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F 1034-6 : 2020 (ISO 12215-6 : 2008)
附属書D
(参考)
縦強度解析
D.1 一般
JIS F 1034規格群が扱う舟艇のための構造部材は,局所的な荷重によって決定するという考えが一般的
である。
場合によって,船こく曲げ強度(縦方向強度)計算を,6.2に従って行うのがよい。
次に示す計算手順は,縦強度計算の全てを満足するものではない。この目的は,局所的な荷重による構
造部材が全体を支配していない舟艇を特定することにある。この附属書にある基準を満たさない舟艇は,
より詳細な強度評価を実施するのがよい。
そのような強度評価は,JIS F 1034規格群の適用範囲外であり,更なる工学的な計算が必要になる。次
に示す計算は,最も重大な状況と考えるサギング下における甲板構造の強度評価に限定している。
D.2 最大曲げモーメント
船こくへの最大縦曲げモーメントMVHULL(Nm)は,式(D.1)による。
MVHULL=kGLOB×mLDC×LH (D.1)
ここに,kGLOBは,次の値となる。
− モータボートの場合,kGLOB=0.5+0.6nCG
− セールボートの場合,kGLOB=2.7
ここで,nCGは,ダイナミック荷重係数を示す。
その他の係数は,定義済みである。
この曲げモーメントを受ける構造部材は,甲板側では圧縮を受けるものとして評価され(一般に,縦強
度解析の限界値となる。),船底又はキール側では,引張りを受けるものとする。
D.3 甲板圧縮応力
船体曲げによる圧縮の設計応力σDK(N/mm2)は,式(D.2)による。
EDK
σDK MVHULL zDK (D.2)
EINA
ここに, zDK : 中央断面における,甲板から船こく中立軸までの垂直距離
(mm)
EDK : 甲板の(平均)弾性率(N/mm2)
EINA : 中央断面における,船こくの曲げ強さ(N/mm2)
Lに満たない甲板室等構造物は考慮しな
(中央断面部の)2H
い。
σDK(N/mm2)は,次の値を超えてはならない。
− σDK≦0.7σYW
ここに, σYW : JIS F 1034-5で規定する溶接時降伏強度
− σDK≦0.5σUC
ここに, σUC : JIS F 1034-5で規定する限界圧縮強度
――――― [JIS F 1034-6 pdf 46] ―――――
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F 1034-6 : 2020 (ISO 12215-6 : 2008)
− σDK≦0.8σcrx
ここに, σcrx : D.4で定義されるパネル限界座屈応力
図D.1は,zDKとzBOTTとの関係を図解している。
CL センタライン
WL 水線
NA 中立軸
zDK 中央断面における甲板から船こく中立軸までの垂直距離
zBOTT 中央断面における船こく中立軸から船底までの垂直距離
図D.1−船体及び甲板
D.4 甲板座屈応力
D.4.1 一般
全ての座屈モードにおける最小応力を検証しなければならないため,パネルの座屈応力を求めることは
簡単ではない。また,直交異方性の複合材料の場合は,等方性が前提の式を適用することができないので,
更に複雑な理論の適用が必要となる。
解析には,次の方法が使える。また,単純支持に対応する境界条件をもつ船こく又はソリッド要素を使
った有限要素法(固有値解析)も有効である。
甲板パネルの座屈解析を行う場合の寸法を,図D.2に示す。
――――― [JIS F 1034-6 pdf 47] ―――――
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b) パネル短辺方向に平行な甲板圧縮応力
a) パネル長辺方向に平行な甲板圧縮応力(ロンジフレーム)
(トランスフレーム)
b パネル短辺
l パネル長辺
σx x軸方向の限界座屈応力
図D.2−甲板座屈解析の図解
D.4.2 金属及び等方性FRPパネルの座屈
D.4.2.1 等方性パネルの場合,x軸方向の限界座屈応力(図D.2)は,式(D.3),式(D.4)及び式(D.5)によっ
て求める。
D.4.2.2 最初に,弾性座屈応力,σex(N/mm2)を式(D.3)によって計算する。
2
t
σex ke E (D.3)
b
ここに,係数keは,次のいずれかの値をとる。
− 圧縮応力がパネル長辺に平行に作用する場合[ロンジフレーム/ストリンガ : 図D.2 a)参照],
ke=3.6
− 圧縮応力がパネル短辺に平行に作用する場合[ストリンガなしのビームなどのトランスフレーム : 図
D.2 b)参照],b ≦ 1 のとき,
l
2
2
b
ke 9.0 1 (D.4)
l
注記 全ての辺は単純に支持されていると仮定しているので,ケースによっては安全側の数値を得る
ことがある。
D.4.2.3 等方性FRPパネルの場合,限界応力σcrx(N/mm2)はσcrx=σeで計算する。
D.4.2.4 金属パネルでは,限界応力σcrx(N/mm2)は次の式のいずれかで計算する。
− σe≦0.5σYWの場合,σcrx=σe
− σe>0.5σYWの場合,
σYW
σcrx σYW 1 0.25 (D.5)
σe
ここに, σYW : プレートの溶接時降伏強度(N/mm2)
例1 EN AW-5083 H111に基づくアルミニウム合金製の甲板は,E=70 000 N/mm2及びσYW=125
――――― [JIS F 1034-6 pdf 48] ―――――
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N/mm2(JIS F 1034-5の表F.1から)の値をもつ。甲板板厚4 mmで,b=350 mm,l=1 000 mm
(ストリンガ間隔350 mm,ビーム間隔1 000 mm),σe =3.6×70 000×(4/350)2=32.9 N/mm2 <
0.5 σYW=62.5 N/mm2,よって,σcrx=σe=32.9 N/mm2。したがって,条件を満たしている。
設計応力σDKは,式(D.2)によって,次のいずれの値より大きくなってはならない。
− 0.7σYW=87.5 N/mm2
− 0.8σcrx=26.3 N/mm2
例2 例1と同じ甲板が350 mm間隔のビーム上にあり,中間ストリンガをもたない。
b=350 mm,l=1 000 mm。式(D.4)から,ke=0.9×[1+(350/1 000)2]2=1.13,
σe=1.13×70 000×(4/350)2=10.3 N/mm2<0.5σYW=62.5 N/mm2,よってσcrx=σe=10.3 N/mm2。
設計応力σDKは,式(D.2)によって,次のいずれの値より大きくなってはならない。
− 0.7σYW=87.5 N/mm2
− 0.8σcrx=8.24 N/mm2
この例から,ビームしかもたない甲板は,座屈が起こる前に大きな荷重を支えることができず,縦方向
の甲板ストリンガは,船体の曲げモーメントによる座屈に対しての甲板耐力を著しく増加することが分か
る。
D.4.3 直交異方性FRPパネルの座屈
直交異方性単板複合材の場合,公式は,金属のものに比べ,かなり複雑になる。
例えば,対称単板のための公式は,[B]=0,D16=D26=0(つまり,積層構成は,中間面に対し対称で,
パネルサイドに対して0/90の向きの層から成る。)の特別直交異方性積層である。
特別直交異方性積層では,限界応力σcrx(N/mm2)は,式(D.6)から求める。
2 2 2 2
Ey t Ex b Eyνxy2Gxy 1 νxy·νyx1 l
σcrx m2 2 2 Ex (D.6)
121( b
νxy·vyx ) Ey l Ey m b
ここに, b : 荷重を受けているパネル辺の寸法(mm)
t : 結合する部材の板厚(mm)
l : 荷重を受けていないパネル辺の寸法(mm)
Ex : x軸に沿った,曲げ弾性率(N/mm2)
Ey : y軸に沿った,曲げ弾性率(N/mm2)
νxy : x軸に沿った応力によるポアソン比
νyx : y軸に沿った応力によるポアソン比
Ey
注記1 νyxνxy
Ex
mは,長さaの半波の数を表し,式(D.6)の値を最小値とする整数である。
注記2 この整数値は,(a/b) (Ey/Ex)1/4の実数部のいずれかである。
FRP単板の限界座屈応力を評価するために必要な全ての式を取り込むことは,この附属書の適用範囲に
収まらない。このような評価を行うには,参考文献の溶接関連規格が示す方法,又は同等のものを用いる
必要がある。
――――― [JIS F 1034-6 pdf 49] ―――――
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D.4.4 直交異方性FRPサンドイッチパネルの座屈
サンドイッチパネルの座屈応力近似値は,Ex t3/12を曲げ剛性の項に置き換えた式(D.6)などを用いて得る
ことができる。これは,高いせん断剛性をもつコア材(バルサ)では使うが,フォーム材又はそれに類す
るコア材には適さない。
よって,FRPサンドイッチパネルの限界座屈応力を評価するために必要な全ての式は,この附属書の適
用範囲に収まらない。
なお,オイラーパネル応力は,単純支持のための境界条件を使う数値計算によって得ることができる。
参考文献
舟艇関連規格
[1] ISO 12217 (all parts),Small craft−Stability and buoyancy assessment and categorization
[2] ISO 2553:1992,Welded, brazed and soldered joints−Symbolic representation on drawings
[3] JIS F 1034-3 舟艇−船体構造−スカントリング−第3部 : 材料 : 鋼,アルミニウム合金,木材及び
その他の材料
溶接関連規格
[4] ISO 4063:1998,Welding and allied processes−Nomenclature of processes and reference numbers
[5] ISO 5817:2003,Welding−Fusion-welded joints in steel, nickel, titanium and their alloys (beam welding
excluded)−Quality levels for imperfections
[6] ISO 6520-1:1998,Welding and allied processes−Classification of geometric imperfections in metallic
materials−Part 1: Fusion welding
[7] ISO 6520-2:2001,Welding and allied processes−Classification of geometric imperfections in metallic
materials−Part 2: Welding with pressure
[8] ISO 9692-1:2003,Welding and allied processes−Recommendations for joint preparation−Part 1:Manual
metal-arc welding, gas-shielded metal-arc welding, gas welding, TIG welding and beam welding of steels
[9] ISO 9692-2:1998,Welding and allied processes−Joint preparation−Part 2: Submerged arc welding of steels
[10] ISO 9692-3:2000,Welding and allied processes−Recommendations for joint preparation−Part 3:Metal inert
gas welding and tungsten inert gas welding of aluminium and its alloys
[11] ISO 9692-4:2003,Welding and allied processes−Recommendations for joint preparation−Part 4: Clad
steels
[12] ISO 10042:1992,Arc-welded joints in aluminium and its weldable alloys−Guidance on quality levels for
imperfections
[13] ISO 13920:1996,Welding−General tolerances for welded constructions−Dimensions for lengths and
angles−Shape and position
[14] ISO 15607:2003,Specification and qualification of welding procedures for metallic materials−General rules
[15] EN 287-1:2004,Qualification test of welders−Fusion welding−Part 1: Steels
その他
[16] GREEN and Associates, Marine Composites, 2nd edition, 1999, ISNB 0-9673692-0-7
JIS F 1034-6:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 12215-6:2008(IDT)
JIS F 1034-6:2020の国際規格 ICS 分類一覧
JIS F 1034-6:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISF0081:2005
- 舟艇―主要データ
- JISF1034-5:2019
- 舟艇―船体構造―スカントリング―第5部:単胴艇の設計圧力,設計応力,材料寸法の決定
- JISF1040:2004
- 舟艇―開口要件―窓,ポートライト,ハッチ,デッドライト及びドア―強度と水密性に関する要求基準