JIS K 0147-2:2017 表面化学分析―用語―第2部:走査型プローブ顕微鏡に関する用語 | ページ 2

4
K 0147-2 : 2017 (ISO 18115-2 : 2013)
STS : 走査型トンネル分光法 scanning tunnelling spectroscopy
SVM : 走査型電位顕微鏡 scanning voltage microscopy
TECARS : 探針増強コヒーレント反ストークスラマン散乱 tip-enhanced coherent anti-Stokes Raman
scattering
TEFS : 探針増強蛍光分光法 tip-enhanced fluorescence spectroscopy
TERS : 探針増強ラマン分光法 tip-enhanced Raman spectroscopy
TNSOM : 透過型近接場走査型光学顕微鏡,透過型NSOM transmission near-field scanning optical
microscopy
TSM : 熱走査顕微鏡(非推奨) thermal-scanning microscopy
TSNOM : 透過型走査型近接場光学顕微鏡,透過型SNOM transmission scanning near-field optical
microscopy
UFM : 超音波力顕微鏡 ultrasonic force microscopy

2 形式

2.1 定義中に太字で規定されている用語の使用法

  定義及び注記の中で太字で示している用語は,この規格の中で定義している用語であることを示し,番
号を付した。

2.2 推奨用語

  細字で示している用語は,望ましくない(非推奨),又はあまり意味のない用語である。望ましい用語は,
太字で示す。

2.3 対象分野

  用語が幾つかの概念を表す場合,それぞれの概念が使用される対象分野を示すことが重要である。この
ため,定義に先だって,同じ行に〈 〉の括弧で対象分野を細字で示す。

3 走査型プローブ顕微鏡の定義

    注記 走査型プローブ顕微鏡(法)の定義を,次に示す。次の表中で,最後の“M”及び“S”は,
“microscopy”及び“spectroscopy”の略語となっているが,文脈によって“microscope”及び
“spectrometer”という意味でも同じように用いられる。同様に,日本語訳では,“顕微鏡”及
び“分光法”となっているが,文脈によって“顕微鏡法”及び“分光器”という意味でも用い
る。これらの読み替えを行う場合には,定義中の“方法”及び“装置”という単語を適宜置き
換える。
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3.1 無開口型ラマン顕 〈NSOM,SNOM〉適切に偏光された光を照射した試料表面に近 apertureless Raman
微鏡 microscopy
接した金属探針先端(5.120)において発生する近接場(5.88)光
源を利用したラマン分光データの計測を伴う顕微鏡。

――――― [JIS K 0147-2 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
K 0147-2 : 2017 (ISO 18115-2 : 2013)
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3.2 原子間力顕微鏡, atomic-force
柔らかいカンチレバー(5.18)上に設置された表面力を検知する
AFM, microscopy,
鋭い探針先端(5.120)のたわみをモニターしつつ,表面輪郭を機
走査型力顕微鏡 械的に走査することによって表面を画像化する方法。 AFM,
(非推奨), 注記1 AFMは絶縁体表面及び導電体表面でも定量的な高さ像 scanning force
SFM(非推奨) (5.69)が得られる。 microscopy
注記2 AFMには,探針先端位置を一定に保持しながら試料をx, (deprecated),
SFM (deprecated)
y,z方向に移動させる装置と,試料位置を一定に保った
まま探針先端を移動させる装置とがある。
注記3 AFMは真空中,液中,制御雰囲気中又は大気中で動作で
きる。適切な試料,先鋭化された探針先端及び適切な測
定モードを使用することで原子分解能を得ることができ
る場合がある。
注記4 垂直力(5.91),又は水平力(5.77),摩擦力(5.62)若し
くはせん断力などの様々な種類の力を測定することがで
きる。後者が測定される場合には,測定技術は,水平力
顕微鏡(3.13),摩擦力顕微鏡(3.11),せん断力顕微鏡
(3.37)と呼ばれる。この包括的用語は箇条1に挙げた
全ての種類の力顕微鏡を含む。
注記5 AFMは,画像化に使用された画素配列中の個々の点にお
ける表面垂直力の測定に用いることができる。
注記6 半径100 nm未満の典型的なAFM探針先端では,不可逆
的な表面変形又は過度の探針先端摩耗の発生が起こり得
るため,試料の材質に応じて,垂直力は約0.1 μN未満に
することが望ましい。
3.3 化学力顕微鏡, chemical-force
特定分子との相互作用力が得られるように機能化された鋭い探
CFM 針先端(5.120)の偏差を検出するLFM(3.13)又はAFM(3.2)microscopy,
モード。 CFM
注記 LFMが最も一般的に使われるモードである。
3.4 導電性探針原子間 conductive-probe
〈AFM〉導電性探針(5.109)を用いて形状及び探針先端(5.120)
力顕微鏡, atomic-force
と試料との間の電流[以下,探針先端(5.120)−試料間電流とい
CPAFM, う。]を同時に測定するAFM(3.2)モード。 microscopy,
CAFM(非推奨), 注記 CPAFMはコンタクトAFMから派生した2次的な測定モー CPAFM,
C-AFM(非推奨) ドであり,低中導電性の材料及び半導体材料の導電性変CAFM (deprecated),
C-AFM (deprecated)
化を評価することができる。通常,直流バイアスが探針先
端に印加され,試料はアース電位に保たれる。Zフィード
バック信号は通常のコンタクトAFMの形状像(5.69)を得
るために使用され,同時に,探針先端と試料との間に流れ
る電流が測定され,導電性AFM像が得られる。
3.5 電流イメージング current-imaging
〈STM〉STM探針先端を表面から一定の高さに保ち,バイアス電
トンネル分光 tunnelling
圧Vを掃引しながらトンネル電流Iを測定しマッピングする方法。
法, 注記1 通常は,一定の割合の時間だけアクティブになるようフspectroscopy,
CITS CITS
ィードバックループをゲート開閉制御することによっ
て,一定の高さが維持される。残りの時間,フィードバ
ックループは切られ,探針バイアスがランプ状に印加さ
れ,電流が測定される。
注記2 I-V分光法(5.74)参照。

――――― [JIS K 0147-2 pdf 7] ―――――

6
K 0147-2 : 2017 (ISO 18115-2 : 2013)
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3.6 ダイナミックモー dynamic-mode AFM,
〈AFM〉探針先端(5.120)と試料との相対位置を画像(5.69)上
ドAFM, の各ポイントで正弦波状に変化させるAFM(3.2)モード。 dynamic-force
ダイナミックフォ 注記1 正弦波振動は通常z軸方向の振動方式であり,一般的に microscopy,
ース顕微鏡, DFM
はカンチレバーの共振周波数近傍で動作させるが,場合
DFM によっては共振周波数で動作させることもある。
注記2 測定される信号は,カンチレバーの振幅,位相シフト又
は共振周波数シフトである。
3.7 静電気力顕微鏡, 〈AFM〉導電性探針(5.109)を使用して形状像及び探針先端 electrostatic-force
電気力顕微鏡(非 (5.120)と試料表面間との静電気力の分布を得るAFM(3.2)モmicroscopy,
推奨), ード。 electric-force
EFM microscopy
(deprecated),
EFM
3.8 電気化学原子間力 electrochemical
〈AFM〉導電性探針(5.109)を使用して電解質溶液中で形状像及
顕微鏡, び電気化学電流を測定するAFM(3.2)モード。 atomic-force
EC-AFM microscopy,
EC-AFM
3.9 電気化学走査型ト electrochemical
〈STM〉被覆探針(5.120)を使用して電解質溶液中で形状像及び
ンネル顕微鏡, 電気化学電流を測定するSTM(3.34)モード。 scanning tunnelling
EC-STM microscopy,
EC-STM
3.10 周波数変調原子間 frequency modulation
探針アセンブリ(5.20)の共振周波数(5.134)シフトをモニター
力顕微鏡, atomic-force
し,フィードバック回路を用いてセットポイントに調整されるダ
FM-AFM イナミックモードAFM(3.6)。 microscopy,
FM-AFM
3.11 摩擦力顕微鏡, 摩擦力(5.62)をモニターするSPM(3.30)モード。 frictional-force
FFM 注記 摩擦力はスタティックモード又は周波数変調モードで検出microscopy,
FFM
される。摩擦力の傾き方位角変化に関する情報はスタティ
ックモードを必要とする。
3.12 ケルビンプローブ Kelvin-probe force
導電性探針先端を使用して,探針先端と表面間との相対電位の空
力顕微鏡, microscopy,
間的又は時間的変化を測定するダイナミックモードAFM(3.6)。
ケルビンプローブ KPFM,
注記 相対的な電位の変化は,表面の仕事関数の変化を反映して
フォース顕微鏡, いる。 KFM (deprecated)
KPFM,
KFM(非推奨)
3.13 水平力顕微鏡, lateral-force
探針先端(5.120)に加わる水平力によって生じるカンチレバー
LFM microscopy,
(5.18)のねじれを観察することで,その水平力をモニターしな
LFM
がら,表面輪郭を探針アセンブリ(5.20)によって走査するSPM
(3.30)モード。
注記 水平力はスタティック又は周波数変調モードで検出され
る。表面分子の傾き方位角に関する情報はスタティックモ
ードを必要とする。
3.14 磁気ダイナミック magnetic
〈AFM〉磁気力(5.80)を使用して探針(5.109)を振動させる
フォース顕微鏡, AFM(3.2)モード。 dynamic-force
MDFM, microscopy,
磁気ACモード(非 MDFM,
推奨), magnetic AC mode
MACモード(非推 (deprecated),
奨) MAC mode
(deprecated)

――――― [JIS K 0147-2 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
K 0147-2 : 2017 (ISO 18115-2 : 2013)
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3.15 磁気力顕微鏡, magnetic-force
探針先端(5.120)と表面との間の原子間力及び磁気的相互作用を
MFM モニターする探針アセンブリ(5.20)を使用したAFM(3.2)モ microscopy,
ード。 MFM
3.16 magnetic-resonance
磁気共鳴力顕微鏡, 〈AFM〉共振させたカンチレバー(5.18)を使用して磁気的信号
MRFM force microscopy,
を機械的に検出し,試料内の核スピン又は電子スピンから発生す
る力を高感度で測定するAFM(3.2)測定モード。 MRFM
3.17 近接場走査(型) near-field scanning
透過光,反射光又は近接場(5.88)領域における関連する信号を
光学顕微鏡, optical microscopy,
モニターしながら,光の波長よりもはるかに小さい光学的に活性
NSOM, NSOM,
なプローブ(5.109)を試料表面上において機械的に走査すること
走査(型)近接場 scanning near-field
で,透過又は反射光によって表面を光学的に画像化する方法。
光学顕微鏡, 注記1 散乱型NSOM(3.36)及び散乱型SNOM(3.36)参照。 optical microscopy,
SNOM SNOM
注記2 形状像は重要であり,探針は一定高さで走査される。通
常,探針は高さを検知し調整するためにせん断モードで
振動する。
注記3 光学プローブの大きさが開口(5.5)で決定される場合,
開口サイズは典型的には10 nm100 nmであり,これは
通常,分解能を決定する。この形式の装置は多くの場合,
散乱型NSOM又は散乱型SNOM[以前は,無開口型NSOM
(3.36)又は無開口型SNOMと呼んだ。]と形式を区別す
るために開口型NSOM又は開口型SNOMという。しか
し,一般的には“開口型”の形容詞は省略される。無開
口型では,光学活性なプローブの大きさは,光が照射さ
れる先鋭化金属探針先端(5.120)又は金属被覆探針先端
の半径(典型的には半径10 nm100 nm)によって決定
され,これは通常,分解能を決定する。
注記4 光学像(5.69)に加えて,NSOMはAFM(3.2)及びそれ
に類する走査型プローブ技術で得られるのと同じよう
に,表面形状の定量的な像が得られる。
注記5 この包括的用語は,箇条2に挙げた全ての種類の近接場
顕微鏡を含む。
3.18 非接触原子間力顕 non-contact
弱い引力のファンデルワールス力,又はその他の力が検出される
微鏡, atomic-force
表面からの距離で探針先端(5.120)を動作させるダイナミックモ
NC-AFM ードAFM(3.6)。 microscopy,
NC-AFM
注記 このモードでの力は非常に小さく,ソフトマテリアルの研
究又は探針先端−表面間の相互汚染の回避のために最適で
ある。
3.19 光熱顕微分光法, photothermal
赤外光に暴露された試料の光熱応答を探針(5.109)が検出するこ
PTMS micro-spectroscopy,
とによって,吸収スペクトルが得られる走査型熱顕微鏡(SThM)
(3.33)のモード。 PTMS
注記 赤外光は,波長可変の単色光源,又はフーリエ変換赤外分
光計の一部として装備された広帯域光源でもよい。後者の
場合に,光熱温度揺らぎは,時間の関数として測定され,
インターフェログラムを提供する。これをフーリエ変換す
ることによって,試料のサブマイクロメートルの領域のス
ペクトルを与える。
3.20 Scanning capacitance
走査型容量顕微鏡, 導電性探針(5.109)を用いて,形状及び探針先端(5.120)と試
SCM 料との間の静電容量を測定するSPM(3.30)モード。 microscopy,
SCM

――――― [JIS K 0147-2 pdf 9] ―――――

8
K 0147-2 : 2017 (ISO 18115-2 : 2013)
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3.21 走査型化学ポテン scanning
試料表面垂直方向の一定温度勾配によって生起された熱起電力
シャル顕微鏡, chemical-potential
信号の空間的変化を測定し,化学ポテンシャル勾配における空間
SCPM 的変化に関連付けるSPM(3.30)モード。 microscopy,
SCPM
3.22 走査(型)電気化 scanning
電気化学的に活性な探針先端(5.120)を用いて電解質溶液中で画
学顕微鏡, 像化するSPM(3.30)モード。 electrochemical
SECM microscopy,
注記1 電気化学原子間力顕微鏡(EC-AFM)(3.8),電気化学走
SECM
査型プローブ顕微鏡(EC-SPM)(6.5)及び電気化学走査
型トンネル顕微鏡(EC-STM)(3.9)参照。
注記2 通常の場合,SECMの探針は極微細電極であり,その探
針信号は溶液種の電気分解から生じるファラデー電流で
ある。
注記3 通常,探針と試料電極又は参照電極との間の電位差が観
測される。
注記4 電解質溶液は,通常は,試料表面に電気二重層が存在す
るようなイオン性又は極性の液体である。
注記5 形状及び電気化学的活量のコンボリューションを測定す
るために,装置中で高さを一定にした探針で表面が走査
されることがある一方,試料が電気化学的に均一な場合,
探針先端と試料表面との距離が一定のフィードバックモ
ードによって,表面形状が記録される。
3.23 走査型ホール素子 scanning Hall probe
試料表面からの磁場を測定・マッピングするために,走査センサ
顕微鏡, としてホール素子が用いられるSPM(3.30)モード。 microscopy,
SHPM SHPM
3.24 走査型イオンコン scanning ion
電解質で満たされたマイクロピペット又はナノピペットが,電解
ダクタンス顕微 液に浸された絶縁性試料の局所探針(5.109)として用いられるconductance
鏡, SPM(3.30)モード。 microscopy,
SICM SICM
注記 イオン伝導度の距離依存性によって,非接触の表面形状計
測が実行できる。
3.25 走査型磁気抵抗顕 scanning
磁気抵抗電圧を検出することによって二次元磁気像(5.69)を測
微鏡, magneto-resistance
定するために,磁性試料表面をカンチレバー(5.18)上の磁気抵
SMRM microscopy,
抗センサ探針(5.109)が接触モード(5.35)で走査するSPM(3.30)
モード。 SMRM
3.26 走査型マクスウェ scanning Maxwell
マクスウェル応力を利用することによって,形状及び表面電位の
ル応力顕微鏡, stress microscopy,
両方を測定するために,電気伝導性の探針(5.109)が用いられる
SMSM SPM(3.30)モード。 SMSM
3.27 走査型近接場熱顕 scanning near-field
赤外線を感知する温度計が,光学プローブ(5.109)によって集め
微鏡, thermal microscopy,
られた局所的な発光を検出するために使われ,形状及び熱特性の
SNTM 両方を測定するSNOM法。 SNTM
3.28 走査型近接場超音 scanning near-field
表面輪郭を機械的に走査し,高周波音波[MHz又はそれ以上のオ
ultrasound
波ホログラフィ, ーダーであり,カンチレバー(5.18)の共振周波数(5.134)より
SNFUH holography,
十分に高い周波数]を試料底部に印加しつつ,僅かに異なる周波
SNFUH
数でもう一つの高周波音波をカンチレバーに印加し,その干渉結
果を検出することによって,表面及び表面近傍領域を画像化する
方法。
3.29 走査型非線形誘電 scanning non-linear
電気伝導性の探針(5.109)を用いて形状及び誘電率(静電容量)
率顕微鏡, の両方を測定するSPM(3.30)モード。 dielectric
SNDM microscopy,
SNDM

――――― [JIS K 0147-2 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS K 0147-2:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 18115-2:2013(IDT)

JIS K 0147-2:2017の国際規格 ICS 分類一覧