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JIS H 0615:1996 規格概要
この規格 H0615は、フォトルミネッセンスによるシリコン単結晶及び多結晶シリコンの不純物濃度の測定方法について規定。測定可能な不純物元素は,ボロン(B),アルミニウム(A1),りん(P),及びひ素(As)で測定濃度範囲は1×10*11~5×10*15atoms/cm*3(0.002~100ppba)である。
JISH0615 規格全文情報
- 規格番号
- JIS H0615
- 規格名称
- フォトルミネッセンスによるシリコン結晶中の不純物濃度測定方法
- 規格名称英語訳
- Test method for determination of impurity concentrations in silicon crystal by photoluminescence spectroscopy
- 制定年月日
- 1996年1月1日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 73.080
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1996-01-01 制定日, 2001-09-20 確認日, 2006-01-20 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS H 0615:1996 PDF [11]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
H 0615-1996
フォトルミネッセンスによるシリコン結晶中の不純物濃度測定方法
Test method for determination of impurity concentrations in silicon crystal by photoluminescence spectroscopy
1. 適用範囲 この規格は,フォトルミネッセンスによるシリコン単結晶及び多結晶シリコンの不純物濃
度の測定方法について規定する。
測定可能な不純物元素は,ボロン (B),アルミニウム (Al),りん (P) 及びひ素 (As) で測定濃度範囲は
1×10115×1015atoms/cm3 (0.002100ppba) である。
備考1. 多結晶シリコンの場合は,FZ法によって単結晶化し,測定試料を作製する。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS H 0602 シリコン単結晶及びシリコンウェーハの4探針法による抵抗率測定方法
JIS K 8161 ジクロロメタン(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8819 ふっ化水素酸(試薬)
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
光照射によって物質中に過剰の電子及び正孔を発
(1) フォトルミネッセンス (photoluminescence : PL)
生させた際に,それらの発光性再結合の結果,物質から放出される光。
備考 半導体結晶のフォトルミネッセンスの解析から,結晶のバンド構造及び結晶中の不純物や欠陥
などの評価を行うことができる。
(2) 励起子 (exciton) 半導体結晶中の自由電子と自由正孔がクーロン力によって結合し,一対となった
状態。
備考 励起子には結晶中を自由に動き回る自由励起子 (free exciton : FE) と,不純物の作る電子準位
(不純物準位)に捕えられた束縛励起子 (bound exciton : BE) がある。強励起条件下では,複数
個の励起子が不純物準位に捕えられた束縛多励起子 (bound multiple exciton complex : BMEC)
が発生する。励起子が (n+1) 個束縛されたBMECを “bn” と記述する。
なお,りんの不純物準位のBMECには,通常のbnのほかに 戰 リーズと呼ばれる多励起子シ
リーズがあり,これを “bn'” と表示する。
(3) フォノン (phonon)結晶内の格子振動のエネルギー量子。
備考 シリコンは間接遷移形半導体であるので,その発光過程で,運動量保存のためのフォノン放出
を伴う発光線が観測される。これをフォノンサイドバンドという。フォノンの種類としては,
横形音響 (transverse acoustic : TA) フォノン,縦形音響 (longitudinal acoustic : LA) フォノン,横
――――― [JIS H 0615 pdf 1] ―――――
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H 0615-1996
形光学 (transverse optical : TO) フォノン,縦形光学 (longitudinal optical : LO) フォノンがある。
不純物が関与した発光過程では,不純物との相互作用によって選択則が緩和され,フォノンを
伴わない発光線 (no-phonon : NP) も観測される。
3. 試料
3.1 単結晶シリコン試料 試料は,次による。
(1) 半導体デバイス作製用の鏡面ウェーハの場合には,ウェーハから5×10mm程度のペレットを切り出
し,試料としそのままPL測定を行う。
(2) 半導体デバイス作製用の鏡面ウェーハでない場合,面積5×5mm程度以上,厚さ1mm程度のペレッ
トを切り出し,試料とする。これを純水で洗浄後,JIS K 8541に規定する硝酸 (HNO3) 及びJIS K 8819
に規定するふっ化水素酸 (HF) を容積比HNO3 : HF=5 : 3で混合した液で12分間エッチングして鏡
面状にする。純水で洗浄し,乾燥後に,PL測定を行う。
3.2 多結晶シリコン試料 試料は,次による。
(1) Z用試料 多結晶ロッドの直径が60mm以上の場合は,多結晶ロッドの直胴部の任意の位置から内
径19±1mmのコアードリルによって,析出心を含む直径方向にFZ用丸棒を切り出す。切り出された
FZ用丸棒の先端を種結晶側として,必要に応じてテーパ加工を,他端につり下げ用の溝加工をする[図
1 (1)参照]。加工後JIS K 8161に規定するジクロロメタンによる脱脂洗浄と純水洗浄を行い,最後に
容積比HNO3 : HF=4 : 1の液によって2分間のエッチングと純水洗浄を2回繰り返してから乾燥する。
(2) Z無転位単結晶化 結晶方位 <111> 低効率1 000 攀 上の種結晶を使用し,無転位化操作によっ
て直径 (1216) ±1mmに引き伸ばしながら無転位単結晶を成長させる[図1(2)参照]。
(3) 測定準備 単結晶丸棒の側面を長軸方向に幅数mmを平面研削かサンドブラスト又はラッピングによ
って平たん化し純水で洗浄し,乾燥する。
(4) 測定 平たん加工面上を長軸方向に数箇所,熱起電力によって伝導形を測定し,n形であることを確
認する。次にJIS H 0602によって,暗箱内で4探針の配列を長軸と平行に配置して,シード側肩部か
ら心線対応位置(1)まで10mm間隔で抵抗率を測定し,長さ方向にプロットし抵抗率分布曲線を作る。
元の多結晶断面図を図2のようにリング状の断面積S1,S2,···,Snに区分し,心線中心と各リングの半
径に対応する抵抗率 ···, 鉢 抗率分布曲線から求める。
注(1) 単結晶化後の心線の対応位置lは,図1の形状及び寸法から,次の式によって求める。
D2 L1 2 2 l1 2 2
l L L1 D2 D2D1 D1 d2 d2d1 d1 l1
d2 3d2 3d2
――――― [JIS H 0615 pdf 2] ―――――
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H 0615-1996
図1 FZ用試料と単結晶化後の試料の形状及び寸法
図2 多結晶断面の各リングの断面積 (Sn) と平均不純物濃度 (Cn)
(5) 多結晶の平均不純物濃度及び平均抵抗率の算出 抵抗率 ( ‰ 湟扎 純物濃度 (C) (ppba) への変
換は電子移動度を1 350cm2/V・sとして次の式を使用する。
93
C
···, 湎 純物濃度をC C ···,C 中心円及び各リングの平均濃度をC
C ···,C 1とC 湶 平均(算術平均)で求めてC1,C2, ···,Cnとする。
多結晶断面の平均不純物濃度Caveは,次の式によって求める。
C1S1 C2S2 CnSn
Cave
S1 S2 Sn
平均抵抗率 愀 次の式によって求める。
――――― [JIS H 0615 pdf 3] ―――――
4
H 0615-1996
93
ave
Cave
(6) L測定用試料 (4)で測定したFZ単結晶の抵抗率分布で,平均抵抗率と同じ値の点の位置からウェー
ハを切り出しPL測定用試料とする。試料の形状は5×5mm角以上で厚さ1mm程度とし,純水で洗浄
後,容積比HNO3 : HF=5 : 3の液で12分間エッチングして鏡面状にする。エッチング後,純水で洗
浄し,乾燥後にPL測定を行う。
4. 測定装置 測定装置は図3に示すように,レーザ光源,クライオスタット,光学系及び分光計で構成
する。これらの各装置は,次に示す性能のものを用いる。
(1) レーザ光源 波長514.5nmで出力が500mW程度以上のアルゴン・イオン・レーザを使用する。
(2) クライオスタット 温度4.2KでPL測定を行うため,試料を液体ヘリウムに浸した状態で,レーザ光
を試料面上に照射し,かつ,試料からのPL光を取り出せる窓をもつ構造のものを使用する。クライ
オスタット内の試料台に試料を固定する際,試料の一端をりん青銅のばねで軽く押さえるなど,試料
に過度の応力がかからないようにする。
図3 PL測定装置のブロック図
(3) 光学系 レーザ光源中に含まれる赤外線を除去する赤外カットフィルタ,光路変更用平面鏡,PL光を
分光器に導く集光レンズ,レーザ光遮断及び回折格子高次光遮断用の長波長透過フィルタで構成する。
集光レンズは,PL光ができるだけ低損失で検出器に導かれるよう,使用する分光器及び光検出器と光
学的整合がとれるものを用いる。
(4) 分光計 分光計は,次による。
(a) 分光計は,分散形分光器,光検出器及び信号処理系から構成される。測定波長領域は,1.076
(1.152eV, 9 294cm-1)(2)から1.142 1.086eV, 8 757cm-1) までであり,この領域内で0.05nm (0.06meV,
0.5cm-1) の波長分解能が必要である。
注(2) 以下スペクトル位置を表す際に,波長 光子エネルギE (eV) 及び波数 cm-1) にて表
する。それぞれの間の関係式は,
.1239 85
E
――――― [JIS H 0615 pdf 4] ―――――
5
H 0615-1996
1 000
v
で与えられる。
(b) 分散形分光器としては,焦点距離が1m程度で,ブレーズ波長1 刻線数600本・mm-1の回折格
子を使用したものが望ましい。
(c) 光検出器としては,SI受光面の光電子増倍管又はゲルマニウムpinダイオードが適切である。
(d) 信号処理系には,微弱光増幅のため位相同期検波(ロックイン)方式が適切である。レーザ光を光
チョッパで断続させ,検出器応答信号をロックインアンプで増幅し,各波長に対する光出力信号を
レコーダに記録させるか又は計算機処理によってプロットアウトする。
備考 分光器としてフーリエ変換形分光器の使用も可能であるが,装置パラメータなどについては,
規定しない。
5. 測定方法
5.1 測定方法の概要 試料をクライオスタット内の試料ホルダに固定し,液体ヘリウムで冷却する。5.2
の測定環境下で,試料に5.3に示す強度のレーザ光を照射する。試料からのPL光を,5.4の波長分解能で
5.5の波長範囲について測定する。
5.2 測定環境 測定装置は,電磁雑音の低い環境の暗室内に設置するのがよい(3)。温度は,1525℃で
測定中の変動は±1℃以内,また,相対湿度は60%以下が望ましい。
注(3) 測定中,暗室である必要はないが,光軸調整などのために暗室内に設置するのが望ましい。
5.3 励起光強度 励起レーザ光は,デューティー比50%でチョップし試料に照射する。試料面上での強
度を50mW,ビーム径を2.5mmとする。
5.4 波長分解能 波長分解能は,次による。
(1) 濃度算出のための基準測定では,波長分解能を0.2nm (0.25meV, 2cm-1) とする。
(2) アルミニウム,りん及びひ素の不純物のうちの複数種が同時に存在する場合には,それらの発光線を
分離するため,波長分解能を0.05nm (0.06meV, 0.5cm-1) とする高分解能測定を行う。
備考 信号強度が弱く上記分解能で測定が行えない場合,分解能を0.1nm (0.12meV, 1cm-1) として測定
を試みる。
5.5 波長範囲 波長範囲は次による。
(1) 基準測定では,次の範囲とする。
TO領域 : 1.1421.125
(1.0861.102eV, 8 7578 889cm-1)
NP領域 : 1.0821.076
(1.1461.152eV, 9 2429 294cm-1)
(2) 高分解能測定では,次の範囲とする。
主要NP領域 : 1.077 41.079 0
(1.150 71.149 0eV, 9 2819 267cm-1)
6. データ解析
6.1 スペクトル線の同定 5.に従って測定したPLスペクトルには,図4及び図5の例に示すような発光
線が現れる。各発光線の位置からその起源が同定される。
――――― [JIS H 0615 pdf 5] ―――――
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JIS H 0615:1996の国際規格 ICS 分類一覧
JIS H 0615:1996の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH0602:1995
- シリコン単結晶及びシリコンウェーハの4探針法による抵抗率測定方法
- JISK8161:2015
- ジクロロメタン(試薬)
- JISK8541:2015
- 硝酸(試薬)
- JISK8541:2021
- 硝酸(試薬)
- JISK8819:2017
- ふっ化水素酸(試薬)