JIS G 0551:2020 鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法

JIS G 0551:2020 規格概要

この規格 G0551は、鋼のフェライト及びオーステナイトの結晶粒度を測定するための顕微鏡試験方法について規定。また,結晶粒界の現出方法及び一様に結晶粒が分布する試験片の平均結晶粒度の求め方について規定。

JISG0551 規格全文情報

規格番号
JIS G0551 
規格名称
鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法
規格名称英語訳
Steels -- Micrographic determination of the apparent grain size
制定年月日
1956年1月19日
最新改正日
2020年6月22日
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‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 643:2012(MOD)
国際規格分類

ICS

77.040.99, 77.080.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1956-01-19 制定日, 1959-01-11 確認日, 1961-12-16 確認日, 1968-02-01 確認日, 1971-01-01 確認日, 1974-04-01 確認日, 1977-08-01 改正日, 1983-02-01 確認日, 1988-10-01 確認日, 1994-06-01 確認日, 1998-02-20 改正日, 2003-05-20 確認日, 2005-01-20 改正日, 2009-10-01 確認日, 2013-01-21 改正日, 2017-10-20 確認日, 2020-06-22 改正
ページ
JIS G 0551:2020 PDF [31]
                                                                                   G 0551 : 2020

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  4 記号・・・・[4]
  •  5 原理・・・・[5]
  •  6 試験片の採取及び調製・・・・[5]
  •  6.1 試験片の採取・・・・[5]
  •  6.2 フェライト結晶粒界の現出・・・・[5]
  •  6.3 オーステナイト及び旧オーステナイト結晶粒界の現出・・・・[5]
  •  7 結晶粒度の評価方法・・・・[7]
  •  7.1 一般事項・・・・[7]
  •  7.2 結晶粒度標準図との比較による評価方法(比較法)・・・・[7]
  •  7.3 総合判定方法・・・・[8]
  •  8 結晶粒度の表示・・・・[9]
  •  8.0A 一般事項・・・・[9]
  •  8.1 フェライト結晶粒度の表示・・・・[9]
  •  8.2 オーステナイト結晶粒度の表示・・・・[9]
  •  9 報告・・・・[9]
  •  附属書A(規定)結晶粒度の評価・・・・[10]
  •  附属書JA(規定)熱処理粒度試験方法によるオーステナイト結晶粒界現出方法・・・・[18]
  •  附属書JB(規定)フェライト結晶粒度の切断法による評価方法・・・・[21]
  •  附属書JC(規定)混粒組織の評価方法及び表示方法・・・・[23]
  •  附属書JD(規定)フェライト−パーライト混在組織の評価方法・・・・[24]
  •  附属書JE(参考)JISと対応国際規格との対比表・・・・[27]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS G 0551 pdf 1] ―――――

           G 0551 : 2020

まえがき

  この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本鉄鋼連盟(JISF)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS G 0551:2013
は改正され,この規格に置き換えられた。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS G 0551 pdf 2] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
                                                                              G 0551 : 2020

鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法

Steels-Micrographic determination of the apparent grain size

序文

 この規格は,2012年に第3版として発行されたISO 643を基とし,技術的内容を変更して作成した日本
産業規格である。
  なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JEに示す。また,附属書JA附属書JDは対応国際規格には
ない事項である。

1 適用範囲

  この規格は,鋼のフェライト及びオーステナイトの結晶粒度を測定するための顕微鏡試験方法について
規定する。また,この規格は,結晶粒界の現出方法及び一様に結晶粒が分布する試験片の平均結晶粒度の
求め方について規定する。
    注記1 実際の結晶粒の形状は,立体的(三次元)であるため,顕微鏡試料の切断面は,結晶粒の端
            部から最大直径の部分までの任意の箇所になり得る。たとえ結晶粒が完全に同じ大きさであ
            っても,平面上(二次元)に現れる結晶粒の大きさは,ある範囲にばらつく。
    注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
            ISO 643:2012,Steels−Micrographic determination of the apparent grain size(MOD)
              なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
            ことを示す。
    警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の試験室での作業に精通していることを前提とする。
          この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。
          この規格の利用者は,各自の責任において安全及び健康に対する措置をとらなければならない。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS G 0561 鋼の焼入性試験方法(一端焼入方法)
    ISO 3785,Metallic materials−Designation of test specimen axes in relation to product texture
    ASTM E112,Standard Test Methods for Determining Average Grain Size

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

――――― [JIS G 0551 pdf 3] ―――――

           2
G 0551 : 2020
3.1
結晶粒(grain)
  顕微鏡観察のために研磨及び調製された試験片の平らな断面上に現出する,多少湾曲した側面を伴う閉
じた多角形の形状。
  結晶粒は,次のように区別する。
3.1.1
オーステナイト結晶粒(austenitic grain)
  面心立方の結晶粒。焼なまし双晶を含むことがある。
3.1.2
フェライト結晶粒(ferritic grain)
  体心立方の結晶粒。焼なまし双晶は含まない。
    注記 フェライト結晶粒は,通常は炭素含有率が0.25 %(質量分率)以下の炭素鋼又はフェライト系
          ステンレス鋼に対して適用している。フェライト結晶粒と同等の寸法のパーライトの島が存在
          する場合は,その島をフェライト結晶粒としている。
3.2
粒度番号(index)
  観察した試験面の1 mm2当たりの平均結晶粒数mを用いて,次の式で表されるGの値。正数又はゼロだ
けではなく,負数の場合もある。
                         m  8 2G
    注記1 定義によると,mが16の場合,Gは1となる。
    注記2 結晶粒度標準図との比較による評価方法(比較法)においては,0.5単位及び総合判定におい
            て,平均粒度番号を小数点以下一桁で表す場合もある。
3.3
捕捉結晶粒数,N(intercept)
  直線又は曲線の試験線が通過又は捕捉した結晶の数[図1 a)参照]。
    注記 試験線が直線の場合,通常,両端は,結晶粒内で終わる。直線の両端部分各々は,捕捉結晶の
          1/2として計数される。Nは,様々な位置で無作為に適用した試験線が捕捉又は通過した結晶
          粒の数を多数回計数して得た平均値である。Nを測定に用いた線長LTで除することによって
          単位長さ(通常は,ミリメートル単位)当たりの捕捉結晶粒数 Nが得られる。
                                                                    L
3.4
交点の数,P(intersection)
  結晶粒界と一本の直線又は曲線の試験線との交点の数[図1 b)参照]。
    注記 Pは,様々な位置で無作為に適用した試験線と結晶粒界とが交わった回数について,多数回計
          数して得た平均値である。Pを測定に用いた線長LTで除することによって,単位長さ(通常は,
          ミリメートル単位)当たりの結晶粒界の交点の数 Pが得られる。
                                                       L
3.5
細粒鋼及び粗粒鋼
  細粒鋼は,粒度番号5以上の鋼。粗粒鋼は,粒度番号5未満の鋼。この判定に適用する試験方法は,通
常,6.3.2が適用される。

――――― [JIS G 0551 pdf 4] ―――――

                                                                                             3
                                                                                   G 0551 : 2020
3.6
混粒
  1視野内において,最大頻度をもつ粒度番号の粒からおおむね3以上異なった粒度番号の粒が偏在し,
これらの粒が約20 %以上の面積を占める状態にあるもの,又は視野間において3以上異なった粒度番号の
視野が存在するもの。
          矢印点16までが結晶粒を捕捉していて,線の両端部分が結晶粒内で終わっている(2×1/2=1)。
        したがって,N=7である。
                         a) 単相結晶粒組織上の直線による捕捉結晶粒数Nの計数
          矢印点7までが交点の数。したがって,P=7である。
                          b) 単相結晶粒組織上の直線による交点の数Pの計数
                            図1−捕捉結晶粒数N及び交点の数Pの例

――――― [JIS G 0551 pdf 5] ―――――

           4
G 0551 : 2020

4 記号

  この規格で用いる記号を,表1に示す。
                                           表1−記号
  記号                                定義                                      式及び値
  a    平均結晶粒面積(単位 : mm2)                                          1
                                                                             a
                                                                                m
 AF    観察視野(投射映像又は顕微鏡写真)の面積(単位 : mm2)                      −
 d     平均結晶粒径(単位 : mm)                                              1
                                                                             d
                                                                                 m
 D                                                                          79.8 mm
        顕微鏡のすりガラス投影スクリーン上の円の直径,又は試験片の試験面の画像を囲
        い込む顕微鏡写真上の円の直径                                        (面積=5 000 mm2)
 g     画像(投射映像又は顕微鏡写真)の長さ倍率                            通常は100倍
 G     粒度番号                                                                   −
 K     長さ倍率gから長さ倍率100への変換係数                                    g
                                                                             K
                                                                                100
 l     結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長(単位 : mm)       l /1 NL /1 PL
 LT    測定に用いた試験線長さを倍率で除した,真の試験線長さ(単位 : mm)           −
 m     観察した試験面の1 mm2当たりの結晶粒数                              m=2n100(倍率 100)
                                                                            m=2K2ng(倍率 g)
 M    gが100でない場合の,最も近い結晶粒度標準図番号                              −
 ng    直径Dの画像上で測定した結晶粒の等価総数(倍率 g)                          −
 n1    直径Dの円の中に完全に入っている結晶粒の数                                  −
 n2    直径Dの円周と交差している結晶粒の数                                        −
 n100  直径Dの円内で測定した結晶粒の等価総数(倍率 100)                          n2
                                                                             n100n1
                                                                                     2
  N    単位長さL当たりの,捕捉した結晶粒の平均数                                  −
  NL   試験線の単位長さ当たりの,捕捉した結晶粒の平均数                        N
                                                                             NL
                                                                                 LT
 Nx    圧延方向の1 mm当たりの捕捉した結晶数                                       −
 Ny    圧延直角方向の1 mm当たりの捕捉した結晶数                                   −
 Nz    厚さ方向の1 mm当たりの捕捉した結晶数                                       −
  P    結晶粒界と無作為に適用した試験線との交点の数の平均数                       −
  PL   試験線の単位長さ当たりの結晶粒界の交点の数の平均数                      P
                                                                             PL
                                                                                 LT
   Nx,Ny及びNzの方向を指定する方法は,ISO 3785による。
    注記 ISO 3785(試験片の軸の定義)は,特に金属材料の延性及びじん(靱)性を測定する試験片に
          対して,その結晶粒の展伸方位及び試験片の位置を定義する方法を提供するために作成された
          ものである。金属材料に座標軸が存在するものと仮定して,金属材料の試験片の方向の指定方
          法を規定している。座標軸については,次のように記載されている。
          a)   軸 : 結晶粒の主展伸方位と一致する方向(圧延方向)
          b)   軸 : 主加工力が働く方向(厚さ方向)
          c)   軸 : X軸及びZ軸に垂直な方向(圧延直角方向)

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                                                                                             5
                                                                                   G 0551 : 2020

5 原理

  結晶粒の大きさを,鋼種又はその他の情報によって,適切な方法で処理された試験片の研磨面で,顕微
鏡によって測定する。
  鋼材規格又は受渡当事者間の合意によって結晶粒の現出方法を規定していない場合,結晶粒の現出方法
は,製造業者の任意でよい。
  平均結晶粒度は,特に指定のない場合,製造業者の任意によって,次のa)又はb)によって測定する。必
要な場合,A.3によって測定してもよい。
a) 次に示すいずれかによって得られた粒度番号
  1) 結晶粒度標準図と比較する(7.2参照)。
  2) 単位面積当たりの結晶粒の平均数を測定する(計数方法 : planimetric method)(A.1参照)。
b) 結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長(切断法)(A.2参照)
      結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長から,表A.1によって粒度番号を求める。
      なお,切断法によるフェライト結晶粒度の測定に,附属書JBを用いてもよい。

6 試験片の採取及び調製

6.1 試験片の採取

  試験片の数及び製品から試験片を採取する箇所が,鋼材規格又は受渡当事者間の合意によって定められ
ていない場合は,これらを製造業者が決める。
  評価する試験片の数を増すと測定精度が良くなることが判明しているので,二つ以上の切断部分を評価
することが望ましい。製品の端,試験片を採取するためにせん断加工したものなどに見られる,激しく変
形した部分は避け,試験片が製品の大半を代表するように注意する。
  試験片の研磨面が鋼材規格又は受渡当事者間の合意によって定められていない場合,研磨面は,圧延方
向,すなわち,製品における主加工方向に平行な面とする。結晶粒が等軸でない場合,圧延方向に直角な
面としてもよい。

6.2 フェライト結晶粒界の現出

  フェライト結晶粒界は,体積分率2 %5 %ナイタル1),又は適切な腐食液を用いて現出させる。
    注1) 指定された体積分率の硝酸[(質量分率60 %62 %),以下硝酸という。]を含むエタノール溶
          液。

6.3 オーステナイト及び旧オーステナイト結晶粒界の現出

6.3.1 一般事項
  常温で単相又は二相のオーステナイト[オーステナイト母相中のデルタ(δ)フェライト]組織をもつ鋼
の場合は,腐食液を用いて,結晶粒界を現出させる。
  単相のオーステナイト系ステンレス鋼に対して通常使われる腐食液は,グリセレジア(glyceregia),カ
ーリング(Kalling)試薬(No.2)及びマーブル(Marble)試薬である。
  単相又は二相のオーステナイト系ステンレス鋼に対する最良の電解腐食の方法は,結晶粒界は現出する
が双晶が現出しないように,硝酸中で直流1.4 Vを60秒120秒負荷することである。
    注記 質量分率10 %しゅう酸水溶液を用い,直流6 Vを60秒まで負荷する方法は,よく用いられる
          が,硝酸を用いる方法より粒界は,明瞭ではない。
  常温でオーステナイト組織でない鋼に対しては,6.3.2又は6.3.3に規定するいずれかの方法を適用する。

――――― [JIS G 0551 pdf 7] ―――――

           6
G 0551 : 2020
6.3.2 浸炭粒度試験方法[925 ℃での浸炭によるマッケイドエーン(McQuaid-Ehn)法]
6.3.2.1 適用分野
  これは,925 ℃で,一定時間保持して浸炭することによってオーステナイト結晶粒界を現出させる方法
である。その他の熱処理条件で実際に現出される結晶は,適切でないことがある。
6.3.2.2 熱処理
  試験片は,脱炭層又は表面のさびを除去する。冷間,熱間,機械的などの前処理が,結晶粒の形状に影
響を及ぼすことがある。これらの事項を特に考慮することが望ましい場合は,受渡当事者間によって,測
定前に実行すべきこれらの処理を規定する。
  浸炭剤を充した容器の中に試験片を埋めて封入し,電気炉又はその他の適切な加熱炉に装入して加熱
する。約2時間で925 ℃に昇温し,この温度に6時間保持した後,徐冷し,浸炭層の結晶粒界に過共析セ
メンタイトを析出させる。600 ℃まで30 ℃/h150 ℃/hで徐冷することが望ましい。通常,約1 mmの浸
炭層が得られる。
  浸炭剤は,乾燥した粒状木炭(質量分率60 %80 %)と炭酸バリウム(質量分率40 %20 %)との混
合物を用いる。ただし,鋼種によっては,これ以外の混合比を用いてもよい。浸炭剤の使用量は,試験片
体積の30倍以上が望ましい。浸炭剤は,その都度,新しいものを使用する。
6.3.2.3 調製及び腐食
  浸炭した試験片を,浸炭表面に直角に切断し,顕微鏡試験用に調製する。その断面を,次のいずれかに
よって腐食させるのが望ましい。
a) アルカリ性ピクリン酸ナトリウムで腐食させる。必要に応じて,電解腐食(直流6 Vで60秒間)を適
    用する。
b) 体積分率2 %5 %ナイタルによって腐食させる。
c)   )又はb)と同一の結果が得られる場合は,ピクリン酸−エタノール溶液又はその他の試薬を使用して
    もよい。
      注記 アルカリ性ピクリン酸ナトリウムの例として“le Chatelier·Igewski”試薬(ピクリン酸2 g,
            水酸化ナトリウム25 g及び水100 mL)がある。
6.3.3 熱処理粒度試験方法
  熱処理粒度試験方法は,表2のいずれかの方法による。これらは,鋼の焼なまし,焼ならし,焼入れ,
固溶化熱処理など実際の熱処理に当たり,最高加熱温度における粒度測定に適用する。各試験方法の詳細
は,附属書JAによる。

――――― [JIS G 0551 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
                                                                                   G 0551 : 2020
                                 表2−熱処理粒度試験方法の種類
       熱処理粒度試験方法の種類                        適用鋼種                      附属書
 ピクリン酸飽和水溶液で腐食する                                                     JA.2参照
                                    主として,0.005 %以上のりんを含むマルテンサイト,焼
 Bechet-Beaujard法                 戻しマルテンサイト及びベイナイト鋼
 初析フェライト法                  主として,炭素含有率0.25 %0.6 %の粗粒炭素鋼及び低JA.3参照
                                    合金鋼。例,マンガン−モリブデン鋼,1 %クロム−モリ
                                    ブデン鋼,1.5 %ニッケル−クロム鋼
                                                                                     JA.4参照
                                    主として,炭素含有率0.025 %を超える非安定化オーステ
 オーステナイト系ステンレス及びオース
 テナイトマンガン鋼a) の鋭敏化熱処理法
                                    ナイト又は二相ステンレス鋼
 徐冷法                                                                             JA.5参照
                                    主として,炭素含有率中位以上の亜共析鋼。ただし,過共
                                    析鋼の場合は,Accm点以上の温度における粒度を測定する
                                    場合に限る。
 焼入焼戻し法                      主として,機械構造用炭素鋼及び機械構造用合金鋼  JA.6参照
 一端焼入法                                                                         JA.7参照
                                    主として,焼入性の低い鋼種で,炭素含有率中位以上の亜
                                    共析鋼及び共析鋼
 酸化法                            主として,機械構造用炭素鋼及び機械構造用合金鋼  JA.8参照
 焼入法                            主として,高速度工具鋼及び合金工具鋼            JA.9参照
 注a) オーステナイトマンガン鋼は,482 ℃704 ℃で鋭敏化すると,粒界に微細な炭化物が析出する。

7 結晶粒度の評価方法

7.1 一般事項

  結晶粒度の評価方法には,結晶粒度標準図2)との比較(7.2参照)又は単位面積当たりの結晶粒数を計数
して求めた粒度番号(A.1参照)によって評価する方法と,試験線1 mm当たりの捕捉した結晶粒数N又
は交点の数Pによって評価する切断法(A.2参照)とがある。
    注2) 結晶粒度標準図は,ASTM E112のプレートI及びプレートIVに掲載されている。
  粒度番号は,切断法で求めた1 mm当たりの平均捕捉結晶粒数 N又は1
                                                            L    mm当たりの平均交点数 Pか L
ら結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長lを求め,表A.1を用いて求めることができる。
  粒度番号は,3.2に従い,次の式(1)で定義する。
                         m  8 2G  (1)
  式(1)から得られる式(2a)又は式(2b)によって,粒度番号を算出する。
                            log m
                        G        3 (2a)
                            log 2
                            log m
                        G        3 (2b)
                            .0301
                      ここに,   m :  観察した試験面の1 mm2当たりの平均結晶粒数
                                  G :  粒度番号

7.2 結晶粒度標準図との比較による評価方法(比較法)

  投影像(又は顕微鏡写真)の試験視野を,結晶粒度標準図又はオーバーレイ(結晶粒度測定用に設計さ
れた接眼鏡の標準図がASTM E112に準拠したものであれば,利用することができる。)と比較する。倍率
が100倍の結晶粒度標準図に付けられた,−1(00)から10までの数字は,粒度番号Gを表す。
    注記 通常,浸炭粒度試験方法[925 ℃での浸炭によるマッケイドエーン(McQuaid-Ehn)法]には,
          プレートIVが用いられる。
  結晶粒度標準図プレートの種類は,測定中に変更しないことが望ましい。

――――― [JIS G 0551 pdf 9] ―――――

           8
G 0551 : 2020
  試験片の試験視野の粒度に最も近い粒度をもつ結晶粒度標準図を決定する。結晶粒度標準図のプレート
IVの場合は,粒度番号の中間に相当すると認めるとき,低位の粒度番号に0.5を加える。
  各試験片について,無作為に選択した少なくとも3視野(510の視野数が望ましい。)を評価する。
  投影像又は顕微鏡写真の画像倍率gが100でない場合,粒度番号Gは,次の式(3)によって,最も近い結
晶粒度標準図番号Mを倍率比係数で修正した値になる。
                                        g
                        G  M  .664 log   (3)
                                       100
  通常使用する倍率に対する各粒度番号の関係を表3に示す。
                             表3−画像倍率に対する各粒度番号の関係
            画像倍率        標準図番号で識別された画像に対する,金属結晶の粒度番号
               g                                    G
               25     −3    −2    −1      0      1      2      3      4
               50     −1      0      1      2      3      4      5      6
              100       1      2      3      4      5      6      7      8
              200       3      4      5      6      7      8      9     10
              400       5      6      7      8      9     10     11     12
              500       5.6    6.6    7.6    8.6    9.6   10.6   11.6   12.6
              800       7      8      9     10     11     12     13     14
  なお,フェライト−パーライト混在組織の場合は,受渡当事者間の協定によって附属書JDを適用して
もよい。この場合,表示方法についても受渡当事者間の協定による。

7.3 総合判定方法

  比較法,計数方法又は切断法によって得た各視野の判定結果から,次の式(4)によって平均粒度番号を算
出し,これを鋼の結晶粒度とする。平均粒度番号は,小数点以下一桁に丸める。
  視野数は,510が望ましい。表4に,平均粒度番号算出の例を示す。
                              a b
                        G           (4)
                               b
                      ここに,  G :  平均粒度番号
                                  a :  各視野における粒度番号
                                  b :  同一粒度番号を示す視野数
                                   表4−平均粒度番号算出の例
                     各視野における粒度番号 視野数            平均粒度番号
                                                       a×b
                              a              b                    G
                              6              2        12      65
                                                                     5.6
                              6.5            6        39      10
                              7              2        14
                             合計            10       65
  なお,混粒の場合は,附属書JCによる。

――――― [JIS G 0551 pdf 10] ―――――

                                                                                             9
                                                                                   G 0551 : 2020

8 結晶粒度の表示

8.0A 一般事項

  結晶粒の種類による記号,粒度番号,視野数,最高加熱温度(熱処理粒度試験方法の場合)及び保持時
間を,8.1及び8.2に従って表示する。混粒の場合の表示方法は,附属書JCによる。

8.1 フェライト結晶粒度の表示

8.1.1 フェライト結晶粒度の表示記号
  フェライト結晶粒度の記号は,次による。
        FG
8.1.2 フェライト結晶粒度の表示例
        FG−3.5(10)      (10視野の総合判定による粒度番号が3.5の場合)

8.2 オーステナイト結晶粒度の表示

8.2.1 オーステナイト結晶粒度の表示記号
  オーステナイト結晶粒度の表示記号は,オーステナイト結晶粒界の現出方法によって,次の記号を用い
る。
        G   : 製品まま(6.3.1)
        Gc  : 浸炭粒度試験方法[925 ℃での浸炭によるマッケイドエーン(McQuaid-Ehn)法](6.3.2)
        Gb  : ピクリン酸飽和水溶液で腐食するBechet-Beaujard法(JA.2)
        Gp  : 初析フェライト法(JA.3)
        Gm  : オーステナイト系ステンレス及びオーステナイトマンガン鋼の鋭敏化熱処理法(JA.4)
        Gf  : 徐冷法(JA.5)
        Gh  : 焼入焼戻し法(JA.6)
        Gj  : 一端焼入法(JA.7)
        Go  : 酸化法(JA.8)
        Gq  : 焼入法(JA.9)
8.2.2 オーステナイト結晶粒度の表示例
a) 細粒鋼
      Gc8.5(10)[6.3.2の浸炭粒度試験方法で10視野の総合判定による粒度番号が8.5(細粒鋼)の場合]
      Gf6.5(10)(920 ℃×l.5 h)[JA.5の徐冷法で920 ℃に1.5時間保持して10視野の総合判定による粒度
    6.5の場合]
b) 粗粒鋼
      Gc3.6(10)[6.3.2の浸炭粒度試験方法で10視野の総合判定による粒度番号が3.6(粗粒鋼)の場合]

9 報告

  試験報告書が必要な場合には,次の事項から報告事項を受渡当事者間の協定によって選択する。
a) 試験した鋼材の種類の記号
b) 測定した結晶粒の種類(フェライト又はオーステナイト)
c) 試験方法(結晶粒度標準図による比較法,計数方法又は切断法),操作条件及び評価方法(例えば,手
    動又は自動画像解析)
d) 粒度番号又は結晶粒内を横切る試験線の1結晶粒当たりの平均線分長
      ただし,粒度番号で報告する場合は,箇条8の表示記号を用いる。

――――― [JIS G 0551 pdf 11] ―――――

           10
G 0551 : 2020
                                          附属書A
                                          (規定)
                                      結晶粒度の評価
A.1 計数方法(Planimetric method)
  従来から,すりガラス投影スクリーン上の投影像又は顕微鏡写真に,直径79.8 mmの円を描くか,又は
円を重ね合わせている。倍率を,円の領域に少なくとも50個の結晶粒を取り込むように調整する(図A.1
参照)。
    注記1 この倍率は,円形試験パターンでの計数誤差を最小限に抑えるために推奨されている。
                        図A.1−円によって囲まれた領域の結晶粒の数の評価
  2種類(n1,n2)の計数を行う。n1は,試験円内に完全に入っている結晶粒の数,n2は,試験円と交差し
た結晶粒の数とする。
  あらかじめ測定方法の正確さについて,十分な範囲で相関性が立証されていることを条件として,適用
される材料の結晶粒度を測定するために自動画像解析などを利用してもよい。
  相当結晶粒の総数は,次の式(A.1)によって算出する。
                                 n2
                         n100n1      (A.1)
                                  2
  投影像又は顕微鏡写真の倍率が100倍の場合,試験片表面上にある1 mm2当たりの結晶粒数mは,次の
式(A.2)によって算出する。
                        m  2n100 (A.2)

――――― [JIS G 0551 pdf 12] ―――――

                                                                                            11
                                                                                   G 0551 : 2020
  また,任意の倍率gの場合には,mは,次の式(A.3)によって算出する。
                              g2
                         m        ng (A.3)
                             5 000
                      ここに, 5 000 :  試験円の面積(mm2)
  この方法では,おおむね,円形試験線と交差した結晶粒は,半分(1/2)が円内にあり,半分(1/2)は
円外にあるものと仮定している。この仮定は,結晶組織を通過する直線には有効だが,曲線には有効でな
い。生じるバイアスは,円形試験線内の結晶粒の数が減少するにつれて,増加する。円形試験線内の結晶
粒の数が少なくとも50個の場合は,バイアスは約2 %である。
  このバイアスを回避する簡単な方法は,試験線内の結晶粒の数とは無関係に,正方形又は長方形を使う
ことである。ただし,計数手順を少しだけ修正しなければならない。まず,四隅のそれぞれに交わる結晶
粒を,おおむね,試験線内が1/4及び試験線外が3/4と想定する。これらの四隅の結晶粒は,試験線枠内
で一緒になって,一つの結晶粒に等しくなるとみなす。
  四隅の結晶粒を除いて,完全に試験線内にある結晶粒n1,及び試験線の四つの側線と交わった結晶粒n2
について,計数を行う(図A.2参照)。式(A.1)は,次の式(A.4)となる。
                        n100 n1 5.0n2    (A.4)
                      図A.2−方形試験図によって囲まれる領域の結晶粒の評価

――――― [JIS G 0551 pdf 13] ―――――

           12
G 0551 : 2020
  試験片表面上の1 mm2当たりの結晶粒数mは,次の式(A.5)によって算出する。
                             g2
                         m     ng  (A.5)
                             AF
                      ここに,  AF :  結晶粒の計数に用いる観察視野の面積(mm2)
  1個当たりの平均結晶粒面積(mm2)は,次の式(A.6)によって算出する。
                            1
                         a     (A.6)
                            m
    注記2 次の式(A.7)によって平均結晶粒径を計算するのが,これまでの一般的方法であった。しかし,
            この式は,結晶粒が切断面で正方形であることを前提としているが,実際にはそうでないの
            で,この方法を用いることは,望ましくない。
                            2/1a
                         d      (A.7)
  mは,粒度番号Gの各値に対応している。表A.1に示す範囲内で式(A.2),式(A.3)又は式(A.5)で計算さ
れるmの値は,粒度番号Gの値に対して与えられる。
                                 表A.1−結晶粒数の各変数の関係
  粒度番号     1 mm2当たりの結晶粒数     平均結晶   平均結晶粒 結晶粒内を横 試験線の1 mm
     G                  m                  粒径        面積    切る試験線の1 当たりの,捕捉
                            限界値          db)          a      結晶粒当たり した結晶粒の平
                                                                   の平均線分長      均数
                        超え     以下                                  l           NL
                                             mm         mm2           mm
   −7    0.062 5   0.046   0.092       4        16             3.577         0.279
   −6    0.125     0.092   0.185       2.828     8             2.529         0.395
   −5    0.25      0.185   0.37        2         4             1.788         0.559
   −4    0.50      0.37    0.75        1.414     2             1.265         0.790
   −3    1         0.75    1.5         1         1             0.894         1.118
   −2    2         1.5     3           0.707     0.5           0.632         1.582
   −1(00)   a) 4       3       6           0.500     0.25          0.447         2.237
     0    8         6       12          0.354     0.125         0.320         3.125
     1    16        12      24          0.250     0.062 5       0.226         4.42
     2    32        24      48          0.177     0.031 2       0.160         6.25
     3    64        48      96          0.125     0.015 6       0.113         8.84
     4    128       96      192         0.088 4   0.007 81      0.080         12.5
     5    256       192     384         0.062 5   0.003 90      0.056 6       17.7
     6    512       384     768         0.044 2   0.001 95      0.040 0       25.0
     7    1 024     768     1 536       0.031 2   0.000 98      0.028 3       35.4
     8    2 048     1 536   3 072       0.022 1   0.000 49      0.020 0       50.0
     9    4 096     3 072   6 144       0.015 6   0.000 244     0.014 1       70.7
    10    8 192     6 144   12 288      0.011 0   0.000 122     0.010 0      100
    11    16 384    12 288  24 576      0.007 8   0.000 061     0.007 07     141
    12    32 768    24 576  49 152      0.005 5   0.000 030     0.005 00     200
    13    65 536    49 152  98 304      0.003 9   0.000 015     0.003 54     283
    14    131 072   98 304  196 608     0.002 8   0.000 007 5   0.002 50     400
    15    262 144   196 608 393 216     0.002 0   0.000 003 7   0.001 70     588
    16    524 288   393 216 786 432     0.001 4   0.000 001 9   0.001 20     833
    17    1 048 576 786 432 1 572 864   0.001 0   0.000 000 95  0.000 87   1 149

――――― [JIS G 0551 pdf 14] ―――――

                                                                                            13
                                                                                   G 0551 : 2020
                             表A.1−結晶粒数の各変数の関係(続き)
 注記 この表は,等軸結晶粒の各種パラメータ間の値を示す。
 注a) “−1”は,“00”と表記してもよい。
   b) は,式(A.7)によって得られる参考値である。
      d
A.2 切断法
A.2.1 切断法の原理
  既知の倍率gで,試験片を代表する部分の,既知の長さの試験線によって捕捉した結晶粒の数N,又は
試験線と結晶粒界との交点の数Pを,投影スクリーン上,レチクル(目盛付きレンズ)上,テレビ型モニ
ター上又は顕微鏡写真上で計数する。
  試験線は,直線でも円でもよい。推奨される計測格子を,図A.3に示す。
  図A.3の三つの円の寸法を,それぞれ表A.2に示す。図A.3の三つの同心円は,総線長が500 mmにな
る。
                                 表A.2−三つの同心円の円周長さ
                                                        単位 mm
                                     直径             円周
                                    79.58            250.0
                                    53.05            166.7
                                    26.53             83.3
                                                合計 500.0
  円形試験線は,結晶粒の異方性を平均化し,直線試験線のように試験線が結晶粒内で終わることがない。
また,図A.3には4本の直線があり,その内訳は,縦線,横線及び2本の対角線とする。各対角線の長さ
は150 mmで,横及び縦線のそれぞれの長さは100 mmとする。これらの直線は,結晶粒の異方性を平均
化する。また,結晶粒の展伸を考慮する場合は,計測格子の横線を変形軸と平行に,縦線が変形軸と直交
するように位置決めし,縦線と横線とについて別々に,結晶粒を計数する(A.2.4の注記参照)。いずれの
視野でも,一つの視野で,試験線が少なくとも50個の結晶粒を捕捉するように,倍率を決定する。少なく
とも五つの無作為に選択した視野で,少なくとも合計250個の試験線が捕捉した結晶粒数を用いて評価す
る。
  この計測格子は,一つの試験視野ごとに一度だけ適用する。計測格子は,有効な結果を得るため無作為
かつ適切な視野数に適用する。
  必要な試験線が捕捉する結晶粒の数を得るために,倍率を変更する必要がある場合は,異方性の影響を
考慮して測定線の方向を調整し,かつ,その測定線の長さを倍率に応じて変更してよい。

――――― [JIS G 0551 pdf 15] ―――――

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  • ISO 643:2012(MOD)

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