JIS G 1217:2005 鉄及び鋼―クロム定量方法 | ページ 6

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附属書4(規定)1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド吸光光度法
1. 要旨 試料を硝酸,硫酸及びりん酸の混酸で分解し,過マンガン酸カリウムでクロムを二クロム酸に
酸化し,過剰の過マンガン酸を亜硝酸ナトリウムで分解し,残った亜硝酸を尿素で分解した後,二クロム
酸と1,5-ジフェニルカルボノヒドラジドとの反応で赤紫を呈色させ,鉄の影響をふっ化水素酸で除いて吸
光度を測定する。
2. 試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸
b) ふっ化水素酸(1+11)
c) 硫酸(1+100)
d) 混酸A (硝酸1,硫酸4,りん酸3,水22)
e) 混酸B (混酸A 3,水37)
f) 鉄 できるだけ純度が高い鉄で,クロムを含有しないか,又はクロム含有率ができるだけ少なく既知
であるもの。
g) 亜硝酸ナトリウム溶液(100g/L)
h) 過マンガン酸カリウム溶液(5g/L)
i) 尿素溶液(200g/L)
j) ジフェニルカルボノヒドラジド溶液 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド0.2gをエタノール(95)(JIS
K 8102)約80mlによくかき混ぜて溶解し,エタノール(95)で100mlとする。又は,アセトン100mlに
よくかき混ぜて溶解する。これらの溶液は使用の都度調製し,褐色瓶に入れる。
k) 標準クロム溶液(100μgCr/ml) 二クロム酸カリウム(JIS K 8005)約2gを,JIS K 8005の5.(乾燥方法)
に従って乾燥し,これから1.4145gをはかりとってビーカー(200ml)に移し入れ,水約100mlに溶解す
る。溶液を1000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液(500μgCr/ml)と
する。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に5倍に薄めて標準クロム溶液とする。
3. 試料はかりとり量 試料はかりとり量は,附属書4表1による。
附属書4表 1 試料はかりとり量
クロム含有率 試料はかりとり量
質量分率 (%) g
0.020以上 0.25未満 0.20
0.25 以上 2.0 以下 0.10
4. 操作
4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) はかりとった試料を三角フラスコ(300ml)に移し入れる。
b) 混酸A20mlを加えて穏やかに加熱して分解する。
c) 引き続き加熱して三酸化硫黄の白煙を発生させ,硝酸約1mlを添加して炭化物などを分解した後,更
に白煙を発生させ炭化物などを十分に分解する(1)。

――――― [JIS G 1217 pdf 26] ―――――

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注(1) 試料が混酸Aだけで分解する場合は,三酸化硫黄の白煙発生と硝酸の添加を省略できる。
d) 放冷した後,水で液量を約60mlとし,ろ紙(5種A)を用いてろ過し(2),なるべく少量の硫酸(1+100)で
ろ紙及び残さを洗浄する。ろ液及び洗液は,三角フラスコ(300ml)に集め,加熱蒸発して液量を約60ml
とする。残さは捨てる。
注(2) 溶液中に残さが認められない場合は,ろ過操作を省略できる。
4.2 クロムの酸化 クロムの酸化は,次の手順によって行う。
a) 4.1d)で得た溶液を加熱して穏やかに煮沸し,過マンガン酸カリウム溶液2mlを加え(3),2~3分間煮沸
する。
注(3) 赤紫が速やかに消える場合は,過マンガン酸カリウム溶液約1mlずつを消えなくなるまで追加
する。
b) 水約50mlを加え,室温まで冷却した後,尿素溶液10mlを加えて振り混ぜ,亜硝酸ナトリウム溶液を
1滴ずつ加えて,その都度よく振り混ぜ,過マンガン酸の赤紫が消えるまで,この操作を繰り返す。
赤紫が消えたら尿素と亜硝酸の反応による泡立ちがやむまで振り混ぜる。
c) クロムの予想含有率に応じて附属書4表2に示す全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで
薄める(4)。
注(4) この溶液を長時間放置すると負誤差の原因となるので,できるだけ早く次の操作に移るように
しなければならない。
附属書4表 2 溶液の希釈と分取量及び混酸B添加量
クロム含有率 使用する全量フラスコ 分取量 混酸B[2.e) ]添加量
質量分率% ml ml ml
0.020 以上 0.25 未満 250 50 0
0.25 以上 0.50 未満 250 50 0
0.50 以上 2.0 以下 200 10 40
4.3 呈色 4.2c)で得た溶液から,クロムの予想される含有率に応じて附属書4表2に従って,その一部
を100mlの全量フラスコに分取し,更に分取量に応じて混酸Bを添加した後,ジフェニルカルボノヒドラ
ジド溶液[2.j) ]3mlを正確に加え,約1分間静置してから,ふっ化水素酸(1+11)5mlを加え,水で標線まで薄
める。
4.4 吸光度の測定 4.3で得た呈色溶液の一部を光度計の吸収セル(1cm)に取り,水を対照液として波長
540nm付近の吸光度を測定する(5)。
注(5) 吸光度の測定は,呈色後5分以内に行う。
5. 空試験 試料の代わりに試料と同量の鉄[2.f) ]をはかりとり,試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6. 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 附属書4表3のクロム含有率範囲ごとに6個の三角フラスコ(300ml)を準備し,それぞれに附属書4表
3に従って鉄[2.f) ]をはかりとって移し入れる。
b) 4.1b)の操作を行う。
c) 放冷した後,それぞれに附属書4表3に従って標準クロム溶液[2.k) ]を正確に添加した後,水で液量を
約60mlとする。
d) 4.24.4の操作を試料と併行して行う。

――――― [JIS G 1217 pdf 27] ―――――

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e) 得た吸光度と標準クロム溶液として加えたクロム量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るよ
うに平行移動して検量線とする。
附属書4表 3 検量線溶液
クロム含有率 鉄[2.f) ]はかりとり量 標準クロム溶液[2.k) ]添加量
質量分率% g ml
0.01以上0.25未満 0.200 0, 1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0
0.25以上0.50未満 0.100 0, 1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0
0.50以上2.0 以下 0.100 0, 2.0, 5.0, 10.0, 15.0,
20.0
7. 計算 4.4及び5.で得た吸光度と6.で作成した検量線とからクロム量を求め,試料中のクロム含有率を
次の式によって算出する。
B
A1 A2 A3
C
Cr
B
m
C
ここに, Cr : 試料中のクロム含有率質量分率(%)
A1 : 分取した試料溶液中のクロム検出量(g)
A2 : 分取した空試験液中のクロム検出量(g)
A3 : 5.ではかりとった鉄[2.f) ]中に含まれるクロムの量(g)
B : 試料溶液の分取量(ml)
C : 使用した全量フラスコの容積(ml)
m : 試料はかりとり量(g)
8. 許容差 許容差(6)は,附属書4表4による。
附属書4表 4 許容差
クロム含有率 室内再現許容差 室間再現許容差
質量分率(%) 質量分率(%) 質量分率(%)
0.020以上0.50未満 f(n)×[0.0057×(Cr)+0.0015] f(n)×[0.0108×(Cr)+0.0020]
0.50以上2.0以下 f(n)×[0.0040×(Cr)+0.0076] f(n)×[0.0196×(Cr)+0.0060]
注(6) 許容差計算式中のf(n)は,JIS Z 8402-6の表1による。nの値は,室内再現許容差の場合は同一
室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である[n=2のとき,
f(n)=2.8である]。また,(Cr)は,許容差を求める試料中のクロム含有率質量分率(%)である。

――――― [JIS G 1217 pdf 28] ―――――

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附属書5(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS G 1217:2005 鉄及び鋼−クロム定量方法 ISO 4937:1986 鋼及び鉄−クロム定量方法−電位
附属書1 差又は目視滴定法
(I) JISの規定 (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技 (V) JISと国際規格との
術的差異の項目ごとの評 技術的差異の理由及び
価及びその内容 今後の対策
項目番 内容 項目番 内容 項目ごと 技術的差異の
号 号 の評価 内容
本体の 定量範囲: 1.適用 質量分率0.25% MOD/追 JISは定量下 差異は共同実験試料の
4.定量 質量分率 範囲 以上35%以下 加 限値が低い。 濃度範囲による。
方法の 0.1%以上 ISO改訂での再共同実
区分 35%以下 験時に適用範囲拡大を
提案。
本体の 定量範囲: 1.適用 目視滴定は,は MOD/削 JISは目視法 ISOでは目視法は電位
4.定量 質量分率 範囲 かりとった試料 除 であるがバナ 差法の補助の位置付け
方法の 0.1%以上 中にバナジウム ジウム量の制 のため細かな規定をせ
区分 35%以下 3mg以下含有 約を外してい ず,適用範囲を狭めた。
する場合にだけ る。 JISでは操作性の利点
適用する。 から目視法でのV補正
法を残す。
4.3 滴 目視滴定 7.3.3 電位差滴定及び MOD/追 ISOの目視滴 ISOでは目視法は電位
定 規定。コバ 滴定 目視滴定を規 加 定ではコバル 差法の補助の位置付け
ルト及び 定。 ト及びバナジ のため細かな規定をし
バナジウ ウムの共存時 ていない。
ムの影響 対策を規定し JISでは操作性の利点
対策を規 ていない。 から目視法での共存元
定。 素補正法を残す。
7.許容 室内再現 8.2精 併行許容差及び MOD/変 JISの許容差 ISOでは目視法による
差 許容差及 度 室間再現許容差 更 はISO目視法 滴定に熟練していない
び室間再 を規定。 での許容差よ ため精度劣る。電位差
現許容差 り小さい。 法ではJISと同等以上。
を規定。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : MOD
備考1.項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−MOD/削除・・・・国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
−MOD/追加・・・・国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
−MOD/変更・・・・国際規格の規定内容を変更している。
2.JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−MOD・・・・・・国際規格を修正している。

JIS G 1217:2005の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15355:1999(IDT)
  • ISO 4937:1986(MOD)

JIS G 1217:2005の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 1217:2005の関連規格と引用規格一覧