出速度を推定する幾つかの方法がある。既存のマスバランス計算法,ラボ試験法及び現場
計測法の例を表A.1に記載する。
附属書Aに記載した方法の一つを選択することが望ましいが,この規格はその他の数値化方法の開発及
び/又は使用を排除するものではない。
環境への溶出速度の推定値の信頼性を最大限に高めるには,ラボ試験法及びマスバランス計算法による
溶出速度データに対して適切な補正係数を適用することが望ましい。
注記 一般的に,表A.1に記載しているラボ試験法の結果は,使用中の防汚製品の環境への溶出速度
を反映しておらず,環境リスク評価にそのまま使用するには必ずしも適していない。表A.1に
記載しているマスバランス計算法は,現実的な環境溶出速度を得られることが一般的であるこ
とから,ラボ試験法の結果よりも環境リスク評価に用いるのに好適である。その都度適切な方
法を選択する。
5.2.2 試験所
ラボ試験法での測定によって溶出速度を推定する場合,JIS Q 17025に準拠した又は同等の資格をもつ試
験所で試験を行うことが望ましい。
5.3 排出シナリオの作成
排出シナリオとは,防汚方法における殺生物性活性物質の使用パターン,暴露源及び経路を定義する一
連のパラメータのことである。物質及び暴露環境の両方の物理化学的パラメータを考慮に入れることによ
って,シナリオを用いて環境への排出の分配の定量化が可能になる。
防汚製品の既存排出シナリオの例は,OECD排出シナリオ文書(OECD, 2005)に記載されている。
5.3.1 検討すべき海洋環境のタイプ
船舶に用いる防汚方法の供用期間については,殺生物性活性物質が溶出する海洋環境を特定することが
望ましい。検討すべき海洋環境のタイプには次のようなものがある。
− 外洋(参考 : 開放系海域における航路)
− 航路(参考 : 外洋よりも閉鎖的な水域における航路)
− 港湾(参考 : 商業港)
− マリーナ
その他の水域(例 より広大な水域)についても検討の必要な場合がある。
製品の用途又は排出海域によっては,上記の環境タイプを全て検討する必要のない場合もある。
5.3.2 排出シナリオの定義
検討中の海洋環境タイプの選択に続き,暴露海域の典型的なサイズを決める代表シナリオを示すことが
望ましい。例えば,典型的な港湾の長さ,幅及び深さを定義することが望ましい。排出シナリオは,定義
したシナリオの適切な物理化学的・水力学的パラメータを考慮に入れて環境中予測濃度を計算するための
十分な情報を準備することが望ましい。PECを算出するためのシナリオを設定する場合に検討すべき典型
的パラメータは次のとおりである。
a) 殺生物性活性物質の溶出速度
− 殺生物性活性物質の溶出速度(単位面積及び単位時間当たりの殺生物性活性物質の質量)
b) 排出に関係するパラメータ
− 停泊船舶の総数及び航行船舶の総数
――――― [JIS F 0600-1 pdf 9] ―――――
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
− 航行船舶の比率
− 停泊船舶の比率
− 船舶の没水表面積(船舶の長さ当たりの表面積)
− 当該製品の塗装船舶の割合
c) 対象海域のレイアウト
− 対象海域の長さ,幅(又は表面積)及び深度
− 対象海域と非対象海域との間の境界の幅及び深さ(例 平均海水面以下の湾口交換面積,湾口の深
さ)
d) 水質
− 温度
− 塩分
− pH
− シルト濃度(粒径63 μm未満,mg/Lで表記)
− 有機炭素の割合[底質の有機炭素濃度(乾燥質量)]
− 懸濁有機炭素(POC)及び溶存有機炭素(DOC)濃度(mg OC/L)
− 水層中の浮遊粒子状物質
e) 水文学
− 干満による海水交換速度(単位時間当たり単位断面積当たりの流入水量及び流出水量)
− 対象海域につながる河川及び流れの水量(単位時間当たり単位断面積当たりの流入水量及び流出水
量)
f) 環境媒体
− 混合底質層の厚さ
− 溶存有機炭素
注記 このリストの限りではない。
5.3.3 パラメータの設定要件
全てのパラメータは現実的な最悪シナリオになるよう設定する必要がある。当該シナリオの例はOECD
排出シナリオ文書(OECD, 2005)に掲載されている。シナリオを作成する際に,現実に即した最悪シナリ
オであることを確認することが重要である。例えば,港湾のリスクを評価する場合,評価者は対象国の中
から適切な港湾部分の寸法を調査し,その国に対して港湾部分の典型的寸法を定義する。その際,用いた
データベースの大きさに応じて適切な統計的尺度(例 平均長又はデータセットの長さの95パーセンタ
イル値)を選ぶことが望ましい。
5.4 PECの決定
各排出シナリオ及びそれぞれの関連する環境区分のPECは,5.3.2及び5.3.3で決定したパラメータ及び
検討中の各特定物質に関連した特性を用いて決定することが望ましい。典型的パラメータには次のものが
含まれてもよい。
− 殺生物性活性物質の分解速度(非生物分解及び/又は生物分解)
− 粒子吸着率(又は海水中に溶存している殺生物性活性物質の粒子に結合している当該物質に対する比
率)
− 有機炭素分配係数(KOC)
− 殺生物性活性物質の生物濃縮係数
――――― [JIS F 0600-1 pdf 10] ―――――
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JIS F 0600-1:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13073-1:2012(IDT)
JIS F 0600-1:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般 > 47.020.99 : 造船及び海洋構造物に関するその他の規格
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護 > 13.020.99 : 環境保護に関するその他の規格