JIS G 0551:2020 鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法 | ページ 2

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4 記号

  この規格で用いる記号を,表1に示す。
表1−記号
記号 定義 式及び値
a 平均結晶粒面積(単位 : mm2) 1
a
m
AF 観察視野(投射映像又は顕微鏡写真)の面積(単位 : mm2) −
d 平均結晶粒径(単位 : mm) 1
d
m
D 79.8 mm
顕微鏡のすりガラス投影スクリーン上の円の直径,又は試験片の試験面の画像を囲
い込む顕微鏡写真上の円の直径 (面積=5 000 mm2)
g 画像(投射映像又は顕微鏡写真)の長さ倍率 通常は100倍
G 粒度番号 −
K 長さ倍率gから長さ倍率100への変換係数 g
K
100
l 結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長(単位 : mm) l /1 NL /1 PL
LT 測定に用いた試験線長さを倍率で除した,真の試験線長さ(単位 : mm) −
m 観察した試験面の1 mm2当たりの結晶粒数 m=2n100(倍率 100)
m=2K2ng(倍率 g)
M gが100でない場合の,最も近い結晶粒度標準図番号 −
ng 直径Dの画像上で測定した結晶粒の等価総数(倍率 g) −
n1 直径Dの円の中に完全に入っている結晶粒の数 −
n2 直径Dの円周と交差している結晶粒の数 −
n100 直径Dの円内で測定した結晶粒の等価総数(倍率 100) n2
n100n1
2
N 単位長さL当たりの,捕捉した結晶粒の平均数 −
NL 試験線の単位長さ当たりの,捕捉した結晶粒の平均数 N
NL
LT
Nx 圧延方向の1 mm当たりの捕捉した結晶数 −
Ny 圧延直角方向の1 mm当たりの捕捉した結晶数 −
Nz 厚さ方向の1 mm当たりの捕捉した結晶数 −
P 結晶粒界と無作為に適用した試験線との交点の数の平均数 −
PL 試験線の単位長さ当たりの結晶粒界の交点の数の平均数 P
PL
LT
Nx,Ny及びNzの方向を指定する方法は,ISO 3785による。
注記 ISO 3785(試験片の軸の定義)は,特に金属材料の延性及びじん(靱)性を測定する試験片に
対して,その結晶粒の展伸方位及び試験片の位置を定義する方法を提供するために作成された
ものである。金属材料に座標軸が存在するものと仮定して,金属材料の試験片の方向の指定方
法を規定している。座標軸については,次のように記載されている。
a) 軸 : 結晶粒の主展伸方位と一致する方向(圧延方向)
b) 軸 : 主加工力が働く方向(厚さ方向)
c) 軸 : X軸及びZ軸に垂直な方向(圧延直角方向)

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5 原理

  結晶粒の大きさを,鋼種又はその他の情報によって,適切な方法で処理された試験片の研磨面で,顕微
鏡によって測定する。
鋼材規格又は受渡当事者間の合意によって結晶粒の現出方法を規定していない場合,結晶粒の現出方法
は,製造業者の任意でよい。
平均結晶粒度は,特に指定のない場合,製造業者の任意によって,次のa)又はb)によって測定する。必
要な場合,A.3によって測定してもよい。
a) 次に示すいずれかによって得られた粒度番号
1) 結晶粒度標準図と比較する(7.2参照)。
2) 単位面積当たりの結晶粒の平均数を測定する(計数方法 : planimetric method)(A.1参照)。
b) 結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長(切断法)(A.2参照)
結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長から,表A.1によって粒度番号を求める。
なお,切断法によるフェライト結晶粒度の測定に,附属書JBを用いてもよい。

6 試験片の採取及び調製

6.1 試験片の採取

  試験片の数及び製品から試験片を採取する箇所が,鋼材規格又は受渡当事者間の合意によって定められ
ていない場合は,これらを製造業者が決める。
評価する試験片の数を増すと測定精度が良くなることが判明しているので,二つ以上の切断部分を評価
することが望ましい。製品の端,試験片を採取するためにせん断加工したものなどに見られる,激しく変
形した部分は避け,試験片が製品の大半を代表するように注意する。
試験片の研磨面が鋼材規格又は受渡当事者間の合意によって定められていない場合,研磨面は,圧延方
向,すなわち,製品における主加工方向に平行な面とする。結晶粒が等軸でない場合,圧延方向に直角な
面としてもよい。

6.2 フェライト結晶粒界の現出

  フェライト結晶粒界は,体積分率2 %5 %ナイタル1),又は適切な腐食液を用いて現出させる。
注1) 指定された体積分率の硝酸[(質量分率60 %62 %),以下硝酸という。]を含むエタノール溶
液。

6.3 オーステナイト及び旧オーステナイト結晶粒界の現出

6.3.1 一般事項
常温で単相又は二相のオーステナイト[オーステナイト母相中のデルタ(δ)フェライト]組織をもつ鋼
の場合は,腐食液を用いて,結晶粒界を現出させる。
単相のオーステナイト系ステンレス鋼に対して通常使われる腐食液は,グリセレジア(glyceregia),カ
ーリング(Kalling)試薬(No.2)及びマーブル(Marble)試薬である。
単相又は二相のオーステナイト系ステンレス鋼に対する最良の電解腐食の方法は,結晶粒界は現出する
が双晶が現出しないように,硝酸中で直流1.4 Vを60秒120秒負荷することである。
注記 質量分率10 %しゅう酸水溶液を用い,直流6 Vを60秒まで負荷する方法は,よく用いられる
が,硝酸を用いる方法より粒界は,明瞭ではない。
常温でオーステナイト組織でない鋼に対しては,6.3.2又は6.3.3に規定するいずれかの方法を適用する。

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6.3.2 浸炭粒度試験方法[925 ℃での浸炭によるマッケイドエーン(McQuaid-Ehn)法]
6.3.2.1 適用分野
これは,925 ℃で,一定時間保持して浸炭することによってオーステナイト結晶粒界を現出させる方法
である。その他の熱処理条件で実際に現出される結晶は,適切でないことがある。
6.3.2.2 熱処理
試験片は,脱炭層又は表面のさびを除去する。冷間,熱間,機械的などの前処理が,結晶粒の形状に影
響を及ぼすことがある。これらの事項を特に考慮することが望ましい場合は,受渡当事者間によって,測
定前に実行すべきこれらの処理を規定する。
浸炭剤を充した容器の中に試験片を埋めて封入し,電気炉又はその他の適切な加熱炉に装入して加熱
する。約2時間で925 ℃に昇温し,この温度に6時間保持した後,徐冷し,浸炭層の結晶粒界に過共析セ
メンタイトを析出させる。600 ℃まで30 ℃/h150 ℃/hで徐冷することが望ましい。通常,約1 mmの浸
炭層が得られる。
浸炭剤は,乾燥した粒状木炭(質量分率60 %80 %)と炭酸バリウム(質量分率40 %20 %)との混
合物を用いる。ただし,鋼種によっては,これ以外の混合比を用いてもよい。浸炭剤の使用量は,試験片
体積の30倍以上が望ましい。浸炭剤は,その都度,新しいものを使用する。
6.3.2.3 調製及び腐食
浸炭した試験片を,浸炭表面に直角に切断し,顕微鏡試験用に調製する。その断面を,次のいずれかに
よって腐食させるのが望ましい。
a) アルカリ性ピクリン酸ナトリウムで腐食させる。必要に応じて,電解腐食(直流6 Vで60秒間)を適
用する。
b) 体積分率2 %5 %ナイタルによって腐食させる。
c) )又はb)と同一の結果が得られる場合は,ピクリン酸−エタノール溶液又はその他の試薬を使用して
もよい。
注記 アルカリ性ピクリン酸ナトリウムの例として“le Chatelier·Igewski”試薬(ピクリン酸2 g,
水酸化ナトリウム25 g及び水100 mL)がある。
6.3.3 熱処理粒度試験方法
熱処理粒度試験方法は,表2のいずれかの方法による。これらは,鋼の焼なまし,焼ならし,焼入れ,
固溶化熱処理など実際の熱処理に当たり,最高加熱温度における粒度測定に適用する。各試験方法の詳細
は,附属書JAによる。

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表2−熱処理粒度試験方法の種類
熱処理粒度試験方法の種類 適用鋼種 附属書
ピクリン酸飽和水溶液で腐食する JA.2参照
主として,0.005 %以上のりんを含むマルテンサイト,焼
Bechet-Beaujard法 戻しマルテンサイト及びベイナイト鋼
初析フェライト法 主として,炭素含有率0.25 %0.6 %の粗粒炭素鋼及び低JA.3参照
合金鋼。例,マンガン−モリブデン鋼,1 %クロム−モリ
ブデン鋼,1.5 %ニッケル−クロム鋼
JA.4参照
主として,炭素含有率0.025 %を超える非安定化オーステ
オーステナイト系ステンレス及びオース
テナイトマンガン鋼a) の鋭敏化熱処理法
ナイト又は二相ステンレス鋼
徐冷法 JA.5参照
主として,炭素含有率中位以上の亜共析鋼。ただし,過共
析鋼の場合は,Accm点以上の温度における粒度を測定する
場合に限る。
焼入焼戻し法 主として,機械構造用炭素鋼及び機械構造用合金鋼 JA.6参照
一端焼入法 JA.7参照
主として,焼入性の低い鋼種で,炭素含有率中位以上の亜
共析鋼及び共析鋼
酸化法 主として,機械構造用炭素鋼及び機械構造用合金鋼 JA.8参照
焼入法 主として,高速度工具鋼及び合金工具鋼 JA.9参照
注a) オーステナイトマンガン鋼は,482 ℃704 ℃で鋭敏化すると,粒界に微細な炭化物が析出する。

7 結晶粒度の評価方法

7.1 一般事項

  結晶粒度の評価方法には,結晶粒度標準図2)との比較(7.2参照)又は単位面積当たりの結晶粒数を計数
して求めた粒度番号(A.1参照)によって評価する方法と,試験線1 mm当たりの捕捉した結晶粒数N又
は交点の数Pによって評価する切断法(A.2参照)とがある。
注2) 結晶粒度標準図は,ASTM E112のプレートI及びプレートIVに掲載されている。
粒度番号は,切断法で求めた1 mm当たりの平均捕捉結晶粒数 N又は1
L mm当たりの平均交点数 Pか L
ら結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長lを求め,表A.1を用いて求めることができる。
粒度番号は,3.2に従い,次の式(1)で定義する。
m 8 2G (1)
式(1)から得られる式(2a)又は式(2b)によって,粒度番号を算出する。
log m
G 3 (2a)
log 2
log m
G 3 (2b)
.0301
ここに, m : 観察した試験面の1 mm2当たりの平均結晶粒数
G : 粒度番号

7.2 結晶粒度標準図との比較による評価方法(比較法)

  投影像(又は顕微鏡写真)の試験視野を,結晶粒度標準図又はオーバーレイ(結晶粒度測定用に設計さ
れた接眼鏡の標準図がASTM E112に準拠したものであれば,利用することができる。)と比較する。倍率
が100倍の結晶粒度標準図に付けられた,−1(00)から10までの数字は,粒度番号Gを表す。
注記 通常,浸炭粒度試験方法[925 ℃での浸炭によるマッケイドエーン(McQuaid-Ehn)法]には,
プレートIVが用いられる。
結晶粒度標準図プレートの種類は,測定中に変更しないことが望ましい。

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試験片の試験視野の粒度に最も近い粒度をもつ結晶粒度標準図を決定する。結晶粒度標準図のプレート
IVの場合は,粒度番号の中間に相当すると認めるとき,低位の粒度番号に0.5を加える。
各試験片について,無作為に選択した少なくとも3視野(510の視野数が望ましい。)を評価する。
投影像又は顕微鏡写真の画像倍率gが100でない場合,粒度番号Gは,次の式(3)によって,最も近い結
晶粒度標準図番号Mを倍率比係数で修正した値になる。
g
G M .664 log (3)
100
通常使用する倍率に対する各粒度番号の関係を表3に示す。
表3−画像倍率に対する各粒度番号の関係
画像倍率 標準図番号で識別された画像に対する,金属結晶の粒度番号
g G
25 −3 −2 −1 0 1 2 3 4
50 −1 0 1 2 3 4 5 6
100 1 2 3 4 5 6 7 8
200 3 4 5 6 7 8 9 10
400 5 6 7 8 9 10 11 12
500 5.6 6.6 7.6 8.6 9.6 10.6 11.6 12.6
800 7 8 9 10 11 12 13 14
なお,フェライト−パーライト混在組織の場合は,受渡当事者間の協定によって附属書JDを適用して
もよい。この場合,表示方法についても受渡当事者間の協定による。

7.3 総合判定方法

  比較法,計数方法又は切断法によって得た各視野の判定結果から,次の式(4)によって平均粒度番号を算
出し,これを鋼の結晶粒度とする。平均粒度番号は,小数点以下一桁に丸める。
視野数は,510が望ましい。表4に,平均粒度番号算出の例を示す。
a b
G (4)
b
ここに, G : 平均粒度番号
a : 各視野における粒度番号
b : 同一粒度番号を示す視野数
表4−平均粒度番号算出の例
各視野における粒度番号 視野数 平均粒度番号
a×b
a b G
6 2 12 65
5.6
6.5 6 39 10
7 2 14
合計 10 65
なお,混粒の場合は,附属書JCによる。

――――― [JIS G 0551 pdf 10] ―――――

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JIS G 0551:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 643:2012(MOD)

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