この規格ページの目次
4
G 0553 : 2019
場合,試験片は,製造工程及び評価されるグレードを考慮して採取しなければならない。
5.2 マクロ組織試験を鉄鋼製品の検査に適用するときは,通常,試験片は13 mm25 mmの厚さとする。
特に指定のない場合,試験片は製品長手方向に垂直な断面を用いるが,仕様書,契約書又は注文書によっ
て製品長手方向に平行な断面を含めてもよい。通常,圧延製品の場合,製品長手方向に平行な断面の試験
片は,エッチング面が圧延製品の中心線に平行になるようにし,試験片は,両側表面を含み,長手方向の
長さは,製品厚さ又は直径の1.5倍以上となるように採取される。
5.3 試験片は,適切な方法で冷間切断してもよい。鋸及び切断といしが使いやすい。トーチ切断又は熱
間切断は,大きな供試材から試験片を切り出す必要があるときだけに適用するのがよい。被検面は,熱間
切断面から十分に離して,変形,熱影響,ひびなどの試験片採取時に生じる欠点を除去した断面とするこ
とが望ましい。
5.4 大きな供試材は,扱いやすく,安全上の要求を満たすように小割にしてもよい。大きな供試材を小
割にするときに,小割の中心部に影響が出ないようにすることが望ましい。
6 試験片の加工・調製
6.1 試験片表面の加工・調製の度合いは,エッチングによるマクロ組織試験で要求される精度による。
試験片の被検面は,通常,JIS B 0601の算術平均粗さRa 30 μm3.5 μmに仕上げる。
6.2 比較的粗い面となる粗加工は,例えば,パイプ(3.12参照)を検出する日常検査のような特定の内
容には十分であるが,一般には,更に入念な調製が求められる。
6.3 加工・調製時の基準は,次のようなものである。
a) 例えば,不適切な加工・調製,過度な切込み速度,大きすぎる旋盤の送りなどの結果として生じる,
工具による切断痕が残らないことが望ましい。一般的には,0.1 mm程度送ると良好である。
b) 次のような工具を用いる場合,冷間加工はできる限り少なくすることが望ましい。
1) 金属に適さない工具又は適切に研がれていない工具
2) 不適切な回転といし(例えば,JIS R 6001-1のF100未満)
6.4 通常,試験片の加工・調製には,次のような手段が使用される。
a) 研削(予備加工あり又はなし)
b) 速度調整機付旋盤による成形及び加工
6.5 非常に小さい欠点又は組織上の不均一(例えば,異種溶接部)を観察する場合,注意して研磨する
ことが望ましい。より滑らかに研磨するとより詳細に検査できる。
6.6 表面調製した後,試験片は,適切な溶剤で注意深く洗浄する。グリス,油脂又は他の残さい(滓)
によってエッチングが不均一になる。洗浄後は,試験片表面に触れたり,汚染しないように注意すること
が望ましい。
7 溶液
7.1 エッチングに用いられる溶液は,各試験方法に対応して,8.1.9及び附属書JAにまとめている。多
くの場合,良質な試薬グレードが望ましいが,化学的に純粋である又は分析に適した品質である必要はな
い。通常は,商用の品質で十分である。溶液は,正常かつ透明で,懸濁物,かすなどがないことが望まし
い。
7.2 溶液の混合時は注意しなければならない。大半の腐食液は,強酸である。いかなる場合も化学物質
は,かくはん(撹拌)しながら水又は溶媒にゆっくり加えるのが望ましい。ふっ化水素酸を用いる場合に
――――― [JIS G 0553 pdf 6] ―――――
5
G 0553 : 2019
は,溶液は,ポリエチレン製容器内で混合し,使用するのが望ましい。
警告 ふっ化水素酸は,皮膚についた場合,直ちに洗い流さないと痛みを伴う深刻な潰瘍を引き起こ
すので,皮膚に触れないようにしなければならない。
7.3 鉄及び鋼のマクロエッチングに最も一般的に用いられる溶液は,塩酸及び王水である。
7.4 効果的にエッチングするために濃度が下がりすぎた場合には,適時溶液を新しくする。
8 試験
8.1 温間エッチング及び常温エッチング
8.1.1 試験片を酸浴に浸す。酸浴は,加熱してもよい。大型試験片の場合には,試験片を酸浴の温度まで
予熱しておくとよい。
8.1.2 多くの溶液は,活性が高く,刺激性及び腐食性のヒュームを放出する可能性がある。エッチングは,
換気のよい部屋で行い,ドラフトを使用することが望ましい。溶液は,耐腐食性のトレイ又は皿に入れ,
試験温度にする。
8.1.3 酸浴は,少なくとも試験片10 cm四方当たり1 Lの割合で適切な量とする。加えて,試験片の上面
が少なくとも25 mm浸るような十分な深さとしなければならない。ただし,試験片が大きくて浸りきれな
い場合は,8.1.6による。
8.1.4 試験片は,反応性のない支持台上に置くのが望ましい。しばしば酸浴の底にガラス棒が置かれ,試
験片が直接その上に置かれる。
8.1.5 複数の試験片を同じ酸浴に入れてエッチングする場合,試験片同士が触れないようにして,不均一
及び不適切なエッチングにならないようにする。
8.1.6 造塊鋼片のように試験片が大きくて浸りきれない場合は,塗りつけるのが唯一の現実的なマクロエ
ッチング法となる場合がある。ステンレス鋼製又はニッケル製などの腐食されにくい材質のトングでつか
んだ綿の塊を腐食液に浸して,試験片の表面を拭う。できるだけ早く表面全体を腐食液で湿らせるのがよ
い。初めに湿らせた後,溶液に浸した綿の塊で表面を頻繁に拭って溶液を供給する。溶液は,表面に均一
に供給する。組織が適切に現れたら,水に浸した綿の塊で拭いながら試験片をすすぐか,更によいのは流
水で洗い流す。水ですすいだ後,衝風をかけて試験片を乾燥する。
8.1.7 十分にエッチングできたら,エッチングされた表面に触れないように十分に注意して試験片を酸浴
から取り出し,流水で洗って非金属製のブラシで注意してこすってエッチングかすを取り除く。その後,
乾燥する。汚れ(smut)除去を要求された場合,試験片を3 %5 %炭酸ナトリウム(Na2CO3)溶液又は
10 %15 %硝酸溶液のような二次溶液に浸す。
8.1.8 エッチング面の観察は,目視とする。ただし,受渡当事者間の協定によって,注文者は,10倍ま
での拡大鏡による観察を指定してもよい。
8.1.9 試験方法は,次のいずれか又は附属書JAを用いる。
注記 附属書JAには,ISO 4969に規定された内容を示している。
a) 塩酸法
1) 腐食液は,塩酸をほぼ等容量の水に希釈して(HClとして質量分率約20 %)調製し,これを耐酸容
器中で60 ℃80 ℃に加熱して使用する。
2) 試験片は,被検面を上向き又は垂直にして,互いに接触しないように1)の腐食液に浸せきし,液温
はなるべく一定に保持する。試験片は,浸せき前に温水中で予熱するとよい。この場合の標準予熱
温度は,60 ℃80 ℃とする。腐食液は,エッチング後の被検面に濃淡が生じないよう十分な量を
――――― [JIS G 0553 pdf 7] ―――――
6
G 0553 : 2019
使用する。また,腐食液は,通常,新液を使用し,エッチングの反応を見ながら適宜交換する。
3) 腐食液による鋼材のエッチング時間は,通常,10 分40分とする。
b) 塩化銅アンモニウム法
1) 腐食液は,水1 000 mLに対して,工業用塩化銅(II)アンモニウム二水和物100 g350 gの割合で
溶解して調製し,エッチングは常温(5 ℃35 ℃)で行う。
2) 試験片は,被検面を上向き又は垂直にして腐食液に浸せきするか,又は被検面を上向きにして腐食
液を注ぐ。腐食液は,エッチング後の被検面に濃淡が生じないよう十分な量を使用する。また,腐
食液は,通常,新液を使用し,エッチングの反応を見ながら適宜交換する。
3) エッチングが進むに従って表面に銅が析出してくるが,約5分間放置した後,析出した銅をブラシ
又は布で除き,適切なエッチング状態が得られるまで,これを繰り返す。通常,3 回10回で適切
なエッチングが得られる。
c) 硝酸エタノール法(ナイタール法)
1) 腐食液は,体積分率が5 %10 %2)になるように硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)のエタノール溶液
を調製し,エッチングは常温において行う。
注2) 体積比で1 : (919)を意味している。
警告 硝酸濃度が10 %以上になると爆発する危険があるので,注意しなければならない。
2) 試験片は,被検面を上向き又は垂直にして腐食液に浸せきする。腐食液は,エッチング後の被検面
に濃淡が生じないよう十分な量を使用する。また,腐食液は,通常,新液を使用し,エッチングの
反応を見ながら適宜交換する。
3) 腐食液による鋼材のエッチング時間は,通常,3 分10分とする。
d) 硝酸法
1) 腐食液は,体積分率が5 %10 %3)になるように硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)の水溶液を調製し,
エッチングは常温において行う。
注3) 体積比で1 : (919)を意味している。
2) 試験片は,被検面を上向き又は垂直にして腐食液に浸せきする。腐食液は,エッチング後の被検面
に濃淡が生じないよう十分な量を使用する。また,腐食液は,通常,新液を使用し,エッチングの
反応を見ながら適宜交換する。
3) 腐食液による鋼材のエッチング時間は,通常,3 分10分とする。
e) 王水法
1) 腐食液は,体積分率が9.1 %25 %4)になるように硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)の塩酸溶液を調
製し,エッチングは5 ℃80 ℃において行う。
注4) 体積比で1 : (310)を意味している。
2) 試験片は,被検面を上向き又は垂直にして腐食液に浸せきする。腐食液は,エッチング後の被検面
に濃淡が生じないよう十分な量を使用する。また,腐食液は,通常,新液を使用し,エッチングの
反応を見ながら適宜交換する。
3) 腐食液による鋼材のエッチング時間は,通常,5 分20分とする。
8.1.10 鋼種及び推奨する試験方法を,表1に示す。
――――― [JIS G 0553 pdf 8] ―――――
7
G 0553 : 2019
表1−鋼種及び推奨する試験方法a)
鋼種試験方法
炭素鋼及び合金鋼 ステンレス鋼及び耐熱鋼
塩酸法 ◎ ◎
塩化銅アンモニウム法 ◎ −
硝酸エタノール法(ナイター ◎ −
ル法)
硝酸法 ◎ −
王水法 − ◎
注a) ◎を付した試験方法が,推奨する試験方法。
8.1.11 腐食液の種類に対して,腐食液による鋼材のエッチング時間は,試験温度,鋼材のグレード及び試
験の種類によって異なる。エッチング処理は,熟練者が指示して,適切なエッチングと判断したところで
終了することが望ましい。一般的には,過度のエッチングによってしばしば誤判断に結びつくことがある。
個別に指示された時間は,単に目標を意図している。適切に組織を現出させる実際の時間は,指示された
ものとかなり異なる可能性がある。
8.1.12 試験片が過度にエッチングされた場合には,エッチングされた表面の痕跡が残らないように再研磨
しなければならない。過度にエッチングされた深さ及び試験片の平滑度によっては,1 mm以上の研磨が
必要な場合がある。
8.2 電解エッチング
8.2.1 交流電源
8.2.1.1 交流電源による電解エッチング図を,図3に示す。
1 交流変圧器
2 電圧計
3 電流計
4 電極
5 酸浴
6 試験片
図3−交流電源による電解エッチング図
8.2.1.2 交流電源による電解エッチングには,15 %30 %塩酸(濃塩酸)を常温で用いてよい。
8.2.1.3 試験片は,溶液に浸し,表面は電極と平行に置く。電源は交流とする。通常は,実用電流は400 A
未満,電圧は36 V未満である。エッチング時間は,5分30分程度である。
――――― [JIS G 0553 pdf 9] ―――――
8
G 0553 : 2019
8.2.1.4 同じ酸浴中で複数の試験片をエッチングする場合には,試験片同士が接触しないようにする。ガ
ルバニック結合(galvanic couple)ができると不均一又は不適切なエッチングを生じることがある。
8.2.1.5 十分にエッチングされたと判断したら,試験片を流水で洗って非金属製のブラシで注意してこす
ってエッチングかすを取り除き,その後乾燥する。
8.2.2 直流電源
8.2.2.1 直流電源による電解エッチング図を,図4に示す。
1 直流電源
2 電圧計
3 電流計
4 陰極電極
5 酸浴
6 試験片(陽極電極)
図4−直流電源による電解エッチング図
8.2.2.2 直流電源による電解エッチングには,130 cm2未満の試験片に対して水100 mLに6 mL12 mL
の濃塩酸を加えた溶液,又は130 cm2以上の試験片に対して水100 mLに6 mLの濃塩酸及び1 gのほう酸
を加えた溶液を,常温で用いることが可能である。
8.2.2.3 試験片は,溶液に浸され,陽極として機能する。130 cm2未満の試験片に対しては,実用電流1 mm2
当たり8 mA16 mAがよい。130 cm2以上の試験片に対しては,実用電流1 mm2当たり48 mA64 mAが
よい。
8.2.2.4 エッチング後,植物繊維(vegetable fibre)のブラシを用いて,10 %くえん酸ナトリウム溶液で試
験片を清浄にする。最終的には,衝風をかけて試験片を乾燥する。
9 試験片の保管
試験片の洗浄によって試薬が完全に除去できるとは限らない。その試薬が浸出して試験片表面が更にエ
ッチングしてしまうのを防止するため,次の2方法が推奨される。
a) エタノールに10 %のアンモニア水を加えた溶液に試験片を浸して中和する。
b) 硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)中に約5 秒間浸せきして,表面を安定化処理する。
安定化処理の後,試験片は熱水で洗浄し,乾燥する。
――――― [JIS G 0553 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS G 0553:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 4969:2015(MOD)
JIS G 0553:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.040 : 金属の試験 > 77.040.99 : その他の金属試験方法
JIS G 0553:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0601:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ