JIS K 3611:1995 規格概要
この規格 K3611は、生体工学分野で用いる用語のうち,生体材料工学,生体機械工学及び生体計測工学部門で用いる用語について規定。
JISK3611 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K3611
- 規格名称
- 生体工学用語(生体システム部門)
- 規格名称英語訳
- Technical terms for biological engineering (biosystem)
- 制定年月日
- 1995年1月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 01.040.07, 07.080
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1995-01-01 制定日, 2002-05-20 確認日, 2006-10-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS K 3611:1995 PDF [52]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K3611-1995
生体工学用語(生体システム部門)
Technical terms for biological engineering (biosystem)
1. 適用範囲 この規格は,生体工学分野で用いる用語のうち,生体材料工学,生体機械工学及び生体計
測工学部門で用いる主な用語について規定する。
2. 分類 用語の分類は,次による。
(1) 生体材料工学
(1.1) 素材
(a) 天然高分子
(b) 合成高分子
(c) セラミックス
(d) 金属
(1.2) 生体との相互作用
(a) 生体反応
(b) 生体適合性
(c) 生体分解吸収性
(1.3) 評価・試験方法
(a) 力学特性
(b) 表面特性(表面分析)
(c) 安全試験法
(1.4) 滅菌
(1.5) 応用
(a) 診断系
(b) 一般外科系
(c) 歯科・口こう(腔)外科系
(d) 整形外科系
(e) 眼科系
(f) 血管外科系
(g) 胸部外科系
(h) 形成外科系
(i) 脳神経外科系
(j) じん(腎)疾患系
(k) 代謝系
――――― [JIS K 3611 pdf 1] ―――――
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K3611-1995
(l) ドラッグデリバリーシステム系
(2) 生体機械工学
(2.1) 運動メカニズム
(2.2) リハビリテーション
(2.3) ロボット
(2.4) 感覚・その他
(3) 生体計測工学
(3.1) 生体電気計測
(3.2) 生体磁気計測
(3.3) 放射線計測
(3.4) 磁気共鳴計測
(3.5) 生体超音波計測
(3.6) 生体温熱計測
(3.7) 生体光計測
(3.8) 生体成分計測
(3.9) 生体画像処理
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。
なお,参考のために対応英語を示す。
(1) 生体材料工学
(1.1) 素材
(a) 天然高分子
番号 用語 定義 対応英語(参考)
11001 アテロコラーゲン atelocollagen
抗原性をもつテロペプチドを取り除いたコラーゲンで,バ
イオマテリアルの原料。
11002 アルギン酸 alginic acid
褐藻類から抽出される酸性多糖類で,D−マンヌロン酸及
戀
びL−グルクロン酸の 1,4結合からなる直鎖状天然高分
子。
備考 親水性ゲルとして利用される。
11003 エラスチン elastin
動脈,けん(腱),皮膚などのような生体内の伸縮性に富
んだ組織に存在する架橋構造をもつたん白質。
11004 グッタペルカ gutta-percha
植物の分泌液であるグッタを精製して固化した天然のト
ランス−1,4−ポリイソプレン。
備考1. 根管充てん(填)材やプラスチック副木など
に利用される。
2. ガッタパーチャーともいう。
11005 寒天 agar
ガラクトースの1,3結合及び1,4結合(割合は9 : 1)か
らなるガラクターンを主成分とするヘミセルロースの一
種。
備考 親水ゲルとして使用される。
11006 キチン 戀
N−アセチル−D−グルコサミンの 1,4結合からなる直
chitin
鎖状天然高分子。
備考 創傷被覆などに利用される。
――――― [JIS K 3611 pdf 2] ―――――
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K3611-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
11007 キトサン chitosan
キチンのN−アセチル基を加水分解した,2−アミノ−D−
グルコースの繰返し単位からなる塩基性多糖。
備考 水不溶の親水性ゲルを作る。
11008 絹 silk
蚕の繭から作られる,主にフィブロインから構成される天
然繊維。
備考 縫いやすい手術糸として利用されている。
11009 グリコサミノグリ glycosaminoglycan
アミノ糖とウロン酸(又はガラクトース)からなる二糖の
カン 繰返し単位で構成された複合多糖。
備考 旧称,ムコ多糖(11025参照)。
11010 血清アルブミン serum albumin
血しょう(漿)中に含まれる成分のうち,最も多い球状た
ん白質。
備考 生体材料に対しては不活性。
11011 コラーゲン collagen
動物の結合組織を構成する最も主要な三重ら旋たん白質
で,細胞間物質の一つ。
備考 生体由来のバイオマテリアルとして広く用いら
れる。
11012 酢酸セルロース cellulose acetate
セルロースのヒドロキシル基をアセチル化したセルロー
ス誘導体の一つ。
備考 血液透析,逆浸透膜,ろ(濾)過膜などに使わ
れる。
11013 生体高分子 たん白質,核酸,多糖などの天然高分子。 biopolymer
備考 遺伝,物質代謝などの生命を維持する機能をも
つ。
11014 セルロース 拿 D−グルコースが1と4の位置で脱水縮合した多糖。
cellulose
備考 植物体の細胞壁を構成している天然高分子の一
つであり,血液透析膜として広く利用されてい
る。
11015 ゼラチン 高等動物の全たん白質の31を占めるコラーゲンの三重ら旋
gelatin
構造が壊れた変性体。
11016 生体由来材料 生体材料のうち,動物や人の生体から得られる材料。 tissue-derived biomaterial
11017 デキストラン 懿
グルコース残基だけからなり, 1,6結合の主鎖に, dextran
−1,3などで結合した分岐をもつ高分子量の多糖。
11018 天然高分子 天然に存在する,動物と植物を構成する有機高分子。 natural polymer,
naturally-occurring
polymer
11019 天然ゴム natural rubber
へベア樹の樹皮の切口から採取した乳白色のラテックス
を少量のぎ酸で凝固させて乾燥したシスポリイソプレン
を主体とする混合物。
11020 でんぷん 懿
約20%のアミロース( 1,4−グルコシド結合重合体)starch
懿
と約80%のアミロペクチン( 1,4−, 懿 1,6−グル
コシド結合重合体)の混合物。
11021 トロポコラーゲン tropocollagen
コラーゲン繊維を構成している基本のコラーゲン分子。
11022 ヒアルロン酸 拿 拿
D−N−アセチルグルコサミンの3位と D−グルクロ
hyaluronic acid
ン酸の4位が交互に結合してできた直鎖状の多糖。
11023 ヒドロキシエチル hydroxyethyl starch
でんぷんの酸化エチレンによる水酸基のヒドロキシエチ
デンプン ル化によって得られるでんぷん誘導体。
11024 ポリ 拿 poly
ヒドロキシ微生物が産生する3−ヒドロキシ酪酸重合体である生分解 戀 hydroxybutyric
酪酸, 性脂肪族ポリエステル。 acid
PHB
――――― [JIS K 3611 pdf 3] ―――――
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K3611-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
11025 ムコ多糖 mucopolysaccharide acid
動物の粘性分泌物から得られるアミノ糖を含む複合多糖
の総称。
備考 グリコサミノグリカンの旧称(11009参照)。
(b) 合成高分子
番号 用語 定義 対応英語(参考)
11026 可塑剤 plasticizer
高分子に添加して塑性柔軟性を与え,加工性を改良する物
質。
備考 ポリ塩化ビニルを軟質にする2−エチルヘキシ
ンジフタレートが代表的。
11027 共重合体 2種類又はそれ以上の異なる単量体から構成された重合copolymer
体。
11028 合成高分子 synthetic polymer
主鎖が主として共有結合でできている人工的に合成され
た分子量が約10 000以上の巨大分子。
11029 高分子複合体 polymer alloy
ミクロにみて高分子を2種類以上含んでいる高分子多相系
であり,ブロック共重合体,グラフト共重合体及びポリマ
ーアロイの総称。
11030 シリコーン 有機けい素,化合物シロキサンの高分子同族体。 silicone
備考 ゲル及びエラストマーとして医療に使用され
る。
11031 常温重合開始剤 room-temperature
分解の活性化エネルギーが小さく,常温でラジカルイオン
initiator
などの活性種を容易に発生でき,連鎖重合を開始できる化
合物。
11032 水溶性高分子 water-soluble polymer
分子中に水と強く相互作用する極性基(イオン性基,ヒド
ロキシル基,アミノ基,アミド基,エーテル基など)を数
多く含み,水に溶解する高分子。
11033 多相系高分子材料 multi-phase polymer
2種類以上の高分子を混合又は結合した系において,通常
の電子顕微鏡レベルの大きさで相構造の発生が認められ material
る材料。
11034 炭素繊維 単体炭素を主体とする繊維状材料。 carbon fiber
11035 ポリアミド 主鎖にアミド結合 (-CONH-) をもつ重合体の総称。 polyamide
11036 軟質ポリ塩化ビニ plasticized polyvinyl
ポリ塩化ビニルに可塑剤を配合し,柔軟材を付与したポリ
ル, 塩化ビニル。 chloride
可塑化ポリ塩化ビ
ニル
11037 熱可塑性エラスト thermoplastic elastomer
加熱すると塑性変形しやすくなり,常温付近で弾性を示す
マー 高分子。
11038 ヒドロゲル 水を分散媒とするゲル。 hydrogel
備考 含水ソフトコンタクトレンズなどとして用いら
れている。
11039 高分子複合材料 polymer composite
有機又は無機金属系の粒状物,ウイスカー,繊維などの強
化材を高分子樹脂の母材で固めて複合化し,力学的・物理
的特性を向上させた材料。
11040 ポリ(4−メチルペ プロピレンのダイマー,4−メチルペンテン−1−CH2=poly (4-methylpentene-1)
ンテン−1) CHCH2CH (CH3) H3−の重合体。
備考 透明性が高くディスポーザブル医療用具の素材
に適する。
――――― [JIS K 3611 pdf 4] ―――――
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K3611-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
11041 ポリウレタン ウレタン結合−NHCOO−を主鎖中にもつ弾性のある重合polyurethane
体。
備考 血液透析器のポッティング材及び血液接触材料
として利用される。
11042 ポリエチレン エチレンの重合体− [CH2CH2] n−。 polyethylene
11043 ポリエチレングリ エチレンオキシドの繰返し構造をもつ水溶性高分子。 polyethylene glycol
コール 備考 改質材の一種。
11044 ポリエチレンテレ polyethylene
エチレングリコールとテレフタル酸との重縮合によって
フタレート 得られる構造をもつポリエステル。 terephthalate
備考 人工血液などの材料。
11045 ポリカーボネート polycarbonate
ビスフェノール−Aとホスゲンの重縮合体で得られる炭酸
エステル基を主鎖にもつポリマー。
備考 透明であり,医療用具のハウジングに多用され
ている。
11046 ポリグリコール酸 グリコール酸 (HOCH2COOH) の重縮合体の構造をもつ生polyglycolic acid
体吸収性の合成脂肪族ポリエステル。
備考 ポリグリコリド (polyglycolide) ともいう。
11047 ポリスルホン 主鎖に−SO2−をもつ高分子の総称。 polysulfone
11048 ポリテトラフルオ テトラフルオロエチレンを重合して得られる高分子。 polytetrafluoro-ethylene
ロエチレン 備考 生体安全性と耐久性が高いのでバイオマテリア
ルとして広く利用されている。
11049 ポリ乳酸 乳酸 [HOCH (CH3) 00H] の重縮合体。 polylactic acid
備考 生体吸収性の合成脂肪族ポリエステル。
11050 ポリビニルアルコ polyvinyl alcohol
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる親水性重合体 [−
ール CH2CH (OH) ] 。
11051 ポリメタクリル酸2 poly2-hydroxyethyl
メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの重合によって得られ
−ヒドロキシエ る重合体。 methacrylate
チ 備考 ソフトコンタクトレンズなどに利用されている
ヒドロゲル。
11052 ポリラクチド ポリ乳酸(11049)の項参照。 polylactide
11053 ミクロ相分離構造 分子内にミクロ的に不均質な構造をとる高分子。 microphase-separated
備考 微視的には,同種の成分どうしが集合して相分 structure
離し,形成されたドメインがモザイク状に入り
組んだ構造。
11054 2−シアノアクリレ 2-cyanoacrylate
2−シアノアクリル酸 [CH2=C (CN) OOH] のエステル。
ート 備考1. 水分で重合が常温で開始されるので生体用瞬
間接着剤として,緊急避難的に使用されるこ
とがある。
2. 懿 愀
シアノアクリレート ( cyanoacrylate) と
もいう。
11055 ポリスチレン スチレンの重合体。 polystyrene
備考 細胞培養や臨床検査にも用いられ,熱可塑性,
透明性に富むはん(汎)用プラスチック。
11056 ポリホスファゼン polyphosphazene
りん原子と窒素原子が交互にりん−窒素二重結合体で結
合した無機高分子化合物の総称。一般式は− (PR2=N) -。
備考 生体吸収性の誘導体も合成されている。
11057 ポリプロピレン プロピレンの重合体− [CH2CH (CH3) n-。 polypropylene
備考 注射筒,縫合糸,膜材料などに使用される。
11058 ポリメタクリル酸 メタクリル酸メチルエステルの重合体。 polymethyl methacrylate
メチル 備考 眼科,歯科,整形外科,血液浄化に称される。
――――― [JIS K 3611 pdf 5] ―――――
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JIS K 3611:1995の国際規格 ICS 分類一覧
- 07 : 自然科学及び応用科学 > 07.080 : 生物学.植物学.動物学
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.07 : 自然科学及び応用科学(用語集)