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図9−熱サイクルの繰返し数とはく離面積率との関係図の例
5.4.6 熱サイクル試験終了後の損傷観察及び損傷の測定
熱サイクル試験終了後の試験片の表面及び断面の観察並びに損傷の測定は,次による。
a) 試験片表面の観察は,5.4.3 のb) 及びc) による。
b) 試験片断面の組織観察は,TBCの組織を明確に識別することが可能な顕微鏡を用いて適切な倍率で行
い,組織写真を撮影する。ただし,製品から切り出した試験片の端部は,観察対象外とする。
6 熱衝撃試験
6.1 一般
試験片を炉加熱後に水冷してTBCに熱衝撃を与え,TBCのはく離の有無を確認し,外観が健全な状態
を維持している試験片の残存密着強さを測定する。
注記 熱衝撃試験は,ガスタービンの停止時などの特殊な環境下でのTBCの損傷評価に有効である。
6.2 試験装置
試験装置は,加熱装置,温度調節装置及び冷却水槽で構成し,次による。試験装置の基本構成の例を,
図10に示す。
6.2.1 加熱装置 加熱装置は,温度調節装置及び加熱炉で構成し,外気の流通が可能な試験室をもつ構造
とする。
なお,マッフル電気抵抗炉を用いてもよい。
6.2.2 温度調節装置 温度調節装置は,5.2.2による。
6.2.3 冷却水槽 冷却水槽は,次による。
a) 水温を測定する温度計及びかくはん機を備えているものとする。
b) 試験片全体を急冷できるように,十分な容積をもつものとする。
――――― [JIS H 8451 pdf 11] ―――――
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温度調節装置
試験片支持具
温度制御器 熱電対
加熱炉
かくはん機
温度計
試験片 試験片
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水
加熱装置 冷却水槽
図10−熱衝撃試験装置の基本構成の例
6.3 試験片
試験片は,次による。
a) 試験片は,製品から直径2040 mmの大きさに切り出すものとする。試験片は製品を代表できるもの
とする。
なお,試験片の切出しは,精密切断機を用い,湿式でTBC側から緩やかに切断する。
b) ) によって試験片の切出しが困難な場合には,製品と同質の基材に製品と同一の条件でTBCを施し
て試験片を作製する。TBCは,基材両面に施すことが望ましい。ただし,基材両面への被覆が困難な
場合には,片面にだけ被覆した試験片を用いてもよい。この場合,試験片の形状及び寸法は,次によ
る。
1) 試験片は,図11に示すように円板状とする。
2) 基材の端部は,適切な方法で0.52 mmの曲率加工又は面取りを行う。
単位 mm
a) 上下両面TBC b) 片面TBC
D : 直径
T : 全厚
網掛け部 : 有効面
注a) 2040とする。
b) 1.55.0とする。
図11−円板状試験片の形状・寸法
――――― [JIS H 8451 pdf 12] ―――――
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c) 試験片の表面は,特に指定がない限り,被覆したままの状態とする。
d) 試験片の寸法の測定は,5.3 d) による。
6.4 試験
6.4.1 熱衝撃の負荷
試験片を所定の試験温度に調節した加熱装置に装入して10分間保持した後に取り出し,直ちに水温を
293±3 Kに調節した冷却水槽に投入して急冷し,水中で30秒以上冷却した後,水中から取り出して十分
に乾燥させる。
6.4.2 熱衝撃の繰返し負荷
熱衝撃を繰返し負荷する場合は,6.4.1で得た試験片を,所定の試験温度に調節した加熱装置に再度装入
して加熱した後,急冷する操作を繰り返す。
6.4.3 熱衝撃負荷後の試験片の観察
目視によって又は拡大鏡を用いて,熱衝撃負荷後の試験片におけるTBCの割れ及びはく離の有無を確認
する。TBCに割れ及びはく離が生じた場合には,その旨及び熱衝撃の繰返し数を記録し,残存密着強さの
測定は行わない。
6.4.4 残存密着強さの測定
残存密着強さ測定は,次による。
a) 測定操作 熱衝撃試験後,はく離が生じていない試験片に対し,JIS H 8402によって,試験片の両面
に試験片と同一直径の丸棒を接着剤でそれぞれ接着させ,TBC有効面に対して垂直方向に引張力を加
え,基材からTBCをはく離させることによって,残存密着強さを測定する。
b) 破断面の判定 この試験でいう残存密着強さは,破断面の状況が次の1)若しくは2)である場合,又は
1)と2)とが混在する場合の測定値で表し,これら以外の場合の測定値は参考値とする。
1) BCと基材との界面における完全なはく離
2) BC内の完全なはく離
c) 計算 残存密着強さは,式 (1) によって,0.1 MPaのけたまで算出し,JIS Z 8401の規則Aの規定に
よって,1 MPaのけたに丸める。
P
F (1)
A
ここに, F : 残存密着強さ (MPa)
P : 引張破断荷重 (N)
A : TBC面積 (mm2)
なお,上下両面TBCの試験片を用いた場合のTBC面積は,片面だけの面積とする。
6.4.5 耐熱衝撃温度差の測定
図12に示す熱衝撃温度差と残存密着強さとの関係図を作成し,熱衝撃負荷前の常温での密着強さが熱衝
撃負荷によって30 %低下する直前の試験データの熱衝撃温度差を求め,耐熱衝撃温度差ΔTcとする。た
だし,ここで用いる試験データは,熱衝撃負荷後の密着強さが,常温での密着強さから2030 %低下す
る範囲内にあるものでなければならず,この範囲内に試験データが存在しない場合には,追加試験を行う。
――――― [JIS H 8451 pdf 13] ―――――
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常温密着強さ 印 : 試験データ
の平均値
残存密着強さ
30%低下
耐熱衝撃温度差Tc
熱衝撃温度差
図12−熱衝撃温度差と残存密着強さとの関係図の例
7 試験報告書
7.1 記載事項
試験報告書には,次の項目を記載する。
a) 熱サイクル試験
1) 基材材料名(製品名,JIS規格番号及び種類,ASTM規格番号及び種類など)
例1 ハステロイ 2)
注2) ハステロイは,Haynes International, Inc.が供給する製品の商標名である。この情報は,こ
の規格の利用者の便宜を図って記載するもので,この製品を推奨するものではない。同
じ結果が得られる場合は,これと同等の他のものを使用してもよい。
2) コーティング材料名(製品名,JIS規格番号及び種類,ASTM規格番号及び種類など)
注記1 コーティング材料は,JIS H 8260などを参照。
例2 トップコート : JIS H 8260, 12.44A-ZrO2-Y2O3 92 8A
ボンドコート : JIS H 8260, 4.7-CoNiCrAlY 38 32 21 8
3) 試験片の形状及び寸法
4) コーティング方法
注記2 コーティング方法は,JIS B 0128などを参照。
例3 トップコート : 電子ビーム物理蒸着
ボンドコート : 減圧プラズマ溶射
5) 試験片の数
6) 高温域及び低温域における試験温度
7) 高温域及び低温域における保持時間
8) 熱サイクルの繰返し数とはく離面積率との関係図
9) 試験終了熱サイクル繰返し数
10) はく離繰返し数
――――― [JIS H 8451 pdf 14] ―――――
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11) 試験後の試験片の外観写真及び断面組織写真
b) 熱衝撃試験
1) 基材材料名(製品名,JIS規格番号及び種類,ASTM規格番号及び種類など)
例4 ハステロイ 2)
2) コーティング材料名(製品名,JIS規格番号及び種類,ASTM規格番号及び種類など)
注記3 コーティング材料は,JIS H 8260などを参照。
例5 トップコート : JIS H 8260,12.44A-ZrO2-Y2O3 92 8A
ボンドコート : JIS H 8260,4.7-CoNiCrAlY 38 32 21 8
3) 試験片の形状及び寸法
4) コーティング方法
注記4 コーティング方法は,JIS B 0128などを参照。
例6 トップコート : 電子ビーム物理蒸着
ボンドコート : 減圧プラズマ溶射
5) 試験片の数
6) 熱衝撃温度差
7) 熱衝撃負荷前の常温密着強さ
8) 熱衝撃温度差と残存密着強さとの関係図
9) 耐熱衝撃温度差
7.2 付記事項
試験報告書には,次の項目などの記録を付記することが望ましい。
a) 熱サイクル試験
1) 基材のミルシート
2) 試験前後及び試験中の試験片質量
3) 昇温時間及び降温時間
b) 熱衝撃試験
1) 基材のミルシート
2) 熱衝撃負荷前後及び残存密着強さ測定後の試験片の外観写真
3) 残存密着強さ測定に使用した接着剤の種類
参考文献 JIS H 8260 溶射用粉末材料
JIS H 8451:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.040 : ガス及び蒸気タービン.蒸気機関
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.99 : その他の被覆及び処理
JIS H 8451:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0128:2005
- 火力発電用語―ガスタービン及び附属装置
- JISB7502:2016
- マイクロメータ
- JISB7507:2016
- ノギス
- JISH8402:2004
- 溶射皮膜の引張密着強さ試験方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方