JIS K 3705:2008 培地の試験方法―サルモネラ属菌用培地―サルモネラ属菌の検出 | ページ 2

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3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 8008によるほか,次による。
3.1 サルモネラ属菌(Salmonella spp.) この規格で規定する選択寒天培地上で定形又は非定形コロニー
を形成し,この規格に規定された所期の生化学的及び血清学的特性を示す微生物。
3.2 サルモネラ属菌の検出(detection of Salmonella spp.) この規格で規定する試験で,分取した一定量
の試料中に存在するサルモネラ属菌(3.1)の有無を判定すること。
3.3 精製水 JIS K 8008の3.2に規定するA2の水。
備考 これを超える精製度のものを使用することに関しては制限しない。滅菌水は,イオン交換水の
品質以上のものを乾熱滅菌若しくは蒸気滅菌又はフィルターでろ過し除菌したものとする。ま
た,市販の精製水を用いる場合は,この規格で規定する精製水と同等以上の品質のものとする。

4. 一般原則

4.1 サルモネラ属菌の検出

 連続する4段階の操作を必要とする(附属書A参照)。
備考 サルモネラ属菌は菌数が少ない可能性があるうえに,他の腸内細菌科の菌又は他科の菌が同時
に多数存在することがよくある。さらに,少数のサルモネラ属菌又は損傷を受けたサルモネラ
属菌を検出するには事前に増菌処理が必要となる。

4.2 非選択培地による前増菌処理

 室温下で緩衝ペプトン水に試料を接種し,37±1 ℃で18±2時間培養
する。一部の試料では,他の前増菌方法を用いる(9.1.2参照)。量が多い場合は,試料接種前に緩衝ペプ
トン水を37±1 ℃まで加温しておくのが望ましい。

4.3 液体選択培地による増菌処理

 ラパポート・バシリアディス・ソーヤペプトン(Rappaport-Vassiliadis
with soya)培地(以下,RVSブロスという。)及びミュラー・カウフマン・テトラチオネート・ノボビオシ
ン(Muller-Kauffmann tetrathionate/novobiocin)培地(以下,MKTTnブロスという。)に,4.2で得られた培
養液を接種する。RVSブロスは41.5±1 ℃で24±3時間培養,MKTTnブロスは37±1 ℃で24±3時間培養
する。

4.4 平板培養及び同定

 4.3で得られた培養液を,キシロース・リジン・デオキシコール酸塩(xylose lysine
deoxycholate)寒天培地(以下,XLD寒天培地という。)又はXLD寒天培地に相補的で,乳糖陽性のサル
モネラ属菌,チフス菌及びパラチフス菌株を分離するのに特に適した他の選択寒天培地(他の選択寒天培
地のうち,どの培地を選ぶかは,任意とする。)に接種する。
XLD寒天培地は37±1 ℃で培養し,24±3時間後に検査する。もう一方の選択寒天培地は,製造業者の
推奨する方法に従って培養する。
備考 ブリリアントグリーン寒天培地(BGA),亜硫酸ビスマス寒天培地などを一方の選択寒天培地
として使用してもよい。

4.5 同定の確認

 サルモネラ属菌と推定されるコロニーを継代培養した後,4.4に従って平板培養を行い,
適切な生化学的・血清学的試験によって確認する。

5. 培地,試薬及び血清

5.1 一般事項

 JIS K 3701による。

5.2 培地及び試薬

 附属書Bによる。
5.2.1 非選択前増菌培地(緩衝ペプトン水) 附属書B.1による。
5.2.2 一次選択増菌培地(RVSブロス) 附属書B.2による。
5.2.3 二次選択増菌培地(MKTTnブロス) 附属書B.3による。

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5.2.4 選択寒天平板培地
5.2.4.1 第1培地(XLD寒天培地) 附属書B.4による。
5.2.4.2 第2培地 もう1種の適切な培地の選択は,各検査室の自由裁量にゆだねられる。使用するとき
の調製に関しては,製造業者の使用説明書に従う。
5.2.5 ニュートリエント寒天培地 附属書B.5による。
5.2.6 TSI(Triple Sugar / Iron)寒天培地 附属書B.6による。
5.2.7 クリステンセン尿素寒天培地 附属書B.7による。
5.2.8 L-リジン脱炭酸試験用培地 附属書B.8による。
5.2.9 β-ガラクトシダーゼ検出用試薬 附属書B.9による。
5.2.10 Voges-Proskauer(VP)反応用試薬 附属書B.10による。
5.2.11 インドール反応用試薬 附属書B.11による。
5.2.12 半流動栄養寒天培地 附属書B.12による。
5.2.13 生理食塩水 附属書B.13による。

5.3 血清

 使用する抗血清が,サルモネラ属菌の全血清型の検出に適していることを確認する。
備考 単一又は複数のO群を含む抗血清(一価又は多価のO抗血清と呼ばれる。),Vi抗血清,単一
又は複数のH因子に対する抗体を含む抗血清(一価又は多価のH抗血清と呼ばれる。)がある。

6. 装置及びガラス器具

 適切な仕様であれば,使い捨ての器具を再利用可能なガラス器具の代わりに使
用できる。通常の微生物検査用機器(JIS K 3701参照)及び次に挙げた機器を用いる。

6.1 乾熱滅菌器又は蒸気滅菌器

 JIS K 3701参照。

6.2 乾燥キャビネット又は乾燥器

 対流によって換気され,3755 ℃で操作できるもの。

6.3 細菌培養器

 37±1 ℃で操作できるもの。

6.4 ウォーターバス

 41.5±1 ℃で操作できるもの。

6.5 ウォーターバス

 4447 ℃で操作できるもの。

6.6 ウォーターバス

 37±1 ℃で操作できるもの。
サルモネラは,少ない菌量で感染するため,ウォーターバス(6.4,6.5及び6.6)には抗菌剤を入れて使
用するのがよい。

6.7 滅菌白金線

 白金/イリジウム又はニッケル/クロム製のものを,火炎滅菌して用いる。プラスチ
ック製の使い捨てのものを用いてもよい。

6.8 滅菌白金耳

 白金耳の直径が約3 mm又は容量が10      

6.9 滅菌ピペット

 滅菌済みのもの。使い捨てのものを用いてもよい。

6.10 pHメータ

 2025 ℃における校正精度が±0.1 pHのもの。

6.11 試験管又はフラスコ

 適当な容量のもの。毒性がない金属製又はプラスチック製スクリューキャッ
プ付きの,瓶又はフラスコを使用してもよい。
6.12 目盛付きピペット(メスピペット)又は自動ピペット 容量が10 mL及び1 mLで,それぞれ0.5 mL,
0.1 mL単位で目盛られているもの。

6.13 シャーレ

 小形(直径90100 mm)及び/又は大形(直径140 mm)のもの。

7. サンプリング方法

 個別の規格による。
備考 検査対象を真に代表する試料が,輸送中又は保存中に,損傷又は変質を来すことなく,検査室

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に届けられることが重要である。個別の規格がない場合には,受渡当事者間の協定による。

8. 試料の調製

 個別の規格による。
備考 個別の規格がない場合には,受渡当事者間の協定による。

9. 手順

(附属書A参照)

9.1 試料及び試料懸濁液

9.1.1  一般事項 JIS K 3701参照。試料懸濁液の調製には,一般に,希釈液として5.2.1及び4.2に規定
する前増菌培地(緩衝ペプトン水)を使用する。試料の規定量が25 g以外であれば,10倍希釈とするのに
必要な量の前増菌培地を使用する。
9.1.2 特定試料の試料懸濁液の調製法(サルモネラ属菌の試験にだけ関係するもの)
9.1.2.1 ココア及びココア含有試料(20 %を超えるものなど) 試料がグラム陽性細菌そう(叢)に高
度に汚染されている可能性がある場合は,緩衝ペプトン水(5.2.1)に,50 g/Lのカゼイン(酸カゼインは
使用しない。)又は100 g/Lの滅菌脱脂粉乳を添加し,2時間培養後,0.018 g/Lのブリリアントグリーン
(Brilliant Green。抗菌剤。CAS番号633-03-4)を添加する。
9.1.2.2 酸性試料 前増菌中にpHが4.5未満とならないようにする。
備考 2倍濃度の緩衝ペプトン水を用いれば,試料のpHが安定する。

9.2 非選択前増菌

 試料懸濁液(9.1)を37±1 ℃で18±2時間培養する。

9.3 選択増菌

9.3.1  RVSブロス(5.2.2)10 mLの入った試験管に,9.2で得られた培養液0.1 mLを移し入れる。MKTTn
ブロス(5.2.3)10 mLの入った試験管には,9.2で得られた培養液1 mLを移し入れる。
9.3.2 接種済みのRVSブロス(9.3.1)は,41.5±1 ℃で24±3時間培養する。MKTTnブロスの場合は,
37±1 ℃で24±3時間培養する。培養温度として許容されている最高温度(42.5 ℃)を超えてはならない。

9.4 平板培養及び同定

9.4.1  24±3時間培養後,RVSブロスで得られた培養液(9.3.2)を滅菌白金耳(6.8)で大形シャーレ(6.13)
内の第1選択平板培地(XLD寒天培地,5.2.4.1参照)上に塗抹し,よく分離したコロニーを形成させる。
大形のシャーレがない場合は小形シャーレ2枚を用い,同じ滅菌白金耳で連続して塗抹する。第2選択平
板培地(5.2.4.2)にも,滅菌白金耳とシャーレとを用いて同様に接種する。
9.4.2 24±3時間培養後,MKTTnブロスで得られた培養液(9.3.2)についても2種類の選択平板培地を
用いて9.4.1に規定する手順を繰り返す。
9.4.3 シャーレ(9.4.1及び9.4.2)を底が上になるように裏返して,第1選択平板培地(5.2.4.1)の場合
は,37 ℃に設定した細菌培養器(6.3)内に置く。第2選択平板培地(5.2.4.2)の場合は,製造業者の使
用説明書に従う。
9.4.4 24±3時間培養後,サルモネラ属菌の定形コロニー及びサルモネラ属菌の可能性がある非定形コロ
ニーの有無について各平板(9.4.3)を調べる。シャーレの底面に,その位置の印を付ける。XLD寒天培地
上に発育するサルモネラ属菌の定形コロニーは,中心部が黒色を呈し,指示薬(フェノールレッド。CAS
番号143-74-8)の変色によって赤みを帯びたやや透明な帯をもつ。
備考 XLD寒天培地上に発育する硫化水素(H2S)陰性のサルモネラ変異株[パラチフスA菌
(Salmonella Paratyphimurium A)など]は,中心部が暗いピンク色を呈するピンク色のコロニ
ーとなる。XLD寒天培地上に発育する乳糖陽性のサルモネラ属菌は,黒変の有無にかかわらず

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黄色のコロニーとなる。
第2選択平板培地は,適切な温度で培養し,適切な培養時間を経た後に,その特徴からサルモネラ属菌
と推定されるコロニーの有無を調べる。

9.5 確認

9.5.1  一般事項 信頼性があることが示されれば,サルモネラ属菌の生化学的試験用として市販されてい
る同定キットを使用できる。製造業者の取扱説明書に厳密に従う。
備考 サルモネラ属菌のコロニーの識別は,経験によるところが大きい。サルモネラ属菌のコロニー
の外観は,血清型だけでなく,使用した選択培地のバッチごとにも多少変化する可能性がある。
9.5.2 確認試験用のコロニーの選択 確認試験のため,各選択培地(9.4)(小形の平板2枚又は大形の平
板1枚)についてそれぞれの平板から,定形コロニーと考えられるコロニー又は疑わしいコロニーを少な
くとも1個釣菌する。最初のコロニーが陰性であれば,更に4個のコロニーを釣菌する。疫学的研究の場
合は,5個以上のコロニーを同定試験に供するのが望ましい。1平板上の定形コロニー又は疑わしいコロニ
ーの数が5個未満である場合は,その定形コロニー又は疑わしいコロニーすべてを確認試験用として釣菌
する。選択したコロニーを,あらかじめ乾燥させておいた栄養寒天培地(5.2.5)上に,よく分離したコロ
ニーが形成されるような方法で画線塗沫する。接種したこの培地は,9.4.3によって37±1 ℃で24±3時間
培養する。生化学的及び血清学的確認試験には,純培養菌を使用する。
9.5.3 生化学的確認試験
9.5.3.1 一般事項 滅菌白金線(6.7)を用いて,9.5.2で選択したコロニーを釣菌し培養したそれぞれの
培地を9.5.3.29.5.3.7に規定する培地に接種する。
9.5.3.2 TSI寒天培地(5.2.6) 培地の斜面部には画線し,高層部にはせん(穿)刺する。37±1 ℃で24
±3時間培養する。培地の変化は,次のように判定する。
a) 高層部
黄色 : ブドウ糖(グルコース)陽性(ブドウ糖資化性あり。)
赤色又は不変 : ブドウ糖(グルコース)陰性(ブドウ糖資化性なし。)
黒色 : 硫化水素産生
気泡又はき裂 : ブドウ糖からガス産生
b) 斜面部
黄色 : 乳糖及び/又は白糖(スクロース)陽性(乳糖及び/又は白糖資化性あり。)
赤色又は不変 : 乳糖及び白糖陰性(乳糖・白糖いずれの資化性もなし。)
定形なサルモネラ属菌の培養では,斜面部がアルカリ性(赤色)を示し,高層部が酸性(黄色)を示す。
さらに,高層部では,ガスの産生(気泡が発生する。)及び約90 %の例で硫化水素産生(培地が黒変
する。)が認められる(9.5.3.8)。乳糖陽性のサルモネラ属菌が分離される場合(4.4)は,TSI培地の
斜面部が黄変する。したがって,サルモネラ属菌の予備確認では,TSI寒天培地による試験結果だけ
で判定してはならない(9.5.3)。
9.5.3.3 クリステンセン尿素寒天培地(5.2.7) 培地斜面に画線後,37±1 ℃で24±3時間培養し,間隔
をおいて調べる。陽性の場合は,尿素が分解されてアンモニアが遊離し,フェノールレッドが淡紅色から
後には濃紅色へと変色する。この反応は24時間後に生じることが多い。
9.5.3.4 L-リジン脱炭酸試験用培地(5.2.8) 液体培地表面のすぐ下に接種し,37±1 ℃で24±3時間培
養する。培養後,混濁及び紫色を呈した場合は,陽性と判定する。黄色を呈した場合は,陰性とする。

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9.5.3.5 β-ガラクトシダーゼの検出(5.2.9) 疑わしいコロニーから1白金耳量をとり,生理食塩水
(5.2.13)0.25 mLの入った試験管内で懸濁する。トルエン1滴を加え,試験管をよく振とう(盪)する。
37 ℃に設定したウォーターバス(6.6)に試験管を入れ,約5分間放置する。 ガラクトシダーゼ検出用
の試薬を0.25 mL加えて混和する。37 ℃に設定したウォーターバスに試験管を再び入れて24±3時間放置
し,その間,試験管を間隔をおいて調べる。黄色を呈した場合は,陽性とする。
備考 この反応は,20分後に生じることが多い。調製済みのペーパー・ディスク(5.2.9)を使用する
場合は,製造業者の取扱説明書に厳密に従う。
9.5.3.6 VP(Voges-Proskauer)反応用培地(5.2.10) 疑わしいコロニーから1白金耳量をとり,VP培
地3 mLの入った滅菌試験管内で懸濁する。37±1 ℃で24±3時間培養する。培養後,クレアチン溶液2
滴,1-ナフトール・エタノール溶液3滴及び水酸化カリウム溶液2滴を加える。このとき,各試薬を加え
るごとに混和する。15分以内にピンクから明赤色の呈色が確認された場合は,陽性とする。
9.5.3.7 インドール反応用培地(5.2.11) トリプトン・トリプトファン培地5 mLの入った試験管に,疑
わしいコロニーを接種する。37±1 ℃で24±3時間培養する。培養後,コバック(Kovacs)試薬1 mLを
加える。赤色の環が形成された場合は陽性,黄褐色の環が認められた場合は,陰性とする。
備考 コバック(Kovacs)試薬の他に市販のインドール試薬も利用可能である。
9.5.3.8 生化学的試験の判定 サルモネラ属菌では,一般に,表1に示す反応が認められる。

――――― [JIS K 3705 pdf 10] ―――――

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JIS K 3705:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 6579:2002(MOD)
  • ISO 6579:2002/Technical Corrigendum 1:2004(MOD)

JIS K 3705:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 3705:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK3701:2008
培地の試験方法―通則
JISK8008:1992
生化学試薬通則