JIS H 8401:1999 溶射皮膜の厚さ試験方法

JIS H 8401:1999 規格概要

この規格 H8401は、溶射製品の有効面の溶射皮膜の厚さ試験方法について規定。

JISH8401 規格全文情報

規格番号
JIS H8401 
規格名称
溶射皮膜の厚さ試験方法
規格名称英語訳
Methods of thickness measurement for sprayed coatings
制定年月日
1984年11月1日
最新改正日
2019年10月21日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 2063:1991(MOD)
国際規格分類

ICS

25.220.40
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
金属表面処理 2021
改訂:履歴
1984-11-01 制定日, 1990-03-01 改正日, 1995-01-01 確認日, 1999-08-20 改正日, 2005-02-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS H 8401:1999 PDF [10]
H 8401 : 1999

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS H 8401 : 1990 溶射製品の厚さ試験方法は改正され,この規格に置
き換えられる。
今回の改正では,国際規格との整合性を図った。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS H 8401 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
H 8401 : 1999

溶射皮膜の厚さ試験方法

Methods of thickness measurement for sprayed coatings

序文 この規格は,第2版として発行されたISO 2063, Metallic and other inorganic coating−Thermal spraying
−Zinc, aluminium and their alloysを元に,対応する部分について対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更
することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目(測微器によ
る試験方法)を日本工業規格(日本産業規格)として追加した。
なお,点線の下線を施してある”箇所”は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,溶射製品(以下,製品という。)の有効面(1)の溶射皮膜の厚さ試験方法につい
て規定する。
注(1) 有効面とは,製品の用途上の重要な面をいう。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 2063 : 1991 Metallic and other inorganic coating−Thermal spraying−Zinc, aluminium and their
alloys.
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 7502 マイクロメータ
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7506 ブロックゲージ
JIS B 7507 ノギス
JIS B 7515 シリンダゲージ
JIS B 7520 指示マイクロメータ
JIS B 7533 てこ式ダイヤルゲージ
JIS B 7536 電気マイクロメータ
JIS H 3130 ばね用ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の板及び条
3. 試験方法の種類 試験方法の種類は,次による。
a) 測微器による試験方法
1) 直接法
2) マスキング法
b) 顕微鏡断面試験方法
c) 磁力式試験方法

――――― [JIS H 8401 pdf 2] ―――――

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H 8401 : 1999
d) 渦電流式試験方法
e) 触針走査式試験方法
4. 試料 試料は,製品の有効面とする。ただし,製品についての試験が不可能な場合は,これに代わる
試験片(2)を用いる。
注(2) 試験片は製品の有効面を代表するものとし,素地は製品と同じか,又は類似のもので,溶射条
件は製品と同じでなければならない。
5. 測微器による試験方法
5.1 直接法
5.1.1 要旨 測微器を使用し,溶射前に素地の厚さを測定しておき,溶射後に同一箇所の試料の厚さを測
定し両者の値の差から溶射皮膜の厚さを求める。
5.1.2 測微器の種類 この方法に用いる測微器を表1に示す。測微器は試料の形状,溶射皮膜の種類など
に応じて選択する。
表1 測微器の種類
規格番号 規格の名称
JIS B 7502 マイクロメータ
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7507 ノギス
JIS B 7515 シリンダゲージ
JIS B 7520 指示マイクロメータ
JIS B 7533 てこ式ダイヤルゲージ
JIS B 7536 電気マイクロメータ
5.1.3 操作 操作は,次による。
a) 測微器の操作は,それぞれの測微器の取扱方法の指示に従って行う。
b) 溶射前に素地の表面を清浄にした後,測定点を定め,測微器を用いて溶射する前に垂直な方向の素地
の厚さを測定する。溶射後,同じ位置で厚さを測定し,両者の測定値の差の絶対値をその位置の溶射
皮膜の厚さとする。
c) 測定箇所の数は,代表的な有効面について3か所以上とし,各測定値の平均値を,製品の溶射皮膜の
厚さとする。
5.2 マスキング法
5.2.1 要旨 溶射しようとする面の測定点に隣接する素地の一部をあらかじめ溶射防止(マスキングとも
いう。)しておき,溶射後,皮膜表面と素地面との段差を測定し,溶射皮膜の厚さを求める。
5.2.2 測微器の種類 この方法に用いる測微器は,表1に示すものを用い,試料の形状,溶射皮膜の種類
などに応じて選択する。
5.2.3 操作 操作は,次による。
a) 測微器の操作は,それぞれの測微器の取扱方法の指示に従って行う。
b) 測定点を定め,それに隣接する素地の一部を適当な溶射防止材料であらかじめ溶射防止材料で溶射防
止の処置をする。
溶射後,溶射防止に用いた材料を除去し,溶射面と溶射防止した素地面のそれぞれの厚さ,又は高
さを測微器を用いて測定する。両者の測定値の差の絶対値をその位置の溶射皮膜の厚さとする。

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c) 測定箇所の数は,代表的な有効面について3個以上とし,各測定値の平均値を,製品の溶射皮膜厚さ
とする。
6. 顕微鏡断面試験方法
6.1 要旨 溶射皮膜の垂直断面を顕微鏡で観察して,溶射皮膜の厚さを測定する。
6.2 装置・機器 この試験には,次の装置及び機器を用いる。
a) 測微顕微鏡又は金属組織用顕微鏡
b) 顕微鏡写真撮影装置(測微顕微鏡を使用する場合は不要)
c) 試料切断機
d) 試料埋込み機材
e) 試料研磨機
6.3 操作
6.3.1 顕微鏡観察用試片の調整 顕微鏡観察用試片の調整は,次による。
a) 試料の適切な箇所から,長さ約20mm,幅約10mmの大きさの顕微鏡観察用試片を切断面か溶射面に
垂直になるように切り取る。このとき溶射皮膜を破壊しないように注意する。
b) 製品の大きさがa)に示す寸法より小さい場合は,製品を顕微鏡観察用試片とする。
c) 溶射皮膜を破壊しないように注意しながら,観察する面が溶射皮膜に直角になるように研磨し,鏡面
に仕上げる。このとき研磨による“だれ”が生じないよう,又は研磨剤が溶射皮膜に埋め込まれるこ
とがないように注意する。
d) 溶射皮膜が軟らかい場合又は非常に薄い場合には,顕微鏡観察用試片を樹脂などに埋め込んで研磨す
る。
備考 溶射面と観察する面とのなす角を直角に保つため,同質の試片を2個以上同時に樹脂などに埋
め込み,一定時間ごとに研磨方向を90°ずつ代えるとよい。
e) 研磨終了後,溶射皮膜と素地との境界が不鮮明な場合は,適切な腐食液を用いて腐食する。
6.3.2 溶射皮膜断面の観察と厚さの測定 溶射皮膜断面の観察と厚さの測定は,次による。
a) 測微顕微鏡によって皮膜断面を適正に拡大し,素地との境界から皮膜表面までの距離を測定し,皮膜
の厚さを求める。
b) 金属組織用顕微鏡の場合には,皮膜断面を適正に拡大した写真を撮影し,これによって皮膜の厚さを
測定する。
c) 顕微鏡の拡大倍率は,測定精度が溶射皮膜の厚さの5 %以下になるように選ぶ。
d) 測定は1か所について,顕微鏡の同一視野内で等間隔で5点行い,これらの測定点の平均値をその箇
所の溶射皮膜の厚さとする。
e) 測定箇所の数は3か所以上とし,各箇所の溶射皮膜の厚さの平均値を,製品の溶射皮膜の厚さとする。
7. 磁力式試験方法
7.1 要旨 強磁性金属素地上の常磁性の溶射皮膜の厚さを,磁極,溶射皮膜及び素地金属を通る磁気回
路の磁気抵抗,又は溶射皮膜を介して永久磁石と素地金属との間に働く磁気的引力を測定して求める。
なお,素地金属が既に帯磁しているときは,この方法は適用できない。
7.2 装置 装置は,次による。
a) 電磁式測定装置 この装置は,検出器の構造によって2種類に分けられる。

――――― [JIS H 8401 pdf 4] ―――――

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H 8401 : 1999
装置の一例を図1に示す。
1) 単極式(測定子1個)
2) 双極式(測定子2個)
b) 永久磁石式測定装置 この装置の一例を図2に示す。
c) これらの装置の最小目盛は,測定レンジ0100 最 100500 ヰ 罵 する。
図1 電磁式測定装置(単極式)の一例
図2 永久磁石式測定装置の一例
7.3 装置の調整 装置の調整は,次による。
a) 溶射皮膜の厚さ試験に先立って,それぞれの装置の特性に従って十分に調整する。
また,試験中でも適切な時間間隔で調整する必要がある。
b) 調整は,次に注意して行う。
1) 調整に用いる素地は製品の有効面となる素地,又は製品と類似の材質,形状,厚さの素地とする。
なお,指示の表面粗さによって誤差が生じるので注意する。
2) 調整は,測定を行う位置とほぼ同じ位置で行う。
参考 同じ位置とは,例えば,穴及びアングルの近くで測定する場合,調整も同じように穴及びアン
グルの近くで行うということである。
3) 調整に用いる厚さの標準板は,きず,凹凸及び反りのない均一な厚さの薄板(3)で,測定しようとす
る溶射皮膜の厚さに近いものを用いる。
標準板は,素地との密着に注意して使用する。
注(3) 標準板は表示厚さに対する誤差が2%以内の厚さのものを用いる。きず,凹凸及び反りの生じに

――――― [JIS H 8401 pdf 5] ―――――

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