JIS H 8453:2018 遮熱コーティングの熱伝導率測定方法 | ページ 2

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熱拡散率
温度上昇曲線
比熱容量 かさ密度
多層解析モデル
理論
面積熱拡散時間法
温度上昇曲線法
熱伝導率
図3−熱伝導率を決定する基本手順

5 熱拡散率の測定装置

  図4に,フラッシュ法の熱拡散率測定装置の代表的構成例を示す。
測定装置は,パルス加熱光源,記録装置,測定回路,温度応答測定装置,試料保持具,測定容器,接触
温度計及び温度表示器で構成し,JIS R 1611による。装置は,JIS R 1611の附属書Eに記載された標準物
質及び推奨値を用いて校正するのが望ましい。
パルス加熱光源 温度表示器
トリガ信号
試料
記録装置
試料 接触温度計
増幅信号 保持具 (熱電対)
測定回路
測定容器
試料裏面の
温度信号
温度応答測定装置
図4−フラッシュ法の熱拡散率測定装置の代表的構成例

6 試料

6.1 形状及び寸法

  熱拡散率,比熱容量及びかさ密度の測定に用いる試料及び形状は,次による。
a) 基材試料,BC試料及びTBC試料の3種類の試料を用いる。
b) 試料の形状は,円形(図5)又は正方形(図6)の平板とする。直径D又は一辺の長さlは,5 mm以

――――― [JIS H 8453 pdf 6] ―――――

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上15 mm以下とする。
c) 基材,BC及びTCの厚さは,表1による。
d) 基材の厚さは,3種類の試料とも,できるだけ同じ厚さとする。
e) 3種類の試料間の,基材の厚さのばらつきの許容差は,±0.01 mmとする。
f) BCの厚さは,BC試料及びTBC試料とも,できるだけ同じ厚さとする。
g) BC試料の厚さ(d)の最大値と最小値との差は,0.01 d mm以下とする。
h) C試料及びTBC試料のコーティングの表面粗さは,膜厚の測定精度に影響を与えるので,受渡当事
者間の協定に基づいて機械的な研磨によってコーティングの表面を滑らかにする。
i) 試料の形状,寸法及び厚さは,受渡当事者間の協定に基づいて決定する。
j) BC及びTCの比熱容量の測定には,基材からがしたコーティング層を試料として用いる。
BC d TC
dBC
TC
Sd
d
BC BC
d
d
d
S
S
基材 基材 基材
D D D
a) 基材試料 b) C試料 c) BC試料
図5−試料形状(円形の平板)
BC dTC
dBC
Sd
d
d
d
d
S
S
TC
BC BC
基材 l 基材 l l
基材
l l l
a) 基材試料 b) C試料 c) BC試料
図6−試料形状(正方形の平板)
表1−基材,BC,TC及びTBC試料の厚さ
記号 名称 厚さ(mm)
dS 基材の厚さ 1.00≦dS≦2.00
dBC BCの厚さ 0.15 dS≦dBC
dTC TCの厚さ 0.20(dS+dBC)≦dTC
d TBC試料の厚さ d=dS+dBC+dTC≦3.00

6.2 表面処理

  熱拡散率の測定に用いる試料の両表面は,JIS R 1611の5.2.2(表面処理)に従って表面処理(黒化処理)
を施す。

――――― [JIS H 8453 pdf 7] ―――――

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7 測定手順

7.1 試料の厚さの測定

  試料の厚さの測定は,次による。
a) 試料の厚さは,JIS B 7502に規定するマイクロメータによって,1 m単位まで測定する。
b) C及びTCの厚さは,JIS H 8401で規定する顕微鏡断面試験方法によって,コーティングの断面組織
上で測定する。

7.2 熱拡散率の測定

7.2.1  温度上昇曲線の測定
温度上昇曲線[図2 b)]は,JIS R 1611の5.3.3 f)(温度上昇曲線の測定)に従って測定する。
a) 試料の設置 試料を測定容器内に設置する。BC試料及びTBC試料は,基材側をパルス加熱し,BC
表面又はTC表面の温度を観測するように設置する[図2 a) 参照]。
b) 雰囲気の設定 TCの熱拡散率は,測定雰囲気に依存するので,雰囲気は,受渡当事者間の協定に基
づいて測定する。
c) 試料温度の測定 パルス加熱前の試料測定面温度T0は,接触温度計(適切に校正された熱電対,JIS C
1602[7]を参照)によって測定する。
d) 温度上昇曲線の測定 パルス加熱前に試料温度の変動が小さく(1分間当たり0.2 K以下),かつ,温
度応答測定装置の出力が安定している状態で,試料をパルス加熱して温度上昇曲線を測定する。
7.2.2 基材の熱拡散率の算出
基材の熱拡散率は,基材試料の温度上昇曲線からJIS H 7801の箇条7(熱拡散率の算出)に従って求め
る。
7.2.3 BC及びTCの熱拡散率の算出
BC及びTCの熱拡散率は,温度上昇曲線に多層解析モデルを適用して求める。多層解析モデルに応じて,
面積熱拡散時間法又は理論温度上昇曲線法を用いる。モデルは,受渡当事者間の協定に基づいて選択する。
7.2.3.1 面積熱拡散時間法
面積熱拡散時間の算出は,次によるほか,附属書Aによる。
a) 試料の面積熱拡散時間の算出
面積熱拡散時間の算出は,次の1) 又は2) のいずれかの方法による。
1) 温度上昇曲線の数値データによる算出 面積熱拡散時間A[図2 b) のハッチングの部分]は,温度
上昇曲線のデータから直接求める。算出は,次による。
1.1) 図2 b) において,時間0からτ0まで,及び温度上昇の割合が0から1.0までで囲む長方形の領域
の面積を求める。
1.2) 次に,時間0からτ0までの温度上昇曲線のデータよりも下側の部分[図2 b) の白い領域]の面積
を求める。
1.3) 面積熱拡散時間Aは,前者(長方形の領域)から後者[図2 b) の白い領域]を差し引いて求める。
1.4) 温度上昇曲線のデータは,測定したデータそのものを用いるか,又は測定データを試料測定面温
度の時間変化を表すモデル関数に最小二乗法によって合致させた曲線のデータ[JIS R 1611の附
属書A(フラッシュ法による熱拡散率測定の原理)及び附属書B(補正に関する推奨事項)を参
照]を用いてもよい。
2) 見掛けの熱拡散率による算出 面積熱拡散時間Aは,見掛けの熱拡散率αapp又は試料の厚さ方向の
熱拡散時間τ0=d2/αappを用い,式(1)によって算出する。見掛けの熱拡散率αappは,A.5によって求め

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る。
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A 0 6 d 6 app (1)
ここに, τ0 : 試料の熱拡散時間(s)
d : 試料の厚さ(m)
αapp : 試料の見掛けの熱拡散率(m2/s)
3) 熱損失及び不均一加熱の補正 補正は,JIS R 1611の附属書Bによって行うことが望ましい。
b) C及びTCの熱拡散率の算出
1) Cの熱拡散率 BCの熱拡散率は,BC試料の測定に基づき,7.2.2で求めた基材の熱拡散率αS,式
(2)及び式(3)によって算出する。BCの熱拡散率は,次による。
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BC dBC BC (2)
ここに, αBC : BCの熱拡散率(m2/s)
dBC : BCの厚さ(m)
τBC : BCの熱拡散時間(s)
2
6 cSSdS cBCBCdBC ABC S cS SdS 3cBC dBC
BC dS S
BC (3)
3cS SdS cBC BCdBC
ここに, cS : 基材の比熱容量[J/(kg・K)]
ρS : 基材のかさ密度(kg/m3)
αS : 基材の熱拡散率(m2/s)
dS : 基材の厚さ(m)
cBC : BCの比熱容量[J/(kg・K)]
ρBC : BCのかさ密度(kg/m3)
ABC-S : BC試料の面積熱拡散時間(s)
2) Cの熱拡散率 TCの熱拡散率は,TBC試料の測定に基づき,7.2.2で求めた基材の熱拡散率αS,
式(2)で求めたBCの熱拡散率αBC,式(4)及び式(5)によって算出する。
TCの熱拡散率は,次による。
2
TC dTC TC (4)
ここに, αTC : TCの熱拡散率(m2/s)
dTC : TCの厚さ(m)
τTC : TCの熱拡散時間(s)
6 cSSdS cBC dBC
BC cTC dTC ATBC -S
TC
2
1 6cS SdScTCTC dTC dBC
TC 3cS SdS cBC BCdBC 3cTC TC dTC
3cS SdS 3cBC BCdBC cTCTCdTC cBC BCdBC BC
2
dS
cS SdS 3cBC dBC
BC 3cTC TCdTC
S

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS H 8453 pdf 9] ―――――

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ここに, cTC : TCの比熱容量[J/(kg・K)]
ρTC : TCのかさ密度(kg/m3)
ATBC-S : TBC試料の面積熱拡散時間(s)
7.2.3.2 理論温度上昇曲線法
BC及びTCの熱拡散率は,測定した温度上昇曲線に対して多層解析モデルに基づく理論温度上昇曲線を
適用して求める。
理論温度上昇曲線の例を,附属書Bに記載する。測定した温度上昇曲線は,JIS R 1611の附属書Bによ
って補正を行うことが望ましい。
a) Cの熱拡散率
1) C試料の理論温度上昇曲線は,式(6)による。
(T(t/) T) hF(dS ,dBC ,
S, BC,cS ,cBC ,
S, BC,t) (6)
ここに, (T(t)/ΔT) th : 理論温度上昇曲線
F : 関数
2) 式(6)にBCの熱拡散率αBC以外の物性値を入力する。
3) Cの熱拡散率αBCは,式(6)をBC試料の温度上昇曲線に合致させることによって求める。
b) Cの熱拡散率
1) BC試料の理論温度上昇曲線は,式(7)による。
(T(t/) T) hG(dS , dBC , dTC ,
S, BC, TC,cS ,cBC ,cTC ,
S, BC, TC,t) (7)
ここに, G : 関数
2) 式(7)にTCの熱拡散率αTC以外の物性値を入力する。
3) Cの熱拡散率αTCは,式(7)をTBC試料の温度上昇曲線に合致させることによって求める。

7.3 比熱容量の測定

  比熱容量の測定は,次による。
a) 比熱容量は,JIS R 1672に従って測定する。
b) 基材からがした試料を用意できない場合は,同一のコーティング施工条件で作製したコーティング
の比熱容量の文献値を使用してもよい。
注記 文献値を入手できない場合は,コーティングの原料粉末の測定値を用いてもよい。

7.4 かさ密度の測定

  BC及びTCのかさ密度は,基材試料,BC試料及びTBC試料を用い,次による。
a) 基材試料,BC試料及びTBC試料の質量を測定する。
b) 基材試料,BC試料及びTBC試料の厚さは,JIS B 7502に規定するマイクロメータで測定する。試料
の直径又は一辺の長さは,JIS B 7507に規定するノギス,又はJIS B 7502に規定するマイクロメータ
で測定する。体積は,試料寸法から算出する。
c) 基材のかさ密度は,基材試料の質量及び体積から求める。
d) Cのかさ密度は,式(8)によって求める。
BC dS
BC S- dBC dS
S dBC (8)
ここに, ρBC-S : BC試料のかさ密度(kg/m3)
e) Cのかさ密度は,式(9)によって求める。

――――― [JIS H 8453 pdf 10] ―――――

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JIS H 8453:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 18555:2016(MOD)

JIS H 8453:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 8453:2018の関連規格と引用規格一覧