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G 1217 : 2005
ISO 3696;1987Water for analytical laboratory use - Specification and test methods
ISO 5725 Precision of test methods - Determination of repeatability and reproducibility for a standard
test method by inter-laboratory tests
――――― [JIS G 1217 pdf 6] ―――――
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G 1217 : 2005
附属書1(規定)ペルオキソ二硫酸アンモニウム酸化過マンガン酸カリウム
滴定法
序文 この附属書は,鉄及び鋼中のクロムを目視滴定法によって定量する方法について規定している。ISO
4937 Steel and iron−Determination of chromium content−Potentiometric or visual titration methodの目視滴定法
と対応し、対応の程度は(MOD)である。 なお、この附属書で側線を施してある箇所は、原国際規格を変
更している事項である。
1. 要旨 試料を適切な酸で分解して硫酸,りん酸溶液とする。硝酸銀を触媒として,クロムをペルオキ
ソ二硫酸アンモニウムで二クロム酸に酸化し,同時に酸化された過マンガン酸を塩酸で分解し,発生した
塩素を硫酸マンガンで除去する。溶液中の二クロム酸を硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液の過剰で還元し,
過剰の硫酸アンモニウム鉄(II)を過マンガン酸カリウム標準溶液で逆滴定する。
2. 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸(1+3)
c) 硝酸
d) 硫酸(1+2,1+4,1+10,2+100)
e) りん酸
f) 王水(塩酸3,硝酸1)
g) 鉄 できるだけ純度が高い鉄で,クロム含有率質量分率0.003%以下のもの。
h) 二硫酸カリウム
i) ニッケル溶液(0.02gNi/ml) 硫酸ニッケル六水和物10gを水約70mlに溶解し,水で液量を100mlとす
る。
j) ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(250g/L) 使用の都度,調製する。
k) 過マンガン酸カリウム溶液(20g/L)
l) 硫酸マンガン溶液 硫酸マンガン(四六水和物)100gを水約800mlに溶解し,水で液量を1000mlと
する。
m) 硝酸銀溶液(5g/L)
n) 0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液 調製,標定及び計算は,JIS K 8001の4.5(滴定用溶液)(27)
による。
なお,標定及び計算は,使用の都度行う。
o) 0.02mol/L過マンガン酸カリウム標準溶液 調製,標定,計算及び保存方法は,JIS K 8001の4.5(滴定
用溶液)(7)による。
3. 試料はかりとり量 試料はかりとり量は,附属書1表1による。
――――― [JIS G 1217 pdf 7] ―――――
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G 1217 : 2005
附属書1表 1 試料はかりとり量
クロム含有率 試料はかりとり量
質量分率 (%) g
0.1以上 1未満 2.0
1 以上 3未満 1.0
3 以上10未満 0.50
10以上35以下 0.20
4. 操作
4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 硫酸,りん酸及び硝酸で分解容易な試料
1) はかりとった試料を三角フラスコ(500ml)に移し入れる。
2) 硫酸(1+4)40ml及びりん酸5mlを加えて加熱して分解する。
3) 硝酸約3mlを加え,煮沸して鉄などを酸化し,炭化物を分解する。引き続き加熱して酸化窒素など
を追い出す。
b) 硫酸,りん酸及び硝酸で分解容易であるが炭化物が残留する試料
1) はかりとった試料をビーカー(300ml)に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,硫酸(1+4)40ml及びりん酸5mlを加えて加熱して分解する。
3) 時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,引き続き加熱して三酸化硫黄の白煙が発生し始め,
溶液がコロイド状になったならば,硝酸約3mlを加える。
4) 加熱を続けて三酸化硫黄の白煙を発生させる。
5) 放冷した後,温水約100mlを加え,加熱して塩類を溶解し,ろ紙(5種A)でろ過する。ろ紙及び不溶
解残さを硫酸(2+100)で洗浄し,ろ液及び洗液を三角フラスコ(500ml)に集める。残さは,捨てる。
c) タングステン又はバナジウムを含む試料
1) )1)4)の操作(1)を行う。
注(1) )1)の操作を行った後,時計皿で覆い,塩酸40mlを加えて加熱分解し,硫酸(1+2)25ml及びり
ん酸5mlを加えて引き続き加熱分解してから,b)の3)及び4)の操作を行ってもよい。
2) 放冷した後,温水約100mlを加え,加熱して塩類を溶解し,ろ紙パルプを加えたろ紙(5種B)でろ過
する。ろ紙及び不溶解残さを硫酸(2+100)で洗浄し,ろ液及び洗液を三角フラスコ(500ml)に集める。
残さは,捨てる。
d) 多量のニッケルを含む試料
1) )1)の操作を行う。
2) 王水30mlを加えて加熱して分解し,硫酸(1+2)25ml及びりん酸5mlを加え,引き続き加熱して三酸
化硫黄の白煙を発生させる。
3) 放冷した後,温水約100mlを加えて塩類を溶解する。
e) 酸で分解困難な試料
1) はかりとった試料をビーカー(300ml)に移し入れる。
2) )の2)及び3)の操作を行う。
3) 溶液を水で約2倍に薄め,ろ紙(5種B)でろ過し,硫酸(2+100)及び温水で洗浄する。ろ液及び洗液
は,三角フラスコ(500ml)に集め,主液として保存する。
――――― [JIS G 1217 pdf 8] ―――――
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G 1217 : 2005
4) 不溶解残さは,ろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移し入れ,乾燥した後,低温で加熱してろ紙を灰化
する。放冷した後,二硫酸カリウム約2gを加えて加熱して残さを融解する。
5) 放冷した後,融成物を少量の温水及び硫酸(1+10)約1mlで溶解し,ろ紙(5種B)でろ過し,ろ紙を温
水で洗浄する。ろ液及び洗液は,3)で保存した主液に合わせる。残さは,捨てる。
4.2 クロムの酸化 クロムの酸化は,次の手順によって行う。
a) 4.1のa)3),b)5),c)2),d)3)又はe)5)で得た溶液を温水で液量約150mlとし,硝酸銀溶液10mlを加え
る。加熱して煮沸し始めたらペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液[2.j) ]20mlを少しづつ加え,35分
間煮沸を続けてクロムを完全に酸化し,ペルオキソ二硫酸アンモニウムを分解する(2)。
注(2) 試料中のマンガン含有量が少なく,過マンガン酸の赤紫の色が生じない場合は,過マンガン
酸カリウム溶液を滴加してわずかに赤紫を呈するようにする。
b) 塩酸(1+3)5mlを加えて過マンガン酸を分解し(3),次に硫酸マンガン溶液[2.l) ]5mlを加え,加熱を続け
て23分間煮沸し,発生した塩素を完全に除去する。
注(3) 溶液がなお赤紫を呈しているか,二酸化マンガンの沈殿が残存している場合は,塩酸(1+3)2
3mlを追加する。この場合,以後の煮沸時間が3分間を超えると低値となるので煮沸時間に注
意する。
c) 水を加えて液量を約300mlとし,流水中で室温まで冷却する。
4.3 滴定 4.2のc)で得た溶液に,ビュレットを用いて0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液[2.n) ]
を加えて二クロム酸を還元し,更に過剰に510mlを加えて0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液
[2.n) ]の使用量を読み取る。直ちに0.02mol/L過マンガン酸カリウム標準溶液[2.o) ]で滴定し,最後の1滴で
溶液がわずかに赤紫を呈した点を終点とし(4)(5),0.02mol/L過マンガン酸カリウム標準溶液[2.o) ]の使用量
を求める。
注(4) バナジウムを含む試料では,過マンガン酸の赤紫が約1分間保持される点を終点とする。
(5) 多量のコバルトを含む試料では,滴定時にニッケル溶液[2.i) ]をコバルト含有量の約1.5倍にな
るように加える。
5. 空試験 試料はかりとり量と同じ量の鉄[2.g) ]をはかりとり,試料と同じ操作を試料と併行して行う。
ただし,0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液[2.n) ]の使用量は,5mlとする。
6. 計算 試料中のクロム含有率質量分率(%)を,次の式によって算出する。
(F1 V1 F2 V2 ) (F1 V3 F2 V4 ) .0001733
Cr 100
m
ここに,Cr : 試料中のクロム含有率質量分率(%)
F1 : 0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液[2.n) ]のファクター
F2 : 0.02mol/L過マンガン酸カリウム標準溶液[2.o) ]のファクター
V1 : 試料溶液の滴定における0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液[2.n) ]の使用量(ml)
V2 : 試料溶液の滴定における0.02mol/L過マンガン酸カリウム標準溶液[2.o) ]の使用量(ml)
V3 : 空試験液の滴定における0.1mol/L硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液[2.n) ]の使用量(ml)
V4 : 空試験液の滴定における0.02mol/L過マンガン酸カリウム標準溶液[2.o) ]の使用量(ml)
m : はかりとった試料の質量(g)
7. 許容差 許容差(6)は,附属書1表2による。
――――― [JIS G 1217 pdf 9] ―――――
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G 1217 : 2005
附属書1表 2 許容差
クロム含有率 室内再現許容差 室間再現許容差
質量分率(%) 質量分率(%) 質量分率(%)
0.1以上24.85以下 f(n)×[0.0019×(Cr)+0.0068] f(n)×[0.0047×(Cr)+0.0188]
注(6) 許容差計算式中のf(n)は,JIS Z 8402-6の表1による。nの値は,室内再現許容差の場合は同一
室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である[n=2のとき,
f(n)=2.8である]。また,(Cr)は,許容差を求める試料中のクロム含有率質量分率(%)である。
――――― [JIS G 1217 pdf 10] ―――――
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JIS G 1217:2005の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15355:1999(IDT)
- ISO 4937:1986(MOD)
JIS G 1217:2005の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 1217:2005の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG1201:2014
- 鉄及び鋼―分析方法通則
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8102:2012
- エタノール(95)(試薬)
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方