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K 0147-2 : 2017 (ISO 18115-2 : 2013)
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3.30 走査(型)プロー scanning-probe
対象の表面上を探針(5.109)が機械的に走査しながら,検出器の
ブ顕微鏡, 随伴的応答を測定することによって,表面を画像化する手法。microscopy,
SPM 注記1 この包括的用語は,箇条1に挙げたAFM(3.2),CFM SPM
(3.3),CITS(3.5),FFM(3.11),LFM(3.13),SFM,
SNOM(3.17),STM(3.34),TSMなどを含む。
注記2 分解能はSPM手法に依存し,原子分解能可能なSTMか
ら,一般に1 μm程度に分解能が制限されるSThM(3.33)
まで分布する。
3.31 走査型拡がり抵抗 scanning
電気伝導性の探針先端(5.120)を用いて形状及び拡がり抵抗の両
顕微鏡, 方を測定するSPM(3.30)モード。 spreading-resistance
SSRM 注記 Si試料のSSRM測定には,ダイヤモンド探針(5.109)又は microscopy,
SSRM
ダイヤモンド被覆探針がほとんど常に使用される。一方,
ダイヤモンド探針を使用すると試料を損傷するおそれのあ
る場合(柔らかいInPの場合など),他の電気伝導性の探針
によってSSRMを実行することは可能である。
3.32 走査型表面電位顕 scanning surface
電気伝導性の探針(5.109)を用いて,形状及び表面電位の両方を
微鏡, 測定するSPM(3.30)モード。 potential
SSPM 注記 3.12で定義したように,KPFM(3.12)はAFM(3.2)を使 microscopy,
って実施されるSSPMである。これが該当する場合では,SSPM
より包括的な用語であるSSPMよりも,当該手法を説明す
る用語としてKPFMを用いることが望ましい。
3.33 走査型熱顕微鏡, scanning thermal
形状及び熱特性の両方を測定するために,熱センサが探針(5.109)
SThM に組み込まれているSPM(3.30)の手法。 microscopy,
注記1 そのような熱特性の例は温度及び熱伝導率である。 SThM
注記2 この手法は熱走査顕微鏡又はTSMということがあるが,
そのような表現及び略語は非推奨である。
3.34 走査(型)トンネ scanning tunnelling
電圧印加された鋭い導電性探針先端(5.120)を導電性表面上で機
ル顕微鏡, microscopy,
械的に走査することによって,導電性表面を画像(5.69)化する
STM STM
ためのSPM(3.30)モード。トンネル(5.169)電流及び探針先端
−表面距離のデータが画像形成に用いられる。
注記1 STMは,真空,液体中又は大気中において動作できる。
原子分解能は,適切な試料及び鋭い探針によって達成で
きる。理想的な試料では,表面原子周囲の局所的結合に
関する情報を提供することができる。
注記2 画像は,探針先端及び試料の所定の相対的電位における
一定トンネル電流における高さデータ,一定高さにおけ
るトンネル電流,又は他の測定モードから形成すること
ができる。
注記3 STMは,表面の状態密度,又は理想的な場合には,個々
の原子周辺の状態密度のマッピングに用いられる。同一
の表面形状であっても,表面像は探針バイアス(5.159)
に依存して著しく異なることがある。
3.35 走査型トンネル分 scanning tunnelling
探針先端(5.120)と試料との間のトンネル(5.169)電流Iが,探
光法, 針先端−試料間の電圧Vを走査しながら測定されるSTM(3.34)spectroscopy,
STS モード。 STS
注記1 I-V分光法(5.74)参照。
注記2 微分コンダクタンスdI/dVは,電子の局所状態密度
(LDOS)を反映する。試料が超伝導体ならば,フェルミ
準位近傍のエネルギーギャップの特徴を明らかにでき
る。
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3.36 散乱型 scattering
鋭い走査探針先端(5.120)の近傍で散乱又は放出された光を検出
NSOM/SNOM, NSOM/SNOM,
することによって,アッベ回折限界(5.1)以下の分解能での画像
s-NSOM, 化が達成できる方法。 s-NSOM,
s-SNOM, 注記1 ASNOM及びANSOMは一般的に両方とも使われており, s-SNOM,
無開口型NSOM 開口型NSOM/SNOMを意味することも,無開口型 apertureless NSOM
(非推奨), NSOM/SNOMを意味することもある。混同する可能性を (deprecated),
ANSOM(非推奨), 減らすため,散乱型NSOM/SNOMが推奨される。この用 ANSOM (deprecated),
無開口型SNOM apertureless SNOM
語は,何が使われていないかを記載する用語よりは,当
(非推奨), 該技術をより説明している。 (deprecated),
ASNOM(非推奨) ASNOM (deprecated)
注記2 開口(5.5)は機器の分解能を定義しない。その代わりに,
探針先端周辺の近接場領域又は探針先端周辺の局所光学
場分布における散乱によって,プローブ体積が定義され
る。
注記3 鋭い探針先端は,通常は金属又は金属被覆され,表面増
強ラマン分光法(5.152),蛍光(5.52)分光法及び第二次
高調波発生(5.140)の測定を可能にする。銀に極近接し
た分子のラマン信号は1014倍にも増強され得る。
注記4 探針先端は単一蛍光分子又はナノ粒子(5.87)であるこ
ともあり得る。
注記5 文献では,略語ANSOM又はASNOMは,開口型NSOM
又は開口型SNOMとして時に誤用されていることがあ
る。
3.37 せん断力顕微鏡, shear force
〈AFM〉表面に近接して横方向に振動している探針先端(5.120)
ShFM から生じる信号を用いるAFM(3.2)モード。 microscopy,
ShFM
3.38 スピン偏極走査型 〈STM〉(強磁性又は反強磁性で)磁気的に秩序化したSTM spin-polarized
scanning tunnelling
(3.34)の探針先端(5.120)を試料表面上で走査し,スピン依存
トンネル顕微鏡,
SP-STM, microscopy,
トンネル(5.169)電流を計測することでナノメートルスケールの
スピン分解トンネ 二次元的な磁気構造を画像化するSTMモード。 SP-STM,
ル顕微鏡(非推 spin-resolved
奨), tunnelling
SRTM(非推奨) microscopy
(deprecated),
SRTM (deprecated)
3.39 スピン偏極走査型 spin-polarized
試料表面上の磁気的,電気的構造をナノメートルスケールで調べ
scanning tunnelling
トンネル分光法, るため,(強磁性又は反強磁性で)磁気的に秩序化したSTM探針
SP-STS spectroscopy,
先端を試料表面上で走査し,スピン偏極トンネル(5.169)分光法
を行うSTS(3.35)モード。 SP-STS
3.40 スタティックモー static-mode AFM,
〈AFM〉制御パラメータが時間的に一定となるよう探針(5.109)
ドAFM, static AFM
を走査するAFM(3.2)モード,又は試料表面上の走査線上の各
スタティック 固定点において制御パラメータを走査するAFMモード。
AFM 注記 制御パラメータとは,例えば,力又は高さである。
3.41 探針増強蛍光分光 〈NSOM,SNOM〉適切な偏光で照射された試料表面に近接させ tip-enhanced
法, fluorescence
た金属探針先端(5.120)で観測される増強された蛍光を用いた分
TEFS 光法。 spectroscopy,
注記 探針増強ラマン分光法(3.42)参照。 TEFS
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3.42 探針増強ラマン分 〈NSOM,SNOM〉適切な偏光で照射された試料表面に近接させtip-enhanced Raman
光法, た金属探針先端(5.120)で観測される増強されたラマン効果 spectroscopy,
TERS (5.128)を用いた分光法。 TERS
注記 探針増強蛍光分光法(3.41)及び表面増強ラマン散乱(5.151)
参照。
3.43 超音波力顕微鏡, ultrasonic force
〈AFM〉探針(5.109)を通して超音波を注入し,表面又は表面下
UFM の力学的な構造を観測するAFM(3.2)モード。 microscopy,
UFM
4 接触力学モデルに関する略語及び用語
注記 接触力学においては,基礎理論はしばしば略語(省略形)で表される。混同を避けるため,こ
れらの略語を次に定義する。これらのモデルでは全て,接触している材料は均一かつ等方的で
あり,線形弾性的な構成挙動をもつと仮定している。不均一性,異方性,非線形性,粘弾性,
弾塑性及びその他の特性をもつ材料のための種々の接触モデルも得られており,参考文献で見
つけることができる。
番号 用語 定義 対応英語(参考)
4.1 BCP, BCP,
長距離力が接触領域の外でだけ働くことを仮定した,探針先端
バーナム-コルト (5.120)と表面間との接触に関する半経験的モデル[1]。 Burnham-Colton-
ン-ポロックモ 注記 この単純な半経験的アプローチは多くの実験的なAFMの Pollock model
デル 力−距離曲線とよく合う。このモデルは,DMT(4.3)理
論におけるフォースカーブの傾きの極端な不連続,及び
JKRSモデル(4.5)における接着のヒステリシスを避け
ている。長距離力は接触領域の外でだけ働き,接着ヒス
テリシスが存在しないとしたときの押し込み深さと接触
半径との間のヘルツ接触の関数を用いている。
4.2 COS, COS,
球と平たんな平面との間として近似した,探針先端(5.120)と
カーピック-オグ 表面との接触モデル[2]。モージの解を精度1 %以内で近似する簡
Carpick-Ogletree-
レトリ-サルメ 便な一般解を与える。 Salmeron model
ロンモデル 注記 この一般式は従来のカーブフィッティング法に適してお
り,モージによって表されたパラメータの概算値を決め
る迅速な手段を提供する。
4.3 DMT, 探針先端(5.120)と表面との間の接触モデル[3]。接着力は考慮
DMT,
デリャーギン-ミ Derjaguin-Mller-
されるが,探針先端と試料との間の幾何学的配置はヘルツ理論
ューラー-トポ に従う。 Toporov model
ロフモデル 注記 このアプローチは,弱い接着力かつ小さい曲率半径の剛
体系に適用される。接着力は考慮される一方,探針先端
−表面間の幾何学的配置はヘルツ理論,すなわち,表面
力を説明するためのオフセットを伴うヘルツの力学に従
う。
4.4 ヘルツモデル Hertzian model
弾性体と仮定した,探針先端(5.120)と表面との間の接触モデ
ル[4]。いかなる表面力及び接着のヒステリシスも無視される。
注記 ヘルツによって導出され,ジョンソンによって示された[4]
このアプローチは,弾性体同士の接触について表現して
いる。表面力及び接着のヒステリシスを考慮せず,表面
力が存在しない高負荷下で適用される。
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番号 用語 定義 対応英語(参考)
4.5 JKR(S) モデル, 探針先端(5.120)と表面との間の接触モデル[5]。接触領域外の
JKR(S) odel,
ジョンソン-ケン Johnson-Kendall-
接着力は考慮されず,接触領域の端での弾性応力は無限になる。
ドール-ロバー Roberts
注記1 このモデルでは,接触領域外の接着力は考慮されず,接
ツ(-スパーリン (-Sperling) odel
触領域の端で弾性応力が無限となる。接触時には近距離
グ)モデル 引力が即座に作用し,探針先端と表面との幾何学的配置
はヘルツ理論にはもはや従わない。接着のヒステリシス
が考慮され,加負荷及び除負荷は急なプロセスとなる。
このアプローチは,低い剛性(5.147)かつ大きな曲率
半径で,高い接着力をもつ系に適用される。
注記2 JKRとJKRSモデルとは同じものであり,JKRの略語が
非常によく用いられる。JKRSの略語はスパーリングの
初期の研究[6]まで認知を広げたものである。
4.6 モージモデル, Maugis model,
球と平たんな平面との間として近似した,探針先端(5.120)と
モージ-ダグデー Maugis-Dugdale
表面との接触モデル。弾性係数と付着仕事(5.175)とが組み込
ルモデル まれている[7]。 model
注記 このモデルは,球と平たんな表面との間の接触力学の複
雑にかつ数学的に記載したものであり,換算弾性係数,
換算曲率半径,接着の仕事量,探針先端−試料間の原子
間平衡距離といった関数であるパラメータを介して,あ
らゆる材料的可能性に適用される。極限において,この
パラメータが無限大又はゼロに限りなく近づくと,モー
ジの力学はそれぞれJKRS(4.5)又はDMT(4.3)力学に
収束する。
5 走査型プローブ法に関する用語
番号 用語 定義 対応英語(参考)
5.1 アッベ回折限界, 〈NSOM,SNOM〉対象物から,波長と比べて非常に大きな距 Abbe diffraction
遠視野回折限界 limit,
離に位置する集光光学系に対する限界で,回折現象が支配的な
光学系において達成し得る最高分解能。 far-field diffraction
注記 古典的な遠視野回折理論において,開口数,NA(5.93)limit
の光学系によって観測される最高の2点間分解能dは,d
=0.61λ/NAで与えられる。ここで,λは照射光の波長であ
る。注意深く設定された照射系では,係数0.61は0.36ま
で減らすことができる。
5.2 有効長さ active length
走査中に試料と接触する可能性のある探針先端(5.120)領域の
長さ(参考文献[8]参照)。
注記1 この長さは走査中に遭遇する最も高い形状の高さによ
って設定される。
注記2 この長さは探針長さ(5.112)より短い。
5.3 振幅変調検出, amplitude
〈AFM〉表面を走査中に,振動しているカンチレバー(5.18)
AM検出 modulation
が一定の振動振幅を維持するよう探針(5.109)の高さを変化さ
せ,これを測定するダイナミックモード。 detection,
AM detection
注記1 振動周波数は通常,振幅変動が最大となる共振周波数
(5.134)に近接した値に設定される。
注記2 駆動信号と応答信号との間の位相シフトも測定するこ
とができ,探針先端−試料間の相互作用による散逸エネ
ルギーの情報が得られる。
注記3 検出信号は,一つのパラメータを一定に維持するように
フィードバック系の中で使われる。
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番号 用語 定義 対応英語(参考)
5.4 反ストークス散乱 入射光子より出射光子が高いエネルギーをもつラマン効果 anti-Stokes
(5.128)。 scattering
注記 ストークス散乱(5.148)参照。
5.5 開口 〈NSOM,SNOM〉不透明な管状体の先端に開けられた,典型 aperture
的には円形の孔。
注記 光学(光源,電子線又は光学)機器の性能上,開口は画
像又はスペクトルの分解能を決定する際に決定的に重要
である。
5.6 アーティファクト artefact
装置の不完全性から測定データに生じる余分なゆがみ又は追加
された特徴。
5.7 原子起伏 atomic corrugation
単結晶の低指数表面又は微斜面における原子の規則的な起伏。
原子起伏は,原子幅又はそれ以上の間隔であり,原子サイズに
相当する比率の高さをもつ。
注記 原子起伏は,局所状態密度の分布及び表面エネルギー
(5.150)の最小化によって生じ,探針先端(5.120)又は
その状態,温度及び吸着物の影響を受ける。
5.8 弾道電子 散乱の影響を受けずに物質中を移動する電子。 ballistic electron
注記1 弾道電子のもつエネルギーは,系の熱平衡状態における
電子より大きい。
注記2 弾道電子の平均自由行程は,輸送方向の試料の特性寸法
より大きい。
5.9 障壁高さ barrier height
電子の移動を妨げる領域のポテンシャルエネルギーの大きさ。
注記 STM(3.34)では,障壁高さは基板及び探針先端(5.120)
の仕事関数に依存する。古典力学では,電子の運動エネ
ルギーが障壁高さより小さければ障壁を越えられない
が,量子力学では,有限の確率で障壁をトンネルするこ
とができる。金属から金属へ真空ギャップを通過する電
子の量子トンネル効果(5.169)では,障壁高さは片方の
金属のフェルミエネルギーと二つの金属間の空間のポテ
ンシャル分布の最大値との差である。
5.10 局所的障壁高さ local barrier height
特定の位置におけるトンネル障壁(5.12)のポテンシャルエネル
ギー。
注記 STM(3.34)の探針先端(5.120)が試料上を走査すると
きに,表面又は表面付近に存在する低仕事関数の化学的
に不均質なもの(不純物)によって,探針位置によって
ポテンシャルエネルギーが変化することがある。
5.11 トンネル障壁高さ tunnelling barrier
トンネル障壁(5.12)に伴うポテンシャルエネルギーの大きさ。
注記1 障壁高さ(5.9)参照。 height
注記2 STM(3.34)では,障壁高さの大きさは,探針先端(5.120)
及び基板の仕事関数に関係する。
5.12 トンネル障壁 tunnelling barrier
量子力学的トンネル効果(5.169)によって電子が通り抜けるエ
ネルギー障壁。高さ(エネルギー),幅(長さ),形状(エネル
ギー−長さプロファイル)を伴う。
注記1 電子のエネルギーが障壁高さ(5.9)より小さい場合,
古典力学では輸送は起こらないが,量子力学では,有限
の確率で電子は障壁を通過する。
注記2 トンネル障壁高さ(5.11)及びトンネル障壁幅(5.13)
参照。
――――― [JIS K 0147-2 pdf 15] ―――――
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JIS K 0147-2:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 18115-2:2013(IDT)
JIS K 0147-2:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.71 : 化学技術(用語集)