JIS H 1052:2010 銅及び銅合金中のすず定量方法 | ページ 3

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H 1052 : 2010
単位 mm
図3−還元装置Aの例
図4−還元装置Bの例

5.4 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,表2による。

――――― [JIS H 1052 pdf 11] ―――――

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H 1052 : 2010
表2−試料はかりとり量
種類の合金番号又は種類の記号 試料はかりとり量
g
C4250,C4430,C4450,C4621,C4622,C4640,C4641,C5010,
C6711,CACIn202,CACIn203,CACIn301,CACIn302,CAC202, 3.00
CAC203,CAC301,CAC301C,CAC302,CAC302C
C5071,C5102,C5111,C5191,C5210,C5212,C5341,C5441,
C7250,C7270,CACIn401,CACIn402,CACIn403,CACIn406,
CACIn407,CACIn408,CACIn411,CAC401,CAC401C,
CAC402,CAC402C,CAC403,CAC403C,CAC406,CAC406C, 1.00
CAC407,CAC407C,CAC408,CAC408C,CAC411,CAC411C,
CACIn602,CACIn603,CACIn604,CACIn605,CAC602,
CAC603,CAC603C,CAC604,CAC604C,CAC605,CAC605C
CACIn502,CACIn503,CAC502A,CAC502B,CAC502C,
0.50
CAC503A,CAC503B,CAC503C

5.5 操作

5.5.1  試料の分解
試料の分解は,次の手順による。
a) 試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,試料はかりとり量に応じて,表
3に従って硝酸(1+1)を加え,加熱して分解する。
b) 時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,更に水浴上で加熱してシロップ状
とする。
c) 硝酸(1+1)20 mL及び温水約70 mLを加えて可溶性塩類を溶解し,水浴上で約2時間加熱する。
表3−硝酸(1+1)使用量
試料はかりとり量 硝酸(1+1)使用量
g mL
3.00 30
1.00 10
0.50 10
5.5.2 すずの分離
すずの分離は,次の手順による。
a) 5.5.1 c) で得た溶液中の沈殿を,少量の無灰ろ紙パルプを加えたろ紙(5種B)を用いてこし分け,温
硝酸(1+50)で洗浄する。ろ液及び洗液は,捨てる。
b) 沈殿をろ紙と共に元のビーカーに入れ,硝酸15 mL及び硫酸10 mLを加え,時計皿で覆い,注意しな
がら加熱して分解し,更に加熱して硫酸の白煙を発生させた後,放冷する。有機物の分解が不十分で
溶液が着色しているときは,更に硝酸10 mLを加えて白煙を発生させる操作を,溶液が透明になるま
で繰り返す。
c) 水200 mL及び塩酸50 mLを加え,穏やかに加熱して可溶性塩類を溶解する。室温まで冷却した後,
時計皿の下面及びビーカーの内壁を少量の水で洗って時計皿を取り除く。
5.5.3 すずの還元及び滴定
すずの還元及び滴定は,次のいずれかの手順による。

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H 1052 : 2010
a) 還元装置Aを用いる場合
1) 5.5.2 c) で得た溶液を還元装置A(5.3.1)の三角フラスコに水を用いて移し入れ,全液量を250 mL
にする。
2) アルミニウム(5.2.5)1 g及びニッケル(5.2.4)を加え,還元キャップをとり付ける。激しい反応が
終わってから,還元キャップに炭酸水素ナトリウム溶液50 mLを入れ,約30分間煮沸する。
3) 還元キャップを付けたまま,氷水中で10 ℃以下に冷却し,炭酸水素ナトリウム溶液を三角フラス
コ中に逆流させる。
4) 還元キャップを外し,速やかにゴム栓の下端を水で洗浄して洗液を溶液に合わせ,更に三角フラス
コの内壁を水で洗浄する。
なお,ここで用いる水は,あらかじめ煮沸して空気を追い出した後,窒素(5.2.6)を通しながら
冷却した水を用いる。
5) ドライアイスの小片(約10 mm角)2,3個を加え,よう化カリウム溶液(5.2.9)約5 mL及びでん
ぷん溶液(5.2.11)約5 mLを指示薬として加え,直ちによう素酸カリウム標準溶液(5.2.10)で滴
定し,溶液が青紫色となった点を終点とし,よう素酸カリウム標準溶液の使用量を求める。
b) 還元装置Bを用いる場合
1) 5.5.2 c) で得た溶液を還元装置B(5.3.2)の三角フラスコ(500 mL)に水を用いて移し入れる。
2) アルミニウム(5.2.5)1 g及びニッケル(5.2.4)を加え,ゴム栓をし,激しい反応が終わってから,
窒素(5.2.6)を通しながら約30分間煮沸する。
3) 窒素(5.2.6)を通しながら氷水中で10 ℃以下に冷却した後,窒素の送入を止め,窒素導入管及び
導出管の両端にはめたゴム管をピンチコックで閉じ,二つの三角フラスコ(300 mL)を取り外す。
ガラス棒を取り外し,孔からよう化カリウム溶液(5.2.9)約5 mL及びでんぷん溶液(5.2.11)約5 mL
を指示薬として加えた後,速やかにビューレットの先端を孔に挿入し,よう素酸カリウム標準溶液
(5.2.10)で滴定する。
4) 終点近くになったとき,ゴム栓を取り外し,ドライアイスの小片(約10 mm角)2,3個を加え,
速やかに水でゴム栓の下面及びガラス管を洗浄して洗液を溶液に合わせ,更に水で三角フラスコの
内壁を洗浄した後,滴定を続け,溶液が青紫色になった点を終点とし,よう素酸カリウム標準溶液
の使用量を求める。
なお,ここで用いる水は,あらかじめ煮沸して空気を追い出した後,窒素(5.2.6)を通しながら
冷却した水を用いる。

5.6 空試験

  空試験は,行わない。

5.7 計算

  試料中のすず含有率を,次の式によって算出する。
V f
Sn 100
m
ここに, Sn : 試料中のすず含有率[%(質量分率)]
V : よう素酸カリウム標準溶液の使用量(mL)
f : よう素酸カリウム標準溶液1 mLに相当するすず量(g/mL)
m : 試料はかりとり量(g)

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H 1052 : 2010

6 ガレイン抽出吸光光度法

6.1 要旨

  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解する。L(+)-アスコルビン酸を加えて鉄(III)などを還元し,ガレイ
ンを加え,アンモニア水及び塩酸を加えて酸濃度を調節した後,ガレインすず錯体を3-メチル-1-ブタノー
ルに抽出し,分光光度計を用いて有機相の吸光度を測定する。

6.2 試薬

  試薬は,次による。
6.2.1 塩酸(1+10,1+11,1+23)
6.2.2 混酸(塩酸3,硝酸1) 使用の都度,調製する。
6.2.3 アンモニア水(1+1)
6.2.4 銅 99.96 %(質量分率)以上で,すずを含有しないもの,又はすず含有率が低く既知のもの。
6.2.5 洗浄溶液 塩酸(1+11)150 mLを水で1 Lに薄め,3-メチル-1-ブタノール3 mLを加え,よく振
り混ぜる。
6.2.6 銅溶液(Cu : 1 mg/mL) 銅(6.2.4)0.10 gをはかりとってビーカー(100 mL)に移し入れ,時計
皿で覆い,混酸(6.2.2)10 mLを加えて分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内
壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで
薄める。
6.2.7 L(+)-アスコルビン酸溶液(5 g/L) 使用の都度,調製する。
6.2.8 ガレイン溶液 ガレイン0.2 gをエタノール[99.5 %(質量分率)以上]200 mLに溶解し,24時間
程度放置した後,ろ過して用いる。
6.2.9 3-メチル-1-ブタノール
6.2.10 標準すず溶液(Sn : 10 μg/mL) すず[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gをはかりとってビーカ
ー(200 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,硫酸10 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,
時計皿の下面及びビーカーの内壁を塩酸(1+10)で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mLの全量フラ
スコに塩酸(1+10)を用いて移し入れ,塩酸(1+10)で標線まで薄めて原液(Sn : 1 000 μg/mL)とする。
この原液を使用の都度,必要量だけ塩酸(1+23)で正確に100 倍に薄めて標準すず溶液とする。

6.3 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,0.10 gとする。

6.4 操作

6.4.1  試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順による。
a) 試料をはかりとってビーカー(100 mL)に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸(6.2.2)10 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計
皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を
用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6.4.2 錯体の抽出
錯体の抽出は,次の手順による。
a) 6.4.1 b) で得た溶液を分取して,分液漏斗(100 mL)1) に移し入れる。
なお,分取量は1030 mLの一定量とし,すず量が50 李 下となるように分取する。
b) (+)-アスコルビン酸溶液(6.2.7)5 mLを加え,振り混ぜた後,ガレイン溶液(6.2.8)2.0 mLを加え

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る。アンモニア水(1+1)を溶液が青紫色になるまで加えた後,塩酸(1+11)7.5 mLを加え,水で
液量を50 mLとし,振り混ぜて約20分間放置する。
c) 3-メチル-1-ブタノールを正確に10 mL加え,30秒間激しく振り混ぜ,静置して二相に分離した後,下
層の水相を取り除く。
d) 洗浄溶液(6.2.5)10 mLを加え,30秒間激しく振り混ぜ,静置して二相に分離した後,下層の水相を
取り除く。
注1) 目盛付きを用いるとよい。
6.4.3 吸光度の測定
吸光度の測定は,次の手順による。
a) 6.4.2 d) で得た有機相を乾いたろ紙又は脱脂綿でろ過し,その一部を分光光度計の吸収セル(10 mm)
にとる。
b) 6.5によって得られる空試験液を対照液として,波長575 nm付近の吸光度を測定する。

6.5 空試験

  銅(6.2.4)を,6.4.1 a) ではかりとった試料の質量と10 mgのけたまで等しくなるようにはかりとり,ビ
ーカー(100 mL)に移し入れる。次に,6.4.1 b)6.4.3 a) の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行し
て行う。

6.6 検量線の作成

  銅溶液(6.2.6)を,銅の量が6.4.2 a) で分取した試料溶液中の銅の量と10 mgのけたまで等しくなるよう
に数個の分液漏斗(100 mL)にとり,標準すず溶液(6.2.10)05.0 mL(すずとして050 μg)を段階的
に加える。次に,6.4.2 b)6.4.3 a) の手順に従って操作し,標準すず溶液を添加しない溶液で得た有機相を
対照液として,波長575 nm付近の吸光度を測定し,得た吸光度とすず量との関係線を作成して検量線と
する。

6.7 計算

  6.4.3 b) で得た吸光度と6.6で作成した検量線とからすず量を求め,試料中のすず含有率を,次の式によ
って算出する。
A
Sn 100+C
m B
100
ここに, Sn : 試料中のすず含有率[%(質量分率)]
A : 分取した試料溶液中のすず検出量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
B : 6.4.2 a) で分取した試料溶液及び空試験液の量(mL)
C : 銅(6.2.4)中のすず含有率[%(質量分率)]

7 ケルセチン抽出吸光光度法

7.1 要旨

  試料を塩酸と過酸化水素とで分解し,塩酸濃度を調節した後,チオ尿素,L(+)-アスコルビン酸及びケ
ルセチンを加え,生成するケルセチンすず錯体を4-メチル-2-ペンタノンに抽出し,分光光度計を用いて有
機相の吸光度を測定する。

7.2 試薬

  試薬は,次による。

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JIS H 1052:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4751:1984(MOD)

JIS H 1052:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1052:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH1012:2001
銅及び銅合金の分析方法通則
JISK8005:2014
容量分析用標準物質