JIS K 3703-1:2004 コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌など)の菌数測定方法―第1部:ベアード・パーカー寒天培地 | ページ 2

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70 に30秒間浸せきして殻を消毒し,次いで,大気中に放置して乾燥させる。
無菌条件下で卵を割り,卵の殻の半分から他の半分へ卵黄を移す。これを繰り返して,卵黄
を卵白から分離する。滅菌済みフラスコ(6.5)に卵黄を入れ,その体積の4倍の滅菌水を加え
てよく混和する。47 ℃に設定したウォーターバス(6.4)中で混合物を2時間加熱してから,3 ℃
±2 ℃で1824時間放置し,沈殿物を生じさせる。上澄み液を新しい滅菌済みフラスコに無菌
的に集め,卵黄液とする。
調製後,卵黄液は,3 ℃±2 ℃で保存し72時間以内に用いる。
5.3.2.3 スルファメタジン溶液(sulfamethazine,sulfamezathine,sulfadimidine)
備考 この溶液は,試料中にProteus属の存在が疑われるときにだけ用いる。
5.3.2.3.1 組成
表 3 スルファメタジン溶液の組成
スルファメタジン 0.2 g
水酸化ナトリウム溶液, 0.1 mol/L 10 ml
精製水 90 ml
5.3.2.3.2 調製 スルファメタジンを水酸化ナトリウム溶液に溶解する。精製水で全量が100 mlになるよ
う希釈し,その後,速やかに孔径0.22 ンブランフィルターを用いてろ過し,滅菌する。この溶液
は,調製後,3 ℃±2 ℃で保存し1か月以内に用いる。
5.3.3 最終使用培地
5.3.3.1 組成
表 4 最終使用培地の組成
基礎培地(5.3.1) 100 ml
亜テルル酸カリウム溶液(5.3.2.1) 1.0 ml
卵黄液(5.3.2.2) 5.0 ml
スルファメタジン溶液(5.3.2.3) 2.5 ml
(試料中にProteus属の存在が疑われるとき)
5.3.3.2 調製 基礎培地を溶解し,ウォーターバス(6.4)を用いて約47 ℃まで冷却する。無菌条件下で,
他の2種類の溶液(5.3.2.1及び5.3.2.2)を加える。試料中にProteus属の存在が疑われるときは,スルフ
ァメタジン溶液(5.3.2.3)も加える。各溶液は,あらかじめウォーターバス中で47 ℃に温めておき,各溶
液を加えた後はよく混和する。
5.3.4 寒天平板培地の調製 最終使用培地(5.3.3.2)を滅菌済みシャーレに寒天の厚さが約4 mmとなる
ように分注して,固化させる。調製した寒天平板培地は,3 ℃±2 ℃で保存し,24時間以内に用いる。使
用前に,培地の表面から液滴が消えるまで寒天平板培地を乾燥させる。
備考 市販の寒天平板培地を用いる時は,製造業者の取扱説明書に従う。
5.4 ブレインハートインフュージョンブロス(BHIブロス)
5.4.1 組成
表 5 ブレインハートインフュージョンブロスの組成
単位 : 培地1 000 ml当たりの成分の質量
ペプトン(動物組織の酵素消化物) 10.0 g
乾燥子ウシ脳浸出物 (5) 12.5 g
乾燥ウシ心臓浸出物 (5) 5.0 g
グルコース 2.0 g

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単位 : 培地1 000 ml当たりの成分の質量
塩化ナトリウム 5.0 g
無水りん酸水素二ナトリウム(Na2HPO4) 2.5 g
精製水 残量(ml)
注(5) 代替品の使用も可
5.4.2 調製 必要に応じて加熱しながら,各成分又は市販の培地を精製水に溶解する。滅菌後25 ℃で
pH7.4±0.2となるように調整し,適切な容量の試験管(6.5)に培地を510 mlずつ分注する。その後,
速やかに121 ℃で15分間,培地を滅菌する。
5.5 ウサギ血しょう 市販の乾燥ウサギ血しょうを,製造業者の取扱説明書に従って滅菌精製水で溶解
する。乾燥ウサギ血しょうが入手できない場合,滅菌した新鮮ウサギ血しょうと滅菌精製水とを体積比1 :
3で混ぜて希釈する。くえん酸カリウム又はくえん酸ナトリウムを血液凝固防止剤として用いた場合(6),
EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液を,EDTAが0.1 ┰ 滅菌精製水で溶解又は希釈した
血しょうに加える。製造業者の指定がなければ,滅菌精製水で溶解又は希釈した血しょうは直ちに用いな
ければならない。
使用前に,コアグラーゼ陽性ブドウ球菌株とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌株とを用いて各ロットの血し
ょうを試験する。
注(6) しゅう酸血しょう又はヘパリン血しょうでは,EDTAは不要である[参考文献4) ]。
参考 コアグラーゼ陽性ブドウ球菌株(Staphylococcus aureus subsp. aureus JCM2151=ATCC 6538P
=CCRC 10451 =CIP 53.156 =DSM 346 =FDA 209P =IAM 12082 =NBRC 12732 (7)=IID 671=KCTC
1927 =NCIMB 8625 =NCTC 7447 =NRIC 1136 =NRRL B-313 =RIMD 3109007)。
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌株(Staphylococcus epidermidis JCM2414 Type strain=ATCC 14990
=DSM 20044 =IAM 12013)。
注(7) 微生物株の分譲業務は,平成14年7月1日付で財団法人醗酵研究所(IFO)から独立行政
法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)に移行された。NBRC番号は,IFO
番号と同一である。
6. 装置及びガラス器具
備考 仕様に合えば,ガラス器具の代わりに使い捨て器具を用いてもよい。
通常の微生物試験用器具を次に示す。
6.1 オーブン及びオートクレーブ オーブンは,170180 ℃に設定可能なもので,主にガラス,金属な
どを滅菌するのに用いる。オートクレーブは,飽和蒸気温度が最低121 ℃(制御部の温度制御±1 ℃)に
設定できるもの。
6.2 インキュベータ 接種済みの培地,寒天平板培地及び試験管を35 ℃±1 ℃又は37 ℃±1 ℃で保温
するためのもの。
6.3 器具乾燥機又はインキュベータ 温度範囲25 ℃50 ℃で,±1 ℃に維持できるもの。
6.4 ウォーターバス,又は類似の装置 47 ℃±2 ℃を維持できるもの。
6.5 試験管,フラスコ又はスクリューキャップ付き試験管 適切な容量で,培地の滅菌及び保存並びに
液体培地のインキュベーションに用いる。特に,滅菌済み溶血性試験用試験管(haemolysis tube)又は寸法
約10 mm×75 mmの丸底試験管などがよい。
6.6 シャーレ ガラス製又はプラスチック製で滅菌済みのもの。

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6.7 白金線及びパスツールピペット 滅菌済みの市販品を用いることができる。
6.8 吐出式メスピペット 容量が1 ml,2 ml及び10 mlで,それぞれ0.1 ml,0.1 ml及び0.5 mlの目盛付
きのもの。
6.9 スプレッダ 滅菌済みで,ガラス又はプラスチック製のもの。
6.10 pHメータ 目盛が0.01 ,25 ℃における精度が±0.1 のもの。
7. 試料の採取 試料の採取方法については,この規格では規定しない。試験対象の製品からの試料採取
について,特定の日本工業規格(日本産業規格)が存在しない場合は関係者で合意を得ることが望ましい。
試験対象を代表する試料が,輸送中又は保存中に損傷を受けず,かつ変化もなく試験室に届けられるこ
とが重要である。

8. 試料の調製

 試験対象の製品に適用される日本工業規格(日本産業規格)に従って試料を調製する。このような規格が
ない場合には,関係者で調製について合意を得ることが望ましい。

9. 実施手順

9.1   試料,試料懸濁液及び希釈液 試料,試料懸濁液及び希釈液は,ISO 6887-1及び試験対象の製品に
適用する特定の規格による。
9.2 接種
9.2.1 滅菌済みの吐出式メスピペット(6.8)を用いて,製品が液体の場合は0.1 mlを,液体以外の製品
の場合は試料懸濁液(10倍希釈)0.1 mlを,2枚の寒天平板培地(5.3.4)にそれぞれ塗抹する。必要であ
れば,試料の100倍希釈液,それにつづく10倍段階希釈液についても同様の手順を繰り返す。
9.2.2 ある製品において,測定するコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数が少ないことが予想される場合,液体
製品の場合は1.0 mlを,他の製品の場合は試料懸濁液1.0 mlを大きな寒天平板培地(直径140 mm)1枚,
又は小さな寒天平板培地(直径90 mm)3枚に塗抹することによって,検出限界を10倍まで上げることが
可能である。繰返し測定するため,寒天平板培地大2枚又は寒天平板培地小6枚を用意する。
9.2.3 スプレッダー(6.9)を用いて,シャーレの縁に触れないよう注意しながら,寒天平板培地上に試
料を可能な限り素早く慎重に塗抹する。寒天平板培地にふたをして,室温で15分間乾燥させる。
9.3 培養 9.2.3に従って調製した寒天平板培地を倒置して,インキュベーター(6.2)中で35 ℃又は37 ℃
(8)で24±2時間培養する。その後,更に24±2時間培養する。
注(8) この温度は,関係者で合意を得るものとし,試験報告書に記載する。
9.4 適切な希釈段階の寒天平板培地の選定及び判定
9.4.1 24±2時間の培養後,定形コロニーが出現している場所に寒天平板培地の裏面から印を付けていく。
すべての寒天平板培地を35 ℃又は37 ℃で更に24±2時間培養し,新たに出現した定形コロニーに印を付
ける。また,非定形コロニーにも印を付ける(備考1.)。
希釈しない液体製品を接種した寒天平板培地又は液体以外の製品の最も低倍の試料希釈液を接種した寒
天平板培地上に存在する定形及び/又は非定形コロニーは15個以上でなければならない(15個未満の場
合は,9.4.3及び10.2の方法で菌数が推定できる。)。
連続した2段階の希釈試料液で,出現したすべてのコロニーが300個以内(コアグラーゼ陽性ブドウ球
菌の定形コロニーを150個以内及び/又は非定形コロニーを150個以内を含む。)の寒天平板培地だけ(備
考2.)を菌数測定のために選択する。コアグラーゼ確認試験(9.5)のためにコロニーA個を選ぶ(一般に,

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定形コロニーだけである場合は定形コロニー5個,非定形コロニーだけである場合は非定形コロニー5個,
又は両型のコロニーが出現している場合は定形コロニー5個及び非定形コロニー5個を各寒天平板培地か
ら選ぶ。)。
備考1. 定形コロニーは,黒色又は灰色で,光沢があり,凸状の形態で,24時間培養後の直径は1
1.5 mm,48時間培養後の直径は1.52.5 mmであり,かつ周囲が透明帯となっている。少な
くとも24時間培養すると,乳白光を発するリングがコロニーに密着して,透明帯内に現れる
ことがある。
非定形コロニーとは,次のいずれかの形態を示すものをいう。
a) 光沢のある黒色のコロニーで,細幅の白色縁をもつこともある。透明帯は存在しないか,
かろうじて見える程度である。乳白光を発するリングは存在しないか,ほとんど見えない。
b) 透明帯のない,灰色のコロニー。
備考2. ブドウ球菌以外に属する細菌で,ブドウ球菌に類似した外観をもつコロニーを形成するも
のがある。確認試験前に,グラム染色による顕微鏡試験によって,ブドウ球菌と他の菌群を
鑑別できる。
9.4.2 1.0 mlの試料を3枚の小寒天平板培地上に塗布した場合(9.2.2参照),以後の菌数測定方法及び確
認手順においては,これら3枚の寒天平板培地をひとまとめにして取り扱う。
9.4.3 コアグラーゼ陽性ブドウ球菌数が少ない場合,定形及び非定形コロニーを含むすべての寒天平板培
地を保管する。9.4.1の条件を満たすすべての定形及び/又は非定形コロニーについて確認試験を行う。
9.5 確認試験(コアグラーゼ試験) 選択した各コロニー(9.4)の表面から菌体を取り,滅菌済みの白
金線(6.7)などでブレインハートインフュージョンブロス(5.4)の入った試験管に接種する。35 ℃又は
37 ℃(9)で24±2時間培養する。ウサギ血しょう(5.5)0.3 ml(製造業者が異なる量を指定すればその量
による。)の入った滅菌済みの試験管(6.5)に,この培養液0.1 mlを無菌的に加え,35 ℃又は37 ℃(9)
で培養する。46時間培養した後,試験管を傾けて血しょうが凝固しているかを調べる。試験結果が陰性
であれば,24時間培養後に再試験する。体積の半分以上が凝固していれば,コアグラーゼ試験は陽性であ
るとみなす。各ロットの血しょうの陰性対照として,滅菌したブレインハートインフュージョンブロス
(5.4)0.1 mlを推奨量のウサギ血しょう(5.5)に加え,菌を接種せずに培養したものを用いる。対照血し
ょうが凝固反応を示さなければ,試験は有効である。
備考 市販品を用いる場合は,製造業者の指定する方法による。
注(9) この温度は,関係者で合意を得るものとし,試験報告書に記載する。
10. 結果の表示
10.1 菌数が通常の場合
10.1.1 コアグラーゼ陽性ブドウ球菌数(a)の算出 算出は,寒天平板培地のそれぞれにおいて行う。コ
アグラーゼ陽性ブドウ球菌と確認された菌数(a)は,次の式によって算出する。
bc bnc
a cc cnc
Ac Anc
ここで, Ac : コアグラーゼ確認試験(9.5)の定形コロニー数

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Anc : コアグラーゼ確認試験(9.5)の非定形コロニー数
bc : コアグラーゼ陽性反応の定形コロニー数
bnc : コアグラーゼ陽性反応の非定形コロニー数
cc : 寒天平板培地(9.4)上に出現した全定形コロニー数
cnc : 寒天平板培地(9.4)上に出現した全非定形コロニー数
数値は,四捨五入して整数とする。
10.1.2 試料のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数(N)の算出 連続した2段階の希釈試料液で,出現したす
べてのコロニーが300個以内(コアグラーゼ陽性ブドウ球菌の定形及び/又は非定形コロニーを150個以
内を含む。)の寒天平板培地において,10.1.1に従って各寒天平板培地のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数を
算出する。連続する2段階の希釈試料液から,次の式を用いて試料中に存在するコアグラーゼ陽性ブドウ
球菌数(N)の加重平均を算出する。
a
N
V n1 1.0n2
ここで, a : 選定した全寒天平板培地上に出現したコアグラーゼ陽性
ブドウ球菌の全コロニー数
V : 各寒天平板培地への接種量(ml)
n1 : 選定した希釈倍率の寒天平板培地数
n2 : n1に続く希釈倍率の寒天平板数
d : 選定した試料希釈液(n1)の希釈率
算出結果は,四捨五入して有効数字2けたとする。
この結果を,1 ml当たり(液体製品)又は1 g当たり(液体製品以外)のコアグラーゼ陽性ブドウ球菌
数とする。菌数は,1.09.9の数値に10x(xは,整数を示す。)を乗じた形で記述する。
10.1.3 例 ある製品について希釈液0.1 mlを塗抹して菌数測定を行ったところ,次のような結果となった。
− 選定した試料希釈率(10-2)の寒天平板培地に出現したコロニー数 :
定形コロニー:65個及び85個並びに非定形コロニー : 0個
− 選定した希釈率に続く10倍希釈率(10-3)の寒天平板培地に出現したコロニー数 :
定形コロニー : 3個及び7個並びに非定形コロニー : 0個
釣菌したコロニー数は,次による。
− 65コロニーから5コロニーを取り,5コロニーすべてがコアグラーゼ陽性であったことから,a=65
を得た。
− 85コロニーから5コロニーを取り,3コロニーがコアグラーゼ陽性であったことから,a=51を得た。
− 3コロニーから3コロニーすべてをとり,そのすべてがコアグラーゼ陽性であったことから,a=3を
得た。
− 7コロニーから5コロニーを取り,5コロニーすべてがコアグラーゼ陽性であったことから,a=7を
得た。
65 51 3 7
N 2
57 272
.022 10

――――― [JIS K 3703-1 pdf 10] ―――――

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