JIS H 1052:2010 銅及び銅合金中のすず定量方法 | ページ 4

12
H 1052 : 2010
7.2.1 塩酸
7.2.2 塩酸(1+1)
7.2.3 硫酸(1+19)
7.2.4 アンモニア水(1+1)
7.2.5 銅 99.96 %(質量分率)以上で,すずを含有しないもの,又はすず含有率が低く既知のもの。
7.2.6 過酸化水素
7.2.7 銅溶液(Cu : 5 mg/mL) 銅(7.2.5)5.0 gをはかりとってビーカー(500 mL)に移し入れ,時計
皿で覆い,塩酸100 mL及び過酸化水素5 mLを加えて分解する。反応が穏やかになったら,過酸化水素5
mLを加え,この操作を繰り返して銅を完全に分解する。水200 mLを加え,煮沸して過酸化水素を完全に
分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液
を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
7.2.8 L(+)-アスコルビン酸溶液(20 g/L) 使用の都度,調製する。
7.2.9 チオ尿素溶液(60 g/L) 使用の都度,調製する。
7.2.10 ケルセチン溶液 ケルセチン二水和物0.50 gを500 mLの全量フラスコにとり,エタノール[99.5 %
(質量分率)以上]300 mLを加えて溶解する。塩酸25 mLを加えた後,エタノールで標線まで薄める。
不溶解残さがある場合には,上澄み液を用いるか,乾いたろ紙でろ過して用いる。
7.2.11 4-メチル-2-ペンタノン 4-メチル-2-ペンタノン500 mLと塩酸(1+30)100 mLとを分液漏斗に入
れて振り混ぜ,二相に分離した後,上層の有機相を用いる。
7.2.12 標準すず溶液(Sn : 50 μg/mL) すず[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gをはかりとってビーカ
ー(200 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸50 mLを加え,白金を接触させながら水浴上で加熱して分
解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を塩酸(1+5)で洗って時計皿を取り除
き,溶液を1 000 mLの全量フラスコに塩酸(1+5)を用いて移し入れ,塩酸(1+5)で標線まで薄めて原
液(Sn : 500 μg/mL)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ塩酸(1+5)で正確に10倍に薄めて標
準すず溶液とする。

7.3 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,表4による。
表4−試料はかりとり量
試料中のすず含有率 試料はかりとり量
%(質量分率) g
0.005以上 0.01未満 2.00
0.01 以上 0.16未満 1.00
0.16 以上 0.30未満 0.50
0.30 以上 0.5以下 0.40

7.4 操作

7.4.1  試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順による。
a) 試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,塩酸(1+1)20 mLを加える。過酸化水素10 mLを少量ずつ加え,流水で冷却しなが
らすずが塩化すず(IV)として揮散しないように,ゆっくりと分解する。分解が不十分な場合には,
過酸化水素を追加して分解し,最後に穏やかに加熱して完全に分解する。常温まで冷却した後,時計

――――― [JIS H 1052 pdf 16] ―――――

                                                                                             13
H 1052 : 2010
皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を200 mLの全量フラスコに水を
用いて移し入れる。ただし,試料中のすず含有率が0.02 %(質量分率)未満の場合には,次のc) の操
作は行わない。
c) 水で標線まで薄めた後,溶液を,試料中のすず含有率に応じて表5の分取量に従って,200 mLの全量
フラスコに分取する。
d) アンモニア水(1+1)を,溶液中にわずかに生成する沈殿が溶けずに残っているようになるまで滴加
する。塩酸を沈殿が溶解するまで滴加した後,水20 mLを加え,更に塩酸を正確に30 mL加える。常
温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
表5−分取量
試料中のすず含有率 分取量
%(質量分率) mL
0.02以上 0.04未満 100.0
0.04以上 0.08未満 50.0
0.08以上 0.30未満 25.0
0.30以上 0.5 以下 20.0
7.4.2 錯体の抽出
錯体の抽出は,次の手順による。
a) 分液漏斗(100 mL)に,チオ尿素溶液(7.2.9)20 mL,L(+)-アスコルビン酸溶液(7.2.8)5.0 mL及
びケルセチン溶液(7.2.10)15.0 mLをとり,振り混ぜる。7.4.1 d)で得た溶液を正確に10 mL分取し,
分液漏斗の中の溶液に振り混ぜながら加え,15分間放置する。
b) 4-メチル-2-ペンタノン(7.2.11)を正確に20 mL加え,正確に60秒間振り混ぜる。3分間静置して二
相に分離した後,下層の水相を捨てる。硫酸(1+19)を正確に25 mL加え,正確に30秒間振り混ぜ
る。3分間静置して二相に分離した後,下層の水相及び少量の有機相を捨てる。
c) 有機相を乾いたろ紙(5種B)でろ過し,乾いた共栓付試験管(20 mL)に移し入れる。
7.4.3 吸光度の測定
7.4.2 c) で得た有機相の一部を分光光度計の吸収セル(20 mm)にとり,4-メチル-2-ペンタノン(7.2.11)
を対照液として,波長440 nm付近の吸光度を測定する。

7.5 空試験

  銅(7.2.5)を,7.4.1 a) ではかりとった試料の質量と10 mgのけたまで等しくなるようにはかりとり,ビ
ーカー(300 mL)に移し入れる。次に,7.4.1 b)7.4.3の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行し
て行う。ただし,試料溶液に対して7.4.1 c) の操作を行う場合には,空試験液に対しても7.4.1 c) の操作を
行い,空試験液も試料溶液と同量分取する。

7.6 検量線の作成

  6個の200 mLの全量フラスコに銅溶液(7.2.7)を50 mLずつとり,標準すず溶液(7.2.12)を0,1.0,
2.0,3.0,4.0及び5.0 mL(すずとして,0,50,100,150,200及び250 柿 を加える。次に,7.4.1 d)
7.4.3の手順に従って操作し,得た吸光度とすず量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平
行移動して検量線とする。

7.7 計算

  計算は,次のいずれかによる。

――――― [JIS H 1052 pdf 17] ―――――

14
H 1052 : 2010
a) 7.4.1 c) の操作を行わなかった場合 7.4.3及び7.5で得た吸光度と7.6で作成した検量線とからすず量
を求め,試料中のすず含有率を,次の式によって算出する。
A1 (A2 A3 )
Sn 100
m
ここに, Sn : 試料中のすず含有率[%(質量分率)]
A1 : 試料溶液中のすず検出量(g)
A2 : 空試験液中のすず検出量(g)
A3 : 7.5ではかりとった銅(7.2.5)中のすずの量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
b) 7.4.1 c) の操作を行った場合 7.4.3及び7.5で得た吸光度と7.6で作成した検量線とからすず量を求め,
試料中のすず含有率を,次の式によって算出する。
A4 A5 A6 B
200
Sn 100
m B
200
ここに, Sn : 試料中のすず含有率[%(質量分率)]
A4 : 試料溶液中のすず検出量(g)
A5 : 空試験液中のすず検出量(g)
A6 : 7.5ではかりとった銅(7.2.5)中のすずの量(g)
B : 7.4.1 c)で分取した試料溶液及び空試験液の量(mL)
m : 試料はかりとり量(g)

8 原子吸光法

8.1 要旨

  試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,溶液を原子吸光光度計のアセチレン・空気フレーム又はアセチレ
ン・一酸化二窒素フレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。

8.2 試薬

  試薬は,次による。
8.2.1 塩酸(1+1,1+9)
8.2.2 硝酸(1+1,1+4)
8.2.3 混酸(塩酸1,硝酸1,水2) 使用の都度,調製する。
8.2.4 過酸化ナトリウム 87.0 %(質量分率)以上で,すずを含有しないもの,又はすず含有率が低く既
知のもの。
8.2.5 銅溶液(Cu : 20 mg/mL) 銅[99.96 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビーカー(300 mL)
に移し入れ,時計皿で覆い,混酸(8.2.3)200 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した
後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.6 亜鉛溶液(Zn : 20 mg/mL) 亜鉛[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビーカー(300
mL)に移し入れ,時計皿で覆い,混酸(8.2.3)200 mLを数回に分けて加え,穏やかに加熱して分解する。
常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mL
の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

――――― [JIS H 1052 pdf 18] ―――――

                                                                                             15
H 1052 : 2010
8.2.7 鉛溶液(Pb : 20 mg/mL) 鉛[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビーカー(300 mL)
に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+4)250 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した
後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.8 鉄溶液(Fe : 20 mg/mL) 鉄[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビーカー(300 mL)
に移し入れ,時計皿で覆い,混酸(8.2.3)200 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した
後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.9 ニッケル溶液(Ni : 20 mg/mL) ニッケル[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビー
カー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,混酸(8.2.3)200 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。
常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mL
の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.10 アルミニウム溶液(Al : 20 mg/mL) アルミニウム[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりと
ってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)200 mL及び銅溶液(8.2.5)1 mLを加
え,穏やかに加熱して分解する。硝酸(1+1)2 mLを加え,加熱して完全に分解する。常温まで冷却した
後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.11 マンガン溶液(Mn : 20 mg/mL) マンガン[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビ
ーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)300 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。
常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mL
の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.12 ビスマス溶液(Bi : 20 mg/mL) ビスマス[99.9 %(質量分率)以上]10.0 gをはかりとってビー
カー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+1)50 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常
温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mLの
全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
8.2.13 標準すず溶液A(Sn : 1.0 mg/mL) すず[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gをはかりとってビー
カー(200 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸15 mL及び硝酸5 mLを加え,穏やかに加熱して分解す
る。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mL
の全量フラスコに塩酸(1+1)100 mLを用いて移し入れ,塩酸(1+1)150 mLを加え,水で標線まで薄
める。
8.2.14 標準すず溶液B(Sn : 100 μg/mL) 標準すず溶液A(8.2.13)を使用の都度,塩酸(1+9)で正確
に10倍に薄める。

8.3 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,1.00 gとする。

8.4 操作

8.4.1  試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次のいずれかの手順による。ただし,塩酸・硝酸による分解は,不溶解残さを生じ
る試料には,適用しない。
a) 塩酸・硝酸による分解
1) 試料をはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れる。

――――― [JIS H 1052 pdf 19] ―――――

16
H 1052 : 2010
2) 時計皿で覆い,混酸(8.2.3)20 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時
計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って,時計皿を取り除く。
3) 溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
4) この溶液から20.0 mLを100 mLの全量フラスコに分取し,塩酸(1+9)で標線まで薄める。ただし,
試料中のすず含有率が0.02 %(質量分率)以上1.0 %(質量分率)未満の場合には,この分取の操
作は行わない。
b) 塩酸・硝酸・過酸化ナトリウムによる分解
1) 試料をはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,混酸(8.2.3)20 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時
計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く。
3) 少量の無灰ろ紙パルプを加えたろ紙(5種C)を用いて250 mLの全量フラスコにろ過し,温塩酸(1
+9)で34回洗浄し,次に温水で23回洗浄する。ろ液及び洗液は主液として保存する。
4) 不溶解残さは,ろ紙と共にアルミナるつぼ(容量30 mL)に移して乾燥し,約800 ℃で灰化する。
灰化した後,過酸化ナトリウム約2 gを加えて加熱して融解する。放冷した後,融成物をるつぼご
とビーカー(300 mL)に入れ,温水で浸出する。浸出した後,塩酸30 mLを加えて溶解し,酸性溶
液にする。るつぼは温水で洗って取り出す。この溶液を加熱し濃縮して,常温まで冷却した後,主
液の入っている250 mLの全量フラスコに移して塩酸(1+9)で標線まで薄める。
5) この溶液から50.0 mLを100 mLの全量フラスコに分取し,塩酸(1+9)で標線まで薄める。ただし,
試料中のすず含有率が0.02 %(質量分率)以上2.5 %(質量分率)未満の場合には,この分取の操
作は行わない。
8.4.2 吸光度の測定
8.4.1のa) 3),a) 4),b) 4) 又はb) 5) で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計
のアセチレン・空気フレーム又はアセチレン・一酸化二窒素フレーム中に噴霧し,波長224.6 nm又は286.3
nmにおける吸光度を測定する。

8.5 空試験

  試料を用いないで,8.4.1及び8.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。

8.6 検量線の作成

8.6.1  試料用検量線の作成
検量線の作成は,次のいずれかの手順による。
a) 8.4.1 a) 4) の操作を行わない場合
1) 銅溶液(8.2.5),亜鉛溶液(8.2.6),鉛溶液(8.2.7),鉄溶液(8.2.8),ニッケル溶液(8.2.9),アルミ
ニウム溶液(8.2.10),マンガン溶液(8.2.11)及びビスマス溶液(8.2.12)を,その銅,亜鉛,鉛,
鉄,ニッケル,アルミニウム,マンガン及びビスマスの量が8.4.1 a) 1) ではかりとった試料中の銅,
亜鉛,鉛,鉄,ニッケル,アルミニウム,マンガン及びビスマスの量と10 mgのけたまで等しくな
るように数個の100 mLの全量フラスコに取る。
2) 標準すず溶液A(8.2.13)及び/又は標準すず溶液B(8.2.14)の各種液量(すずとして010 mg)
を段階的に加え,水で標線まで薄める。
3) 各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計のアセチレン・空気フレーム又はア
セチレン・一酸化二窒素フレーム中に噴霧し,波長224.6 nm又は286.3 nmにおける吸光度を試料
溶液と並行して測定し,得た吸光度とすず量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように

――――― [JIS H 1052 pdf 20] ―――――

次のページ PDF 21

JIS H 1052:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4751:1984(MOD)

JIS H 1052:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1052:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH1012:2001
銅及び銅合金の分析方法通則
JISK8005:2014
容量分析用標準物質