JIS G 1218:1994 規格概要
この規格 G1218は、鉄及び鋼中のモリブデン定量方法について規定。
JISG1218 規格全文情報
- 規格番号
- JIS G1218
- 規格名称
- 鉄及び鋼―モリブデン定量方法
- 規格名称英語訳
- Iron and steel -- Methods for determination of molybdenum content
- 制定年月日
- 1954年3月29日
- 最新改正日
- 2018年10月22日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 77.080.01
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 金属分析 I 2019, 金属分析 II 2019
- 改訂:履歴
- 1954-03-29 制定日, 1957-03-29 確認日, 1958-04-26 改正日, 1961-03-29 確認日, 1963-03-01 改正日, 1966-04-01 確認日, 1969-05-01 改正日, 1972-07-01 確認日, 1975-07-01 確認日, 1978-04-01 確認日, 1980-02-01 改正日, 1988-04-01 確認日, 1993-05-01 確認日, 1994-09-01 改正日, 1999-03-20 改正日, 2004-03-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
- ページ
- JIS G 1218:1994 PDF [27]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
G 1218-1994
鉄及び鋼−モリブデン定量方法
Iron and steel−Methods for determination of molybdenum content
1. 適用範囲 この規格は,鉄及び鋼中のモリブデン定量方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS G 1201 鉄及び鋼の分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS Z 8402 分析・試験の許容差通則
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 4941: 1978 Steels and cast irons−Determination of molybdenum content−Photometric method
2. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201による。
3. 定量方法の区分 モリブデンの定量方法は,次のいずれかによる。
(1) ベンゾイン- 愀 オキシム沈殿分離酸化モリブデン (VI) 重量法 この方法は,モリブデン含有率0.03%
(m/m) 以上12.0% (m/m) 以下の試料に適用するもので,附属書1による。
(2) チオシアン酸塩吸光光度法 この方法は,モリブデン含有率0.02% (m/m) 以上9.0% (m/m) 以下の試
料に適用するもので,附属書2による。
(3) チオシアン酸塩抽出吸光光度法 この方法は,モリブデン含有率0.001% (m/m) 以上0.020% (m/m) 以
下の試料に適用するもので,附属書3による。
――――― [JIS G 1218 pdf 1] ―――――
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G 1218-1994
附属書1 ベンゾイン- 愀 オキシム沈殿分離
酸化モリブデン (VI) 重量法
1. 要旨 試料を適切な酸で分解し,鉄などを酸化した後ろ過する。ろ液に硫酸アンモニウム鉄(II)を加え
てバナジウムなどを還元した後,ベンゾイン- 愀 オキシムを加えてベンゾイン- 愀 オキシムモリブデンを沈
殿させて鉄などから分離する。沈殿をろ別し,加熱してモリブデンを不純酸化モリブデン(VI)とし,その
質量をはかる。次に,不純酸化モリブデン(VI)をアンモニア水で溶解し,不溶解物をろ別し,加熱してろ
紙を灰化し,その質量をはかり,不純酸化モリブデン(VI)の質量から差し引く。
2. 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸 (1+1, 2+100)
(2) 硝酸
(3) 過塩素酸
(4) 硫酸 (1+1, 1±5, 2+100)
(5) 亜硫酸水(飽和)
(6) りん酸
(7) 王水(塩酸3,硝酸1)
(8) アンモニア水
(9) 水酸化ナトリウム溶液 (500g/l)
(10) 鉄 できるだけ純度の高い鉄で,モリブデンを含有しないか,又はモリブデン含有率ができるだけ低
く,既知であるもの。
(11) 臭素水(飽和)
(12) 融解合剤[炭酸ナトリウム(無水)1,炭酸カリウム(無水)1]
(13) 鉄溶液 鉄 [(10) ] 0.500gをはかり採ってビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆い,過塩素酸20ml
を加えて加熱して分解し,引き続き加熱して濃縮し,過塩素酸の白煙を発生させる。室温まで放冷し
た後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,過塩素酸70mlを加えて塩類を溶解する。常温
まで冷却した後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
(14) チオシアン酸ナトリウム溶液 (100g/l)
(15) 塩化すず(II)溶液 塩化すず(II)二水和物50gを塩酸 (1+1) 200mlに加熱して溶解し,室温まで冷却し
た後,水で液量を500mlとする。この溶液は,約2gの粒状すずを加えて褐色瓶中に保存する。
(16) 硫酸二アンモニウム鉄(II)溶液 硫酸二アンモニウム鉄(II)六水和物 [FeSO4 (NH4) 2SO4・6H2O] 100gを
適量の水と硫酸 (1+1) 100mlとで溶解した後,水で液量を1 000mlとする。
(17) 酒石酸溶液 (500g/ml)
(18)ベンゾイン- 愀 オキシム溶液 ベンゾイン-愀 オキシム (C14H13NO2) 10gをメタノール500mlに溶解する。
(19) ベンゾイン- 愀 オキシム洗浄液 ベンゾイン- 愀 オキシム溶液 [(18) ] 約40mlと硫酸 (1+99) 1 000mlを
混合する。この溶液は,使用の都度調製する。
(20) 標準モリブデン溶液 (100 最 一 リブデン酸六アンモニウム四水和物 [ (NH4) 6Mo7O24・4H2O]
――――― [JIS G 1218 pdf 2] ―――――
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G 1218-1994
1.840gをはかり採り,温水に溶解した後,常温まで冷却し,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用
いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1mgMo/ml) とする。原液のモリブデンの濃度は,ベンゾイ
ン- 愀 オキシム沈殿分離酸化モリブデン(VI)重量法によって求め,必要があればファクターを計算して
補正する。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に10倍に薄めて標準モリブデン溶液とする。
3. 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,附属書1表1による。
附属書1表1 試料はかり採り量
モリブデン含有率 試料はかり採り量
% (m/m) g
0.03 以上 1未満 2.0
1 以上 3未満 1.0
3 以上 6未満 0.50
6 以上 12以下 0.25
4. 操作
参考 警告 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険があ
る。
4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。
(1) 硫酸,硝酸で分解容易な試料
(a) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硫酸 (1+5) 40mlを加え,加熱
して分解する。硝酸5mlを加え,煮沸して鉄及びモリブデンなどを酸化し,引き続き加熱して濃縮
する。時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,再び加熱して硫酸白煙を発生させる。
(b) 室温まで放冷した後,再び時計皿で覆い,水約50mlを加え,煮沸して塩類を溶解する。時計皿の
下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液をろ紙(5種B)を用いてろ過し,温硫酸 (2+100) で十
分に洗浄する。ろ液及び洗液をビーカー (300ml) に集め,水で液量を約100mlとする。約25℃に
冷却した後,硫酸二アンモニウム鉄(II)溶液[2.(16) ]510mlを加えてバナジウムなどを還元する。
(2) タングステンを含む試料
(a) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加え,加熱
して分解する。硝酸5mlを加え,煮沸してタングステンなどを酸化し,引き続き加熱蒸発して溶液
の表面に皮膜が生じるまで濃縮する。
(b) 塩酸 (1+1) 10mlを加えて加熱して溶解し,温水約50mlを加え,12分間煮沸した後,約90℃で1
時間保持する。時計皿の下面を水で洗って取り除き,ろ紙(5種B)を用いてタングステン酸の沈
殿をこし分け,温塩酸 (2+100) で十分に洗浄する。ろ液及び洗液をビーカー (300ml) に集め,硫
酸 (1+1) 10mlを加えて加熱し,硫酸白煙が発生するまで濃縮する。以下,(1)(b)の操作を行う。
(c) (b)で得た沈殿は,ろ紙と共に保存しておき(1),4.3(2)(2.2)の手順に従って操作してタングステン酸
の沈殿に付着したモリブデン量を求める。
注(1) 空試験で得られるろ紙も保存しておく。
(3) 硫酸及び硝酸で分解困難な試料及びニオブを含む試料 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移
し入れ,時計皿で覆い,王水30mlを加え,加熱して分解する。過塩素酸30mlを加え,加熱して過塩
素酸の濃厚な白煙を発生させてクロムを二クロム酸に酸化する。室温まで放冷した後,温水約100ml
――――― [JIS G 1218 pdf 3] ―――――
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G 1218-1994
を加えて塩類を溶解し,亜硫酸水(飽和)30mlを加え,煮沸してクロムを還元する。時計皿の下面を
水で洗って時計皿を取り除き,溶液をろ紙(5種B)を用いてろ過し,温硫酸 (2+100) で十分に洗浄
する。ろ液及び洗液はビーカー (300ml) に集め,残さは捨てる。
(4) 酸で分解困難な試料
(a) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硫酸 (1+5) 40mlを加え,加熱
して分解する。硝酸5mlを加え,煮沸して鉄などを酸化する。放冷した後,時計皿の下面を水で洗
って時計皿を取り除き,溶液をろ紙(5種B)を用いてろ過し,温硫酸 (2+100) で十分に洗浄する。
ろ液及び洗液はビーカー (300ml) に集め,主液として保存する。
(b) 残さは,ろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移し入れ,ろ紙を500℃以下で灰化する。これに10倍量
(約23g)の融解合剤[2.(12) ]を混ぜ,加熱して融解する。放冷した後,融成物を少量の塩酸 (1+
1) 及び水で溶解し,(4)(a)で保存しておいた主液に合わせ,加熱して硫酸白煙が発生するまで濃縮
する。以下,(1)(b)の操作を行う。
4.2 モリブデンの沈殿生成 4.1の(1)(b),(2)(b),(3)又は(4)(b)で得た溶液を10℃以下に冷却し(2),かき
混ぜながらベンゾイン−a−オキシム溶液[2.(18) ]10mlを少量ずつ加え,さらに,溶液中のモリブデン量
10mg当たりベンゾイン- 愀 オキシム溶液[2.(18) ]5mlを加える。溶液をかき混ぜながら溶液が黄色を呈する
愀
まで臭素水(飽和)を加え(3),さらに,少量のベンゾイン- オキシム溶液[2.(18) ]を加える(4)。冷却しなが
らときどきかき混ぜ,10分間放置した後,沈殿を少量のろ紙パルプを入れたろ紙(5種A)を用いてこし
分ける。沈殿は,ベンゾイン- 愀 オキシム洗浄液[2.(19) ]で十分に洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。
注(2) 通常は氷片を入れた水浴中で冷却する。
(3) ベンゾイン- 愀 オキシム溶液を加えている途中で加える必要がある。
(4) ろ液を放置したとき,試薬の針状結晶が析出するようであれば,ベンゾイン-愀 オキシム溶液の
添加量は十分である。
4.3 沈殿のひょう量 沈殿のひょう量は,次のいずれかによる。
(1) タングステンを含まない試料
(a) 4.2で得た沈殿をろ紙と共に磁器るつぼ (30ml) に移し入れ,乾燥した後,約500℃以下で注意して
加熱し,ろ紙を灰化する。デシケーター中で常温まで放冷した後,その質量をはかる(5)。
(b) るつぼにアンモニア水約5mlを加えて酸化モリブデン(VI)を溶解し,ろ紙(5種B)を用いてろ過す
る。温水で十分に洗浄した後,残さをろ紙と共に磁器るつぼ (30ml) に移し入れ,乾燥した後,約
500℃で加熱してろ紙を灰化する。デシケーター中で常温まで放冷した後,その質量をはかり,加熱,
放冷を繰り返して恒量とする。この質量を(1)(a)で得た質量から差し引く
注(5) 沈殿を加熱灰化したときに純白であれば,次の(b)の操作を省略してもよい。
(2) タングステンを含む試料
(2.1) (1)の(a)及び(b)の手順に従って操作する。
(2.2) タングステン酸の沈殿に付着しているモリブデン量を,次の手順によって求める。
(a) 4.1(2)(c)で保存しておいた沈殿をろ紙と共にビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸20ml
及び過塩素酸20mlを加え,加熱してろ紙を分解した後,さらに,加熱して過塩素酸の濃厚な白煙
を発生させる。放冷した後,水30mlを加え,加熱して煮沸し,熱い溶液に酒石酸溶液20mlを加え,
次に水酸化ナトリウム溶液を加えて,わずかにアルカリ性としてタングステン酸を溶解する。過塩
素酸を滴加して中和した後,更に10ml加える。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って
時計皿を取り除き,溶液を200mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。こ
――――― [JIS G 1218 pdf 4] ―――――
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G 1218-1994
の溶液を20ml分取して50mlの全量フラスコに移し入れ,鉄溶液[2.(13) ]10ml及びチオシアン酸ナト
リウム溶液10mlを加えて振り混ぜ,さらに,振り混ぜながら塩化すず(II)溶液[2.(15) ]を正確に5ml
加え,水で標線まで薄める。この溶液を常温で約10分間放置した後,その一部を光度計の吸収セル
(10mm) に取り,水を対照液として波長460nm付近における吸光度を測定する。
(b) 4.1(2)(c)で保存しておいた空試験のろ紙について(2.2)(a)の操作を行う。
(c) (a)で得た吸光度から,(b)で得た吸光度を差し引いて得られた吸光度と(d)で作成した検量線とから
モリブデン量を求める。
(d) 検量線の作成 7個のビーカー (200ml) を準備し,それぞれに鉄[2.(10) ]0.500gをはかり採って移し
柿
入れ,標準モリブデン溶液[2.(20) ]を正確に0,5,10,15,20,25,30ml(モリブデンとして0300
加え,時計皿で覆う。過塩素酸10mlを加え,加熱して分解し,引き続き加熱して過塩素酸の濃厚
な白煙を発生させる。室温まで放冷した後,温水約50mlを加えて塩類を溶解する。常温まで冷却
した後,時計皿の下面を水で洗って取り除き,溶液を200mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線まで薄める。この溶液を20mlずつ分取して50mlの全量フラスコに移し入れ,過塩素酸10ml
及びチオシアン酸ナトリウム溶液10mlを加えてよく振り混ぜ,さらに,振り混ぜながら塩化すず(II)
溶液[2.(15) ]を正確に5ml加え,水で標線まで薄める。この溶液を常温で約10分間放置した後,そ
の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として波長460nm付近における吸光度を測
定し,得た吸光度と呈色溶液中のモリブデン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るよう
に平行移動して検量線とする。
5. 空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6. 計算 試料中のモリブデン含有率 [Mo% (m/m) ] を次のいずれかの式によって算出する。
(1) タングステンを含まない試料
(m1 m0 ) .0666 6
M0 %(m/ m)= 100
m
ここに, m1 : 4.3(1)(b)で得た質量 (g)
m0 : 5.で得た質量 (g)
m : 試料はかり採り量 (g)
(2) タングステンを含む試料
[(m1 m0 ) .0666 6) ]m2
M0 %(m/ m)= 100
m
ここに, m1 : 4.3(2)(2.1)で得た質量 (g)
m0 : 5.で得た質量 (g)
m2 : 4.3(2)(2.2)(c)で得た質量 (g)
m : 試料はかり採り量 (g)
7. 許容差 許容差(6)は,附属書1表2による。
――――― [JIS G 1218 pdf 5] ―――――
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JIS G 1218:1994の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 1218:1994の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG1201:2014
- 鉄及び鋼―分析方法通則
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISZ8402:1991
- 分析・試験の許容差通則