6
H 0615-1996
備考1. 以下,スペクトル中の発光線をXTO (BE) のように表示する。先頭の記号Xは不純物の種類
を表し,ボロン : B,りん : P,アルミニウム : Al及びひ素 : Asが対象となる。添字は,関
与するフォノンの種類を表す。括弧内は励起子遷移の種類を表す。ただし,記号Xに記号I
を使用したときは,シリコンに固有 (intrinsic) の発光を示す。
2. この規格に従い,不純物濃度を算出する際に着目する不純物束縛励起子 (BE) 発光のNP線
とTO線 [XNP (BE), XTO (BE) ] 及び自由励起子 (FE) 発光のTO線 [ITo (FE) ] の位置を,表1
に示す。
6.2 ピーク強度算定 濃度算出に必要なITO (FE) 線,XTO (BE) 線のピーク強度を求める際には,ベース
ラインを引く必要がある。次に,図4に示すボロン添加試料を例にとり,ベースラインの引き方を示す。
また,りん添加試料に対するベースラインの引き方も同様であり,例を図5に示す。
備考1. XNP (BE) 線では,ベースラインは信号レベルが零の水平線である。
2. 次の方法で引いたベースラインを用いて求められたピーク強度は,斜字体のXNP (BE),XTO
(BE),ITO (FE) で表す。
図4 ボロン添加シリコン結晶の4.2KでのPLスペクトル
備考 ベースラインの引き方が示されている。光電子増倍管使用,波
長感度未補正(ボロン濃度 : 9.9×1013atoms/cm3,りん濃度 : 8.0
×1012atoms/cm3)。
――――― [JIS H 0615 pdf 6] ―――――
7
H 0615-1996
図5 りん添加シリコン結晶の4.2KでのPLスペクトル
備考 光検出器として光電子増倍管を使用し,波長感度未補正。NP領域のPL強
度は0.5倍に縮小表示(りん濃度 : 7.7×1013atoms/cm3,ボロン濃度 : 2.8×
1012atoms/cm3)。
表1 不純物束縛励起子 (BE) 及び自由励起子 (FE) のスペクトル位置
TO線 NP線
不純物 E (eV) cm-1) (eV) cm-1)
ボロン 1.092 6 1.134 7 8 812.6 1.150 7 1.077 4 9 281.3
りん 1.091 9 1.135 5 8 806.8 1.150 0 1.078 1 9 275.4
アルミニウム 1.091 5 1.135 9 8 803.4 1.149 6 1.078 5 9 271.8
ひ素 1.091 2 1.136 2 8 801.0 1.149 3 1.078 8 9 269.4
自由励起子 1.097 1.130 8 847 − − −
(FE)
(1) TO (FE) 線については,1.101eVのスペクトル強度aとITO (FE) 線とBLO (BE) 線の間の谷bを結ぶ直
線abとする。
(2) TO (BE) 線については,bとBTO (b1) 線とBTO (b2) 線の間の谷eを結ぶ直線beとする。
(3) 不純物濃度が(2)の場合から低くなり,直線beがBTO (BE) 線とBTO (b1) 線の谷dから上にきた場合に
は,直線bdとする。
(4) 不純物濃度が(3)の場合から低くなり,BLO (BE) 線がITO (FE) 線のすそに埋もれてしまった場合,ITO
(FE) 線とBTO (BE) 線の間の谷cと谷dを結ぶ直線cdとする。
6.3 濃度算出 各不純物の強度比 XTO (BE) から,強度比と不純物濃度の間に成立する関係(図6及び図7)
ITO (FE)
を検量線として不純物濃度を算出する。
――――― [JIS H 0615 pdf 7] ―――――
8
H 0615-1996
図6 シリコン結晶中のボロン及びりん不純物に対する検量線
備考 PL強度比 BTO (BE) : ○, PTO (BE) : が,それぞれボロ
ITO (FE) ITO (FE)
ン及びりん濃度に対してプロットされている。
図7 シリコン結晶中のアルミニウム及びひ素不純物に対する検量線
備考 PL強度比 AlTO (BE) : ○, AsTO (BE) : が,それぞれアル
ITO (FE) ITO (FE)
ミニウム及びひ素濃度に対してプロットされている。
――――― [JIS H 0615 pdf 8] ―――――
9
H 0615-1996
参考 ボロン,りん,アルミニウム及びひ素濃度をNB,NP,NAl及びNAS(単位 : atoms/cm3)とした
ときの図6及び図7に示す検量線の近似直線式は,次のとおりである。
6.4 NP線/TO線換算 XNP (BE) 線を利用して濃度を求める方法を,次に示す。
(1) あらかじめ残留不純物の影響が無視できる試料でXNP (BE) 線とXTO (BE) 線の強度比 最 X) を求めて
おく。
XTO BE
X (5)
XNP BE
(2) 測定対象試料の,XNP (BE) の測定から,
XTO (BE) =XNP (BE) × 最 X) (6)
に従ってXTO (BE) を求める。XTO (BE) が求まれば,6.3から濃度を算出する。
備考1. XTO (BE) 線とXNP (BE) 線の位置は離れているので,測定系の波長感度の差の影響は無視で
きず, 最 X) は各測定系に固有の値となる。したがって,測定者は各自の測定装置に対する 最
(X) を求めておかなければならない。
2. 6.3の検量線の強度比として XTO (BE) を採用した理由は,XTO (BE) 線とITO (FE) 線の位置が近く,測定
ITO (FE)
系の波長感度の差による影響が小さいことである。しかし,実際の測定では,ボロン添加試料中の残留り
ん,アルミニウム及びひ素濃度測定などのように,XTO (BE) 線の測定は困難であるが,XNP (BE) 線の測
定は容易である場合がある。さらに,XNP (BE) 線の測定には,XTO (BE) 線の測定に比較して,半値幅が
狭いこと,ベースラインが平たんであることという利点がある。
6.5 重畳補正
6.5.1 りん及びボロンの重畳補正 BTO (BE) 線はPTO (b1') 線と重なり合い,位置の差は0.01meV (0.01nm,
0.1cm-1) 程度であるので,高分解能条件でも分離は不可能であるPTO (b1') 線の強度はPTO (BE) 線強度の約
1割であるので,見掛のBTO (BE) 線強度からPTO (BE) 線強度の1割の値を差し引くことによって,真の
BTO (BE) 線強度を求める。
備考 この補正は,PTO (b1') 線の強度が無視できなくなる。りん添加試料中の残留ボロンの濃度測定
時に,特に重要である。
6.5.2 りん,アルミニウム及びひ素の重畳補正 りん,アルミニウム及びひ素のBE発光線は,表1に示
すように近接しており,これらを分離するには5.3に述べた高分解能測定を行う。ただし,検量線は,基
準分解能で測定された強度比について得られた関係であるから,高分解能測定結果から基準分解能での強
度比を求める必要がある。
――――― [JIS H 0615 pdf 9] ―――――
10
H 0615-1996
次にその方法を示す。
(1) 基準分解能でのNP線スペクトル強度のピーク強度IMを測定する。
(2) 高分解能で測定されたりん,アルミニウム及びひ素のBE線の強度比
PNP (BE) : AlNP (BE) : AsNP (BE) =a : b : cを求め,a,b,cのうちの最大値をmとする。
(3) 次の式に従い,基準分解能での各発光線の強度を求める。
a
PNP BE IM (7)
m
b
AlNP BE IM (8)
m
c
AsNP BE IM (9)
m
7. 校正 PLの測定条件は5.で規定されているが,測定装置の違いなどのため,条件を完全に同一にする
ことはできない。そこで,各不純物に対し,4水準以上の濃度が確定している標準試料を用いて,検量線
を各測定装置の各測定条件に合わせて校正する。次に,標準試料を用いた検量線の校正方法を説明する。
(1) 各標準試料のPLスペクトルを,5.の測定条件に従って測定する。
(2) 6.に規定した方法に従って,強度比を算出する。
(3) 検量線図(図6及び図7)上に,標準試料の測定データをプロットする。
(4) 検量線を平行移動し,標準試料の測定データとの差が最も小さくなるようにする。この際に,ボロン
及びりん不純物については,各検量線が傾きの異なる2直線から構成されているので,平行移動は上
下方向とする。
(5) (4)の平行移動に対応して,式(1)(4)の係数を変更する。
8. 精度 この規格に規定の測定方法による測定値誤差は,試料中の最高濃度の不純物(主不純物)に対
しては,±30%である。濃度水準が2番目以降の不純物(副不純物)に対しては,それらの濃度が主不純
物と同程度であれば,上記と同程度の誤差であるが,主不純物との濃度差が大きくなるに従って,誤差は
大きくなる。
1程度以上の濃度領域の副不純物に対しては,濃度算出が可能である。
一般に主不純物の濃度の
100
――――― [JIS H 0615 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS H 0615:1996の国際規格 ICS 分類一覧
JIS H 0615:1996の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH0602:1995
- シリコン単結晶及びシリコンウェーハの4探針法による抵抗率測定方法
- JISK8161:2015
- ジクロロメタン(試薬)
- JISK8541:2015
- 硝酸(試薬)
- JISK8541:2021
- 硝酸(試薬)
- JISK8819:2017
- ふっ化水素酸(試薬)